02. 2015年1月09日 16:51:28
: xEBOc6ttRg
焦点:ECB量的緩和の妥協策、南欧諸国に逆効果も 2015年 01月 9日 12:29 JST [ロンドン 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)に踏み込む上で3つの選択肢を検討している。しかしそのうち2つは重債務にあえぐ南欧諸国に対する信頼感をかえって損ないかねない内容で、QEは所期の目的を達成できないかもしれない。
昨年12月のユーロ圏インフレ率がマイナスに沈んだことで、QE実施は時間の問題となり、早ければ1月22日のECB理事会での発表が予想されている。 QEの主要シナリオは、ユーロ圏各国のECBへの出資割合に応じた額の国債をECBが買い入れるものだ。 しかしドイツ連銀はECBが国の信用リスクを引き受けることに反対しており、このほかに2つの選択肢が浮上した。 2つ目の選択肢は、各国中銀が自国の国債を買い入れる、すなわち信用リスクが当該国にとどまるようにするもの。3つ目はECBが購入対象をトリプルA格の国債に絞り、より格付けの低い国債については投資家による購入に期待を掛ける案だ。 しかしエコノミストによると、第2と第3の案は逆効果を招く恐れがある。ギリシャやイタリア、スペイン、ポルトガルといった国々の国債のリスクをECB自体が敬遠するのなら、民間投資家がそれを引き受ける理由はどこにあるのか、というわけだ。 投資家が好む主要シナリオは、欧州経済通貨同盟(EMU)が示す連帯の原則に最も即しているように見える。ユーロ圏加盟国が債務を返済できなくなり、ECBが損失を背負わざるを得なくなった場合には、加盟19カ国の政府がECBに追加出資することになっている。 この場合、民間投資家にも損失は及ぶが、少なくともECBとの間で痛み分けとなる。これに対して選択肢2と3ではEMU全体でリスクを分担することにはならないため、投資家は格付けの低い国債にプレミアムを要求、最も借り入れコストの引き下げが必要な国の国債利回りを押し上げる結果になってしまう。 アバディーン・アセット・マネジメントの投資マネジャー、ルーク・バーソロミュー氏は「EMUの全体的概念から一歩遠ざかるように感じられる。しかもECBがバランスシート上に引き受けたくない信用リスクはこれこれだと、あからさまに認めることになる。ECBはそうしたシグナルの発信を避けたがっているというのに」と語った。 <妥協案> 第2、第3の案では、低成長と高失業率にあえぐユーロ圏「周辺国」の借り入れコストをかえって押し上げかねない。 ブラックロックの欧州債責任者、マイケル・クラウツバーガー氏は「各国中銀がリスク分担で合意できず、市場にリスクの所在を喚起するようなら、主要シナリオを実行した場合と比べて市場心理を改善させる効果は異なってくる」と指摘。主要シナリオを断念するぐらいなら、QEの規模縮小という形の妥協策を講じる方がまだましだ、と述べた。 最悪なのは第3の選択肢で、この案が実施されれば周辺国の国債売りを招くと予想する投資家さえいる。 RBSの計算によると、ユーロ圏の国債市場規模7兆ユーロに対し、トリプルA格の国債は3兆3000億ユーロに限られる。 すべての格付け会社からトリプルA格を得ているユーロ加盟国はドイツ1国のみで、少なくとも1社から同格を付与されているのはオーストリア、フィンランド、ルクセンブルク、オランダの4か国。フランスは小さな格付け会社DBRSからしかトリプルA格を獲得していないが、ECBの買い入れ適格条件を満たすには十分だろう。 これらトリプルA格の国債の約半分は、既に利回りが1%未満ないしマイナスまで下がっており、QEを実施しても影響は乏しそうだ。 RBSのシニア欧州エコノミスト、リチャード・バーウェル氏は、ECBが主要シナリオを断念し、QEの規模や範囲を制限した場合でも、それが恒久措置ではないことを明示すれば市場は受け入れるかもしれない、とみている。 アライアンスバーンスタインの欧州エコノミスト、ダレン・ウィリアムズ氏も「これで政策は出尽くしと受け止められるかどうかにかかっている。過去数年間の経験に照らせば、ECBは追加策の必要が生じれば追加策を実施するだろう」と述べた。 (Marius Zaharia記者) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KI09I20150109 浜田氏:業界の利益代表は日銀審議委員にふさわしくない
