01. 2015年1月07日 06:15:33
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日本と世界の重要論点2015 【第3回】 2015年1月7日 宮前耕也 【アベノミクスの2015年】 物価目標は達成困難、異次元緩和は軌道修正へ アベノミクスの「先」を見据える必要 ――宮前耕也 SMBC日興証券 金融経済調査部日本担当シニアエコノミスト アベノミクスの最大の誤算は 円安になっても輸出数量が伸びないこと みやまえ・こうや SMBC日興証券 金融経済調査部 日本担当シニアエコノミスト/2002年に東京大学経済学部を卒業し、大阪ガスに入社。企画、営業、保安業務等に従事。2006年財務省へ出向し、大臣官房総合政策課に所属。2008年野村證券入社、金融市場調査部債券市場調査課所属。債券アナリスト兼エコノミストとして、経済・金融政策の分析・予測に従事。2011年4月より現職 Photo:DOL 私は実質GDP成長率見通しについて、2014年度がマイナス0.9%、2015年度がプラス0.9%(2014年12月12日時点)と予想する。エコノミストの平均的な見方に比べてかなり悲観的な数値といえるが、その最大の要因はアベノミクスが機能していないことだ。
アベノミクスは「デフレ脱却」と「円高是正」が目的だった。しかし、デフレ脱却と円高是正をすれば日本経済はバラ色かというと、現状、そうではないことが明らかになったと思う。 デフレから脱却すれば消費が伸びて設備投資が増えるか、あるいは円高是正すれば輸出が伸びて設備投資が増えるかというとそうでもない。いずれも企業の設備投資が重要なポイントになるが、成果は数字に表れていない。 政府はまだデフレに関して脱却宣言を出していない状況だが、円安が進んだことは事実だ。しかし、最大の誤算は景気を押し上げる「Jカーブ効果」が出ていないことにある。 Jカーブ効果とは、為替レートが下がると直後には貿易収支が悪化するが、その後、輸出数量が増えて貿易収支が改善するというもの。円安になれば、輸出商品の現地価格を下げることができ、競争力が高まって輸出数量が増えると考えられるからだ。 だが実際は、円安進行から1年以上経っても輸出数量は伸びていない。つまり、円安が輸出数量の増加に結びつくメカニズムが機能していないというわけだ。円安で輸出数量が増えれば景気全体がよくなるが、その効果は出ていない状況だ。 一方、世界各国の輸出数量は増え続けている。日本だけが横ばいということは、外需が弱いからという言い訳はできない。原因としては、製造業の現地生産へのシフトが進んでいること、もともと日本の製品の付加価値が高く、大きなシェアを占めているため、値下げをして販売数量を増やす必要性がないこと、長く続いた円高で収益が悪化していたため、収益拡大を優先させていることなどが考えられる。 企業は2000年代頃から「円安還元」の現地価格値下げを行わなくなっており、Jカーブ効果が期待できなくなっている。 人口が減り個人所得が伸び悩む日本では 内需拡大は期待できない しかも、国内は供給過剰で企業は国内生産能力を縮小している。消費と輸出が低迷していれば当然、設備投資も伸びない。 このまま円安が定着すれば海外の工場を日本に回帰させるという見方もあるが、現時点で大きな動きは出ていない。そもそもGDPに占める製造業の割合はおよそ2割。設備投資全体のカギを握るのは非製造業の動向であり、やはり内需がカギとなる。 内需の大きさは「人口×1人当たりの所得」で計算できるが、人口が減り、1人あたりの所得が伸び悩む日本の現状からみると、内需拡大は期待できない。小売りや外食など非製造業が積極的に海外進出しているのも、そうした背景があるからなのだ。 日銀は厳しい物価目標を 達成する手段に乏しい こうしたなか、日銀は2013年春から「量的・質的金融緩和」を導入、2年程度をメドとする物価目標(消費者物価の前年同期比上昇率2%)の達成という無茶な目標を立てて危ない橋を渡っている。 日銀は、マネタリーベース(日銀が供給する通貨のこと)を増やせば物価が上がるという、直線的、直接的な因果関係を想定しているわけではなく、マネタリーベースを急増させることで期待インフレを引き上げ、安定的な物価上昇を目指すという立場と考えられる。 だが、マネタリーベースを急増させても、期待インフレへの波及効果としては一時的であろう。