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原油相場20ドル割れも?ジム・ロジャーズ、プーチン…要人発言から予測
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150112-00000024-zuuonline-nb
ZUU online 2015/1/12 15:57
2014年末から今年の初めにかけて、原油価格は大幅に下落した。その原因は、世界経済の減速懸念やシェールガス・オイルの供給が進んだことが大きい。このような場合、通常であれば、OPEC(石油輸出国機構)が生産調整を行い、減産による価格維持を図るのだが、今回は減産を見送ったことから一段と急落した。
ちなみに、為替と原油の関係は、基本的に原油安はドル高となる。原油はドルで取引されるため、原油価格が下がれば相対的にドル高になるからだ。また、資源国通貨が売られることでドルが相対的に上昇する。なお、この原油安により、米国も日本も株式価格は下落した。原油産出国の経済悪化による債務不履行のリスクが高まり、エネルギー関連株も下落するなど、間接的な影響が懸念されたからである。
このような状況の中、FRBの利上げのタイミングが注目されている。もし、高い利上げが行われることになると、新興国から資金が引き上げられ、新興国の原油需要がさらに低下するおそれがあるからだ。それでは、2015年の原油相場はどうなるのだろうか。世界の著名人の原油相場に関する見通し・見解をまとめてみた。
■世界の要人は原油相場をどう見る?
(1)プーチン大統領
プーチン大統領は、モスクワでの年次記者会見で「原油価格が現在の水準にとどまるのか、さらに下げて60ドルや40ドルを下回るのか、それがどの程度早い時期に起こるのか分からない」とした上で、ロシア経済はその状況に対応してみずから構造を変えていくだろうと述べている。
(2)国際エネルギー機関(IEA)
国際エネルギー機関(IEA)は、原油価格は「供給が減らなければ、2015年前半に下落圧力はさらに強まる」との見解を表明している。また、石油の大量消費国である中国が徐々に化石燃料への依存を減らしていることや、技術の進展により北米でシェールガスが開発されたことに触れ、「石油市場の歴史で、新章が始まったのは明らかだ」としている。
(3)ヌアイミ・サウジアラビア石油鉱物資源相
ヌアイミ・サウジアラビア石油鉱物資源相は、「OPECの政策として、加盟国、そして今やバドリ事務局長も納得させた。価格がいくらであろうと加盟国が減産することは利益にならない」としている。なお、サウジアラビアの生産コストはせいぜい1バレル当たり4-5ドルだとしており、「原油価格が20ドルまで下落しても減産には踏み切らない」、100ドルに戻ることは「おそらくないだろう」とも述べている。
(4)FRBイエレン議長
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、「負債を負った企業が、原油価格の下落によって痛手を被ることは、重大な懸念事項ではない。原油価格の下落の影響は、米国の経済にとって差し引きでプラスになる可能性があり、総合インフレ率への影響は一時的なものである」と述べている。
(5)ジム・ロジャーズ
最後に、10年間で3000%を超えるリターンを稼ぎ出した伝説の投資家ジム・ロジャーズの見解をみていこう。同氏によると、「ロシアは、原油安を機に通貨ルーブルが急落した。しかし巨額の外貨準備を蓄えており、対外支払い能力は高い。原油安も長続きするとは見ていない。ロシアはむしろ、来年屈指の投資対象になる」と述べている。
また「原油価格の下落の一部は人為的なものだ。シェールとの競争のため価格を引き下げているのではないか。米国がイランと友好関係を築けば、原油はさらに市場に出てくる。つまりは、原油市場は相当に人為的になっていて、投売りされている。私は売ろうとは思わない。シェール・ブームは長くは続かないだろう。価格は高い原油だから下がる。シェール油田は短寿命だ。枯れれば生産はすぐに細る。莫大な借金だけが残ってしまうリスクもある。原油価格が低い時はシェールを当てにすべきでない。」としている。
ジョージ・ソロス氏とヘッジファンドのクォンタム・ファンドを共同設立し、1987年に起きた株式史上最大規模の暴落と言われるブラックマンデーや、90年後半の日本のバブル崩壊を的中させているため、注目に価する意見だろう。
■2015年の原油相場はどうなる?
これら著名人の発言から、2015年の原油相場はどうなるのか予測してみよう。
1つのシナリオとしては、プーチン大統領やジム・ロジャーズの見解を採り、急落の後は回復することが見込まれるので、割安の今、投資すべきというものである。もう1つのシナリオは、IEA、ヌアイミ・サウジアラビア石油鉱物資源相の見解のとおり、化石燃料の依存が減少し、シェールオイルの台頭があるので、原油価格が上昇することはなく、横ばいあるいは低下するとみる考えである。
結論としては、急落後の戻りはある程度見込めるという意味でジム・ロジャーズの発言は一理あるだろう。原油産出国が減産しないことを明言していることから石油需要が今後もあると思われる。注意しておきたいのは、シェールオイルや省エネの普及は石油市場の構造変化をもたらしていることは確かであり、高値水準を維持することは難しいのではないだろうか。
1月17日には、親日家でも有名なジム・ロジャーズが金融経済特別講演のため来日する予定だ。昨今の予測困難な世界経済がカリスマの目にはどのように映っているのか注目だ。
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