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図書館に異変?館数激増でも利用者増えず…ハローワークと連携し貧困者支援?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150101-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 1月1日(木)6時0分配信
少子高齢化、人口減少や地方の過疎化が進む中、公共図書館を取り巻く環境は厳しさを増している。しかし、そうした厳しい環境の中でも、公共図書館は新たな取り組みを進め、変革を遂げようとしている。
2013年末時点で、公共図書館は全国に3248館(自動車図書館は552)ある。1983年には1487館だった図書館数は年々増加し、30年で2倍以上になっている。これに伴い、蔵書数も83年の9717万2000冊から13年には4億1754万7000冊と4.3倍に増加した。
しかし、近年の公共図書館は少子高齢化や人口減少の影響、地方自治体の財政状況などを反映し、厳しい状況に置かれている。図書館数は増加しているものの、個人への貸出数は7億1000万冊台で伸び悩んでおり、図書購入費は98年の369億6972万円をピークに減少を続け、13年には285億8814万円まで減少している。同様に年間受入図書冊数も05年の2092万5000冊をピークに13年には1757万7000冊にまで減少した。
こうした状況を反映して、図書館の専任職員数も最近は減少傾向にあり、13年には1万1172人と84年の1万1128人とほぼ同数となっている。図書館数が増加する一方で、専任職員数が減少していることから、その穴埋めは非常勤職員、臨時職員、委託・派遣職員で賄われているのが実態だ。
●変革への取り組み
しかし、こうした厳しい環境の中でも、図書館は新たな取り組みにより変革を遂げようとしている。その代表的な取り組みが「図書館海援隊」だ。これは、10年1月に有志の図書館が結成したもので、ハローワーク等関係部局と連携し、貧困層・生活困窮者支援をはじめ具体的な地域の課題解決に資する取り組みを本格的に開始した。具体的には、(1)労働・生活に関するトラブル解決に役立つ図書等の紹介・提供や相談会の開催、(2)心の問題に関する図書等の紹介・提供や相談会、講演会等の開催、(3)自己啓発、技術・資格・就職に関する図書等の紹介や提供、(4)行政の支援制度に関する資料等の提供、説明会・セミナーの開催――などが行われた。
その後、趣旨に賛同した他の図書館も続々参加し、それに伴い医療機関・保健福祉センター・法テラス等関係部局とも連携しながら、医療・健康、福祉、法務等に役立つ支援・情報の提供が行われるようになっている。
中でもユニークな取り組みが、公共図書館とサッカーのクラブチームとの連携事業が全国的な規模で行われていることだろう。これは10年11月からスタートしたもので、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、日本フットボールリーグ(JFL)、社会人リーグ、なでしこリーグなどに所属しているクラブチームと協働し、図書館の情報拠点化やプロスポーツチームを核とした町づくりなど地域活性化の視点から、連携事業として開始された。読書週間を中心とした時期に、「図書館からスタジアムへ行こう!スタジアムから図書館へ行こう!」というキャンペーンを行い、相互に活性化を図った。
クラブチームに関する刊行物の図書館でのアーカイブ、特別展示の開催、常設コーナーの設置、選手・マスコットのイベントへの参加、他地域の図書館との交換展示などを行うことで、図書館は新たな利用者の獲得や図書館機能のアピール、サッカーのクラブチームは新たなファン層や広報手段の獲得が図れるという寸法だ。
こうした取り組みが評判となり、図書館海援隊活動には12年4月現在で49館が参加している。文部科学省もこの活動をサポートしており、今後も公共図書館の機能は変貌を遂げていくことになるだろう。
鷲尾香一/ジャーナリスト
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