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全349社、すべて実名! 10年後「大きくなっている会社」「小さくなっている会社」 トヨタ 三菱商事 みずほ銀行 野村證券 日本生命 朝日新聞ほか 働く人も、株をやる人も、就活生も必読
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41700
2015年01月15日(木) 週刊現代 :現代ビジネス
強いのはデンソー、ファナック、JR東日本。キッコーマン、良品計画、オリンパスも好評価。東芝と日立は差が明確に。死滅しそうな業界はどこか—。たった10年で、「業界地図」は様変わりする。
■グーグルがトヨタのライバル
「多くの日本人経営者は、未来を予測するのは不可能だと訳知り顔で語り、目先のことばかりに執着した経営を行っています。しかし、先を見通せないというのは言い訳でしかない。世界のトップ企業では、経営陣が生き残りのために必死で未来のシナリオ分析に力を注いでいるのが実情です。
これからはあらゆる業界が劇的な変化に襲われる。いますぐにでも先に向けて一歩を踏み出さなければ、多くの日本企業が小さく萎んでいく悪夢の道を辿っていきます。名の知れた巨大企業でさえ、漫然と時を過ごしていては、10年後に生き残っていることはできないでしょう」(百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏)
そんな過激な時代はもう幕開けしている。
名門ユニチカが経営不振からメガバンクに金融支援を要請し、『アイスノン』などで知られた白元は事実上破綻、代ゼミは予備校の大幅縮小に追い込まれ、あのダイエーの名前が店舗から消えることが決まった—。'14年に繰り広げられた企業劇場から学べる教訓はまさしく、先を読めない会社はいとも簡単に市場から退場勧告を突きつけられるという現実であった。
後述するように、ここから10年間、日本企業はこれまで経験したことのないような変化に襲撃される。しかもその変化は急激かつ急速に、旧来の競争のルールを一変させていく。手をこまねいていればひとたまりもない「即死時代」がやってくるのだ。
一体これから何が起きるのか、生き残れる会社はどこなのか。本誌は経済・企業に精通するプロ8人にこれから10年間の業界予測を行ってもらった。同時に、日本の有力企業349社の中から、「10年後に大きくなっていると思う会社」「現状維持はできているだろうと思う会社」を選び、それぞれに◎、○をつけてもらった。言い換えれば、無印は「10年後に小さくなっている会社」ともいえる(結果をまとめたのが次ページからの表)。
まず多くの識者が指摘したのが、自動車業界における革命的変化と、それがほかの産業に与えるインパクトの巨大さである。
順を追って見ると、「まず今後数年で起きるのは、水素カーに代表される燃料電池車の急速な普及です。各国のメーカーがこの分野で開発を競っている中で、先行しているのがトヨタ。'14年に『MIRAI』で世界初の一般発売に踏み切った勢いそのままに、トヨタが世界的な需要を先取り、大きく膨らんでいく」(セゾン投信代表の中野晴啓氏)。
燃料電池車は低コストで作るのに高い技術力が必要で、先行メーカーは他社が追い付けない間に市場を独占できる可能性もある。となればトヨタが文字通り世界随一の自動車メーカーとして君臨することになるが、話はそう単純ではない。
燃料電池車の普及と並行して進むのが電気自動車の発展で、「電気自動車が次世代カーの中心になれば業界の風景は一変する。なぜなら、電気自動車は電池とモーターを買ってくればどんな企業でも作れるプラモデルのようなものだから。参入障壁が崩れてあらゆる業界から新規メーカーが入ってくる中で、人件費の安い海外で作る電気自動車がバカ売れし、日本勢がすべて打ち負かされるシナリオも浮上してくる」(鈴木氏)。
さらに、自動車業界を大きく揺るがすのがグーグル・カーの台頭だ。ざっくり言えばコンピューターが内蔵され、車載カメラが車線から前後の車両位置を把握して自動運転を実現、フロントガラスはディスプレイのようになり、音声認識可能なカーナビが映し出される……といった近未来カーである。すでに米グーグルは公道実験を進めており、「これが普及してくると自動車は『スマホ化』する。携帯電話業界でオペレーションシステムを握った米アップルやグーグルが莫大な利益を稼ぐようになり、日本メーカーが続々と事業撤退を迫られたのと同じ道を、自動車業界が辿っていくということです。もちろんトヨタはこうした事情を認識していて、強烈な危機感を抱いている。これからはトヨタがグーグルに対抗するためにソフトバンクと手を組み、『トヨタ-ソフトバンク連合』で闘っていくということも考えられる」(いちよしアセットマネジメント執行役員の秋野充成氏)。
