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「アベノミクスのメカニズムを解明」(EJ第3950号) Electronic Journal
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/771.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 09 日 09:13:05: igsppGRN/E9PQ
 

「アベノミクスのメカニズムを解明」(EJ第3950号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/411999485.html
2015年01月09日 Electronic Journal


 アベノミクスの最初の6ヶ月について、リチャード・クー氏は
「ハネムーンと呼べるくらい多くの幸運が重なった結果」と述べ
ていますが、具体的にはどういうことでしょうか。
 現象的には、日本経済の雰囲気が変わったことです。今まで重
苦しく空を覆っていた雲がなくなり、何となく明るい日ざしが見
えてきたというところでしょうか。これを否定する人はあまりい
ないと思います。民主党政権のときの経済政策があまりにもお粗
末だったからです。
 このハネムーンについて、東京財団上席研究員の原田泰早稲田
大学政治経済学術院教授は次のように表現しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 円が下落し、企業の採算が好転し、株価が上昇している。生産
も増加している。雇用も拡大し、失業率は低下し、有効求人倍率
も上昇している。消費も民間企業設備投資も拡大している。消費
者物価上昇率も1%を超え、日本はデフレから脱却しつつある。
予想物価上昇率も上昇している。ただし、輸出数量は円安にもか
かわらず伸びていない。            ──原田泰著
   『日本を救ったリフレ派経済学』/日本経済新聞出版社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 リチャード・クー氏によると、この円安/株高を演出したのは
日本の投資家ではなく、海外の投資家だったことです。数値とし
ては次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ◎2012年12月〜2013年10月の期間
   ・外国人投資家 ・・・ 12・2兆円の買い越し
   ・日本人投資家 ・・・  5・3兆円の売り越し
   ・日本金融機関 ・・・  6・5兆円の売り越し
―――――――――――――――――――――――――――――
 これは何を意味しているのでしょうか。
 ここで海外の投資家というのはニューヨークのヘッジファンド
のことですが、安倍首相のアベノミクスの宣言を聞いて巨額の資
金を日本に持ち込み、円を売って日本株を購入したのです。円安
/株高になるのは当然です。
 しかし、日本経済を熟知している国内の投資家や機関投資家の
大半はそれに乗らず、国内の債券市場にずっととどまっていたの
です。つまり、行動を変えなかったわけです。なぜ、行動を変え
なかったかといえば、彼らは日銀が金融緩和をいくらしてもイン
フレにはならないことを知っていたからです。
 こうした国内投資家たちの行動は、外国投資家たちを利するこ
とになったのです。なぜなら、日本の機関投資家たちが債券市場
にとどまっていてくれたおかげで、長期金利が上がらなかったか
らです。だから、外国人投資家たちは安心して円を売り、日本株
を買うことができたのです。
 しかし、少しずつ雰囲気が変わり始めます。それは国内の個人
投資家が参入してきたからです。そういう気持ちにさせたのは、
ワイドショーにおける経済評論家たちのあおりです。クー氏はこ
れについて次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 テレビのワイドショーでも、もしかしたらインフレになるぞと
いう声が出てきたのである。ウソも100回言えば人は信じると
言った人がいるが、あれだけマスコミがインフレになるかも知れ
ないと言い出すと、人々のマインドももしかしたらという発想に
なってくる。その意味で、アベノミクスのハネムーンで人々のマ
インドが変わるという効果は間違いなくあった。ワイドショー効
果と言うべきか、そういうものは確かにあったのである。これは
日本経済にとって顕著な変化であったと言えよう。
                  ──リチャード・クー著
       『バランスシート不況下の世界経済』/徳間書店
―――――――――――――――――――――――――――――
 その当時10年国債の利回りは0・8%です。もし黒田日銀総
裁がいうようにインフレ率が2%になったら、いやなるかもしれ
ないと思ったら、利回りが0・8%しかない10年国債は暴落す
ることになります。2013年4月に黒田東彦氏が日銀総裁に就
任するまでの約3ヶ月の間に国内の機関投資家たちは「もしかす
ると、本当にインフレになるかも」と考えはじめたのです。
 そこに飛び出したのが、黒田日銀総裁の異次元金融緩和発言で
す。このタイミングで国内の投資家たちも一挙に国債の大量売り
を仕掛けたのです。そのため、当時0・3%台まで低下していた
長期金利が一気に1%にまで跳ね上がったのです。
 そうなると、外国人投資家たちも株と為替相場の調整を強いら
れるようになり、円を買って日本株を売る展開になったのです。
そのため、当時「1ドル=103円」まで進んでいた円安が90
円台の円高になり、株も20%程度下落したのです。これが5月
の日経平均の暴落です。
 この5月の日経平均の暴落は、当時のバーナンキ米FRB議長
が2012年9月から導入した金融緩和(QE3)を縮小すると
発言したのが原因といわれていたのですが、それだけが原因では
なく、それまで動かなかった債券市場が反応しはじめたことの影
響が大きかったのです。
 それでは、なぜ、当初日本の機関投資家たちがインフレにはな
らないと判断して債券市場にとどっていたかというと、日本では
日銀がいくら金融緩和して金融機関の日銀当座預金に資金を積み
上げても、企業からの資金需要がなく、マネーストック(マネー
サプライ)は増えないことを知っていたからです。つまり、マネ
タリーベースがいくら増えても、マネーストックは増加しないこ
とを熟知していたからです。
 このことに関しては反論もあります。マネーストックは着実に
増えているという意見があることです。これに関する議論は、来
週のEJで論ずることにします。
            ─── [検証!アベノミクス/32]


