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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 戦慄の2015年シナリオ
http://wjn.jp/article/detail/3510501/
週刊実話 2015年1月22日 特大号
これから書くシナリオは、私が最も恐れている日本経済の姿だ。こうなって欲しいとはけっして思わないが、日に日にその恐れが大きくなってきている。
いま、原油価格が大きく下落している。この半年でほぼ半額にまで下がった。日本は原油のほぼ全量を輸入しているのだから、原油価格の下落は日本経済にとって明らかにプラスだ。このまま原油価格の安値が続けば、産油国から日本への所得移転は10兆円近くに達するだろう。
ただ、原油価格の下落は日本の物価を押し下げる。その影響はすでに表れていて、生鮮品を除く消費者物価指数の対前年比伸び率は、7月の3.3%から、8月3.1%、9月3.0%、10月2.9%と、着実に下がってきているのだ。物価が落ち着いてくることは国民生活にプラスになるのだが、問題は日銀が2%のインフレターゲットを掲げているということだ。
消費税率引き上げの影響が一巡する4月以降、消費者物価指数の対前年比上昇率は大きく下がる。このまま行くと1%未満の物価上昇率になってしまう可能性が高い。目標を大きく下回る物価をみた日銀は、第3次、4次の異次元金融緩和に踏み出していくだろう。
そうなると資金供給が増え、円安になり、物価が上がっていく。だから日銀の目指す2%の物価上昇が達成される可能性は高い。ところが、賃金は上がらない。連合が決めた'15年春闘のベースアップ要求基準は「2%以上」だから、半分取れたとしても賃上げ率は1%にとどまる。そうなると、実質賃金はマイナス1%ということになる。
所得が減るのだから、景気がよくなるはずがない。ただし、経済がよくなくても株価は上がる可能性がある。金融緩和でお金が溢れるからだ。実体経済を伴わない株価上昇、つまりバブルが発生する可能性があるのだ。そのバブルはいつはじけるのか。
一番可能性が高いのは、原油価格が上昇に転じたときだろう。原油が長期間安値で安定することはあり得ない。それは過去の相場を振り返れば明らかだ。そして原油価格が上昇するともに、日本を猛烈な物価上昇が襲う。日銀が大規模な金融緩和を重ねているからだ。
このときのインフレは相当激しいものになるから、庶民の暮らしは一気に苦しくなるだろう。そこでバブルが崩壊し、日経平均株価が一気に下落する。円安は止まらず、1ドル=150円程度の大幅な円安になる。
株価下落と為替の下落で、半額セールとなった日本の株式を、欧米のハゲタカが次々に買収していく。「そんなバカげたことはあり得ない」と思われるかもしれないが、これは、1997年のアジア金融危機の際に、韓国やタイで実際に起こったことなのだ。
そうした悲惨な事態を回避するのに一番効果的な方策は、日銀がこれ以上の金融緩和を我慢することだ。いまは2%の物価上層目標にこだわるべきではない。原油価格の低下は、日本経済にとってまたとないチャンスになるのだから、放っておけば経済は自然によくなっていく。物価上昇を抑えれば、実質賃金がプラスになって消費が出てくる。
1ドル=120円という今の為替を守れば、輸出も少しずつ増えていく。そうして需要が増えれば、物価は自然に上がっていくものなのだ。
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