http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/650.html
Tweet |
平川克美氏(事業家・文筆家)がゲスト出演した2014年8月5日放送の文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」の一部書き起こしです。音声は下記URLで聞くことができます。当該個所は8:40あたりからです。
【平川 克美】グローバル化にうんざりしてませんか?(大竹まこと) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Fmi2vF6E_1A
(書き起こしここから)
大竹:さて、今日はですね、ご本を紹介するんですが、「グローバリズムという病」というご本ですが、表紙にはりんごが朽ちていく写真が1つだけ、今にも朽ちそうなりんごの写真が象徴的ですが、これは多分あっと言う間に腐ってしまうんでしょうね、このりんごは。
平川:でしょうね。
大竹:グローバリズム。何ですか、正体は。
平川:皆さん、誤解されている方が多いんだけれども、グローバリゼーションとグローバリズムというのは全然違うものなんです。
眞鍋かをり:そうなんですか。
平川:グローバリゼーションというのは、世界の物が隅々までどんどん流通していって、飛行機ですぐ外国に行けるとか、国境が低くなって地球がだんだん小さくなると。そういう自然の現象ですよね。科学技術が進歩して文明が進展すれば、世界が交流してくると。
眞鍋:それがグローバリゼーション。
平川:要するにグローバル化ということです。グローバル化は、いい面と悪い面があるんですよ。
大竹:はい。
平川:グローバル化することによって、例えば地域の産業がずたずたにされたりですね、あるいは文化がなくなったりというようなことが起こるわけです。ですから、そのグローバル化が進んでいく時に、それに対して人間は何か対処していかないといけないんだけれども、むしろそのグローバル化を利用してビジネスをどんどん進めていこうと。要するに非効率的なものはどんどん潰していって、世界を1つの市場にしてというふうな形、そういうのをどんどん推し進めましょうというイデオロギーがグローバリズムなんです。
大竹:はい。
平川:ですから、なんとなくグローバル化とグローバリズムが一緒になっちゃっていて、これに乗り遅れたら大変だみたいな話になってますが、実際は乗り遅れたら大変だじゃなくて、グローバル化が進んでいるわけですから、それにどうやって付き合うかっていう知恵を出さなきゃいけないと。そういう所になかなかいかないんですね。
大竹:はい。グローバリズムはあれですね。国民国家というフィクションを終わらせる役割を担っているというふうにおっしゃってますね。
平川:結局このTPPもそうですがね、グローバリズムっていうのは企業の側ですよね。いわゆるコングロマリットと言うか、多国籍企業の側からの要請なんですよ。で、何が邪魔かって言った時に、国がいわゆる関税を掛けて自国の産業を守ったり、そういうのが邪魔なんですよね。結局ね、国というものがもう邪魔になっている。超国家主義なんですよ、グローバリズムは。
大竹:はい。
平川:ですから、国というのはじゃあ何でできたのかって言うと、いわゆる企業ができた時代と株式会社という制度ができた時代と国ができた時代と、ほとんど一緒なんですよ。17世紀の中頃から終わりにかけて。同じ頃にできたんですね。両方ともすごいこれから社会が遠隔貿易がどんどん進んでいって、それから産業革命が起こる。つまり、世界全体が物凄い右肩上がりになっていくときに作られたフィクションなんですよ。
大竹:フィクション?
平川:フィクションです。これは人間が作ったものです。その前はないんですから。株式会社の歴史なんていうのは350年ぐらいしかないんですよ。100年ぐらいは禁止されていましたから、実質250年ぐらい。まだ株式会社がない時代の方が多かったんだけど、この250年の間に株式会社が要するにどんどん資本を蓄積してですよ、全てを自分たちが生きやすいように世界を作り変えるっていうんですか、なんでも物で買い取るっていうような方向に進んで来たと。
大竹:アメリカができてから200年ちょっとですから、それと同じぐらいの感じですね。
平川:それよりちょっと前なんですが、そうですね。そういう形でできたんで、今問題なのは、まさに右肩上がりの時に作られたフィクションですから、右肩下がりとかあるいは定常状態で上がりも下がりもしないというのを想定していないんですよ。つまり、資本と経営を分離するというのが株式会社の一番の特徴で、要するに株、それでお金を調達するわけですね。株を買う人は、必ず将来これが右肩に上がっていって増えて戻ってくるから株式投資をする。
大竹:はい。
平川:これ、必ず下がりますよって言ったら誰も株式投資をしない。そうしたら株式会社は成立しないですよ。今、実は起きているのは、これは誰も言っていませんが、株式会社が終わりつつあるんですよ。株式会社というシステムは、理論的には右肩下がりになれば終わるんですよ。
大竹:会社を作って、それでこの会社を大きくしようとした時に株を発行して、それで多く資本を集める。この会社は一気にボンっと膨らむ。お金がぎゅっと増える。これが株式会社。
平川:そうですね。
大竹:成長戦略の中にあるシステム。
平川:はい、そうです。これが、株を発行した。誰も買わない。それは結局、株式会社である必要がもうないわけですから、普通の今までその前にあったオーナー企業ですよね、この形式でいいという話になってしまうわけですね。
(中略)
平川:国も、要するにそういった右肩上がりの時に。国自体ができた理由は、右肩上がりを見込んでできたわけじゃないんですよ。これはその前の30年戦争みたいなヨーロッパで国がない時、いわゆる封建領主たちが争ってやるからもうやめようやと、お互いにエリアを小さく分けてそれぞれ内政不干渉で住み分けをしようという工夫から・・・。
大竹:それで国ができた。