(ブルームバーグ):内閣官房参与の浜田宏一・米エール大名誉教授は、3月と6月に相次いで任期を迎える2人の日本銀行審議委員の後任人事について、産業界や金融界などから選ぶべきではないとの見方を示した。 浜田氏は日銀審議委員の人事についてのブルームバーグ・ニュースの問い合わせに対し、電子メールで「日銀の審議委員は経済学、金融論の高度な知見を必要とする職」と指摘した上で、「業界の利益代表のような審議委員の選び方は好ましくないと思う」と述べた。 昨年10月末に決めた追加金融緩和の票決が5対4と分かれたが、この票決に参加した2人の委員が退任する。安倍晋三首相の政策ブレーンの一人、本田悦朗内閣府参与は「新しい審議委員を任命することは日本経済にとって極めて重要だ」と述べた。 日銀の審議委員は従来、同じバックグラウンドを持った人が選ばれることが多い。10月の採決では追加緩和に賛成票を投じた宮尾龍蔵委員は3月25日、反対に回った森本宜久委員は6月30日にそれぞれ任期を終える。前歴は宮尾氏が神戸大学教授、森本氏は東京電力取締役。 農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「長引く停滞を終わらせる上で金融政策はかつてないほど重要になっている。黒田総裁が大規模緩和を進めやすいよう新しい審議委員は総裁と同じ考えを共有する人物になる可能性が高い」との見方を示した。 南氏は「離任する審議委員と同じ分野、業界出身だからという理由で後任を選ぶのは間違っている。日銀はこれまでの古い伝統を続ける必要はない。能力ベースで選ぶことが重要だ」と述べた。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 谷合謙三 更新日時: 2015/01/09 06:00 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHUBYU6K50XX01.html 債券は上昇、日銀オペによる好需給で買い優勢−超長期債には売り圧力 (ブルームバーグ):債券相場は上昇。日本銀行の国債買い入れオペによる需給の良さを背景に買いが優勢となり、先物は最高値に並んだ。半面、来週に30年債入札を控えて超長期債には売り圧力が強まった。 長期国債先物市場で中心限月の3月物は前日比2銭安の148円10銭で開始し、147円97銭まで下落した。午後に入るとプラスに転換し、一時は12銭高の148円24銭と、7日に付けた最高値まで上昇した。結局、8銭高の148円20銭で取引を終えた。 日本相互証券によると、現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の337回債利回りは、前日午後3時時点の引値より1ベーシスポイント(bp)高い0.29%で始まり、0.30%に上昇していたが、午後は0.275%まで低下。その後は0.28%で推移している。5年物の122回債利回りは0.01%と、新発債として過去最低水準を付けた。 20年物の151回債利回りは4bp高い0.955%まで上昇する場面があった。30年物の45回債利回りは一時5bp高い1.155%に水準を切り上げ、その後は1.14%を付けている。 メリルリンチ日本証券の大ア秀一債券ストラテジストは、「5年や10年では日銀の買い入れオペが行われたこともあり、需給逼迫(ひっぱく)を好感した買いが優勢となっている」と説明。一方で、「超長期債はボラティリティが高い中で、来週14日の30年債入札を意識した調整売りが出ているとみられる」と言う。 日銀が実施した総額1.18兆円の長期国債買い入れオペの結果によると、残存期間1年超3年以下の応札倍率は前回から低下し、3年超5年以下はやや上昇した。超長期債では10年超25年以下はほぼ横ばい、25年超は低下した。 リスク回避くすぶる 9日の東京株式相場はTOPIX が続伸して始まったが、午後には一時前日終値比でマイナスに沈む場面が見られるなど、伸び悩む展開となった。 大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは、全般的な流れとしては、やはりギリシャ総選挙などのイベントに対して「リスクを落とす動きが続く」と予想。