実際、2000年代の量的緩和期で経験したように、日銀が急激にマネタリーベースを増やしても物価は特に反応しなかった。近年は、日銀が金融機関へのマネー供給を急激に増やしても、金融機関から貸出などを通じて民間に流れるマネーストック(世の中に出回っているお金の総量)は増えないという目詰まり現象が起きている。 総じていえるのは、日銀は厳しい物価目標を達成する手段に乏しいということだ。国債を日銀が直接引き受ける「財政ファイナンス」という禁じ手を除いて、日銀の果たせる役割はそう大きくないだろう。 しかし、日銀はあくまでも2015年度後半頃の目標達成を目指している。早ければ2015年春頃、ベアが期待外れになる、もしくは物価実績が前年比マイナスに陥ることが確実視されるという状況になれば、追加緩和に踏み切る可能性もある。 とはいえ、追加緩和を実施したとしても目標達成は困難であろう。15年度後半に物価目標達成が厳しい状況が明らかになると、物価上昇ロジックの問題点や、現行緩和策の是非が問われることになるだろう。 2015年秋頃には現行金融政策の軌道修正が行われる可能性が高く、それにより経済危機が起こるとは思わないが、軌道修正したときのマーケットの反応がリスクとなりそうだ。 待ち受けているのは 「どんなに金利が低下しても、 国債の売却が行われない状態」 そもそもマネタリーベースを急増させる手段として、日銀は金融機関等から国債を大量に買い入れているが、いずれ「これ以上どんなに金利が低下しても、国債の売却が行われない状態」に至るだろう。銀行が売ってくれなくなれば、国債買い入れによる金融緩和策は続けられなくなる。 国債の大量買入れがいつまでも持続可能な手段ではなく、効果にも疑問符が付く状況に直面し、日銀は「量的・質的金融緩和」の軌道修正を図る可能性が高いだろう。 具体的な修正案としては、物価目標実現のメドを「2年程度」から事実上延期するか、リスク資産の大量買い入れを打ち出すといったことが考えられる。 株の買い入れについては、「日銀として適切かどうか」という問題がある。中央銀行の株購入は世界的に見ても異例だ。個別株ではなくETFを買うとしても、中央銀行がリスク資産を大量に保有するということは通貨の価値に関わってくるからだ。仮に、株価が大幅に下落して損失が生じた場合は、通貨の価値を守るために国民の税金を使って損失補てんを行う必要性が出てくるかもしれない。 人口対策など 抜本的な成長戦略を打ち出すべき では、日本経済をどのように立て直せばいいのか。 短期的にGDP成長率を上げようとすると、実力を伴っていないため、一時的に成長率が上がってもすぐに落ちてしまう。政府の政策はこの繰り返しに陥りがちだ。こうした状況を打破するためには、構造改革、規制緩和を伴う抜本的な成長戦略を打ち出すしかないだろう。 ぜひ進めてほしい政策の1つは「人口対策」だ。人口減少を食い止め、増加させる本格的な政策が待たれる。出生率の明確な目標も立てて、官民一丸となって取り組む必要があろう。もちろん、短期的には効果は出ない。20年後くらいに成果が現れるような話だが、この問題を後回ししてきた結果が今。一刻も早く手を打つべきだ。 現在の少子高齢化を放置すると、2060年には人口が9000万人を割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されている。そうなれば内需が大きく縮小するばかりか、相当数の地方自治体が財政破綻の懸念に直面するだろう。 それを避けるためには、政府が本気になり、この問題に政策や投資を集中させることが重要だ。出産、子育て支援のさらなる強化はもちろん、場合によっては外国人材の活用、移民の受け入れも考える必要があるだろう。 衰退産業から成長産業へ、 人材のシフトを促す政策を もう1つは「雇用の流動化」だ。衰退産業から成長産業へのシフトを促す政策を実施すべきだ。 日本では、優秀な人材が役所や企業に勤めると、定年までずっと勤める傾向が強い。時代は変わり、入社した企業が旧態依然とした産業になってしまっても転職しない。それもそのはず、中途採用となると年金制度や退職金制度などが不利になるからだ。優秀な人材が衰退産業にとどまるのは日本経済にとって大きなマイナス要因にほかならない。成長産業へのシフトを促す政策がぜひとも必要だ。 人材の流動化にはタテとヨコの移動がある。タテというのは、正社員なのか派遣なのかパートなのかといった働き方のこと。