平川:それで国ができたんです。今の近代国家の元っていうのはウエストファリア条約っていうところからできてくるんですが。
大竹:そうなんだ。
平川:そうなんです。ところが、その中で色々国の制度を作りますね。年金の制度だとか保険の制度だとか。これは右肩上がりを当て込んだ制度なんですよ。
大竹:なるほど。私たちが将来もらえるであろう年金は、右肩上がりが前提なんだ。
平川:そうです。全て右肩上がりが前提で作ってますから、これで実は、2004年、2005年、2006年あたりから日本は、人口がドラスティックに減少し始めていると。これはとんでもないことが起きちゃったわけですね。人口がどんどん減っていくということは、税収は上がらないっていうことですから。それから生産力も上がらないってことですから。
大竹:はい。
平川:つまり、これまでの右肩上がりが終わったと。これでまた人口が増えればいいですよ。でも、人口調査庁がやっているのは、向こう50年あるいは100年にわたって人口は減り続けるって言っているわけです。おそらく僕はそのとおりだと思っているんです。
これは、右肩上がりの様々なシステムが賞味期限を終えて、次のフェーズに今、次々と入っている段階なんですね。これは文明史的なものなので、今日明日どうなるじゃないんですが、向こう50年ぐらいの間には必ず、右肩に今度は上がらない時にどうしたらいいのかというふうに、制度を変えていかなきゃいけない時代に実は入っていると。
ところが、企業はとにかく右肩に上がらないと自分が潰れちゃうから、企業にとっては死活問題なんですよ。
大竹:そうですよね。
平川:だからもう最後の命をかけた戦い。これがグローバリズムなんです。右肩上がりにするためにはどうしたらいいか。貧富の差を作り出す。変な話なんですがね。つまり、右肩に上がっていた時の状態ですよね。まだ貧しい状態、それから色んな所で争いがある状態、貧富の格差がある状態、フロンティアがたくさんある状態に戻そうというのがグローバリズムですよ。
大竹:それはもっと言えば、近しい者たちを分断する作業っていうことですか。
平川:そうですね。ですから、中間層が日本の場合は戦後ずうっとできたけど、なくなっているじゃないですか。
大竹:例えば、正社員と派遣社員、こう置き換えたとこで、ここに争いが起きますよね。派遣とパート。若い人と年寄り。前期高齢者と後期高齢者。ここも争う原因だし、もちろん外国から入ってくる労働者。これに対しても排外主義的なことが。要するに貧しい者たちが、福島もそうかもしれませんけども、あちこちで分断されている。富を持っている者は一部だけがその時代の富を感受する。
平川:一部の富を持っている人たちが、実は物凄く富が膨らんじゃって、要するに資産蓄積が物凄い状態になっているわけです。これはどのくらいになっているかというと、最近話題になっているトマ・ピケティの21世紀の資本論にも書いてありますが、要するに第一次大戦の前ぐらいの状態にまで広がっちゃっているわけですね。貧富格差というか、要するに働かないで金儲けしているやつが物凄い金持ちになって、働いているやつはどんどん貧乏になるという状態なんです。
大竹:それは要するに、ピケティ、僕はちょっと粗かじりでよくわかりませんけども、さっきから企業の話をここでなされてて、物を作って売る。だから、企業がこのグローバリズムの中で死活問題の戦いを繰り広げている。で、格差が広がる。一方で、物を作らない人たち。
平川:これはその企業のオーナーです。つまり株主です。経営者じゃなくて株主。
大竹:株主。この国に投資して、バブルを起こして、それで富が増えたらガサって持っていくと。しかも、この物を作るとか製造とかそういうことをやっている人たちよりも、ピケティは、この企業の役員とかその株を持っている人たちの方が、何も作らない人たちの方が、利益が大きくなっちゃって。
平川:これは常に何も作らない人の方が利益が大きいんですがね。常に大きいんですが、その差が今、5倍とか6倍なんですよ。つまり、GDPよりも5倍・6倍の規模で資産蓄積の方が大きくなっている。
大竹:GDPが1.2%ぐらいだとすると、その何もしない人たちは6%ぐらいの富が増える。
平川:そういうことです。そういうことになってしまっていると。これは歪ですよね。
大竹:このりんごの腐り方はもう少し速そうですね。
平川:まあでも、企業も必死ですからね。とにかく自分たちの権益を守るための戦いを続けていくと。
大竹:それに対抗するのは・・・。
平川:ないんですよ。
大竹:ないけども、平川さんのやってらっしゃることは、今農業もちょっと始めたっておっしゃったけど、地産地消でしかも成長なんかしないだろうと。だったらば、自分たちの周りだけの倹しいお金でやっていく楽しい方法があるんじゃないか。
眞鍋:どうでしょうか、そういうね、これから先の時代、じゃあどうしたらいいんだという人、多いと思いますが、このグローバリズムの過去と現状、この先の予測も書かれた経済エッセイです。「グローバリズムという病」。東洋経済新報社から現在好評発売中です。ぜひそちらの方をお読みいただければと思います。
平川:せこい話じゃないですから。せこい話をしてるんじゃなくて、まっとうに物を考えましょうということなだけです。
(書き起こしここまで)
[関連]
グローバリズムという病 | 東洋経済
http://store.toyokeizai.net/books/9784492314500/
「グローバリズムという病」にかかった日本 | 東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/45363
【書評】東京新聞:グローバリズムという病 平川克美 著
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014102602000175.html
大竹まこと ゴールデンラジオ
http://www.joqr.co.jp/golden/index.html
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。