http://www.asyura2.com/14/idletalk41/msg/393.html
Tweet |
[女・男 ギャップを斬る]この国の男性問題 「仕事第一」いつまで放置? 詩人・社会学者 水無田気流
男性学が専門の武蔵大学助教・田中俊之さんから、著作『男が働かない、いいじゃないか!』をいただいた。8歳の息子に「このタイトル、どう思う?」とたずねると、「男が働かなかったら、子どももご飯が食べられないし、家庭が崩壊するんじゃないかな」とのこと。「でも、大きくなってとにかく働かなきゃ駄目! それ以外に人生の選択肢はないって言われるの、つらくない?」と聞くと、「つらくないよ! 男が働くのなんか、当たり前だろ」と言う。なるほど、女児は幼い頃からときに抑圧的ともいえるような女性らしさ規範を内面化し行動やライフコース選択にも影響を及ぼすが、男児もまたこのように、男性役割規範を早くから内面化するらしい……。
この国で、男性の「就労第一主義」は根強く、男女とも「結婚後の家計は夫が担うべきだ」との意見に賛成する割合は7割超との調査結果もある。もちろん、働きたい人が働けるだけ働くことには、異論の余地はない。ただこの国の「ケアワークを妻に丸投げして仕事にまい進する」男性標準労働者モデルからは、今後とりわけ男性に顕著な生涯未婚率上昇と高齢化の進行により、「規格外」となる人の増加が予期される。介護離職も深刻だ。明治安田生活福祉研究所・ダイヤ高齢社会研究財団調査(2014年)によれば、正社員から介護理由で離職した40歳以上男女のうち、転職後も正社員で働き続けている男性は3人に1人、女性は5人に1人。年収も男性4割減、女性は半減となっている。介護などケアワークを抱えれば誰でも「二流労働者」となる脆弱な社会の根幹には、旧来の男性ジェンダー規範が横たわっていないだろうか。
現在、参院選を目前に各政党の政策を比較検証している。大枠で長時間労働是正やインターバル規制、女性の就労と育児の両立支援を訴える文言は多いが、現行の男性の就労第一主義のもたらす弊害について、真正面から取り組む姿勢を示す政党が見られないのは残念だ。たとえあっても、女性の社会参加促進の「ついで」のような印象である。この国の巨大すぎてかえって見えない「男性問題」は、実は社会問題の「本丸」かもしれない。
[日経新聞7月9日朝刊P.33]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 雑談・Story41掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。