≪画像および関連情報≫
 ●日本の機関投資家が動かなかった理由/リチャード・クー氏
  ―――――――――――――――――――――――――――
  現時点で日本の民間が貯蓄しているGDP比8%の貯蓄のか
  なりの部分が金融機関に入ってくるが、これを国内で運用し
  ようとしても民間に借り手がいない。国内で唯一おカネを借
  りているのが財政赤字を出している政府であり、そうなると
  彼らも民間に借り手がいないなかで国債を買うことになる。
  日本の投資家はこのような行動を20年間も強いられてきた
  のである。彼らにしてみれば、日銀が量的緩和を再開して、
  今度はスピードを速めて大胆にやると言ったところで、民間
  に借り手がいなければ、この種の金融緩和はマネーサプライ
  を増やすことができず、またマネーサプライを増やすことが
  できなければ景気が良くなる理由もないことをよく知ってい
  るのである。金融媛和が効くためには、マネーサプライが伸
  びなければいけないが、マネーサプライが伸びるには、お力
  ネを借りる人がいなければいけない。ところが、おカネを借
  りる人がいない日本では、どんなに日銀が量的緩和で流動性
  を供給しても、その資金は銀行から外へ出られず、そこで止
  まってしまうことになる。このように貨幣乗数が限界的にゼ
  ロかマイナスの状態ではマネーサプライは増えない。マネー
  サプライが増えなければ、景気が良くなる理由はないしイン
  フレが加速する理由もない。
            ──リチャード・クー著の前掲書より
  ―――――――――――――――――――――――――――



 

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コメント
 
01. 2015年1月09日 09:30:52 : nJF6kGWndY

>なぜ、当初日本の機関投資家たちがインフレにはならないと判断して債券市場にとどっていたか
>企業からの資金需要がなく、マネーストック(マネーサプライ)は増えないことを知っていたから

