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長期金利の予測が大外れでも「破綻論者」が生き延びるワケ
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150114/dms1501140830003-n1.htm
2015.01.14 「日本」の解き方
長期金利が0・2%台まで下がっている。これは過去最低の水準だ。金融緩和や消費増税見送りで金利が上昇するとみていた一部の市場関係者の予測は見事に外れている。
筆者のところにきた年賀状でも、「いつか金利が上がるので財政破綻が心配」と書いているものがしばしばある。そうした差出人をみると、財務省時代の知り合いばかりだ。
本コラムで再三指摘しているが、財務省は景気に関係なく増税指向である。財務省は公式には絶対に認めないが、その理由は増税による予算歳出権の拡大を目的としているからだ。そう考えた方がいろいろなことをうまく説明できるという意味で、「仮説」といってもいい。
財政破綻論者の主張をそのまま言えば、金融緩和すれば、「実質金利+予想インフレ率=名目金利」というフィッシャー関係式によって金利が上がるという。
しかし、現実には、フィッシャー関係式はデフレギャップ(供給が需要を上回る状態)のあるときには働かず、それが解消するまでは名目金利は容易に上がらないことが過去のデータからも明らかになっている。しかも、今の金融緩和は日銀が国債を購入することによって行われているわけで、需給関係からみても金利が上がらないのは当然である。
また、消費増税を見送れば財政再建は遠のき、金利が上がるとの主張もあった。しかし、現実は、増税を先送りすれば景気が良くなり財政再建の近道になるので、金利は上がらない。
要するに、財政破綻論者は、財務省の狙いを知ってか知らずか、財務省の走狗(そうく)になっているだけなのだ。一部の市場関係者は、財務省の取引先の金融機関に勤めていたり、親会社が金融機関となっているので、財務省との関係で、提灯(ちょうちん)持ちをしていることも多い。
実際、財務省の国債担当部署は、日常的に金融機関との対話をしており、金融機関やその子会社であるシンクタンクは財務省の機嫌をとるような対応になる。また、財務省の所管する外為資金の運用先になっている金融機関は、重要な稼ぎになる取引先の財務省を悪く言うはずない。
そうした構図をわかっていれば、金融緩和は名目国内総生産(GDP)を高めて税収を上げるので、増税による歳出権拡大を狙う財務省によって都合が悪いことが透けて見える。そして、消費増税先送りで財務省が困ることも簡単にわかるだろう。
そうした財政破綻論者や一部の市場関係者の意見をマスコミが取り上げ続けるから、金利予測がこれまで20年近くも外れているのに、間違った情報が相変わらず垂れ流されるのだ。
金利はそのうち景気回復とともに上がり出すはずだ。そのときには税収も伸びている。しかも、景気回復が持続すれば、金利増による利払い負担よりも税収増の方が大きくなる。景気が回復すれば、人々の暮らしも良くなり財政再建が容易なので、金利の上昇なんて気にすることはない。金利だけをとやかくいう人は全体が見えない人たちだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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