企業にとっては人件費の高い正社員の採用を抑えられるというメリットがあり、こちらの選択肢は広がっている。働く側にとっても働き方の選択肢が広がるのは悪いことではない。 問題なのは、優秀な人材が衰退産業から成長産業へスムーズに移行できないというヨコの移動だ。企業にとっては自社の大切な戦力を失うというリスクがあるため、まったく改善されていない。企業ができないのであれば、政府が対策に乗り出すべきだろう。 現状、長期政権が予想される安倍内閣。目先の人気取りのためではなく、こうした10年後、20年後に評価される政策をぜひとも打ち出してほしい。 (構成/河合起季) http://diamond.jp/articles/-/64598 【第159回】 2015年1月7日 熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
2015年の「景気ロケット発進」は持続するか?―熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト 2015年の景気は出だしがよい 年初は、エコノミストが明るい話をするのが恒例になっている。だからというわけではないが、2015年の景気は出だしがよい。日本経済の好発進を示す、非常に強い経済データがいくつも発表されている。 1つは、日本の製造業の生産水準が、2014年12月・2015年1月と急上昇する予想データである(図表1参照)。これは、経済産業省の「鉱工業生産統計」にある生産予測指数である。2014年12月は前月比3.2%増、2015年1月は同5.7%増と伸びが大きい。予測指数であるから、実績の時点で下方修正される可能性があるとしても、それを割り引いても実績は高めになるだろう。 生産拡大は企業収益に貢献する。製造業の稼働率が上がると、企業の固定費負担が軽減される格好になり、収益が拡大する。2015年3月期の製造業の決算は、円安効果と生産拡大効果が相まって、さらに上方修正される公算が高い。これは株価にも好影響を与える。 また、生産統計の改善は、景気判定の有力材料になっている内閣府『景気動向指数』に大きな影響力を持つことが知られている。2014年の景気動向指数を見ると、2月から8月にかけて、景気後退期に陥ったと判定されてもおかしくはない。しかし、9月からは持ち直しが始まっていて、2015年上期は景気拡大が続く可能性が高いと見ることができる。 こうした生産拡大の背景には、米経済の好調や世界的なIT需要の拡大があると考えられる。長期時系列で、1990年代後半からの生産循環とIT循環の波を並べてみた(図表2参照)。そこでは、トレンドとしてIT循環が上向き始めていることが、生産全体を押し上げていることがうかがわれる。2015年1月の好発進は、単月データの振れではなく、上昇トレンドの始まり地点に居ることを暗示させる。 拡大画像表示 反動減からの脱却 もう1つの好材料は、乗用車販売である。2014年と言えば、消費税増税に始まり、消費税再増税の延期に終わった1年間であった。乗用車販売は、反動減のダメージが最も大きかった消費財である。それが、そろそろ反動減を克服してきているように見える。 12月の乗用車販売(=普通+小型+軽)は、前年比0.3%増とプラスに浮上した。12月の伸び率を季節調整済前月比で見ると、+18.5%もの伸びになる(図表3参照)。自動車好調の背景には、ガソリン価格が1リットル130円台にまで下落してきたことがある。すでに、原油価格はドルベースで約半年間に半値近くまで下がっている。円安による輸入価格の上昇圧力があっても、3割程度は下落するかたちだ。 好発進の後は…… 2015年の景気情勢は、前年の停滞を抜け出して、上向きの循環に移行すると見ることができる。それを後押しするのは、ちょうど2014年9・10月頃から始まった原油安・円安である。2つの「安」は、ダブルメリットとして循環的拡大の起爆剤になっている。 問題は、その出足がさらに先行きの持続的拡大にスイッチできるかどうかである。2014年は、消費税増税前の駆け込み需要が、必ずしも企業収益・雇用・消費の連鎖的拡大へと展開して行かなかった。消費分野の反動減が強く見えたのは、家計の所得形成力が限定的で、消費マインドも天候不順や物価高に反応しやすかったからである。 