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2016年7月3日、埼玉・和光市総合体育館において64回目となる2016年全日本社会人選手権が行われ、マスターズの部も実施されました。
マスターズレスラーにとっては1月の全日本マスターズ選手権に並ぶ大きな大会ということもあり、多くの選手が出場されました。
また、マスターズの部A(35歳〜40歳)76kg級(参加8名)にお笑いコンビ「オードリー」の春日俊彰さんがレスリング歴約半年ながら参戦し、8月6日に「炎の体育会TV」では、「春日レスリング全国大会へ!として激動の215日間に密着」として放送されました。
私も映像を見ましたが、今時ちびっこサッカーでもこけ方や、こけた際の受け身の練習をするのに、受け身を十分習得させずに試合に出させるTV番組のイージーさに、先ずはあきれました。
春日さんは、大会直前の練習中にタックルに入ったところをつぶされ、頭からマットに突っ込んで首を負傷し、そのまま救急車で救急搬送され病院に直行。
バーナー症候群という軽症で、大会直前の約1週間はスパーリングができない状態となったものの大会には出場し、4位となったのですが、投げられたりとっさの時に首を反らすのは、完全に受け身が身についていない証拠です。
通常はどんな投げなどを食らっても、先ずは顎を引き、受け身の態勢を取るのが、初心者であれば徹底的に身体にしみこまされる基本です。
それをおろそかにしているのですから、軽傷で済んだことを喜ばねばなりません。
首を鍛えるブリッジも鼻がマットにつきそうになっていたので柔軟性は練習したのでしょうが、彼がやってきたボディビルでは方から首にかけての僧帽筋は鍛えても、首自体の強化は必須ではありません。
ですからレスラーに特有の「首が太い体形」とまでは言えず、自分が突っ込んですかされてマットに突っ込んだだけで、相手の体重がかかっていない程度の衝撃にも耐えられずにケガをするのです。
ビー トたけしさんやテリー伊藤さんらが、80年代の無茶な演出を「さすがに今ではもうできない」と懐かしむ場面が時々放送されますが、そんな猛獣に近づくとか いった系統よりも、スポーツ系に有名人(特に芸人)が挑戦する姿は、感動も得られるので、TV局も本人も達成感があり、「24時間TV」の100kmマラ ソンや、「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!での ドーバー海峡横断部、「世界の果てまでイッテQ」イモトアヤコさんの登山など、各種スポーツに挑戦しています。
「炎の体育会TV」でも、新挑戦だけでなく以前行っていたスポーツの再挑戦や、いま行っている練習の発表の場として、番組は使われてきました。
春日さんのボディビルやフィンスイミングもそうです。
それがケガの少ない競技であれば、問題は露呈しないままで済んできました。
しかし、格闘技は違います。
だからこそ同番組でも
シュートボクシングでは今田耕司さん、柔道ではオテンキののりさん、レスリングではエネルギーの森一弥さんや、くまだまさしさんといった経験者によって番組作りをしてきました。
それを素人の春日さんに、タイトな日数で挑戦させるなど、事故を誘発しているようなものです。
しかも番組として格好をつけさせるために、倒されたり投げられたりして、どんな態勢でも最低限の受け身はとれるとの基本を省いて、攻撃を主にしてしまった。
それがどれぐらい酷いかといえば、吉田沙保里さんから必殺技を身に着けるならと紹介された安部学院高等学校女子レスリング部で、高校2年生の須崎優衣(49kg級)さんらに秒殺されたほど。
76s級の春日さんからすれば、体重差は約30kgに及ぶ。
しかもこの期に及んで基本技のがぶりを教わるとは、絶句するしかない。
攻撃の基本は、タックルとタックルを切ること、がぶりで、次が投げだろう。
牛殺しを得意技にしていたようだが、余程腕(かいな)力が強かったり、技術の差がないとそんな技はか からない。
頭を上げるのが基本姿勢なので、相手が頭を下げて技がかかりやすくしてくれるようなくれる場面などないからだ。
更に基礎トレーニングでも、懸垂で腕を伸ばして行う場面は見られなかった。
これでは綱のぼりなどできないだろう。
そもそもなぜ女子選手とばかり当たっているのか?
