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【日本の解き方】原油安は世界経済にどう響く? 輸入国の日欧にとって朗報も最悪シナリオも
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150110/dms1501101000004-n1.htm
2015.01.10 夕刊フジ
原油価格の下落が急ピッチで進んでいる。昨年6月には1バレル=100ドルを超えていたが、50ドルを下回る場面もあった。この価格下落は世界の景気動向や地政学問題にどのような影響を与えるのだろうか。
原油価格は2011年から14年半ばまで3年半もの間、1バレル=100ドルを超えていた。これまでの歴史でみられなかった高値だ。この間、シェールオイルの開発によって供給が増える一方、欧州の景気低迷などで石油の需要は低下気味だったが、実際の相場は下がらなかった。そこには11年のリビア内戦や14年の過激派「イスラム国」の問題があった。
需給関係が崩れていても原油相場が維持されていたところ、昨年後半になって、そうした地政学的な要因の悪影響がないとわかると原油価格は下げ始めた。それが鮮明になったのは10月初旬のことである。
引き金となったのは、サウジアラビアの石油輸出価格の引き下げだった。サウジアラビアを含むOPEC(石油輸出国機構)加盟国が価格支持のために減産にすると予測されていたが、合意に至らなかった。
かつてであれば、OPECは減産に踏み切り、自らの存在感と影響力を誇示できた。しかし、今やその力がないほどに、種々のエネルギーが出てきている。OPECが減産合意できなかった背景には、石油のウエートが減ってきたというエネルギー事情の変化がある。
しかも、OPECがかつて減産した際に非OPECを利することになったという過去もあった。このため、減産すればライバル関係にあるシェールオイル開発事業者を利することになると考えても不思議ではない。こうした合理的な選択の結果として、OPECは減産しなかった。これによって一部の北米シェールオイル開発事業者は苦境に追い込まれるだろう。
原油価格が1バレル=60ドル台以下になると、最近の技術進歩で生産採算ラインはかなり下がっているとはいえ、一部のシェールオイル開発事業者は苦しくなるだろう。
今年前半くらいまでは、80ドル程度で生産価格をヘッジしているはずで、経営悪化は今年の後半からとみられる。その後も原油価格は上がりそうもないので、原油安は米国のエネルギー産業にマイナスだ。実際に、一部のシェールオイル開発事業者が倒産し始めると、可能性は少ないながらリーマン・ショックの再来という最悪のシナリオも考えられなくもない。
さらに、ロシアにとっては、欧米各国の経済制裁とは比べものにならないほどに打撃になる。ロシアは輸出収入の約7割をオイルとガスに頼っているが、原油価格の低下は、ガス価格にも影響するので、ロシア経済は苦しくなる。
原油価格の低下は、エネルギー輸入国の日本や欧州にとっては朗報であるが、世界経済の牽引(けんいん)車であるアメリカにとっては必ずしも良いことではない点が気がかりだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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