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マイナス貯蓄率の時代  櫨浩一
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/597.html
投稿者 ダイナモ 日時 2015 年 1 月 01 日 13:06:58: mY9T/8MdR98ug
 

家計貯蓄率がマイナスに

内閣府が発表した2013年度の国民経済計算確報によると、低下傾向にあった日本の家計貯蓄率はついにマイナス1.3%となった。

日本の家計貯蓄率は1970年代半ばには20%以上もあったが、2000年代に入る頃には5%程度に低下していた。日本の家計貯蓄率が低下してきたのは、人口の高齢化によるところが大きい。

日本の高齢者は年金をもらっても貯蓄してしまうという誤解があるが、引退して仕事をしなくなった高齢者は、公的な年金に加えて自分が蓄えた貯蓄を少しずつ取り崩すことによって生活しており、貯蓄率はかなりのマイナスだ。人口の中で貯蓄を取り崩す高齢者の割合が高まることで、日本の家計貯蓄率は徐々に低下してきた。

我田引水でお恥ずかしいが、筆者はかつて「貯蓄率ゼロ経済」という本を書いている(*1)。2020年頃には日本の家計貯蓄率がゼロになり、日本経済は大きな変化を経験するという趣旨だった。

出版当時は、日本の貯蓄率がゼロになり経常収支の黒字が消滅するという筆者の予想に対して懐疑的な反応が多かった。しかし現実は、筆者の予想を上回るスピードで家計貯蓄率が低下して、2020年を待たずにマイナスに突入してしまった。


貯蓄に対する発想の転換

日本経済が需要不足に悩まされる中で、貯蓄優遇は消費を抑制するとして否定的に見られることが多かった。家計は手取り所得の中から毎月の消費支出を賄い、残りを貯蓄する。貯蓄率が高いことは消費に使われるお金が少ないことを意味するので、特に日本の貿易黒字を批判する海外から問題とされることが多かった。

日米の経済摩擦が激しかった時代の応酬と言えば、米国が日本の貯蓄過剰を批判し、日本は米国の貯蓄不足を指摘してやり返すというものだった。

米国が批判の槍玉にあげたのは、マル優、特別マル優と呼ばれた貯蓄優遇制度であった。少額貯蓄非課税制度によって、一人当たり300万円までの預金の利子が非課税とされ、郵便貯金は300万円まで、国債も特別マル優(少額公債非課税制度)で300万円まで非課税だったので、合計すると一人当たり900万円までの貯蓄が非課税だったことになる。

こうした貯蓄に対する非課税制度は、日米協議の結果1988年に原則として廃止となっている。

バブル崩壊後の経済では需要の不足が常に問題となり、常に消費の拡大が課題とされてきたが、これはとりもなおさず貯蓄率を引き下げようとしていたことになる。しかし、貯蓄率がマイナスになった現在、貯蓄に対する発想の転換が必要になっているのではないだろうか。


老後生活の自助努力促進

家計貯蓄は、企業が資金を借り入れて設備投資を行ったり、政府が国債を発行して財政赤字を賄ったりするための原資である。

日本の高齢化がさらに進み、貯蓄を取り崩す高齢者が増えることは誰の目にも明らかだ。家計貯蓄率がさらに低下して企業の投資や財政赤字を賄う資金を国内だけで調達することができなくなれば、海外からの借り入れに頼らざるを得なくなる。

日本の家計貯蓄率がマイナスとなったことは、とにかく家計にどんどんお金を使わせれば良いという発想だけでは日本経済の抱える問題を解決できない時代になったことを意味している。

日本経済全体としてみると家計貯蓄が多すぎるという問題は無くなったのだから、日本社会にとって必要な貯蓄を奨励することにも眼を向けるべきではないか。

2060年には65歳以上の高齢者の割合が約4割となる日本では、公的な制度だけによる老後保障には限界がある。こうした状況下で余裕のある老後生活を実現するには、個々の国民の自助努力を促す以外に方法はない。

老後対策として家計の自助努力をサポートするための貯蓄優遇制度の充実なども、真剣に考える価値があるのではないだろうか?


http://bylines.news.yahoo.co.jp/hajikoichi/20150101-00041885/  

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コメント
 
01. 2015年1月01日 17:06:20 : oA9GE6uXgc

貯蓄率低下は人口オーナスの時代だから自然な流れ

筆者に限らず、既に以前から予想されていたことだ

>家計貯蓄が多すぎるという問題は無くなったのだから、日本社会にとって必要な貯蓄を奨励することにも眼を向けるべき

フローとしてはマイナスだが、ストックとしては、まだ大きいから

特に貯蓄を奨励する必要もないし、

現役世代の貯蓄率自体は下がっていないから

現実に意味もない

それより、高齢者への社会保障を削減できるように、健康寿命を延ばし、

一方で、規制緩和などで高齢者向けの雇用機会を増やす方が良いだろう

http://www.tbr.co.jp/pdf/reserach/key_a103.pdf
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140519/264925/