2015年中盤以降を見通すには、企業収益効果が賃上げとそれに続く消費拡大へと展開していくかどうかを、見極める必要がある。まず、3月には春闘交渉で、どのくらいベースアップが進むかが注目である。 政府は、政労使会議で賃上げの機運を高め、かつ4月からの法人税減税で間接的に賃上げをサポートする意向である。2015年はいよいよ中小企業まで賃上げが広がり、内需拡大の底上げも行われるであろう。 さらに、6月はアベノミクスの成長戦略が新たに描き直されることになる。安倍政権は、消費税再増税を先送りしたからには、2015年秋までの景気加速をしっかりしたものにしなければ、何のための増税先送りなのかわから なくなる。 2015年後半の景気足かせ 反対に、先行きの不安材料について考えてみよう。筆者が警戒するのは、2015年央にも予想される米連邦準備理事会(FRB)の利上げである。利上げのタイミングは、2015年6月が有力視される。日本経済は先に見た通り、2015年上期こそ成長率の加速感が鮮明になりそうだが、下期になると外需の牽引力も一服して、景気の加速感は徐々に衰えていくと見ている。 では、その利上げがなぜ脅威になりそうかと言えば、米国にとってそれが2004年6月以来11年ぶりの金融引き締めになるからだ(図表4参照)。この11年間は、リーマンショック後ということもあり、超巨大金融緩和の時代だった。それを正常化するのだから、利上げには相応の混乱が予想される。 すでに為替市場では、金融引き締めを先取りするかたちで、何度も新興国通貨の乱高下が起こっている(図表5参照)。2015年初の株価下落も、達観すれば昨年末からのマネーの巻き戻しが続いているからだろう。 日本経済には金融面での逆風も この巻き戻しの始まりは、2013年5月にバーナンキ前議長がQE3を縮小するアナウンスを行ったときに遡る。アベノミクス開始以降の株価上昇がストップしたのは、このときだ。 次に、2014年1月はアルゼンチン・ペソが暴落した。当時、いくつかの下落しやすい新興国通貨を「フラジャイル・ファイブ」と言っていた。そして、2014年12月は原油安と歩調を合わせたルーブル急落である。一連の変化は、世界的な過剰流動性の巻き戻し現象だと考えられる。 もっとも現状、2015年央からの米利上げの悪影響は十分には織り込まれていない。米金利のイールドカーブは、極めて緩やな傾斜であり、先々の利上げを予想していないかのようである。思い出されるのは、当事のグリーンスパン議長が2004年に利上げを開始したのに長期金利が上がらない様子を見て、「謎」だと語った逸話である。 ちなみに、2004〜2006年の金融引き締めでは、政策金利が1.00%から5.25%へと引き上げられている。今後、FRBがこれほどの利上げをするとは思えないが、現在(2014年12月)は適切な政策金利見通しとして2016末2.50%、2017年末3.50%までになるという見方を、FOMCメンバーは示している。 2015年後半以降の日本経済は、米金融緩和が終了するという金融面での追い風がなくなり、場合によっては金融面での逆風が吹くかもしれないという点を考慮しておくべきだろう。アベノミクスになぞらえて言えば、いつまでも1本目の矢(金融緩和)ばかりに依存しておられず、本格的に三本目の矢(成長戦略)にバトンタッチした民需主導の景気拡大局面への移行が望まれる。 http://diamond.jp/articles/-/64664 最下層からの成り上がり投資術! 【第144回】 2015年1月6日 藤井 英敏 今の相場を下落させている2大要因 「ギリシャ不安」と「原油安」が 実はそれほど心配ない理由 新年あけましておめでとうございます。本年も、何卒、よろしくお願いします。 日本の年末年始中の外部環境は残念ながら悪化しました。市場が最も嫌気しているのは、またまた「ギリシャ」です。 ギリシャ不安は25日の選挙結果が出るまで ギリシャがユーロ圏から離脱する議論が再燃しています。1月25日実施予定の総選挙では、緊縮路線に反対する野党の急進左派連合が優勢だそうです。ですが、ユーロ圏では、緊急時に資金不足の加盟国を金融面で支える欧州安定メカニズム(ESM)などの安全網が、整備されています。09年末以降のように、欧州全体の債務不安に及ぶ可能性は低いと思います。 ただし、それをネタに相場を動かしたい売り方は間違いなく存在しているでしょうから、25日の選挙結果が出るまでは、「ギリシャ不安」は相場を揺さぶる「旬な材料」であり続けるでしょう。 