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成功者たちの熱いアドバイスは役立たず?スキルなしの普通の人が高収入を得る方法
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141225-00010002-bjournal-soci
Business Journal 12月25日(木)6時0分配信
人材には、社会に出る時点ですでに「自分が何をやるべきか」が明確に見えているタイプと、ぼんやりとしか見えていない、あるいはまったく何も見えていないタイプの2種類あります。ここでは仮に前者を早熟型、後者を晩成型と呼びます。
早熟型は、目標が見えているわけですから、目標達成のために学生時代も一定の自己投資を行っていて、卒業と同時にすでに一定の即戦力性を持っています。職種内容で絞って就職活動を行い、複数社から内定を得られたり、20代で起業するタイプはこちらです。
一方、晩成型はぼんやりした学生時代を過ごし、大企業や官庁にポテンシャル採用されるタイプが典型で、こちらのほうが圧倒的に多数派です。大企業や官庁がおかしな採用を行ってきた結果、こういうタイプが主流になったともいえるでしょう。
筆者の見たところ、どうやら中学時代をどのように過ごしたかで、どちらのタイプになるか決まるように見えます。中学時代は高校生活に大きな影響を与えますし、その後の大学受験でがんばりすぎると、ほぼ例外なくぼんやり型になるようです。逆に大学付属の高校に入学して内部進学した人材の中に、強烈な目的意識を持った人材が散見されるように思います。
「自分はこれから何をやればいいのか?」という疑問を抱いた時点で、自分は早熟型ではなく、晩成型の人材だと考えたほうがいいでしょう。どちらが良い悪いではなく、そういうものだと割り切ってください。
さて、世の中の各分野では目立った活躍をする人たちがいて、さまざまな情報発信をしています。そのように目立つ人の多くは、早期に目標を持って自立した早熟型であり、彼らの経験に基づくアドバイスを発信しています。「後先考えずに、とりあえずやってみろ」「就職するなんてもったいない」「迷わず行けよ、行けばわかるさ」といったものです。それらは間違いなく真実のメッセージなのですが、同時にそれは早熟型の人材以外にはあまり参考にならないのです。
では、晩成型の人材は、どうキャリアを考えればいいのでしょうか。それが、筆者の唱えるキャリアデザインであり、明確な目的が見え、かつそのためのスキルが身に付くまで5年でも10年でも組織で働くというものです。『35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書』(渡邉正裕/ちくま新書)をはじめ、同様の提言をされている方が多く見受けられます。
●メリットとデメリットを見極めたキャリアパスを
筆者は「普通の人は、最初に既存の組織に入って一定期間の修業後に転職するなり独立するなりしたほうがいい」と提唱していますが、それには合理的な理由があります。ここでは、一般的な終身雇用・年功序列の日本企業のキャリアパス(職務経歴)を職能型キャリアパス、新興企業や外資系企業のそれを職務型キャリアパスとし、それぞれのメリットとデメリットを提示してみましょう。
【職能型キャリアパスのメリット】
・収入が安定している
・一定水準までは、組織に育ててもらえる
・大企業や有名企業が多く、肩書でずいぶんトクをする
【職能型キャリアパスのデメリット】
・40歳くらいまでは給料が安い
・飛び級できないので、成長スピードが遅い
・ジョブローテーション(計画的異動)されるリスクがある
【職務型キャリアパスのメリット】
・(本人次第で)大きく稼げる
・(本人次第で)早期に高専門性、マネジメントの職歴が積める
・過去の年功者を支える負担が少ない
【職務型キャリアパスのデメリット】
・(本人次第で)処遇が不安定
・(本人次第で)いつまでたっても下っ端というリスクがある
・20年後は誰にもわからない
ロールプレイングゲーム(RPG)で考えてみましょう。レベル1でHP(ヒットポイント/体力)も低く、特に取り立ててスキルもないキャラクター(登場人物)をどう育てるべきでしょうか。いくら経験値やアイテムが豊富でも、いきなり高難度ステージに突撃させる人はまずいないでしょう。まずは、安定して育てやすいステージで修業を積ませるのが合理的なのは明らかです。
とはいえ、そこでのデメリットを全力で回避する必要もあります。いくら成長させてもらえるとはいえ、言われたことをこなすだけでは最低限の人材にしかなれません。常に問題意識を持ち、脱ルーチンワーク化を意識しながら働くべきです。
また、職能型キャリアパスでは、ともすれば社内価値を高めるための育成をされがちです。ジョブローテーションによるゼネラリスト育成などは、その典型です。極力そうした異動を回避して、社内価値ではなく自らの市場価値を高めておく努力も必要です。
こうして、ある程度のレベルになりHPやスキルも高まったなら、よりリターンの望める高難度ステージに挑戦するのが合理的でしょう。もちろん高難度ステージにもリスクというデメリットはありますが、きちんと修業を積めていれば、そのリスクよりも得られるリターンのほうが身近なものとなっているはずです。
まとめると、「社会人になった時点で目標もスキルもない普通の人」が一流のビジネス戦士に育つためには、既存組織の職能型キャリアパスを最大限に活用して成長しつつ、ある程度育った後で高リターンの望める職務型キャリアパスに移るのが合理的です。要は、両方の良いところ取りをしろということです。
城繁幸/人事コンサルタント
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