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イエレンFRB議長の慎重な景気判断に、市場の反応は分かれた photo Getty Images
ドル相場を上昇させたFRBの「辛抱」発言の真意
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41519
2014年12月23日(火) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
12月16、17日に米連邦準備理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、声明に新しい文言を加えた。それは、“金融政策の正常化を開始するためには辛抱強くいられる(can be patient)”という先行きの金融政策の指針だ。
FRBは“辛抱強い”という文言を、複数回(couple of meetings)の会合の間、利上げ等の正常化が開始されない可能性を示すために用いた。市場ではこの表現に対して、強弱様々な憶測が立っている。重要な点は、米国の金融政策は今後の景気次第ということだ。
■FRBは何を辛抱できる?
FRBは辛抱強さという表現を通して、理論的には利上げが可能でも、状況を冷静に見極めることが重要という慎重なスタンスを伝えようとしているのだろう。過度な期待は市場の変動を増幅するため、FRBは上下に偏った認知バイアスを市場に与えたくないのだろう。
一方、FOMCの決定に対して、市場の反応は分かれた。株式市場は上昇し、緩和維持のスタンスを歓迎した。一方、米国の金利、ドル(為替)相場は上昇した。これは、FOMCの決定がタカ派的と解釈された可能性を示唆する。
声明では、辛抱強い姿勢が10月までのフォワードガイダンスに沿っているとの見解も示された。現行の低金利を相当の期間(for a considerable time)維持するという文言も記されている。
金融政策正常化への期待があることは確かだ。それがFOMC後の円安にも表れている。ただ、前回までのフォワードガイダンスの文言が併記されたことは、依然としてFRBが景気判断に慎重であることを示している。この点は冷静に受け止める必要があるだろう。
■金利見通しの中央値の低下と原油安の影響
加えて、FOMCでの議論は弱めに傾いている可能性がある。それは、参加者の政策金利見通しの中央値が低下しているからだ。2015年は1.125%(1.375%)2016年が2.5%(2.875%)。2017年が3.625%(3.75%)(括弧内9月時点)と、予想は後退した。
この予想は、原油安が各国経済に与えるマイナス面を反映しているといえるだろう。足許の市場動向がFOMC参加者を慎重にさせたのであれば、“相当期間” という、前回までのフォワードガイダンスが併記されたことも妥当な判断といえる。
にもかかわらず、FOMC後はドル高が進んだ。それは、イエレン議長が原油安が一過性であり、米国にプラスに働くと述べたことも影響しているのだろう。議長が、「couple ofの意味は、辞書に従えば2回」と述べたことも早期の利上げを期待させたかもしれない。
あくまでもFRBの景気認識は慎重だ。市場も慎重に、“辛抱強く”景気の動向を見守る必要がある。FOMCでの“辛抱強くいられる”という文言は、“景況感に照らして、ドルの動向を冷静に考えるべきだ”というメッセージを市場に発信しているとも言えるだろう。
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