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アマゾン、欧州との対立激化、なぜ“徹底した強気”? 低利益でも高株価維持の秘密
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150101-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 1月1日(木)6時0分配信
世界中の小売業が“大魔神”アマゾンに押しつぶされるのではないかと戦々恐々としているわけだが、ヨーロッパではこの大魔神に対抗して戦いを挑んだりもしている。前回連載では、そんなアマゾンとヨーロッパの戦いの具体例を紹介・解説しつつ、その利便性から多くの消費者は結局アマゾンを利用し続けてしまうのではないだろうかという見方を示した。
それにしても、アマゾンの強気というか我が道を行く、その徹底ぶりには感心してしまう。衆知の事実だが、アマゾンは売り上げの割には利益率が極端に低いことで有名だ。12年には売り上げが300億ドルから2倍の610億ドルになったにもかかわらず、損失を計上した。物流センターなどへの投資や配送料無料が原因だ。それにもかかわらず株価は高いので、ジェフ・ベゾスCEOは強気を貫くことができる。アマゾンは、「消費者の利益のために、投資家グループが支えているチャリティ組織」だと、皮肉を込めた呼び名をつけたジャーナリストもいる。
だが、13年度(13年12月期)の決算で売り上げが745億ドル、純利益が2億7400万ドルになると発表された際、株価は10%も下落した。売り上げの伸びが第4四半期に下がっていたからだ。特に、海外の売り上げの伸びが13%と、米国での26%に比較すると低いことが投資家を失望させたらしい。
そのため、プライム会員費を14年4月にこれまでの79ドルから99ドルに上げた。2500万人いるとされるプライム会員の年間購買金額は通常顧客の2倍だといわれ、12年の総売り上げの10%を占めているとされる。今後、更新日が来ると各会員は値上がりした会費を払ってまで会員を続けるかどうかの選択を迫られることになる。半年後くらいに徐々に明らかになるプライム会員の脱会率がどのくらいになるかが注目されている。
●アマゾンを支えるアメリカ型資本主義
いずれにしても、1994年の創業以来、これといった利益をあげることもなく積極的投資を続けることができたのは、将来性というか将来の夢に賭ける株主のおかげであり、そういった意味でアマゾンはアメリカ型資本主義が支えているといってもよい。株価が下がらない限り、アマゾンは積極投資を続けることを株主に許可されたとみる。株主にとってみれば、物流システムに積極投資をし配送無料を維持し続けるということは、市場から競争を排除することを意味するわけで、将来性は高くなる。特に売り上げの伸びが高い限りは、即日・翌日配送で配送料無料というアマゾンのオファーを顧客が支持していることを意味するから、株価は下がらない。
アマゾンというかベゾスCEOは「すべては顧客のために」と強く信じている。だから、フランスで敵対的法案が成立しても、ひるむことなく0.01ユーロの配送料金を課すという大胆な行動に出る。ドイツで労働組合と交渉したくなければ、物流センターの場所を変えても、即日配送と配送料無料を維持しようとする。売り上げが伸びるということは顧客の賛同を得ているとする、ぶれない信念があるようだ。
米国の経営者は戦略を立てる際に「シンプル」という言葉をよく使う。アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、自分のモットーは「Simplicity(シンプルであること)」と「Focus(一つのことに集中する)」だと語っていた。アマゾンのベゾスCEOも、顧客満足というたった一つのことに集中して、政府が介入してこようが、その国特有の文化であろうが決してぶれない。これは非常に難しいことであり、実際には大半の企業が状況によって妥協している。大企業だから妥協せずに済んでいるともいえるが、妥協しないでやってきたから大企業になったともいえる。どちらにしても、ブレのなさにはやっぱり感心する。
●暮らしをつかさどる二次元軸の両方で消費者にアピール
ベゾス、ジョブズ両氏を参考にして、先進国の消費者をお金と時間の視点から単純に分類して考えてみよう。
お金を持っている人は忙しく働いているので、基本的に時間がない。反対に時間がある人はフルタイムの仕事でないか報酬の低い仕事なので、お金がない。そして、働かなくても資産を親から受け継いだ富裕層タイプのように、お金も時間もある人の割合は少ない。お金も時間もない人、いわゆる「働けど働けどなお我が暮らし楽にならざり、 じっと手を見る」の層は、ターゲット顧客としては企業にとって魅力がない。つまり、アマゾンはお金と時間という20世紀後半から人間の暮らしや人生をつかさどる二次元軸の両方でアピールすることで、消費者の大半を魅了することに成功した。21世紀のこれから、この二次元軸にエコロジーが加わって三次元軸になるかどうか。そしてその時アマゾンはどのような対応をしてくるのか。注目すべきテーマである。
ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授
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