来週にかけては株式相場の調整が深まれば、10年国債利回りは0.25%程度に低下、債券先物は148円70銭まで上昇すると見込んでいる。 米国では9日、昨年12月の雇用統計が発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の中央値によると、非農業部門雇用者数は前月比24万人増が見込まれている。 ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、債券相場について、「米雇用統計の発表や国内3連休を控えるタイミングで、さすがに売り先行のスタートだ」と説明。ただ、「超長期ゾーン中心に現物債の買い余力は健在。流動性が細って値動きは荒いものの、少しでも高い利回りを求める需要はなお旺盛だ。来年度の収益を考えると低金利でも残高をいかに維持するかが重要だ」と話した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 崎浜秀磨 更新日時: 2015/01/09 15:27 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHUJST6TTDSF01.html
コラム:米欧で評価割れる原油安効果、注目すべき時間差と日銀 2015年 01月 9日 13:09 JST 田巻 一彦 [東京 9日 ロイター] - 原油価格の急速な下落をめぐり、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が対照的な反応を示している。国内経済の押し上げ効果と物価押し下げという打撃のどちらにより注目するかで、政策対応は正反対になる構図がそこにはある。さらに2つの要素は、時間差を持つという特徴があることも指摘したい。この問題で日銀がどのような判断を下すのか。原油下落効果の光と影について考えてみた。 <中原元審議委員、バレル20ドルの可能性に言及> 米原油先物CLc1は9日、49ドル台と前日から1%超の上昇となった。今年に入って46ドル台までいったん下げた後に戻している。 ただ、サウジアラビアが減産の意向を示しておらず、供給過剰な構図は当面、継続するとの見方が多く、市場の一部には年央に向けて40ドル割れを予測する見方もくすぶっている。 元日銀審議委員で元東燃(現東燃ゼネラル)社長の中原伸之氏はロイターの取材で、この先に30ドル台、場合によって20ドル台まで下落しても全く不自然ではないと述べている。 <楽観的なFRBと身構えるECB> この大幅な原油価格の下落基調が長期化した場合、世界経済や先進国にとって、どういう事態が起きるのか。私は、1970年代や80年代とは全く違った展開があるとみているが、その前に対照的な反応を示している2つの中銀を紹介したい。 まず、FRBは2014年12月16─17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、原油価格の下落効果について「大半の参加者は、エネルギー価格の最近の大幅な下落が追い風になっている」との見解を示した。 ところが、ECBのドラギ総裁は欧州議会議員に充てた8日付書簡の中で「最近の原油価格動向が、ユーロ圏の中期的なインフレトレンドに及ぼす、より広範な影響を警戒していく」と表明。そのうえで一段のリスク対応が必要となれば「理事会は責務の範囲内で、追加の非標準的措置を講じるコミットメントで一致している」と述べ、国債購入を含めた資産買い入れによる量的緩和政策の導入方針をあらためて示した。 同じ経済的動きをめぐり、米欧中銀が正反対の評価を下すのは珍しいが、現下の原油価格下落の影響が、複雑な波紋を世界経済に投げかけている実態を鮮明に映し出した「21世紀的現象」であることを明確化しているとも言える。 <70年代と異なるマネー膨張> 原油価格下落のプラスとマイナスの効果は、第1次石油危機のころからあったが、その質が現在の状況と著しく異なっている点に注目したい。 1つは米欧日の中銀の超金融緩和でマネーの流動性が過去最大規模に膨れ上がり、その多くが、有利なリターンを求めてコモディティも含めた多様な金融商品に流れている実態だ。金融商品に流れたマネーの規模が飛躍的に拡大し、実体経済の規模に対する比率が、70年代から急膨張している。 