吉田沙保里を訪ねて名古屋の至学館大学に行くのはTVとしてわかる。
しかし、安部学院は東京都北区だ。
関東で練習をするなら、練馬の自衛隊体育学校や、世田谷の日本体育大学に行き、日本のトップクラスの選手の指導を受ければよい。
基礎練習にすらついて行けはしないだろうし、それが本気で取り組むということだ。
そして試合だが、大森良太(関西学院大クラブ)さんとはスパーリングをしたことがあるので、感想を言えば当たりが柔らかい。
柔和な性格がそのまま試合に出ているような感じとも言える。
試合では、TVのように一本背負い×2で、春日さんを瞬殺している。
私ならどうしたろうかと考えてみた。
春日さんは投の防御ができていないのだから、TV受けする大技を仕掛けたろうか。
例えば逆一本背負いとか。
春日さんは身体の軸がぶれているので、肘が折れるほどもこらえきれず、きれいに投げられてくれたろう。
大森さんとスパーリングした際、受けきれると予想して両腕をカンヌキにして投げた。
変にこらえると肘から折れるかもしれず、投げられた後も上手く投げられないと頭からマットに刺さる技だが、大森さんは自然に投げられてくれ、その後はヒィーヒィー言わされるほどの逆襲を浴びたのだった。
このようにスパーリングでも試合でも、予想だにしない突発的な技や、技が崩れて危険な体制になってもケガをしないように受けられる技量が格闘技では求められる。
私も試合では、投げられたりタックルに入られたりして膝や肘が逆方向に曲がって折れたり脱臼している場面に何度も出くわした。
私自身は相手にも自分も救急車を呼ぶほどのケガに遭遇したことはない。
但 し、「レフェリーに見えなければ、どんな手を使っても勝て!」と教えられてきたので、体を密着させて外部に見えないようにしてから反則の関節技や絞め技、 肘で顔面をグルグリ擦るなどのただただ痛いだけの心を折るための嫌がらせ、反則に見えないようなヘディングで相手に鼻血を出させたりといった“小技”を 使ったことはある。
私もやられたことがるので、お互いさまで、そんな“小技”にかかるほうがどうかしているのである。
そして最大に「どんな初心者のまま試合に出ているのか!」と驚愕したのは、倒れて上に乗られた際に相手に向かい合いつつ、相手の頭を押さえて踏ん張っている姿である。
レスリングは背中がつけばフォールとなり、どんなに点差があっても終了する競技だ。
倒れれば即座に腹ばいになるよう教え込まれる(柔術や総合格闘技では、倒れてものしかかられても向かい合うのが基本)。
しかし相手が見えないままなのは不安だし、体重が乗る前に逃げたいとの自然な防御心から、初心者は首を取ったり、頭を押さえたがる。
そして乗られてもブリッジをしない。
セコンドから「ブリッジ!!」と声が飛んでいたにもかかわらず。
こんな初心者の域から脱していない人を、半年やったとは言えないし、試合に出すのもケガをしに出てくるようなもので無謀のそしりを免れない。
受入側も誰がこんな無責任かつ安直に受け入れたのかと日本レスリング協会公式サイト(2016.6.4付)を見ると、全日本マスターズレスリング連盟の村本 健二事務局長名で、「指導の統括は当連盟の宮原(筆者注:厚次)強化委員長、監督は鈴木光さん、コーチはFFCの伊東克佳さんを中心に、本多尚基さん、宍 戸将春さんが行っております。 連盟の担当として、内藤理事と村本事務局長が企画、調整を行っております。」と記されている。
女子レスリングは注目されていますが、男子は全くと言ってよいほど世間に知られることもなく、協会自体も予算要求が厳しいのでしょう、何とかメジャースポーツにするためにはと功を焦ったのではないかと伺えます。
し かし、十分時間をかけずに競技できるスポーツではなく、春日さんがもし車椅子生活を強いられるようにでもなれば、番組はお蔵入りで、レスリング関係者もそ の責任を問われたことでしょうし、安易な挑戦は誰もが不幸にもなる結末を迎えるおそれがありますので、番組作りをするなら熟慮して行うべきだと、元選手の 立場からも提言したい。
最期にダメ押し。
受け身からキチンとやれ!
レスリング(格闘技)なめんな!
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