http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/665.html
Tweet |
富坂聰氏
「終わりの始まり」に立っている中国経済 拓殖大教授・富坂聰氏
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150105/frn1501051540001-n1.htm
2015.01.05 夕刊フジ
中国経済の2014年を西側メディアの多くは「バブル崩壊との戦い」の年だと位置付けた。だが現実にはそうはならなかった。バブルではあるが、ハンドルできない問題ではなかったからだ。
かつて日本では、大蔵省(当時)が総量規制を仕掛けて一気に不動産価格が下落。銀行の財務体質に深刻な影響を及ぼしたために中小企業に対する「貸し剥がし」、「貸し渋り」を引き起こし、その影響が経済全体を冷え込ませた。この、いわゆる「日本型不況」には、中国は恐らく今後も陥ることはないだろう。
中国では、不動産の価格高騰を制御するため、政策を段階ごとに細かく設定していて、いわばブレーキとアクセルを小刻みに使い分けている点がまず日本との違いとして指摘されるからだ。
さらに、国の財政赤字がまだ問題にならない程度に収まっていることも強みと考えられる。
日本でよく指摘されるシャドーバンキング問題については、いずれ地方債務の問題として重くのしかかることが予測される。が、同じタイミングで大規模な破綻が重ならなければ処理は可能だといっていい。
そもそもシャドーバンキングは、中国独特のもので日本人が正確にその実態を把握できているわけではない。
これは“地下金融”に属するもので、投資者はある程度まで破綻を覚悟で回しているマネーなのだ。だからこそ10%の金利を得られるのである。事実、一部ではもういくつかのシャドーバンキングが破綻しているが、どの銀行も責任を取ったことはなく、うやむやになっている。
では、15年からの中国経済は安泰なのか。実はそうではない。むしろかなり厳しい状況に陥ってゆくと予測される。
それはバブル崩壊のような一過性の病気ではなく、避けられない「老化」のような問題だ。
急速な成長を遂げた国は、年齢とともに発展の形を変えざるを得ない。誰もが青春のままではいられないのと同じだ。
これを「中所得国の罠」というのだが、どの国もここで苦労する。言い換えれば、40代で突然失業してしまうようなものだ。
では、今後の中国経済を引っ張るものは何か。
政府の思惑は消費による牽引(けんいん)だ。中国人の消費パワーのすさまじさはもはや説明の必要もないが、彼らの力の源泉は不動産の値上がり益である。
「月収は10万円なのに資産は2億」という人は都市部にあふれている。だが、今後の中国にそんな“幸運”は訪れない。
より深刻なのは産業で、中国は政策的に国有企業に市場を独占させて、その利益を国の歳入としてくみ取っている。その甘やかされた国有企業の体質が国際競争力の点で大きなマイナスに作用する。
中国は、バブル崩壊後の10年で長い経済停滞に陥ったかつての日本の轍を踏もうとしている。「終わりの始まり」に立っているのだ。
■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持ち、圧倒的な取材力で中国の現状を追い続ける。著書に『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など多数。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。