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日本の長期金利はマイナスになるのか  久保田博幸
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投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 08 日 20:10:15: igsppGRN/E9PQ
 

日本の長期金利はマイナスになるのか
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20150108-00042079/
2015年1月8日 9時38分 久保田博幸 | 金融アナリスト


妖怪、油すましが暴れている。1月6日にWTI原油先物は47.55ドルまで下落し、2009年4月21日以来の安値を付けた。この原油先物の下落とギリシャの政局不安というかユーロ離脱の懸念により、6日の欧米市場はリスク回避の動きをさらに強めた。

6日の米長期金利は2%を割り込み1.94%に。ドイツの長期金利は0.44%と過去最低を更新中。フランス、オランダ、オーストリア、ベルギーなどの長期金利も過去最低を更新。英国の長期金利も1.56%に低下していた。

日本の長期金利(10年国債利回り)も昨年12月25日に0.310%と、先年4月5日につけた0.315%を下回り過去最低を更新した。 その後さらに低下し、1月6日には0.3%を割り込み、はじめて0.2%台をつけた。

市場関係者にとり、10年債の0.2%台よりも、20年債の1%割れのほうが気になったかもしれない。それは2003年6月のVARショックと呼ばれる国債の急落が、20年国債の利率が1%を割り込んだことがきっかけで起きたためである。しかし、当時の金利低下と今回の金利低下はやや性格が異なっている。

2003年6月にかけての金利低下は、その背景に量的緩和と呼ばれた日銀の金融緩和があったことは今回と同様であるが、買い手が異なっていた。2003年当時の積極的な買い手は都銀などを中心とした銀行であった。価格変動幅の大きな超長期債を含めて、長い期間の国債を主体に買い進んだが、生保などの投資家にとっては20年債の1%割れでは購入を敬遠した結果、急落が起きたのである。

しかし、今回の国債の主な買い手は日銀であり、2003年とは異なり、短い期間からじりじりと金利が押しつぶされた格好になっている。短期債が量的緩和時代以来のマイナス金利となり、それが2年債にも波及し、直近では残存4年半あたりの国債の利回りがマイナスとなっている。いずれこれが長期金利、つまり残存10年の国債あたりまで波及する可能性はあるのか。

10年国債に波及する前に残存5年という節目とともに、もうひとつの節目が存在する。それは長期国債先物である。これは標準物と呼ばれる残存10年、利率6%の国債を売り買いするもので単純には利回りゼロ%は160円であるが、現実には現引き現渡しがある関係で、残存7年のチーペストと呼ばれる国債に連動している。現在のチーペストの利回り等から導かれるゼロ金利水準は149円あたりとなり、すでに148円台を長期国債先物はつけているため、あと1円程度に迫っている計算となる。

ドイツでは5年債あたりまでマイナスとなっており、日本も5年債がマイナス金利となるのは時間の問題になりつつある。これが7年債あたりに波及し、長期金利までもマイナスとなりうるのか。その可能性は否定はできないが、そこまでの金利低下の要因を考えるとかなり無理もある気がする。

日本のマイナス金利の要因については海外投資家の存在が大きく、そこに日銀の大量の買入が絡んでいる。金利がマイナスで購入しようが、さらなるマイナスで購入してくれるところがあれば、マイナス金利でも利益が生まれる。しかし、そんなカラクリがいつまでも通用するとは思えない。

需給ではなくファンダメンタルの要因としては、原油下落や景気減速による物価の低迷もある。日銀が目標としている消費者物価指数は、原油価格の下落も手伝い、いずれ前年比マイナスとなる可能性も指摘されている。現在の長期金利が過去最低となっているのも日銀の異次元緩和による国債買入とともに、異次元緩和では物価は上がらないとの市場参加者の見立ても根底にあろうし、現実に物価は日銀の想定通りには上がっていない。

買い手の主役が投資家や業者でなく日銀である以上、現在の金利低下は債券市場のバブルではないとの見方もある。しかし投資家よりも国債の買い手が中央銀行であるほうがタチが悪い。財政ファイナンスとの認識が高まり、市場参加者の間が不安感が強まると何かのきっかけで国債が売られ、1998年の運用部ショックや2003年のVARショックのような国債価格の急落を引き起こす懸念は存在する。

いまのところ原油価格下落と共にギリシャのユーロ離脱懸念などによるリスク回避の動きで、日米英独などの国債は買われているが、ドイツや日本の長期金利はすでに未踏の段階にある。利上げが予想されている米国や英国の長期金利までもが、ユーロ危機の水準にまて低下しつつある。しかし、現在、ユーロ危機に匹敵するほどのリスクが生じているわけではない。このあたりの矛盾が解消されるときに何が起きるのか。むしろそのリスクを心配しておいたほうが良いのではなかろうか。個人的には日本の長期金利がマイナスになる前に調整は起こりうるとみている。


 

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コメント
 
01. 2015年1月08日 21:54:37 : jXbiWWJBCA

>1998年の運用部ショックや2003年のVARショックのような国債価格の急落を引き起こす懸念
>日本の長期金利がマイナスになる前に調整は起こりうる

当然、調整は起こるだろう

また仮に、国債暴落リスクを今から心配し、量的緩和に頼らずに解決したいのであれば、再び不況転落を覚悟した上で、増税と歳出削減などの財政再建に励む以外に選択肢は無いが

実質GDPがマイナスに転落し、原油安や海外景気低迷、少子高齢化が進む現状では、銀行や企業の連鎖倒産が起こるほど金利(インフレ率)が上昇する可能性も、当面は全く無いので、非現実的ではある。



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