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スカイマーク、危機に瀕し“傍若無人”経営爆走 自社利益ゴリ押しで国とANAらを手玉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150116-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 1月16日(金)6時0分配信
国内航空3位のスカイマークが日本航空(JAL)と共同運航する方針から一転、ANAホールディングス(ANA)とも提携交渉に入り、2015年春から3社で共同運航する検討に入っていた。スカイマークはANAに出資の要請も行っていたが、14日に行われた両社の首脳会談で条件面などで合意に至らず出資は見送りとなり、スカイマークは自主再建に乗り出すこととなった。
3社による共同運航については、3月末の開始に向けて、引き続き協議が継続される。羽田と千歳、福岡などを結ぶ5路線36往復を共同運航する。スカイマークは、JALとは新千歳、福岡、那覇の3路線で実施。ANAとは、この3路線に加えて地方間の路線を含めた共同運航を検討してきたが、ANAが難色を示したため見送られた。国土交通省は5年間に期限を切り、各路線をJALとANAの両社に割り振る案を検討している。JALが事業を拡大することに自民党運輸族の反発が強く、当初ANAは「JALとの提携は認めない」と強硬姿勢だった。しかし最終的には、今春からJALを含めた3社による共同運航を受け入れたかたちになった。
JAL、ANAが主要3路線で共同運航を行うのは、スカイマークが座席数の多いエアバス「A330」(271席)を就航させているか、今後就航させる予定の路線。スカイマークは世界最大の旅客機「A380」の発注キャンセルをめぐり、エアバスから約7億ドル(約830億円)の違約金を請求されて経営危機に陥り、JALに支援を求めた。提携の柱はJALとの共同運航。スカイマークはJALとの提携で、年間80億円の増収効果を見込んでいた。
ところが、太田昭宏国交相が「厳しく判断する」と難色を示し、企業同士の提携を国がひっくり返す異例の展開となった。政府は、共同運航がJALの羽田発着枠の事実上の拡大につながると見なしたからだ。JALは2010年1月に経営破綻した。民主党政権は3500億円の公的資金を投入したほか、金融機関からの借り入れ5200億円を棒引きにし、法人税を減免するという異例の救済体制を敷いた。
「10年当時、ANAの伊東信一郎社長は国交省と公正取引委員会に、JALに過度な支援をして競争環境が不公平にならないようにと申し入れた。しかし、国交省も公取委も何もしなかった。EUのように公的支援に厳しいガイドラインを設けて、JALが二次破綻することを恐れたからだ」(航空担当のアナリスト)
ANAは当時下野中の自民党と組んで、反JALキャンペーンを展開。安倍晋三政権の誕生で、航空界の主導権は民主党=JALから自民党=ANAに移った。国交省も自民党のほうを向いて、ANA寄りのスタンスに変わった。安倍政権下でJALの冷遇が始まり、羽田の国内・国際線の発着枠はANAに露骨な傾斜配分を行った。さらに政府専用機の後継機整備もANAに移し、ナショナル・フラッグ・キャリア(国を代表する航空会社)の座にANAが就いた。
●スカイマークのしたたかさ
航空行政が政治力学で決まる狭間で、スカイマークの西久保愼一社長はしたたかさを見せている。西久保氏の行動は自らの利益を優先させ、経営の独立性を保つことで一貫している。まったく接点がないJALに提携を申し入れたのは、JALなら買収される心配がなかったからだ。国交省の介入を聞き入れたふりをしてANAに乗り換えたのも、したたかな計算が働いている。
1月9日付読売新聞夕刊は「スカイマーク方針転換、全日空に出資要請検討」と報じた。外資系証券会社のアナリストが解説する
「スカイマークがANAから出資を受け入れ、ANAの傘下に入ったら、エア・ドゥ、スターフライヤー、スカイネットアジアに続き日本の新興エアラインはすべてANA系になってしまう。そうなると、国交省が90年代に進めた航空業界の規制緩和は反故になる。それでは困る国交省が、スカイマークの独立維持を最優先課題にしているのはそのためだ。共同運航を5年限りとするよう求めたのは、その気持ちの表れ。スカイマークは経営の主導権を握られる危険のあるANAからの出資を嫌がり、ファンド4社の中から1社を選び、1月にも25%未満の出資を受け入れる段取りだった。25%未満の第三者割当増資なら、東京証券取引所のルールにも引っかからない。もしANAから出資を受けるとしても5〜10%でしょう。全日空から20%以上の出資を受けると、国交省はスカイマークに割り当てている羽田発着枠を見直す可能性が出てくるからだ。西久保氏は、国交省がスカイマークの独立経営を望んでいるはずと読んで、JALとANAを手玉に取っており、相当にしたたかに見える」
