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ベテラン投資家も誤算 原油安に揺らぐ市場[日経新聞]
米州総局 山下晃
2015/1/6 8:22
5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は331ドル安で取引を終えた。ギリシャの政情不安に加え、原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が1バレル50ドルを下回り、エネルギー株が下落したことも重荷になった。
ウォール街のご意見番、米ブラックストーンのストラテジスト、バイロン・ウィーン氏が5日、自身の「10大予想」を公表した。この時期、多くの年間展望が公表されるが、1986年から続く同氏の予想は特に注目されている。
米国株式相場については強気だ。米国の経済成長を背景にS&P500種株価指数は15%の上昇を見込むとみる。その上昇率はウォール街の株式ストラテジストらの予想平均の2倍程度。ウィーン氏は昨年、米株相場を20%高と予想したが結果は11%高だった。
ドル円相場は「120円まで円安・ドル高が進行する」とした昨年の予想がほぼ的中。日経平均は年初に1万8000円を超えるも消費増税が打撃で後半に調整するとみていた。2015年は「衝撃と畏怖」と表現する日銀の異次元緩和は「もはや機能しない」と指摘した。日経平均株価は年間で横ばいと手厳しい。
14年の予想で大きく外れたのは「WTI原油が110ドルを超える」としていた原油相場だろう。新興国需要が拡大し、米国での生産増や先進国の消費が鈍ることを打ち消すとみていたが、実際は半値以下になった。
15年は年後半にかけて新興国需要の拡大を支えにWTI原油は70ドル台に回復すると予想した。14年初の98ドルはなお下回るが、足元の50ドルは行き過ぎという見立てだ。
こうした見方はウォール街で少なくない。米運用会社のフランクリン・テンプルトン・インベストメンツのマーク・モビアス会長も「原油安は投機的な短期トレードの影響が大きく、15年か16年には回復する」とみる。成長拡大のスピードが鈍っても新興国の需要はやはり増えるとの見方が背景にある。
ただし「投資の観点から最大の懸念材料はボラティリティ(変動)」とモビアス氏は言う。原油価格の水準が100ドルから70ドルに変わるだけでもエネルギー業界の設備投資減や、エネルギー分野のインフラなどに投資し配当を投資家に還元するMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)の配当減など影響は広がっていく。
「実質的なマーケットの初日の5日は少し警戒ムードで始まった」。ヘッジファンド投資の担当者はこぼす。原油安の恩恵を受ける米自動車販売は14年12月の好調が伝えられたが、価格変動リスクの高い資産を売るリスクオフに傾いた市場のムードは押し戻せなかった。恐怖指数と呼ばれる米VIX指数は上昇し、節目の20を上回った。
「イラン経済が疲弊し核開発交渉で態度が軟化する」「ロシア経済が大きな打撃を受けてプーチン大統領は年末までに辞任する」。ウィーン氏は15年の予想で原油安は世界政治に大きな影響を与えるとも指摘した。この予想が当たるとすれば、15年の相場を読み解くのは一筋縄にはいきそうにない。
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/nyexpress.aspx?g=DGXLASGN06H1R_06012015I00000
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豊島逸夫の金のつぶやき
原油50ドル割れと低金利に戸惑う市場[日経新聞]
2015/1/6 8:50
原油価格が1バレル=100ドル台の時代には、原油高騰が経済成長の阻害要因として警戒された。中東地政学的リスクを映す原油高が、株安の要因にもなった。ヘッジファンドなどの投機マネーが原油先物市場で暴れ、庶民生活に打撃を与えることが政治問題化して、市場規制案も生まれた。その結果、市場のメジャープレーヤーであった大手投資銀行には、自己勘定による原油などの売買の制約が課せられた。多くの投資銀行は、トレーディング部門の縮小・閉鎖を迫られ、市場全体の流動性は著しく低下した。投機筋の大きな売買注文で価格変動(ボラティリティー)が増幅し、市場が揺さぶられる状況に陥った。
一方、原油の市場構造は米国のシェール革命で変化していた。危機感を高めた石油輸出国機構(OPEC)諸国は、原油価格調整役としての役割をみずから放棄して、シェア確保に追われている。
原油市場の構造変化を受けて、先物市場の投機筋も「原油は買い」から「売り」の戦略に切り替えた。ところが投機筋の「売り」に対して、買い向かうプレーヤーが減ってしまった。投資銀行がトレーディング部門を縮小し、市場の潤滑油役が撤退したからだ。市場内には一部の商品専門トレーダーしか残っていなかった。5日の米ニューヨーク先物市場で原油価格が50ドルを割り込むまで急落したが、短期間の下落の背景には市場参加者の偏りの影響が見逃せない。
実体経済をみれば車社会の米国で原油急落はガソリン価格の下落につながり、一般庶民にとっては歓迎すべき現象のはずだ。しかし米ニューヨーク株式市場ではエネルギーセクターが売られ、株価指数を押し下げた。中央銀行も物価安定目標からの下振れ要因として警戒の姿勢だ。物価安も程度問題で、度を越すと、ディスインフレからデフレへ進行しかねないリスクをはらむからだ。庶民の家庭でも、妻はガソリン価格安を歓迎するが、夫は勤め先の企業業績が心配になる。
マクロ的に、株で大もうけした投資家の所得の一部が一般庶民へ再配分される分には、原油急落も所得格差是正に寄与するかもしれない。とはいえ、ユーロ圏の物価水準はマイナスに転じることが予想され、中国でさえ、物価上昇率が1%台まで下落してくると、原油安がもたらす「経済の低血圧症候群」も無視できまい。
なにより、市場が気味悪く感じていることが金利下落の加速だ。米国10年債の利回りも2%の大台の攻防となってきた。南欧のスペイン・イタリア10年債は、ギリシャ不安にもかかわらず既に1%台まで下落している。南欧国債買いは明らかに欧州中央銀行(ECB)による国債購入型量的緩和をあてにした投機買いであろう。資金調達コストが米国より南欧のほうが低いという現象は明らかに異常だ。
原油安を素直に喜べない株式市場。説明できない世界的低金利を持てあます債券市場。ドル高・円安進行のはずの年が円高で始まった外為市場。筆者を含めて運用のプロには2014年のトラウマがいまだに根強い。ちょうど一年前。テーパリング(緩和縮小)の年となる14年は米国債利回りは3〜4%程度までは上昇すると多くの市場関係者が読んでいた。結果的に読みは外れた。今年は、米利上げ開始時期予測が今年半ばに集中している。そこで市場には疑心暗鬼の心理も芽生えるのだ。年初から、市場はあみだくじの如くこみいった複合要因にすくんでいる。
http://www.nikkei.com/money/gold/toshimagold.aspx?g=DGXMZO8160382006012015000000
- 中東産油国の財政悪化:サウジが歳入減で赤字、海外投資に逆風も あっしら 2015/1/06 12:27:42
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