02. taked4700 2015年1月01日 19:07:59 : 9XFNe/BiX575U : FjjEb6rYYQ
元記事の筆者の方も01さんも事態を楽観視しすぎだと思います。

1.貯蓄率マイナスは二つのことを実質的に意味しているのです。人口の高齢化と高齢者の年金頼み生活という高齢人口問題がひとつめ。もう一つは、若年労働者の貯蓄がほとんどできない構造的な経済問題です。

2.こういったものの背後にある構造的なものは、人々の自立化がどんどんと崩されていて、巨大資本による支配が進んでいるからです。上の投稿記事にあるように、昔は、といっても昭和の50年代から60年代ですが、老後を過ごす老人の多くは畑仕事をし、自分の食料は自分で作るという方がかなり多かったのです。田舎では今でもその傾向が強いと思いますが、昭和の時代は都市近郊でもこういった傾向がかなりありました。そして、だからこそ、貰った年金を使わずに貯金へ回せたのです。今の経済はあまりに利益追求がされてしまい、雇用維持が出来ていないのです。昔ならあまり歩くことが出来ないような老人が門番をやったりして経済の片隅を占めることが出来ましたが、今では、機械化が進んだり、警備の高度化がされたりしていて、なかなか高齢者が出る幕がありません。中小企業が多ければ、以前と同じような雇用形態が維持できたはずですが、日本の政策は大企業優遇を徹底したため、合理化と生産性向上が優先され、高齢者と未熟練若年層が正規の仕事から追い出されてしまったのです。

3.更に、こういったものの背後にある問題を探ると、アメリカ経済の特殊性があります。アメリカ経済は移民、それも不法移民によって維持されている面が大きく、一般に言われる資本家と労働者という対立だけでなく、人権無視というか、人を単なる安い労働力としてしか見なくても人が集まるという不法移民社会があるために成立しています。基本的に派遣労働制度は不法移民が多数いたために成立した労働制度であったはずで、アメリカの真の意味の社会問題は富裕層対移民層の対立なのです。なお、200年前は今の富裕層も移民でしたが、ここで言う移民とは主に1900年以降アメリカに移民してきた人たちです。

4.経済理論はいくら経済のグローバル化が進んでも、それぞれの社会の特殊性を考慮しなければ実態からかい離してしまいます。今の経済政策が日本社会の実態からかい離していて、アメリカの後追いばかりをしている点が問題なのです。この原因はアメリカ資本が日本社会に入って来ていて、彼らの株主としての意向を無視できなくなっていること。そして、経済精査う決定に際して発言力のある方たちがアメリカ寄りの発言をしていることです。そういった経済人の多くはアメリカの政財界によって養成された人たちであり、彼らは現実のビジネス経験があるというよりも単にアメリカによって作られた人たちです。


03. 佐助 2015年1月01日 19:14:54 : YZ1JBFFO77mpI : cLoPFxP7a2
2007〜10年にスタートしている第二次世界金融大恐慌は、米国発であるという認識で、世界のマスコミは一致しています。でも、日本が経験した90年代バブルの発生は、今回の世界信用危機の前兆でした。そして、その危機脱出のために、日銀は公定歩合のゼロ金利政策を採用しました。


このゼロ金利政策こそ、今回の第二次世界信用収縮恐慌の炸裂威力と範囲を拡大した根因なのです。その破壊力の全貌は、いまだに明らかになっていません。ヘッジファンドと投信が、金利ゼロの円を借りまくり、高金利の国の通貨と株や債権や石油や原材料を買いまくりました。そして、自己防衛のため短期間に売り逃げました。

このゼロ金利政策こそマイナス貯蓄率の時代を予測するものであった。少子高齢化のセイではありません,家計貯蓄率は1970年代半ばには20%以上もあったのは,10年ものなら郵便局でも信託銀行でも,貯金は倍になったのです。100万円で200万円なりました,当然100万円は消費に使えたものです。今はほぼ,ゼロです。ゼロ金利からタンス預金が増えたともいわれたものです。

だが世界恐慌では,借金が売上を上回る。そのために、その縮小スピードを、景気の縮小速度より遅延させれば、倒産消滅は避けらない。そのために企業は323兆円?もの内部留保を抱えるほどになった。しかし慣習期の商品にあぐらをかき、市場拡大のインパクトのある商品を開発できなかった企業は、縮小&倒産は避けられない。つまり逆に市場は動くことになる。


