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新しくなったばかりのECBだが、早くも難題が・・・ photo Getty Images
「ユーロ安」の先行きを考える
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41722
2015年01月13日(火) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
ユーロが対ドルで2006年来の安値を付けた。背景には、ギリシャのユーロ離脱(Grexit)懸念、デフレ懸念を受けた追加緩和への期待等がある。大元にあるポイントは、ユーロ圏経済のバブルの後始末が完了していない点にあるだろう。
バブルの後遺症から立ち直るためには、金融機関の不良債権処理や企業のリストラなどの“構造改革”が必要だ。加えて、ユーロ圏諸国のバラバラな財政政策を特定の方向に収斂させることも重要である。ユーロの安定には金融政策と同時に改革へのコミットメントが重要といえる。
■金融政策で内需は回復しないという不都合な現実
確かに、ギリシャの財政、政治動向は不安材料だ。しかし、周辺国の財政問題は解決されないまま放置されてきたことも無視できない。ユーロ圏各国は財政問題をECBの金融政策で抑え込もうとしてきた。それは単なる対処療法にしか過ぎない。
ECBは長期リファイナンスオペ(LTRO)や国債買い入れによって周辺国の債券市場を支えた。それは、ソブリン危機は去ったという安堵を生み、2012年半ば以降、ユーロは上昇した。一方、財政統合の議論の推進や積極的な内需拡大策は進んでいなかった。
ユーロ圏の内需の弱さは、失業率がリーマンショック前を上回っていることを見れば明らかだ。その結果、12月のユーロ圏の消費者物価指数は速報値で前年同期比で、−0.2%となった。これを受けてECBによる追加緩和期待が高まり、ユーロ安につながっている。
1月下旬の選挙によって決まるギリシャの新政権は、追加的な債務削減など、無理難題をちらつかせてECBやEU中核国の譲歩を引き出そうとする可能性がある。それもまたユーロ安に対する重要な不透明要因である。
■ユーロは軟調に推移しやすい
EUレベルで考えた場合、欧州各国のEUに対する考え方に足並みの乱れが出ている。英国はEU加盟継続の是非を問う国民投票を前倒しする可能性を示唆している。ドイツはECBによるQE導入に反対している。足並みの揃わない状況はユーロの先行き不安を高めるだろう。
課題を抱える通貨は、投機対象となりやすい。ECBの措置によって周辺国の国債利回りが低下しすぎている、あるいは、通貨が買われすぎだとわかっても、QEによってリスク許容度が一時的に回復すると、時として市場は非合理的な行動を正当化してしまう。
再度、イタリアやスペインにまで財政リスクが飛び火すれば、世界経済の回復ペースが鈍化する懸念も排除できない。それを防ぐためには、EU、ユーロ加盟国全体での改革が求められる。それは中長期的な課題だが、いち早く財政政策の収斂など、議論を進める必要がある。
現状、ユーロ圏加盟国が積極的な財政支出を打ち出し、内需喚起に動くことは容易ではない。そのため、欧州の景気、金融市場動向は、ECB頼みの状況が続くだろう。当面、追加緩和期待などを背景に、ユーロは軟調に推移するとみる。
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