原油安で損をするのは産油国だけ また、米国株を押し下げているもうひとつの要因が、原油安です。5日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近の2月物は前週末比2.65ドル安の1バレル50.04ドルでした。一時は50ドルを割り込み、49ドル台後半に下落しました。2009年4月29日以来、約5年8カ月ぶりの安値を付けました。これが、米国株式市場のエネルギー関連株売りにつながり主要な株価指数の下押し材料となっています。 原油安に関しても、それほど心配していません。 これはサウジアラビアなどの産油国のシェール潰しと、欧米のロシアいじめが主たる背景であり、産油国と欧米先進国の思惑が一致した当然の帰結と認識しています。 なんにせよ、原油安はそれの輸入国である多くの先進国経済にとって、事実上の減税であり、景気や企業業績にとって超ポジティブな材料です。ちなみに、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は1バレル20ドルまで下がっても減産に動かない考えを示しているようです。 ご存じのとおり、シェールは特に北米で生産が急速に増えている非在来型の石油やガスのことです。産油国は、原油価格を低下させておくことで、シェール開発のインセンティブを低下させる方針なのでしょう。また、ウクライナ危機を受けた欧米の制裁に加え、原油安の加速は資源国、とりわけロシアを経済的に追い詰めています。このような状況を受け、ロシア政府と中央銀行が通貨ルーブルの防衛策と経済対策を相次ぎ打ち出し、ルーブル危機の収束に躍起になっているようです。 まあ、不安を煽りたい売り方は、事実上のデフォルト状態に陥った1998年の「ロシア危機」を連想させようと様々な材料や見通しを市場に流すかもです。 しかし、現時点で、ロシア中銀の外貨準備が枯渇する可能性は低いのです。実際、ルーブルの対ドル相場は昨年12月半ばに一時1ドル=78ルーブル台と過去最安値を更新しましたが、その後は持ち直しています。また、12月26日時点の外貨準備高は3885億ドルと、高水準を維持しています。 そうこう考えると、ギリシャ問題は総選挙の25日で、いったん材料出尽くし。原油安に関しては、最大で1バレル=20ドルくらいまで下がるかもしれないけど、苦しいのは産油国だけで、原油安は多くの先進国にはポジティブ材料なので、問題なしとみておけばよさそうです。 相場の調整局面では「ヒット・アンド・アウェイ」が基本 テクニカル的に、日経平均株価は昨年12月30日の大納会に25日移動平均線(30日現在1万7515.04円)を割り込みました。これが調整入りのサインでした。 日経平均チャート(日足・6カ月)*チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより 今後、同線を上回るまでは、日本株の調整は続く見通しです。調整期間中の物色対象は、直近IPO銘柄がメインになるとみています。小さいエネルギーで相場になる可能性が高く、需給的なシコリがない点が魅力だからです。また、前日引け後から当日寄り前に流れた、新聞やTV発のニュースや記事等を材料に、日替わりで物色対象がクルクル変わることも予想されます。
このような相場では、「ヒット・アンド・アウェイ」が基本になります。 「ヒット・アンド・アウェイ」は、ボクシング用語で「打った後にすぐ後退して、距離を取り、相手からパンチをもらわないようにする戦術」です。 すなわち相場では、「買ったらすぐ利食い、または損切りをし、万が一、下がっても致命的なダメージを受けないようにする戦術」です。とにかく、1回のトレードで値幅を狙わないことです。 相場の調整局面では、資金の逃げ足は非常に速いのです。多くの短期筋は宵越しの株は持ちたくないはず。こんなときは、1回のトレードで多くの利益を狙わず、手数を出して小さい利益をコツコツと積み上げましょう。 なお、そんなチマチマしたトレードはしたくはないと思う、めんどくさがり屋の方は、日経平均株価が25日移動平均線を超えるまでは「休むも相場戦略」を採用するべきです。調整が終了するまでは、相場に手を出さず、眺めるだけにしておきましょう。(笑) http://diamond.jp/articles/-/64686 |