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危険すぎる日銀、日本の軍国主義化を加速?異常な金融緩和、経済を出口なき危機的状況へ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150109-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 1月9日(金)6時0分配信
今年は1930年の昭和恐慌から85年目となる。未曾有のデフレ状況から日本経済を脱却させ見事に再生させたのは、日本史の教科書などにも登場する高橋是清大蔵大臣だ。巷では、異次元金融緩和をもってデフレに果敢に立ち向かう黒田東彦日本銀行総裁を「平成の高橋是清」ともてはやす向きもある。しかし黒田総裁は本当に高橋に匹敵する成果を上げられるのだろうか。
昭和恐慌は、29年秋にアメリカ合衆国で発生して世界中を巻き込んだ世界恐慌の影響が日本にも及んだもので、日本経済を危機的な状況に陥れた。31年、犬養毅首相に請われ4度目の蔵相に就任した高橋は、それまでのデフレ政策を180度転換した。日銀引き受けによる政府支出の大幅な増額を行うなど積極財政を展開し、赤字国債発行によるインフレーション政策を行った。これにより、世界恐慌により混乱する日本経済をデフレから世界最速で脱出させ、後世に名を残した。
確かに、安倍晋三首相の下、膨張する財政を異次元緩和という名で事実上の日銀引き受けを行い、インフレーション政策を進める黒田総裁の手法は高橋に似ているかもしれない。しかし、それは似て非なるものであり、結論から先に言えば、黒田総裁は「平成の高橋是清」には絶対になれない。なぜならば、高橋の時代と現在とでは、あまりにも経済を取り巻く環境が違いすぎるためだ。
黒田総裁は昨年10月31日、量的・質的金融緩和政策として追加緩和を行った。この追加緩和分の国債保有(事実上の日銀引き受け)を加えると、日銀の国債保有額は日本のGDP(国内総生産)の約75%に相当する。1905年の日露戦争当時の日銀の国債保有額は26.4%、44年の太平洋戦争中ですら33.5%でしかない。現在の日銀の国債保有額の対GDP比率は日露戦争時の約3倍、太平洋戦争時の2倍以上であり、戦費の調達のために行われた日銀の国債引き受けよりも、金融緩和が行われている状態になっている。
●30年代と現在の経済環境の違い
高橋がデフレ脱却のため積極財政によりインフレーション政策を行った30年代は、まさしく戦時だった。35年の軍事費は、当時の政府一般歳出の約47%を占めていた。一方、現在は約42%が社会保障費に費やされている。軍事費は技術開発を伴う。事実、日本の自動車メーカーの多くは30年代に創業している。そして、軍事費は戦争が終われば減少する。しかし、現在の社会保障費は減少するどころか、今後ますます増加していき、財政拡大に歯止めがかからなくなる。
また、高橋の時代は人口が増加していた。30年の総人口は6440万人、35年は6920万人、40年は7190万人と右肩上がりで、労働人口の増加とともに税収も増加していった時代だったが、現在は人口減少社会だ。
さらに、高橋の時代には国内労働力の増加と円安がしっかりと結び付いていたため、輸出力を大幅に強化させることで輸出総額は30年からの5年間で70.2%も増加した。それに対し現在は輸出企業の海外生産が進んだことで、為替差益こそ増加しているが、輸出数量の増加は微々たるものにとどまっている。
そして何よりも、高橋は引き受けた国債を短期間で市中に売却し、日銀のバランスシートを健全化した。日本と同様に量的緩和を実施している米国でも、FRB(米連邦準備制度理事会)は量的緩和の解消(出口戦略)を早くから検討し、その内容を公表している。しかし、現在の日銀は巨額の国債を保有し続け、出口戦略の手法についても公表していない。
つまるところ、高橋と黒田総裁は似たようなインフレーション政策を行ってはいるものの、時代背景やその手法により政策の効果には雲泥の差があり、黒田総裁はどうあっても「平成の高橋是清」にはなれないのだ。
ただ、高橋の積極財政による日銀の国債引き受けは軍事費を増大させ、それが軍部の発言力を増して日本が満州事変以降の大戦へと突入していったのと同様に、異次元緩和に支えられたアベノミクスの効果により安倍首相の発言力が強まり、集団的自衛権問題に見られるように軍国主義的な傾向が強まっているあたりに妙な共通点を感じる。
鷲尾香一/ジャーナリスト
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