2つ目は、シェールオイルの開発に象徴される石油輸出国機構(OPEC)のシェア低下が顕著になり、供給サイドの協調体制が崩れていることだ。サウジが減産に応じない理由の1つとして、ロシアやイランなどが減産に応じなければ、サウジが減産のデメリットを負ってしまうという事情もある。 その結果、原油価格下落のマイナス効果が、想定よりも大きくなるリスクが増大している。輸入国の物価水準を押し下げ、デフレ心理を拡大させるだけででなく、米国におけるシェール開発業者の破たんをきっかけにした米ハイイールド債市場の混乱が予想される。 また、資源国や新興国の通貨や株が連鎖的に下落する事態に発展すれば、そのことがグローバルマーケットにおける「リスクオフ心理」を拡大させ、米欧日の株式市場を連鎖安に追い詰める引き金になりうる。 <マイナス効果が先行する時間差> さらに重要なことは、マイナスの効果はプラスの効果に先だって表面化するという「時間差」の問題があることだ。プラスの効果がいずれ出てくることは分かっていても、前段のマイナスの効果が想定を超える規模になった場合、各国は政策対応を迫られることになると予想する。 現在は今年4─6月の利上げがメーンシナリオになっているFRBも、リスクオフ相場で米株式、金融市場が大混乱に陥れば、利上げの大幅な先送りも選択肢の1つに浮上すると予想する。 FRBとECBが、当面の政策対応で正反対の動きをしている背景には、経済の強弱があるが、より具体的には、期待インフレ率の違いがあると言える。米国の物価をサービスとモノに分けてみると、モノの物価は上昇率の縮小が顕著だが、サービスは2%程度でアンカーされている。 他方、ユーロ圏では14年12月のCPIがマイナス0.2%と09年10月以来のマイナス圏入りとなり、期待インフレ率も足元で大幅に下がっている可能性が大きい。 <日銀の難問と壇ノ浦の戦い> この米欧中銀の中間にいるのが日銀だろう。消費税の影響を除いたベースで11月のコアCPI(除く生鮮)は、前年比プラス0.7%まで上昇率が鈍化。2%の目標とは距離が出てきている。 12月以降、一段とコアCPIは上昇率がゼロ%方向に接近していくだろうが、どこかの段階で原油価格下落のプラス効果が出てくる。コアCPIの上昇率鈍化で期待インフレ率がどこまで低下して行くのか、その先の反転はいつからどういうテンポで始まるのか──。その見極めが、日銀の金融政策スタンスを大きく左右する。 この悩ましい状況は、1185年(元歴2年)3月に行われた源平最後の争乱となった「壇ノ浦の戦い」に構図が似ているのだ。 地図上で左側(西側)に平家の水軍、右側(東側)に源氏の水軍が位置して戦いは始まる。関門海峡では、午前に西から東への海流が強くなり、その間は平家が優勢。午後に海流の向きが逆転し、源氏が反転攻勢に出て、勝利した。午前中に持ちこたえたのが、源氏勝利の最大の要因だったと言える。 原油下落も同じことが言えそうだ。原油下落のプラス面が表面化してくる来年夏場以降までグローバルマーケットが持ちこたえ、暴落や恐慌に陥らなければ、年後半から原油下落効果で先進国経済が持ち直し、日銀は追加緩和なしに乗り切れる可能性が見えてくる(源氏勝利のパターン)。 しかし、前段でリーマンショック並みの混乱が世界経済を覆い尽くせば、日銀に限らず、米欧日はじめ各国は、金融政策を含めたマクロ政策の総動員を余儀なくされるだろう(平家勝利のパターン)。 どちらに転ぶかは、原油価格がどこまで下がるかによって大きく違ってくるのではないか。仮に30ドル台も割り込むようなら、マイナスの波及効果は今、市場で想定されている水準を大幅に超えて大きくなるに違いない。 何とか持ちこたえて、源氏勝利のパターンに持ち込んでほしいと願うばかりだ。 ●背景となるニュース ・米FOMC、利上げへの計画づくり進展=議事要旨 ・国債購入含め追加措置の用意、原油価格の影響を警戒=ECB総裁 http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0KI0AI20150109