自動車産業が日本経済を牽引してきたのはその裾野の広さからであり、見てきたような変化は周辺産業にも衝撃を与える。たとえば、「電気自動車が普及してくれば部品メーカーの地位が向上するので、総合自動車部品メーカーであるデンソーは急拡大する。一方で必要なくなる部品を製造していたメーカーは淘汰され、代わりにモーターを作る日本電産、蓄電池を作るパナソニックなど異業種組が伸びてくる」(鈴木氏)。さらに、「自動運転が実現すれば事故率が下がるので、軽量化のために車体に鉄が使われなくなり、鉄鋼業界に激震が走る。逆に、すでに自動車の車体に使われている炭素繊維などを作っている東レなどが急伸してくる」(明治大学国際日本学部教授の小笠原泰氏)。
■製造業は主役が交代
自動車業界と並んで日本のモノづくりを支えてきた家電業界は、「衰退する。すでに韓国・中国メーカーにやられているが、その中韓勢でさえ、アジアの新興メーカーに負け始めている。超安値競争に入った家電はインドやマレーシアの企業がトップに立つ時代。家電に固執する日本企業は縮んでいくだけ」(経済・金融アナリストの津田栄氏)。
代わりに製造業の主役に躍り出るのは、一つには「防衛産業です。中国経済が失速する中で、今後は米国1強時代が復活する。日米同盟はより強化され、安倍政権の政策方針もあって、防衛産業が一大企業群になっていく」(中野氏)。具体的には、「次世代潜水艦を製造できる三菱重工業、川崎重工業や航空機エンジンに強いIHIなどが大きくなっていく」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)。
意外かもしれないが、工作機械メーカーも主役に浮上する。先進各国で高齢化が進んだり、「中国で人件費が高騰するなど新しい労働問題が発生する中で、ロボット化、オートメーション化がこれから急速に進むから」(元マイクロソフト日本法人代表の成毛眞氏)。
今回、識者がつけた「◎」を2点、「○」を1点として各企業の生き残り度を点数化している。トップの15点には前述したデンソー、東レなどが並ぶが、次いで2位(14点)にファナック、コマツなどが入っているのはこうした事情がある。ただし、「3Dプリンターの普及で、日本の工作機械や主要部品をバラバラに解体すれば事実上はほとんど似た製品を作れるようになるかもしれない。しかも中国でこの3Dプリンターが急速に普及してくる。日本メーカーはどれだけ技術をブラックボックス化できるかが重要になる」(安藤氏)。
■スマホ社会の金融、小売り
金融業界も大きな変革期を迎えそうだ。「電子マネーの普及とスマホ決済の進展」(小笠原氏)がその理由。海外ではすでにスマホをかざすだけで支払いを済ませられるマネーのデジタル化が進んでおり、「今後は日本でも現金の使用量が2割減るとも言われている。つまり、銀行にとっては顧客のATMの使用頻度が減ることになる。融資で儲けられない日本の銀行は、実はこうしたATM手数料などで稼いでいるのが実態だが、その収益基盤が大きく損なわれることになる」(鈴木氏)。さらに、セブン銀行やイオン銀行など身近で使い勝手のいい銀行への預金シフトが進んでいく。
メガバンクは投資銀行化も進めているが、「それができているのは総合商社。最強・三菱商事を筆頭に、世界的なファンドのような存在になっており、新しい金融プレーヤーとして輝きは増すばかりです」(中野氏)。
保険業界にしても、遺伝子検査で自分の寿命がわかる時代にあって、人々の「いつ死ぬかわからない不安」を取り込んできた生命保険会社のビジネスモデルはどこまで維持できるのか。さらに、自動運転で事故のない社会が実現した際に誰が自動車損害保険に入るのか……といった素朴な疑問がすぐに頭に浮かぶように、「小さくならざるを得ない」(秋野氏)。
続けて、小売業界に目を転じると、大手総合スーパーが熾烈な価格競争を演じる状況は変わらず、「業界全体が厳しい。今後は大手に代わって、地域密着型が伸びていく時代になる。たとえば、(表にはないが)埼玉県を中心とするヤオコーはパートが『今日の料理』としてレシピを作り、それに関連した商品を売るというのが主婦に受けている。全国どこでも同じようなものばかり売っているイオンより、こうした地元型が消費者のニーズを捉えていく流れでしょう」(流通科学大学学長の石井淳蔵氏)。
百貨店は、「高嶋屋や三越伊勢丹では一日1000万円単位で買い物をする外国人の超富裕層が押し寄せる。すでにそうした顧客向けのコンシェルジュを雇い、臨戦態勢を整えている」(成毛氏)と訪日観光客の急増で潤うが、10年後の日本人は常にスマホなど携帯端末に接続し、世界中のネット市場にアクセスして、よりよいものをより安く購入できるようになっている。こうした「Eコマースの世界に百貨店がついていけるかどうかは微妙」(石井氏)で、奪われる客もまた大きくなりそうだ。
■カリスマが去った後は?
