30代になっても続く返済… 19万人が延滞する「奨学金」問題はなぜ起きたのか？
http://wotopi.jp/archives/13873
2014.12.26　ウートピ

「返済のため風俗店でバイトをする女子学生が増加している」といったニュースが飛び出すほど社会問題化している奨学金。堀江貴文氏がTVで「こんなことまでして大学行かなきゃいいんですよ」とコメント、賛否両論呼んでいる（参照：「堀江貴文氏が借金して進学することを批判」http://japan.techinsight.jp/2014/11/gojimu_horietakafumi_daigakuzennyuujidai1411291732.html）。

実際、筆者も450万円借りた奨学金を毎月3万円弱ずつ返済しているが、30代後半になっても完済はほど遠い。アラサー女性にとっても人ごとではないだろう。

■奨学金の延滞が19万人

現在、奨学金問題と言われているのは主に「日本学生支援機構」（以下、機構）の奨学金のことだ。最もよく知られ、高校在学中から予約できることもあって、多くの人が大学、短大、専門学校等への進学にあたり利用している。

「奨学金」には返さなくて良い奨学金もある。
http://syougakukin.liblo.jp/archives/67540341.html
しかし、今、問題となっているのは、この機構の“返還の義務のある貸与”だ。その上、無利子の奨学金の枠は限られており、多くの人が有利子で借りている。機構の発表によれば、一昨年末時点で奨学金を返済している人は約290万人、それに対して3か月以上延滞している人は約19万人となっている（参照：平成24年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果http://www.jasso.go.jp/statistics/zokusei_chosa/24_chosa.html）。

■奨学金がなぜ社会問題となったか

なぜ機構の奨学金が近年社会問題化したのか。理由の一つは、若者の雇用情勢の悪化だ。皆が正社員として就職し、年功序列で賃金が上がっていった時代には、返済が比較的スムーズに行われたため問題とされなかったのだろう。しかし、低賃金での非正規労働の広がりや、正社員でも賃金上昇が望めない人も増えた中、返済が難しくなってきたわけだ。

さらに、学費の上昇による負担増に、家計収入の落ち込みが重なり、奨学金の利用が増加していることもある。機構の「学生生活調査」によれば、昼間部大学生の年間平均授業料は、平成16年から平成24年の8年で約6万円増の約87万円。それに対して、家庭が学生に対して負担できる給付額は減少、下宿等で親元を離れて暮らす学生の仕送りはこの間約30万円減少している。その分、増えているのが奨学金で、8年で約10万円アップの41万円が平均となっている。
http://www.jasso.go.jp/statistics/zokusei_chosa/24_chosa.html

■執拗な取り立て、ブラックリスト登録

こうした社会情勢に加え、奨学金問題対策全国会議は機構の対応が追い打ちをかけている現状を指摘する。一つは、救済手段が不充分な点だ。機構は返還期限の猶予や減額返還制度、返還免除の制度を設けているが、利用条件が厳しく、運用上もさまざまな制限があることが指摘される。周知が不十分で利用できる人も利用していない現状もあるようだ。
http://syogakukin.zenkokukaigi.net/

さらに、同会議は回収強化策が時代に逆行すると糾弾する。執拗な取り立てに加え、いわゆるブラックリストへの登録も始まった。

また、奨学金を借りる際には保証人、連帯保証人が必要な点も問題とされる。自分が返還できなければ、保証人になってくれた親や親戚に請求がなされることを恐れて自己破産もできないというのだ。

■そもそも奨学金はどうあるべきか？

返済の滞りがちな人の救済や高すぎる学費の引き下げ、返還の必要のない奨学金を増やすことも大事である。また、生活保護世帯や児童養護施設入所者など保証人を立てられず奨学金自体が借りられない若者の対策も必要だ。

しかし、そもそも奨学金を借りてまで進学する必要があるのか、というのも問題だ。確かに、大学を出たからといって良い就職先がある時代ではない。また専門学校も玉石混淆で、教育内容や就職指導が極めて不十分で、お金を払って進学する価値がないと思われる学校も残念ながらある。アラサーの今となっては「あの学校、借金してまで行く価値なかった……」といった体験をしている読者もいるだろう。