日本のゼロ金利の円が果たした役割は大きい。株式では89年、土地では90年が第一次バブル期の頂点だ。日本の銀行が、預金・貸出・資産ともに世界の銀行のベストテンを占有していたことを、もう忘れた日本人は多い。欧米の政府と銀行は怒り、日本の銀行に、その株と土地の含みを資産(購入価格との差)として計算する会計の変更を迫った。なぜなら、日本の銀行が、世界一の預金残高に加えて、株と土地の含み資産会計を土台として、貸出を膨張させていると思ったからだ。

本当は、貿易黒字で溜まったドルが、ペッグ的効果(キンを保有するドルが間接的に円の信用を高め)を発揮したからである。だが、誰もそう考えず、株と土地の含み資産会計を死守した円は、世界の著名なビルや城やゴルフ場の買い占めを続けた。

だが、株と土地のバブルは永遠に継続するという神話は崩壊した。しかし「株と土地のバブルさえ復活すれば、すべてが好転する」という思考から脱出することができなかった。そのため、次々に発生する目先の処理に追われ、根本的解決が先送りされた。

だから失われた十年は先送りされた十年である。そして二十年、経済は戦後最長の景気指数を継続した。そして、やっと日本の株価と土地は2005年に上昇に転じた。すると、バブルの膨張が小さ過ぎると、日本のエコノミストは不満を表明した。

「日本は、米国の住宅バブル崩壊の影響が最も軽微なのに、株価の反発急騰が低スギる。企業の業績は好調で、消費も物価も安定しているのに、株価と地価には反映されていない。石油の値上がりが米国内消費を冷やすことはチョット心配だか、日本は念願のデフレから脱却できるチャンスが到来した。日銀は迷い、金利を上げられないが、日本経済が世界の景気の足を引っ張ることなんて絶対ありえない」そうアベノミクスはエコノミスト答えた,円安で株価により救えると。傑作だマイナス貯蓄に消費税増税。世界恐慌では逆で,すべて諸刃の剣となる。馬鹿げた指導者が現れ,それを支持する有権者が17%+8%もいるとは。後は未曽有のパニックを体験するだけだ。

この巨大なバブルの妖怪の本当の姿が見えないのは残念だ。


04. 2015年1月01日 20:19:18 : oA9GE6uXgc

>>02 

全然、楽観してないから、高齢者向け対策の重要性を書いている


>若年労働者の貯蓄がほとんどできない構造的な経済問題 
>構造的なものは、人々の自立化がどんどんと崩されていて、巨大資本による支配

ピケティの指摘した格差の問題(r>g)と、少子高齢化に伴う生産力減少の問題を混同しない方が良いだろう

資産格差拡大(r>g)しても、十分に、生産性が上昇し、国内生産力が維持できるのであれば、再分配政策が実行可能であり、全く問題はない

しかし今後の日本が直面していくのは、少子高齢化と科学技術優位を失うことに伴う生産力の減少だ

それにもかかわらず、巨大な非労働者&低生産性者への分配(既得権産業、高齢者社会保障、地方向けインフラ更新)が必要であり続けることが、さらに交易条件を悪化させていく(円安インフレ)

つまり絶対的な貧困の進行が問題になるだろう


07. 2015年1月02日 09:34:03 : RQpv2rjbfs
簡単に言うと、所謂悪い魔女サッチャーが始めた最高税率の引き下げが諸悪の根源だっちゅうことですね。

最高税率を引き下げるような輩を選挙で選ぶから悪い。そんなやつらは他の事でもロクでもないことをするに決まっていた。


08. 2015年1月02日 20:17:52 : 3Vgjr61Wrc
ゼロ金利が当然となった社会も異常。

いくら働ける時代に貯めても それじゃ食えない。
よほど運のいい仕事に就いて優雅な老後を送るほど貯金できるまともな人が
どれだけいるのだろう?株など博打であたった人もいるだろうが、普通の人は
やってられない。


09. 2015年1月04日 14:38:10 : Bb3NFdM2eU
ただ、進行中の少子高齢化で政府の財政支出が増大一途、
によってバランス崩壊中で赤字増大。
で円安加速、国内資産乗っ取られ、国債外資頼み、に。

アメリカと同じ道だが、消費嫌いの国民資質、イノベーション能力なし、
生産能力拡大しても需要なく在庫になってしまう、
となるとGDP増大は望み薄。å日本への投資理由もなく一転外資撤退へ。

やっぱり長い時間をかけてアルゼンチンの後追い。


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