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ドル高はアメリカのためになる? photo Getty Images
ドルの上昇は米国の国益に適うか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41635
2015年01月04日(日) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
2015年の世界経済はどう動くだろうか。2014年の経済環境を振り返ると、米国の堅調さが目立つ展開だった。2014まで、米国の株式市場は3年続けて2ケタ台の上昇率を記録した。それは、投資家の米景気への期待が高まっていることを反映している。
2014年、株式市場と並んで、ドルの上昇も顕著だった。それは、円が対ドルで年初の105円台から年末の120円程度にまで下落したことを見ても明らかだ。今後もドル上昇を見込む市場参加者は多い。しかし、ドルの上昇が続くことは米国にとって良いことなのか。
■なぜドルは上昇したのか
米ドルの上昇は、利上げ観測という期待にドライブされている。米国の失業率は11月には5.8%まで低下し、リーマンショック前の水準を回復した。住宅価格も緩やかに回復している。これは今後、FRBが金融政策を引き締めるだろうという期待を高めている。
同時に、ドル以外に買うものが見当たらないことも事実だ。ユーロはデフレリスクやギリシャの政情不安に直面している。中国経済の減速を受けて資源価格が下落し、ブラジルレアルや資源国の通貨も軟調だ。それは、世界経済が米国頼みであることを示している。
加えて、米国のインフレ見通しは安定している。短期のうちにFRBのターゲット水準である2%の物価が達成されるとは考えづらい。そのため、市場ではFRBは利上げを急ぐ必要はなく、景気回復が阻害されることはないという見方も増えているようだ。
■“強いドルは国益”とは限らない
2015年もドル強気の見方が目立つ。この見通しの裏側には、“強いドルは国益”、という考えがあるのかもしれない。しかし、これを正当化する論拠は乏しい。事実、オバマ政権は米国の輸出促進を継続している。輸出にとって通貨の上昇はプラスではない。
米国はシェールガスの開発を進め、米国産の天然ガス等を世界に輸出しようとしている。だが、原油価格の下落がこうした輸出振興策の妨げになっている側面もある。新興国の需要低迷に加え、ドル高が原油価格を下落させている可能性もある。
投資家にとって、ドル上昇の期待が描きやすいことは重要だ。だが、それは米国の実体経済にとってはマイナスの側面を孕んでいる。それは軽視すべきではない。ドル高が米国の輸出振興に逆風と判断されれば、政府高官からのけん制論が出されてもおかしくはない。
米国の景気回復が利上げに耐えられるのかどうかは不確実だ。FRBの利上げによって新興国の通貨や株式への売り圧力が高まれば、ドル高、そして米経済への逆風も強まるだろう。それは円高圧力を高めるファクターだとも考えられる。
通貨の動向は、上昇、下落、いずれの場合においても、正負両面の経済的なマグニチュードを孕んでいる。足許の市場は米国頼みの景気回復を期待し、ドル高一辺倒に傾きやすい。それだけに、ドル高反転につながる材料が出た際、“期待”の低下を受けて、為替レートの調整圧力は大きくなりやすいといえるだろう。
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