スカイマークは1月10日、「(ANA傘下で経営再建を検討しているとの一部報道について)検討している事実はない」との否定のコメントを出した。読売新聞に続いて同日付朝日新聞朝刊も「スカイマーク、ANA傘下入り検討 自力再建を断念か」と報じたからだ。朝日が「ANA傘下入りを検討」と踏み込んだため、スカイマークは否定のコメントを出さざるを得なくなった。
もしスカイマークがANA傘下に入れば、国交省がJAL、ANAと別の「第三極」の航空会社を育成しようとしてきた航空行政の大転換を意味することになる。
事態は刻々と動いている。昨年末、エアバスが英国商事裁判所に対して訴訟の準備を始めたことを通知したのを受け、スカイマークは「通知が正式な訴訟に発展することを意味するわけではない」とコメントしている。A380の売買契約解除に伴い、巨額違約金の減額交渉をスカイマークは進めてきたが、決着しないままエアバス側が訴訟の準備に着手したということだ。ちなみにエアバスのファブリス・ブレジエCEO(最高経営責任者)は1月13日の年頭会見で、スカイマークへの納入に向けて製造中だったA380(2機)について「別の買い手を探している」と述べ、転売先の決定に時間がかかることを示唆した。すでに製造に着手した2機の買い手が決まらないと、エアバスの損害額は確定しない。従ってスカイマークが支払う違約金の額が固まるのはかなり先になる見通しとなり、交渉は長期化の様相を見せている。
手元資金を確保するために投資ファンドと第三者割当増資について協議しているが、エアバスが訴訟準備に入ったことから、流れが変わったとの指摘がある。投資ファンドは、訴訟問題の行方がはっきりするまで出資を見合わせる可能性が出てきたというのだ。「全日空への出資要請を検討」というニュースが流れた背景には、スカイマークの資金繰りの悪化がある。
●搭乗率、過去5年で最低
スカイマークは1月10日、昨年12月の搭乗率の実績を発表した。搭乗実績は全路線平均で54.5%。13年12月実績を5.6ポイント下回り、12月としては過去5年で最も低い水準となった。主力の羽田―福岡線では機材の大型化で14年12月の提供座席数は1.4倍になったが、搭乗者数は10%増にとどまった。この結果、搭乗率は63.4%と13年12月を14.9ポイント下回った。ドル箱路線だけに、この落ち込みは痛手だ。採算が悪化している地方路線も、搭乗率・搭乗者数ともに苦戦が続いた。9月をメドに撤退する方針の米子空港発着路線では、那覇線が39.9%にとどまった。
15年3月期は過去最大となる136億円の赤字予想のスカイマークは、3社の共同運航で「最大、年160億円の増収効果」(西久保社長)を見込み、将来の黒字転換を目指す。3社の共同運航の方針を好感して、株価もエアバスから多額の違約金を求められ急落した7月以前の水準にまで戻った。1月14日の高値は393円(30円高)、終値は390円だった。
JAL、ANAともに欲しいのは、羽田―福岡線などスカイマークの“ドル箱便”の座席だ。2割ほどをJALやANAが買い取り、両社の客が乗ることになる。羽田―福岡、羽田―札幌線は2社が奪い合う展開を予想する向きもある。国交省の“行政指導”でスカイマークがしぶしぶ共同運航を申し入れたANAには、基幹路線だけでなく地方路線の共同運航も西久保社長は提案していたが、ANAが難色を示し実現しなかった。具体的には仙台―千歳、神戸―鹿児島などで、この2つの路線の搭乗率は35〜40%程度。ANAの力を借りて搭乗率の底上げを図りたいとの思惑があった。
どう転んでもスカイマークに損はない、と西久保社長は計算していた。エアバスが裁判の準備に入ったと公表するまでは、まさにこの計算通りだった。株価は正直だ。14年12月16日の東京市場でスカイマークの株価は一時377円、80円高のストップ高となり、大引けは364円(67円高)。同年8月13日の安値153円と比較すると2.5倍になった。
国交省は、スカイマークの羽田空港の発着枠を2月以降も1日当たり36枠使えるようにする。羽田発着の国内線は、1枠当たり年間20〜30億円の収入が見込める。安定した収益が見込める羽田発着便を維持し、スカイマークの経営を側面から支援する。同時に財務状況の報告を義務づけて経営への監視を強める方針だ。
国交省、JAL、ANAを手玉に取っているかのように映る西久保社長の賭けは、はたして成功するのだろうか。
編集部
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