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かわいそうな日本の管理職?圧倒的な権限のなさ、辟易する面倒さ…いつでも取り替え可能
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150110-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 1月10日(土)6時0分配信
一般的な企業においては、上司よりも部下の数のほうが多い。そのため、読者の多くは上司を鬱陶しいと思っている部下に当たる方々だろう。また、日本企業に部下を持つ上司としてお勤めで、その立場の面倒さに辟易しているマネージャーなどの中間管理職の方もおられよう。
日本企業の中間管理職のあり方は、第一に正社員の解雇が難しくコスト高であることと、第二に全社の人事を統一的に管理する中央集権的な人事部があるという2つの要因に特徴付けられている。部下から見ると自分の上司は、すでに上司として存在するだけで理不尽な権限を持っているように思うかも知れない。
しかし、上司の側から見ると、部下の人事評価を自分のさらに上司や人事部に提出することで部下に影響力を持つことはできるが、部下の出来が悪いからといって自分の一存で解雇することは難しいし、既存の部下をクビにして外部から新しい部下を採用することも難しい。甚だしい場合は、組織内で評判の高い部下に関しては、「彼(彼女)の経歴に傷をつけてはいけない」とばかりに、人事評価に不本意な手心が必要な場合さえある。こうした場合は、部下を使っているのか、お預かりしているのかが定かでない。
こうした日本企業の中間管理職の権限の弱さは、外資系的なマネージャーの常識から見ると「なぜ部下が言うことを聞くのかわからない」不十分なものに見える。現実に不十分な場合もあるのだが、それでもマネジメントが機能する理由は、同じ会社に長く勤める場合が多い日本企業では、現在の人事評価のマイナス点が、累積された持ち点で評価される将来の評価に響くからだ。
●外資系風に変化する、日本企業のマネジメント
さて、日本企業のマネジメントは、潮流として以下の3つの理由で外資系風に変化しつつあるように思われる。第一に転職の一般化であり、第二に今後予想される正社員の解雇条件に関する規制緩和だ。加えて、ビジネス環境の変化スピードが上がりこれに適応する必要があることだ。
前二者は「人(部下も中間管理職自身も)を入れ替える」ことを前提条件とすることを可能にした。また、ビジネス環境の変化スピード上昇に大組織が適応するためには、専門知識と現場の情報を持った中間管理職に権限を与えた小チームに、ビジネス上の決定の多くを委ねなければならないからだ。
では、外資系的なマネージャーのあり方とはどのようなものかというと、以下のような特徴にまとめられる。
(1)明確な「レポートライン」
(2)予算に対する責任
(3)ヘッドカウント
(4)人事権(部下の採用、解雇、ボーナス評価、の権限を持つ)
レポートラインとは、自分がどの上司の指示に従い、報告の義務を負うかという系統のことだ。常識的には、自分の「ボス」はレポートライン上の上司のみであり、レポートライン外の人々は日本的にいう「上の人(偉い人)」も含めてすべて「同僚」である。
マネージャーは、端的にいって「いくら儲けるか」の予算目標(「バジェット」などと称する)に対して責任を負う。バジェットを達成したらたっぷりボーナスをもらい、達成できなければマネージャー自身がクビ。これが原則とまでいわないが、基本的な考え方だ。もちろん、バジェットを達成しても、もっと有望だと上司が思うマネージャーとすげ替えられることがあるし、未達でも再びチャンスをもらえることもよくある。当該ビジネスをよく知っている「代わり」の人材を見つけるのは大変なので、さすがに後者のケースはよくある。外資志望の方はある程度は安心してよい。
マネージャーが雇っていい部下の人数上限をヘッドカウントと称し、会社はコストとマネジメント管理の手段として、ヘッドカウントを使う。外資系企業では、時に「ヘッドカウント・フリーズ」と称する新規採用のストップが発動されるので、転職活動中の方は注意されたい。ただし、サイン入りのオファーレターを持っていれば大丈夫だ。
●マネージャーの人事権
日本企業と大いに異なるのは、マネージャーの人事権の内容だ。原則として、使いたい部下を採用し、クビにしたい部下をクビにすることができる。もちろん、一応はフェアな理由がないとマネジメントがうまくいかなくなるが、部下を評価しボーナスを決定する。バジェット以上の利益貢献が達成されるようならば、ヘッドカウントも予算も増えて、儲かる部署・儲けられるマネージャーに多くの経営資源が配分されるし、そうでない場合は、マネージャーが取り替えられたり、資源配分が減ったりする。いわば、企業への利益貢献をシグナルとして、個々の専門化されたビジネスが個々のチームで処理されて、ネットワーク的に会社が組織されていると見ることができる。
これに対して日本の大企業は、情報と判断を中央集権的に経営幹部に集めて経営資源の配分を行おうとするので、例えば官公庁のような環境が変化しないビジネスの場合に堅実な面がある一方で、金融やIT関連のような専門化と速いビジネス環境変化とが組み合わさったビジネスにあっては、環境適応が遅れがちだ。
外資系企業のやり方は「血も涙もないやり方だ」と思われるかもしれないが、実感としては、オフィスでは大いに血と涙が流れている。しかし、ゲームのルールとしては、フェアであり合理的な面がある。
今回述べたような外資系的マネージャー像が、すべての日本企業にただちに拡がっていくわけではなかろうが、ビジネスのグローバル化、環境変化のスピードアップ、人材の流動化を考えると、方向性はこのようなものだろう。
山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表
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