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「為替はこれからどう動くのですか?」――。金融関係の仕事が長いことから、時々こんな質問を受けることがあります。もちろん、「為替は複雑なので分かりません」と答えます。1米ドル=110〜130円程度を予想する専門家が多い2015年の米ドル/円相場ですが…
これからは円安? 円高? 為替が動く“本当の理由”とは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150115-01062030-trendy-bus_all
日経トレンディネット 1月15日(木)12時32分配信
「金融コンテンツLab」はとかく難しくなりがちなお金の話題を、平易で分かりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信に当たっている研究機関。研究員は月刊誌『日経マネー』の在籍経験が長い3人。この連載は研究員のリレー形式で、今知っておきたいマネーの話題を紹介します。第7回の担当は江田憲治研究員です。
●為替が決まる仕組みとは?
「為替はこれからどう動くのですか?」――。金融関係の仕事が長いせいか、時々こんな質問を受けます。もちろん、「為替は複雑なので分かりません」と答えます。1米ドル=110〜130円程度を予想する専門家が多い2015年の米ドル/円相場ですが、そもそも為替相場はどのように決まるのでしょう?
教科書には「為替は経済や政治などさまざまな要因が複雑に絡み合って決まる」とありますが、要因が多すぎて混乱気味の人も多いようです。今回は投資初心者が知っておきたい為替の“クセ”や見方のポイントをご紹介しましょう。
●通貨の「金利」に注目! 高金利の要因も重要
短期的な変動要因の1つとして、まず注目されるのが各国の金利の水準です。日本の政策金利は0.00〜0.10%ですが、米国は年内の利上げの可能性が指摘されています。米ドルのほうが高い利回りを期待できると考える人が増えたことが、2014年に進んだ円安・米ドル高の一因です。投資マネーは一般的に金利の高い国を好み、低金利の通貨から高金利の通貨に向かう性質があることを覚えておきましょう。
とはいえ、金利は万能の尺度ではありません。ブラジルの政策金利は11.75%ですが、2014年は必ずしも円安・レアル高とはなっていません。この理由の1つとして挙げられるのが、ブラジルのインフレ率の高さです。
インフレが進むと同じお金で買えるモノの量が少なくなり通貨の価値が下がるので、為替にとってはマイナス(通貨安)要因。また、世界には信用力の低さなどを補うために金利を上げざるを得ない国もあります。金利が高い要因は何なのか、その理由を考えることが欠かせません。
中期的な変動要因の1つとして注目度が増しているのが、貿易収支です。日本の貿易収支は約2年半にわたって赤字が続いています。貿易赤字は決済通貨である米ドルが買われて円売りが増えるため、円安要因になると考えられます。貿易収支が注目される理由は、実需に裏打ちされた為替需要であること。実需は為替相場を動かす重要な要素です。
●1米ドル=120円は歴史的に見て割安?
「今後日米の金利差が開き、日本の貿易赤字が拡大すれば、さらに円安が進むのでは」と考える方も多いかもしれません。しかし一方で、「米ドル/円相場は歴史的に見て割安な水準(円安の余地は限られる)」と見る専門家も多いようです。
現在のレートは1米ドル=約120円。ロシア通貨危機があった1998年は1米ドル=約145円になったので下落余地はあるように見えますが、なぜ割安な水準だと言えるのでしょう。
根拠の1つとなっているが、「購買力平価」を用いた為替の適正価格の試算結果です。購買力平価とは通貨の購買力(≒競争力)が均衡されると想定される理論上の為替レートのこと。インフレ率格差を基に算出されます。
例えば、ある年の為替レートが1米ドル=200円だったとしましょう。その後、日本の物価が変わらず米国の物価が2倍になれば、米ドルの通貨価値の下落を反映させた購買力平価は1米ドル=100円(200円÷2倍)になるという考え方で、根底には「一物一価の法則」があります。
下のグラフは、公益財団法人国際通貨研究所が作成した米ドル/円相場と、(1)消費者物価、(2)企業物価、(3)輸出物価によって算出した購買力平価の推移を示したもの。実勢レートは、概ね(1)の消費者物価と(3)の輸出物価による購買力平価の範囲に収まってきたと見ることもできます。
仮に(1)の消費者物価による購買力平価を米ドル/円相場の下値支持線とし、(3)の輸出物価による購買力平価を上値抵抗線だとすれば、現在の為替レートは「歴史的に見て割安な水準」だという見方も一定の説得力があります。ただ注意したいのが、購買力平価は為替の適正水準を示す絶対値ではないこと。基準年の設定によって数値も異なります。
●本当の要因は「市場参加者の予想」
ここまでは、主にファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と為替の関係について見てきました。ただ実は、経済指標だけで為替の先行きを読むことは容易ではありません。
その理由を「ファンダメンタルズが重要であることに間違いありませんが、為替を動かしている本当の要因はほかにあるから」と話すのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの五十嵐敬喜執行役員調査本部長。五十嵐さんが指摘する為替を動かす本当の理由とは「市場参加者の予想」です。
「例えば、現在の円安・米ドル高のきっかけとなったのは2012年11月の野田首相(当時)の解散宣言ですが、日銀の異次元の緩和が発表された2013年4月にはすでに15円程度の円安が進んでいます。これは『解散→政権交代→金融緩和→円安』を予想する市場参加者が増えた結果であり、実態経済を反映したものではありません。為替を読むのが難しいのは、予想はそれが生まれたときには相場を動かしますが、予想が実現したときにはもう影響しないこと。将来市場が驚くことをあらかじめ自分だけが知っている状況は想像しづらく、短期的な相場を予測することはほぼ不可能です」
しかし、「半年や1年、あるいはもっと先の相場の予想なら話は別かもしれません」と五十嵐さんは話します。「現時点で将来市場が重視する要因のトレンドを正しく予測できれば、市場の予想を先取りできる可能性がある」からです。
●中長期では1米ドル=200円の可能性も
2015年の為替相場。五十嵐さんはどのような要因に注目しているのでしょう。
「日米の金融政策などを注目しているのはもちろんですが、見逃されがちな要因として挙げておきたいのが、まず世界的にリスクオン(投資家の資金がリスク資産に向かう相場状況)・リスクオフ(リスク資産を回避する相場状況)の動きが続く可能性があること。仮にリスクオンとなれば、金利の低い円にとって下落要因です。もう1つは政府首脳による口先介入の可能性。円安の進行具合によってはこうした介入も十分に予想され、一時的に円高に向かう可能性もあるでしょう。円安の中長期的な要因として私が懸念しているのが、財政の健全性です。財政がさらに悪化して日本の信用力への疑問が強まれば、1米ドル=200円を超える円安の可能性もあると見ています」
為替と上手に付き合うためには短期的な値動きだけでなく、中長期のトレンドを考えることも重要です。
(文/金融コンテンツLab研究員 江田憲治)金融コンテンツLab 企業のマーケティング活動をサポートする日経BPコンサルティングにおいて、主に金融分野のコミュニケーションツールなどの企画・編集で研鑽を重ねる研究機関。最新動向の調査・取材活動を踏まえ、難しくなりがちな金融の話を「なるほど、わかった」と思ってもらえるコンテンツに仕上げることをミッションとしている。
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