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互いに侵食、挟み撃ち…仁義なき銀行再編戦争 一大金融グループ誕生に業界は戦々恐々?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150111-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 1月11日(日)6時0分配信
九州では、熊本県のトップ地方銀行である肥後銀行(熊本市)と鹿児島県で首位の鹿児島銀行(鹿児島市)が、今年10月に経営統合することで合意した。これまで起こった再編劇のほとんどは、旧相互銀行から転換した第2地銀を救済するためのものだったが、肥後銀行と鹿児島銀行の経営統合は県内トップ同士が手を組む初めてのケースだ。それだけに各地の有力地銀の頭取は驚きを隠さなかった。トップ地銀同士が再編に動く時代に突入したことを、身をもって知らされたからだ。
九州での地銀再編の起爆剤になったのは、ふくおかフィナンシャルグループ(FG/福岡市)の拡大路線だ。傘下に福岡銀行、親和銀行(長崎県佐世保市)、熊本銀行(熊本市)を持つ金融グループで、3県にまたがる広域統合のモデルケースといわれている。
ふくおかFG入りした熊本銀行の14年9月末の預金量は前年同期比28%増と高い伸びを示し、肥後銀行の地盤を侵食し始めた。福岡銀行は鹿児島県の南日本銀行(鹿児島市)の第4位の大株主となり、鹿児島進出をうかがっている。肥後銀行、鹿児島銀行の両行にとって、ふくおかFGは共通の敵だった。
今回の統合により近い将来、九州には3つの巨大金融グループが誕生する。ふくおかFGの預金量は12.4兆円。長崎銀行(長崎市)を子会社に持つ西日本シティ銀行(福岡市)グループは7.3兆円。そして肥後・鹿児島銀行連合が7.5兆円となり、西日本シティ銀行グループを抜く(いずれも14年9月末の数字)。
次の県境をまたぐ再編は、やはり九州で起こるといわれている。金融グループと単独で走っている銀行との規模格差が広がるため、単独行が否応なしに再編の渦に巻き込まれるからだ。
●3金融グループに再編か
金融業界アナリストは、九州の地銀18行は上記の3金融グループに再編されると予想している。ふくおかFGには、福岡銀行が筆頭株主で頭取を送り込んでいる福岡中央銀行(福岡市)、大分県のトップ行である大分銀行(大分市)が加わる。肥後・鹿児島銀行連合に宮崎県トップ行の宮崎銀行(宮崎市)が合流して、南九州の一大金融グループが発足する。ほとんどの地銀関係者はこう予測しているが、問題はその先である。
九州北部でふくおかFGに対抗している長崎県トップの十八銀行(長崎市)と、佐賀県トップの佐賀銀行(佐賀市)、福岡県南部が地盤の筑邦銀行(久留米市)の3行は株式を相互に持ち合い、勘定系システムはNTTデータに一本化しており、かねてから統合が有力視されてきた。
この九州北部勢と九州南部にできる金融グループ(肥後銀行+鹿児島銀行+α)が手を組む。福岡銀行以外の九州の地銀がスクラムを組んで、ふくおかFGの対抗軸を形成するというシナリオも浮上している。
西日本シティ銀行グループは第2地銀の豊和銀行(大分市)、南日本銀行、宮崎太陽銀行(宮崎市)、佐賀共栄銀行(佐賀市)を束ねる。銀行の数は多いがそれぞれ問題を抱えていて、どれだけ強力な金融グループになるかは西日本シティのリーダーシップにかかっている。
地銀再編は、九州地銀の盟主である福岡銀行と、それに対抗する第1地銀グループ、第2地銀グループを束ねる西日本シティ銀行に収斂していくという見立てが強い。人口の減少が急ピッチで進み、融資先の企業が急激に減っているから、再編は待ったなしの状態。大分銀行の姫野昌治頭取の言葉を借りれば、「単独で何もかもやる時代は終わった」(14年9月中間決算発表の席上での発言)。生き残るためには、勝ち組のグループに入るしかないのだ。
●カギ握る山口FGの動き
九州の地銀再編でもう1点注視されるのが、九州と同じ経済圏の山口県下関市に本社を置く山口FGの存在だ。山口銀行を核に、もみじ銀行(広島市)、山口銀行が新たに創設した北九州銀行(北九州市)を持つ。11年に山口銀行の九州22店舗を分離・独立させて開業したのが同行で、その後3年間に10店舗を新規出店し、14年3月期の預金量は前期に比べて14%増やした。九州・山口の地銀の中で預金量が2ケタの伸びを記録したのは北九州銀行だけである。山口FGは福岡の本丸である福岡市に間違いなく攻めてくる。
山口FGはもみじ銀行を通じて、広島銀行の本拠地である広島県で貸し出しシェアを伸ばしている。福岡銀行と広島銀行にとって、山口FGは目障りな存在なのである。そこで両行が共同戦線を張って、山口FGを挟み撃ちにするのではないかという噂が飛び交う。福岡銀行と広島銀行はもともと親密な関係にあり、共同持ち株会社のもとで経営統合するという観測は以前からあった。昨年1月に、全国の有力地銀9行が地域再生で連携したが、両行は参加した。
九州・中国地方をまたぐ地域金融グループの誕生への期待が高まっている。広島以西の地域の再編劇の、もう一つの見どころである。関西以西の地銀経営層の間では「福岡銀行と広島銀行が組んだら、そのインパクトはマグニチュード8クラスだ」と警戒する声が強い。
編集部
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