それもあるだろうが、機関投資家の大部分は、成績に連動しないサラリーマンだから、余計なリスクを取るよりも、横並びの資産構成を選んだということだろう

結果として、異次元緩和により、国債は上昇し、結果オーライになったとは言えるが

今後、原油安が一服し、消費税増税効果が消えれば、再びインフレ率が上向き、マネーストックの上昇が加速する可能性もある

その時に、サラリーマン機関投資家は良いだろうが、預けた人々は痛い目に遭うことになり、そのツケがまた国民に回されることになりそうだ

>マネーストックは着実に増えているという意見がある

広義流動性は2012年は0%台だったが、2013は3〜4%、2014年も消費税増税後も+3%を超える伸びが続いている

データからは明らかに増えているようだな

https://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms1411.pdf

広義流動性のコンポーネント
Components of L
(平残前年比伸び率、単位・%)
(Percent changes from a year earlier in average amounts outstanding)
広 義 (1) (2) (3) (4)
流動性 M3 金銭の信託 投資信託 金融債 銀行発行 金融機関 国 債 外 債
年・期・月 普通社債 発行CP
L Pecuniary Investment Bank Straight Commercial Government Foreign
Year, quarter, trusts trusts debentures bonds paper issued securities bonds
month issued by by financial
banks institutions
2012 0.8 2.2 -1.5 -3.3 -22.2 -12.5 -11.1 -14.6 -0.7
2013 3.2 2.9 6.5 6.0 -15.1 0.4 23.2 -7.4 1.6
2013 / 4- 6 3.1 2.8 6.7 4.4 -15.1 -4.2 31.7 -8.3 2.8
7- 9 3.7 3.1 8.7 8.7 -18.9 3.6 20.9 -6.0 -0.5
10-12 4.3 3.4 9.3 12.2 -17.4 12.6 6.8 -4.1 -1.4
2014 / 1- 3 3.9 3.2 8.4 11.8 -14.3 3.6 5.4 -4.8 -1.9
4- 6 3.1 2.6 5.5 7.8 -8.4 -12.3 40.8 -5.1 3.2
7- 9 3.1 2.5 r 5.4 6.4 r -3.4 -12.9 r 72.0 -6.4 r 11.0
2013 / 10 4.2 3.3 9.3 12.0 -18.2 13.6 39.9 -4.4 -2.4
11 4.4 3.5 9.5 12.4 -17.6 13.7 1.2 -3.9 -1.5
12 4.3 3.4 9.2 12.2 -16.5 10.4 -12.7 -4.0 -0.5
2014 / 1 4.2 3.5 9.1 12.2 -15.2 6.9 -5.9 -4.7 -2.6
2 3.9 3.2 8.3 12.4 -14.3 6.5 4.0 -5.3 -3.1
3 3.6 2.9 7.8 10.9 -13.4 -2.5 19.0 -4.6 0.0
4 3.4 2.8 6.5 9.0 -12.4 -12.0 31.9 -4.7 2.1
5 3.0 2.7 4.9 7.8 -6.8 -12.1 40.2 -5.4 2.9
6 2.9 2.5 5.2 6.5 -5.8 -12.9 50.1 -5.1 4.6
7 3.0 2.5 5.3 5.8 r -2.9 -12.8 77.1 -5.9 8.1
8 3.0 2.5 5.0 6.6 -2.7 -11.6 70.3 -6.7 10.9
9 r 3.3 2.5 r 5.9 r 6.6 r -4.6 -14.3 r 69.1 -6.6 r 14.1
10 r 3.3 2.6 r 5.3 r 6.4 -4.4 r -12.9 r 47.3 -7.8 r 16.4
11 3.3 2.9 4.2 5.7 -4.1 -7.2 77.0 -8.9 16.1


02. 2015年1月09日 20:14:56 : xAQCJA1WS6
2014年のGDPはとうとうマイナス成長になった。企業所得の増加は、国民が貧しくなった分の所得移転に過ぎないことが証明された。最悪と揶揄され、東日本大震災という大きな試練のあった民主党政権の3年間でさえ、年間でマイナス成長になったことはない(リーマンショックによるマイナスは自民党麻生政権)。経済をマイナス成長させて、何を自慢するのか。

まともま人格なら恥を感じて身を退く。

異次元金融緩和が過剰債務でこれ以上借金できなくなった財務省の救済策にすぎないのは、黒田日銀総裁が財務省出身であるからして明白。それが自慢するほどの経済政策か?

機動的な財政政策といえば、一過性の効果しかないことが証明されている公共事業拡大やバラマキ振興策ばかりというバカの一つ覚え。さらに肝心の成長戦略は中身のないスローガンばかりで、目玉は博打場(カジノ)というお粗末ぶり。

アベノミクスも死語だろう。来年には、オバカでお調子者でノータリンのリフレ派は、卵をぶつけられながら退場だろう。


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