中国の12月CPIは+1.5%、PPI下落:識者はこうみる 2015年 01月 9日 12:24 JST [9日 ロイター] - 中国国家統計局が9日に発表した12月の消費者物価指数(CPI)は、前年比1.5%上昇した。ロイターが集計した市場予想も1.5%上昇だった。 12月のCPIは、前月比では0.3%上昇し、予想と一致した。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●PPI低下は深刻な問題にならず <TD証券(シンガポール)のアジア太平洋マクロストラテジスト、PRASHANT NEWNAHA氏> PPIの数字が企業にとって深刻な問題になるとは思わない。購買担当者景気指数(PMI)の産出価格は大きく下落しておらず安定的に推移している。投入価格が実質下落で産出価格が横ばいなら、企業の事業環境は良いということになる。 今のところ、さほど懸念する必要はないと考えているが、今後、利益率が圧迫される可能性はある。ただ、そうなったとしても、大きく低下することはないだろう。 ●デフレリスクに中銀は積極的措置を <オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)(香港)の中国エコノミスト、LIU LIGANG氏> 中国のインフレは非常に軟調な状態が続いており、今後デフレリスクが高まるとみられる。生産者物価指数(PPI)インフレは34カ月間もマイナス圏で推移している。 中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率の引き下げを含む積極的な措置を取る必要がある。 人民銀行がこのような措置を講じたくないのであれば、近い将来は同様の影響を与える政策を導入することも可能だ。例えば「臨時貸出制度(SLF)」や「中期貸出制度(MLF)」と呼ばれる枠組みを通じて、銀行は向こう1年間の流動性に確信が持てるようになり、実体経済にさらなる融資を行うことが可能になる。 ●食品以外の物価上昇は弱い <コモンウェルス・バンク・オブ・オーストラリア(シンガポール)のシニア通貨ストラテジスト、アンディ・ジ氏> 消費者物価指数(CPI)は食品価格の季節的な上昇を受けてプラスとなったが、食品以外の物価上昇はさらに鈍化し、ディスインフレ圧力がいっそう強まっていることを裏付ける結果となった。食品とエネルギーを除いたコア指標は引き続き、弱い水準にとどまっている。 生産者物価指数(PPI)は、内需低迷の影響を受けたコモディティ価格の下落と供給過剰を映した。おそらく、直近のCPIの変化ほど懸念すべきものではないだろう。 ●デフレリスクが拡大 <申銀万国証券(上海)のエコノミスト、李慧勇氏> 12月の生産者物価指数(PPI)は34カ月連続でマイナスとなった。消費者物価指数(CPI)は過去5カ月間、1―2%で横ばいとなっており、中国経済はデフレリスクの拡大に直面していると考える。 デフレ圧力の増大を防ぐため、政府はより積極的な財政政策を実施し、金融緩和を推進するべきだ。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KI09A20150109 中国:12月の生産者物価、一段と低下−連続前年割れ記録更新 (ブルームバーグ):中国の生産者物価指数(PPI)が昨年12月に約2年ぶりの大幅低下となり、連続マイナス記録がさらに更新された。金融当局が追加緩和に踏み切る余地を示唆する内容となった。 国家統計局が9日発表した12月のPPI は前年同月比3.3%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想中央値は3.1%低下だった。同月の消費者物価指数(CPI )は同1.5%上昇で予想中央値と一致。PPIの低下は消費者物価にはまだ完全に反映されていない。 原油や金属相場の下落を受けて、PPIは過去最長の2年10カ月連続の低下となった。これが中国製品の輸出価格 下落につながり、デフレ圧力が世界的に強まる一因となっている。エコノミストの間では、中国人民銀行(中央銀行)が昨年11月に続いて追加利下げに踏み切るほか、預金準備率も引き下げるとの見方がある。 マッコーリー・セキュリティーズの中国経済担当責任者、胡偉俊氏(香港在勤)は「PPI低下の一因は原油安だが、より重大な要因は世界経済の弱さだ。欧州と日本を見てほしい」と指摘。「貿易やその他の物価伝達手段によって、世界全体がディスインフレ圧力に直面している」と述べた。 国家統計局のウェブサイトによれば、12月の原油・ガスPPIは前年同月比19.7%低下。