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デフレよりはマシだろと、開き直り始めた黒田総裁〔PHOTO〕gettyimages
意外な展開に備えよ! ニッポンと世界の景気、こうなると考えておけば間違いない 2015年まるごと完全予測 景気・株・円安・会社こう動く! その1
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41742
2015年01月14日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
アベノミクスが3年目に突入した。株高・円安が進めども、景気は上向かず、庶民の暮らしはラクにならない。安倍総理の言う「この道」はいったいどこにつながっているのか? 行き先は地獄か、天国か。激動の日本経済を全角度から読み切る!
■不気味なサインが出てきた
「'90年代末と似てきた」
英エコノミスト誌のそんな指摘がいま、世界中の政策当局者の間に波紋を広げている。
強い米国が復活する一方で、日本では消費増税が断行されたショックで景気が失速。欧州は不振から脱せられないまま、新興国も勢いを失う。さらにロシアで危機が勃発し、世界を震撼させる……。
こうして列挙すれば一目瞭然。'90年代後半に世界で起きていたことがそのまま、現代の世界の姿と重なり始めたのだ。
もちろん、この不気味な一致は、グッド・サイン(良き兆候)ではない。
というのも、「強い米国」はその後、ドットコム・バブルが弾けて不況に突入。リーマン・ショックに至る破滅の道を歩んだ。日本でも「増税ショック後」、不況対策のために日本銀行が量的緩和策を打ち出して円安が進行。輸出企業は業績が回復するも、庶民にとっては実感なき景気回復が続き、格差大国への道を突き進むことになった。
「歴史は繰り返す」のならば、'15年は世界全体が危機への足取りを速める悪夢のアニバーサリー(記念すべき年)となるかもしれない。
第三次安倍内閣を発足させた安倍晋三総理は、「強い経済を作る」と意気込む。昨年末に経団連のイベントで講演に立った日銀の黒田東彦総裁も、「日本経済が良い方向に向かっていることに疑問の余地はない」と胸を張った。もちろんアベクロの思惑通りに日本経済が良い方向に進めばそれでいいが、生活防衛するためには最悪の事態に備えておいたほうがいい。
実際、世界的な著名投資家のジム・ロジャーズ氏はこんな予測を語る。
「'14年の日本経済を振り返れば、アベノミクスによって株価が上がり、円安が進行しました。しかし、それは一部の者に利益をもたらすだけで、多くの国民にとっては輸入物価が上がることで生活費が急騰し、貧しくなるだけの一年でした。
安倍総理はおカネを大量に刷ることで国民が幸せになると考えているのかもしれませんが、それは明らかに間違いです。しかし、安倍総理はその間違いをいまだに犯し続けようとしている。今年も資産家や投資家など一部の人たちだけが好景気に沸く一方で、円安が進むことで多くの日本国民はどんどん貧しくなっていくことになるでしょう」
牛丼、ティッシュ、オリーブオイル……値上げの冬はすでに、庶民の懐に寒く響いている。スーパーの売り上げは8ヵ月連続の前年割れ。昨年末には、「火葬するカネがなかった」として妻の死体を遺棄した容疑で男性が逮捕された……。それでも黒田総裁は今年も円安政策を加速させていくのだから、事態がより悪化していくのは当然だ。
こうしたアベノミクスの失敗は、すでに海外で失望を買っている。そのため、「今後は日本国債から海外投資家たちが離れていく」と言うのはBNPパリバ証券投資調査本部長の中空麻奈氏。続けてこう語る。
「昨年末に大手格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本経済は『景気後退局面に入った』として、日本国債の格下げを発表しました。実はこの格下げによって、海外のある大手金融機関は日本国債を扱う業務から撤退することを決めました。安全資産とされてきた日本国債が、格下げによってリスク資産となったからです。'15年にはほかの大手格付け会社も日本国債を格下げする公算が高い。さらに海外のプレイヤーが日本から離れていくでしょう」
■原油安ショックが発端に
