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サントリーの大ばくち 巨額負債と綱渡り経営、「高すぎる」買収で背負った十字架
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150115-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 1月15日(木)6時0分配信
サントリーホールディングス(HD)は昨年10月1日、ローソンから招聘した新浪剛史氏が社長に就任し、創業家以外が初めて経営トップになる新体制が始動した。
同日、東京・台場のサントリーHD東京本社。大柄な体をグレーのスーツに包んだ新浪氏は、トレードマークの日焼けした顔から真っ白な歯をのぞかせ、第一声を放った。「やってみなはれ」。横浜生まれの新浪に関西弁は似合わないが、失敗を恐れず挑戦を促すこの言葉が大のお気に入りだ。新浪氏は「『やってみなはれ』のスピリットで、ともに挑戦していこう」と社員に呼び掛け、その姿は社員向けの動画サイトにアップされた。
昨年8月に顧問へ就任してから、新浪氏は国内外の拠点を回り、問題点の洗い出しに着手した。必要なのは買収した米ウイスキー大手ビーム(現ビームサントリー)との相乗効果を最大限に引き出すための戦略だ。昨年10月1日、サントリー酒類から分離したビール事業の専業子会社サントリービールが発足。ビールと蒸留酒を手掛けていたサントリー酒類は、蒸留酒専業としてビームサントリーの傘下に入った。
サントリーHDは昨年5月1日、米ビームの買収手続きを完了し、蒸留酒売り上げで世界10位から一気に第3位に浮上した。買収価格は総額160億ドル(約1兆6500億円)と、サントリーHDにとって過去最大の買収となった。同日付でビームの社名をビームサントリーに変更した。
サントリーHDの佐治信忠社長(当時、現会長)は5月15日の記者会見で、「2020年にグループ売上高は4兆円を目指す。(上場子会社の)サントリー食品インターナショナルで2兆円、ビールやワイン、健康食品や関連事業で1兆円、新たに誕生したビームサントリーが1兆円企業に成長し、(トータルで)4兆円を実現したい」と述べた。ビームサントリーの売上高営業利益率は「当面20%を目指す」とし、「20年にはサントリーグループの酒類事業を牽引する大きな原動力になる」とビームサントリーに対する期待感を示した。ちなみに買収前のビームの利益率は24〜25%だった。
昨年5月にビームが加わったことで、サントリーHDの14年12月期の売上高は前年同期比19%増の2兆4400億円、営業利益は32%増の1670億円となる見通しで、キリンHD(14年12月期の売上高の見通し2兆2100億円)を上回る。サントリーHDは初めて飲料業界で売上高トップの座を手に入れた。
●「最後の、唯一のチャンス」
ビームの買収には「高すぎる」との批判がつきまとった。ビームの13年12月期の売上高は2599億円。買収価格は売上高の6.3倍に相当するため、1兆6500億円の買収価格は割高だと指摘された。サントリーの酒類部門は国際化に立ち遅れていたため「ビームとの統合が最後の、唯一のチャンス」と佐治氏は位置付け、「(適正価格よりも)いくら出せれば買収できるのか。資金調達は可能かということが大きなポイントだった」と振り返った。そして、「借金が大きくなったことはリスクだが、世界のウイスキー市場はまたまだ伸びる」とも述べ、20〜30年後を展望した場合、1兆6500億円の買収は高くないとの認識を示した。「投資は15年程度で回収することができる」と自信をのぞかせた。
グループ売上高4兆円を達成するために佐治氏が経営トップに招いたのが、「プロ経営者」と評される新浪氏である。就任早々、新浪氏はローソンでは経験したことのない難問に直面している。大型買収によって、有利子負債と「のれんや商標権」などの無形固定資産が膨れ上がっている。ローソンは実質無借金で、のれん代も大きな額ではなかった。
のれん代とは、企業を買収した際に支払った金額と被買収企業の純資産の差額をいう。日本の会計基準では20年以内に毎期定期償却する必要があるため、借金の利息の返済とのれん代などの償却を大きく上回る利益を出さなければならない。
●変貌したバランスシート
ビームの巨額買収でサントリーHDのバランスシートは変貌した。14年12月期第3四半期(14年1〜9月累計)の連結決算によると、のれん代は前年同期比2.5倍の1兆341億円、商標権は6.8倍の1兆2715億円。その他を含めた無形固定資産は3.6倍の2兆3662億円になった。長短借入金と社債を合わせた有利子負債は3.5倍の2兆324億円にも上る。
佐治氏は前出14年5月15日の会見で、ビームの買収によって「年間250億円の金利負担に加え、のれん代の償却費用も年300億円規模になる」との見通しを語った。ビームが借り入れ金の利息を払い、のれん代を償却した後に営業利益が出るようにするためには、年間550億円程度の営業利益を最低でも確保しなければならない。これを下回れば、営業赤字に転落する。
ビームの13年12月期の営業利益は629億円なので、金利負担やのれん償却を吸収できるとサントリーHDは計算している。商標権まで償却すると赤字になるので、この償却は先送りしたようだ。以上の数字は、毎年巨額の利益を上げ続けることを至上命題とされたサントリーHDが、海外事業拡大に向けて大きなリスクを背負っていることを物語っている。
編集部
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