石炭は同12.2%、鉄類は19%それぞれ低下した。 JPモルガン・チェースの中国担当チーフエコノミスト、朱海斌氏(香港在勤)は「原油価格の下げは予想より速いペースで、内需も弱い」と指摘した。同氏は2015年も弱い出足となる見通しだと述べ、当局が景気下支え策を強化すると予想した。 原題:China Factory-Gate Deflation Deepens on Commodity Price Fall (1)(抜粋) 記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:北京 Xiaoqing Pi xpi1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Malcolm Scott mscott23@bloomberg.net Christopher Anstey 更新日時: 2015/01/09 13:02 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHVZWY6JIJVG01.html
【今日のチャート】米公益株のPERに高値警戒感 (ブルームバーグ):米株式市場で公益株の割高感が強まっている。オッペンハイマーの主任市場ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏が指摘した。公益株指数の昨年の上昇率は2000年以来の大きさとなった。 今日のチャートは、S&P500公益株指数の月次動向(黒)と株価収益率(PER、赤)。ブルームバーグがデータをまとめた。 同指数は昨年24%上昇し、S&P500種株価指数を構成する10の主要業界別指数で最大の上げを記録。公益株指数のPERは最高で19倍と、2000年(20.1倍)と07年(19.2倍)のピークに近づいた。いずれの年にもそれまで続いた強気相場が終わっている。 ストルツファス氏は最近のリポートに同様のチャートを掲載し、公益企業の利益が大きく伸びなければ「将来の株価上昇は極めて難しいだろう」と予想した。ブルームバーグのデータは、公益株指数の1株利益が昨年11%増えたことを示している。その前の2年間は減少していた。 関連ニュースと情報:公益株指数 S5UTIL FA 米株式戦略 TNI USS STRATEGY チャート CHART トップストーリー:TOP JK海外トップニュースの日本語画面:TOP JI 原題:Utility P/Es Nearing U.S. Highs Signal Caution: Chart of the Day(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク David Wilson dwilson@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Chris Nagi chrisnagi@bloomberg.net Jeremy Herron, Michael P. Regan 更新日時: 2015/01/09 10:14 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHUN4J6KLVRU01.html#
自殺しない日本人にするため、アベノミクスや区にできること (ブルームバーグ):日本の経済成長率が2四半期連続のマイナスとなったことでダメージを受けるのは、アベノミクスだけではない。景気の悪化に脅かされる命もある。 安倍晋三首相が経済再生への取り組みを打ち出す中、自殺者数は1年2カ月連続で減少していたが、昨年9月にその流れは止まった。日本経済は2008年以来で4度目となる2四半期連続のマイナス成長に陥った。 日本では伝統的に自殺に対する抵抗感が弱く、問題是正に消極的だが、こうした状況に対する福祉関係者の取り組みは景気不安が再燃したことでますます難しくなっている。日本では1日当たり70人以上が自ら命を絶っており、他国よりも景気動向と自殺率の関係が深い。米国では景気拡大が5年続いているにもかかわらず、自殺率が25年ぶりの水準に上昇している。 新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(臨床心理学研究科)は自殺の要因として「景気は大きい」と指摘する。