そんなことを知ってか知らずか、安倍内閣は3兆円規模の補正予算と、過去最大の100兆円近い'15年度予算を編成。昨年4月に消費税を8%に上げたことで急激に冷え込ませた景気をV字回復させようと、相変わらずのバラマキを続けようとしている。
こうした「アベノ無策」が日本国債売りをさらに加速させ、その先の危ういシナリオを手繰り寄せる。三井住友信託銀行マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏が指摘する。
「いま世界の三大格付け会社のうち、(前出の)ムーディーズと欧米系格付け会社大手フィッチ・レーティングスは日本国債をシングルAに位置づけています。唯一、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズだけがシングルAよりも上位のダブルA格としていますが、これがシングルA格に格下げされた時は危険です。日本の政府債務の膨張懸念などから円売り、日本株売り、円債売りのトリプル安が加速する可能性が出てくる。そうなれば、'98年の金融システム不安局面の1ドル=140円も起こりうる」
前出のロジャーズ氏も言う。
「日本はすでに多額の政府債務を抱えており、本来であれば財政支出を減らすべきです。そもそも人口減少が急速に進む国に、新しい道路や橋を作る必要がどこにあるのか。大規模な財政支出を止めれば減税することも可能で、そうすれば国民の生活水準は改善されていく。しかし、安倍総理がやっているのはそれとは真逆。アベノミクスは今年も日本を破壊する方向に進んでいくということです」
日本と同様に、世界も危機に直面する一年となりそうだ。
中でも原油安ショックが暗い影を落とすことは間違いなく、特に危険なのはロシア。石油関連が国家歳入の約4割を占めるロシアではすでに、通貨ルーブル安が止まらず、予断を許さない事態に発展している。プーチン大統領は「約4200億ドルの外貨準備高がある」と強気だが、世界の見方は違う。FXプライム・チーフストラテジストの高野やすのり氏が言う。
「原油輸出で稼いできたロシアは原油安と経済制裁で収入が減る中で、今後はルーブルを買い支える通貨介入がどんどん難しくなっていきます。国家財政が厳しくなるとIMF(国際通貨基金)に支援を求めるものですが、ロシアの場合はメンツがあってこれもできない。通貨安と原油安が急伸すれば、ロシア経済は立ち行かなくなる危険性が高い」
岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏は、「ロシア危機が欧州経済に波及する」と指摘する。
「プーチン大統領が国民の不満解消を狙うべく、ウクライナへのさらなる軍事侵攻といった動きを強める可能性があります。ロシアへの経済制裁を含めた国際的な圧力は増すことになり、一段の景気悪化を引き起こしかねない。そのうち、ロシアのエネルギー関連企業が資金繰りに行き詰まり出すが、ロシアに対してはスペインの銀行が多くの融資残高を抱えている。ロシアの危機が欧州の金融システム不安を再燃させかねない」
怖ろしいことに、最悪の場合、原油安に端を発するリーマン・ショックの再来もありえる。世界平和研究所主任研究員の藤和彦氏が言う。
「原油安が進行すると、米国のシェールオイル関連企業の採算が合わなくなってきます。そうした米国の資源関連企業は、ジャンク債と言われる債券による資金調達をしていて、原油価格が1バレル=50ドルを割りこむと、ジャンク債の3分の1以上がデフォルト(債務不履行)を起こすとも言われている。実はこのジャンク債は証券化されて投資信託などに組み入れられている。つまり、ジャンク債が破綻すると世界中の投資家がパニックに陥ることになるのです。言い換えるならば、サブプライムローンの破綻がきっかけで金融危機が起きたのと同じこと。今度はそれがジャンク債発で起こりうるのです」
もちろんその時には、日本も火の粉をかぶることになるのは言うまでもない。
少し歯車が狂い出せば、世界も日本も波乱に満ちた一年になる。その場合、日本株はどうなるのか。続けて見ていこう。
「週刊現代」2015年1月17日・24日合併号より
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