これから10年、先進各国は本格的な低成長時代に突入し、従来型の消費は低迷。環境問題がいよいよ待ったなしになる中で、何度もモノを買い替えるような浪費経済にも後ろ向きになっていく。先進各国の消費の巨大トレンドは、安全、安心、健康といったテーマに移行しているというのが世界の常識で、実はこれが日本企業にとっては好機到来となる。たとえば、「和食ブームはこうした流れの典型で、10年後には醤油やお茶など、これまでは日本人しか買わなかったような商品が欧米や新興国でも売れるようになる。すでに海外展開を先駆けているキッコーマンは伸びていく」(津田氏)、「医療需要を取り込めるのが世界的な内視鏡技術を誇るオリンパスで、実は期待できるのがソニー。センサー技術は圧倒的なものがあり、これが医療機器や防犯センサーとして豊富な需要期を迎える」(成毛氏)。
ここまで見てきたようなビッグトレンドを経営者が見極め、そこに経営資源をベット(賭け)できるかが今後の企業の盛衰を決定する。同時に、「会社の方針に応じて、現場が臨機応変に動ける態勢を作れているかどうかが大事。社員が上から言われたことだけをやっている会社では、激動の時代は生き残れない。東日本大震災時に、本社の指示を待たずに現場のドライバーが避難所への物資運搬を行ったヤマトHD、社員が社内ネットから誰でも新商品アイデアを提案できる仕組みがあり、結果として『熱さまシート』などのユニークなヒット商品を出し続けている小林製薬などは期待できます」(石井氏)。
一方で、カリスマ経営者が牽引してきた会社は、「『カリスマ亡き後』が最大のリスクになる。たとえば京セラから稲盛和夫氏がいなくなったらどうなるか。10年後が一気に見通せなくなる」(成毛氏)。
本文では紹介しきれなかった業界・企業については、表中で詳述しているのでご覧いただきたい。企業の行く末を見通すことで、おのずと日本経済の未来も浮かび上がってくるはずだ。
あんどう・ふじお/'48年生まれ。ちばぎん証券顧問。早稲田大学卒。山一証券で企業調査部長、金融法人資金運用部長を歴任し、その後ちばぎんアセットマネジメント専務などを経て現職
あきの・みつしげ/'63年生まれ。いちよしアセットマネジメント執行役員運用部長。中央大学卒。第百生命保険相互会社(現マニュライフ生命)有価証券部企業調査担当などを経て現職
おがさわら・やすし/'57年生まれ。明治大学国際日本学部教授。東京大学卒。マッキンゼー&カンパニー、米カーギルなどを経て現職。著書に『没落する日本強くなる日本人』(さくら舎)など
いしい・じゅんぞう/'47年生まれ。流通科学大学学長。神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。同大学大学院教授などを経て現職。著書に『マーケティングの神話』(岩波現代文庫)など
つだ・さかえ/'54年生まれ。経済・金融アナリスト。東京大学卒。大和証券債券部トレーダー、ドイチェ・モルガングレンフェル信託銀行(現ドイチェアセットマネジメント)などを経て現職
すずき・たかひろ/'62年生まれ。百年コンサルティング代表取締役。東京大学卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て現職。著書に『戦略思考トレーニング』(日経文庫)など
なるけ・まこと/'55年生まれ。インスパイア取締役ファウンダー。中央大学卒。日本マイクロソフト代表取締役社長などを経て現職。著書に『本棚にもルールがある』(ダイヤモンド社)など
なかの・はるひろ/'63年生まれ。セゾン投信代表取締役社長。明治大学卒。西武クレジット(現クレディセゾン)を経て現職。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)など
「週刊現代」2015年1月3日・10日号より
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