会社、家のためという発想はだいぶ薄れてきているものの、「潔く死ぬことは良いという発想は残っている」ため、問題を複雑にしているという。 政府のデータからは、日本人の自殺が経済と強く関連していることが分かる。景気が活況を呈していた1981年の自殺者数は2万434人と、78年に統計が取られ始めてから最少だったが、銀行危機で金融機関が政府に救済された98年には年間で35%急増し3万2863人に達している。 2012年12月に安倍政権が誕生し、景気再生への楽観が一助となって、自殺者数は減少傾向に転じ、17年ぶりの低水準に向かった。失業率 も5月に17年ぶりの低水準となる3.5%に下げた。 経済的理由、「ハラキリ」 最近まで見られた自殺者数減少は、経済的理由による自殺が減ったことが最大の理由だと当局者らは指摘。この傾向が続くかどうかは、政府の景気対策の成果次第とも言える。 それ以上に、自ら命を絶つことへの抵抗感を弱めている昔ながらの日本の文化と社会に切り込む必要があると碓井氏は指摘する。 碓井氏は海外では「ハラキリ」として知られる武士の切腹や、日本の映画や文学で心中がロマンチックな題材となるケースが少なくないこと、会社のために死ぬという責任の取り方などを挙げて説明した。 世界保健機関(WHO)のデータでは、世界での自殺者数は年間で80万人を超えており、40秒に1人が命を絶っている計算になる。心の病が自殺の最大の原因と指摘される米国では、2012年に10万人中12.6人が自殺しており、1987年以来の最悪となった(米疾病対策センター調べ)。一方、主要7カ国で自殺率の最も高い日本では、2012年に年間自殺者数が1997年以降で初めて3万人を割り込んだ。 予算100億円、県別データ開示 内閣府の自殺対策推進室主査付、高倉優介氏は「経済生活問題を理由とした自殺者の減少が大きく寄与している」と述べた。自殺者数は最近になって再び増加傾向を示したものの、昨年年初から11月までの自殺者数は2009年比で28%少なかった。 日本では07年に自殺総合対策大綱が閣議決定され、09年から期間3年、予算100億円からなる地域自殺対策緊急強化基金を通じ、都道府県で相談体制整備や人材養成などを実施することになった。 また警察は県別の自殺者数の開示に踏み切り、自治体は自殺対策に重点的に人的資源や予算を振り向けることができるようになった。 特定非営利活動法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表によれば、景気が上向く前の段階ですでに、こうした改革が自殺減少に寄与した。「これまで死ぬしかない状況に追い込まれていた人が生きる道を選べるようになった」と評価した。 「新たな人生を送るチャンス」 東京都足立区は都内で初めて、09年12月に継続的な総合的相談サービスに乗り出した。足立区足立保健所、こころとからだの健康づくり課長、馬場優子氏によると、区の刊行物に自殺という言葉が使われたのも同月が最初だという。 2011年2月の刊行物には、足立区の相談サービスに命を助けられたと語る男性の話が紹介されている。馬場氏によると、この男性は借金を背負い自殺を考えていたが、区が主催したセミナーで弁護士に相談し、自己破産を申請することができ、新たな人生を送るチャンスを得た。 06年のデータでは、足立区は東京都23区の中で最も自殺者の多い区だった。自殺者数は相談プログラム発足後に減少し、10年に179人だったのが13年には148人に減った。 ライフリンクの清水氏は「とはいえ、1日70人から80人が自殺しており、非常事態は続いている」と語った。 原題:Japan’s Fight to Change Suicide Culture Hurt by Latest Recession(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 Chikako Mogi cmogi@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net Adam Majendie 更新日時: 2015/01/09 07:01 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHD89V6VDKHT01.html
|