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写真はイメージ／（Ｃ）日刊ゲンダイ
“虐待施設”を見破るための３つのポイント 安倍政権が招く「介護崩壊」の現場/中村淳彦
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/156047
2014年12月27日 日刊ゲンダイ
日本が本格的な超高齢化社会を迎える“２０２５年問題”は、２０年も前から議論されてきました。２０２５年から団塊の世代が後期高齢者となります。あと１０年以内に介護従事者を１１０万人増やさなければ、超高齢化社会を乗り切れないことが分かっています。
しかし、安倍政権が決定した介護報酬の削減が決定打となり、日本中に介護難民があふれ返るのは間違いなさそうです。２０２５年問題をクリアすることは、もはや不可能でしょう。
介護現場は人材が定着せず、社会性に欠けた職員も増えて混乱しています。その結果、損害を被るのは介護施設を利用する高齢者とその家族です。
先月は東京都北区の「シニアマンション」で入居者１６０人中、１３０人が居室の外側から鍵をかけて閉じ込められたり、ベッドに手足を縛りつけられて拘束される虐待が行われていたことが明るみになりました。高齢者を拘束した訪問介護員たちは「最初は疑問に思ったが、しょうがないと言い聞かせているうちに当たり前になった」と話しているそうです。料金の安さを売りにしている施設でした。
また、介護フランチャイズ大手「茶話本舗」は、認知症高齢者をポータブルトイレにガムテープで縛りつけて猿ぐつわをするという、衝撃的な虐待事件を起こしました。元社員はこう語ります。
「利益追求を優先して急拡大したため、人材育成が追いついていないのが実情です。認知症の老人は介護職員による個別対応が必須なのに、猿ぐつわをして黙らせるのは、職員のスキルと意識が低いことと、人員が決定的に不足しているからです」
こうした事例は、決して特別ではありません。ニュースにならないだけで、日本全国で起きています。施設に入れたために、かえって痴呆が進んだり、寝たきりになったという話も聞きます。
では、どうすれば“危険な施設”を見破り、家族を悲惨な事故から守ることができるのでしょうか。ベテランのケアマネジャーに聞いてみました。
「人材を頻繁に募集している施設は職場環境が悪く、離職率が高い可能性があります。避けた方が無難です。中年男性の介護職員が目立つ施設もヤメた方がいいでしょう。助成金目当てで適性のない職員でも雇っているケースがあるからです。また最近、民間企業がこぞって建てているサービス付き高齢者住宅も、利益を優先して不要の介護や医療を勧められる恐れがあります。反対に古くから地域に根差している社会福祉法人運営の施設は、経営と人材が安定していて安心できます」
どうやら、介護の質と入居料金の高い安いはほとんど関係がないようです。高額の入居金の大半は施設の建設費や宣伝・広告費に消えてしまうことがほとんどだからです。（おわり）
▽なかむら・あつひこ １９７２年、東京生まれ。専修大学卒。ノンフィクションライター。著書に「ワタミ・渡邉美樹 日本崩壊させるブラックモンスター」（コア新書）、「崩壊する介護現場」（ベスト新書）。近著「日本の風俗嬢」（新潮新書）も話題。
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