進学の必要性について議論する際の、大きな条件は就職だ。高卒就職の状況が良好で、良質な仕事が得られれば、就職希望者が増えるだろうし、高卒後の公的な職業訓練が増えるのも良いだろう。現在は数が少なく、学べるものも限られる公共の職業訓練大学・短期大学を、例えば、介護や保育のような人材不足の分野についても学べるようにするなど、幅と受け入れ人数を増やしてはどうだろうか。そろそろ高校卒業後の教育とお金について抜本的な議論もあって良いように思う。

（鈴木晶子）

コメント
01. 2015年1月05日 07:00:32 : juiBwTvNDo 奨学金問題の根本の原因は別にある。 米国に貢ぐ目的の特別会計制度 国立大学の独立行政法人制度で大学が稼がなくてはいけなくなった 小泉・竹中構造改革の新自由主義導入により、私学も内部留保を高める必用が生じた 中国、韓国の留学生の学費はタダ 根底にあるのは、政治家のバカ息子バカ娘の立場を既得化するために、優秀な若者が出てこられると困ること 米国は強烈な学費高騰により、志願兵を急増させた 戦争が起きなくとも、人工地震が疑われる大震災によりフクイチが終息できていないこと つまり、投稿のような、小手先の平和的解決は もはや根本的な方策ではないこと 教育費に国がまともな予算を立てずに、オスプレイいいち100億円×10台とか購入し、多額の防衛費というか軍事費用に回していること これが問題の根底にある。
02. 2015年1月05日 07:32:11 : juiBwTvNDo 必用が→必要が オスプレイいいち→オスプレイ一台 軍事費用→軍事費 その他諸々妙な言い回し、すみません。
03. 2015年1月05日 14:30:32 : 9Yvyco93qU 奨学金の問題は 金融機関が確保している貧困ビジネスモデル。
04. 唐行きさん 2015年1月05日 21:36:49 : qhq/4d/3jpsEA : HHzifh7XKM 「奨学金」？ 「サラ金」！ 「国債」の「金利」は？ 「奨学金」の「利息」は？ 「延滞利息」の「金利」は？ 「資本主義」の「終焉」がその「根底」！ つまり、「２０００年」以降の「ゼロ金利」！
05. 2015年1月06日 02:07:45 : f5wCgWXG2k 　そもそも奨学金を借りて大学進学させる家庭は、団塊の世代より先ではあるが、まだ少々成長の名残りが有った親の世代ではなかろうか。住宅ローンがあるために、出来れば奨学金で入って欲しいという軽い気持ちだったのだろう。 　　　ところが１００社受けても面接にこぎ着けることすら出来ない近年になり、目算が狂ってしまったということだろう。親の世代も定年までは間が有るものの、リストラに合えばたちまち住宅ローンの支払いにすら困窮する。 　　　全てが民衆にしわ寄せが来るのは、自民党という保守政権が続いた事も要因だろう。政権交代がスムーズに行われていれば、経営側の立場に立つ保守政権で国益を増し、その後の政権交代で労働党的政党が民衆へ富を還元するという流れになったのだろう。が、財布を握り采配しているのが常に同一の官僚機構であるからには、政権交代によっても富の確保と還元の交代は不可能だったかも知れないが。 　　　ところで、集団的自衛権行使法を成立させたものの、本格的に走り出せば要員確保が課題となるだろうが、そのような際に「奨学金が返せないのですか、大丈夫直ぐに返せますよ」と、喪黒福造のような口ぶりで勧誘するつもりでいるのだろう、と思ってしまうのであるが。
06. 2015年1月06日 10:49:45 : u41ShKyHb2 勉強がしたくても出来ない学生に、国として優秀な人材を確保する為にも、無駄な所に税金をばら撒いて、使っているのだからもっと真剣に考えるべきです。世襲議員が多い自民党では国民生活の大変さなど解っていないのでしょう。そういう人間ばかりが議員になって自分達の利益ばかりを追及している政治に国民は覚醒しなければならない。韓国、中国の留学生には手厚い配慮をして、自国の貧困学生には冷たい、今の安倍総理の外国に行ってはばら撒いている体質そのものです。
07. 2015年1月06日 18:37:53 : 0TQkKJo5EU 低賃金での非正規労働の広がりで、 返済が難しくなってきた。 ↓ 気の毒です。親たちも困窮生活でスネかじりできない・・・。

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