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円安のおかげで円建て価格は比較的堅調だが、店頭の大半は「売り」の客(撮影:尾形文繁)
下落傾向の金価格、2016年になれば反騰か ユーロ不安再燃が価格上昇の号砲に
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2014年12月20日 梅沢 正邦:東洋経済 編集局記者
米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン元議長の講演料は、一説に、1回10万ドルという。付帯条件がある。「講演料は、できれば金でいただきたい」。
元議長が金の熱烈な信奉者であることは、隠れもない事実である。だが、金は2011年9月に1オンス1923ドルの史上最高値をつけた後、反落。足元1200ドルと4割近く下げている。マエストロの目は曇ってしまったのだろうか。
目先、下げ材料には事欠かない。世界1、2位を争う金需要国のインドと中国。インドは貿易赤字縮小のため金の輸入制限を実施し、中国では汚職摘発キャンペーンが“贈答需要”を直撃している。
■投信の買い需要は落ち着いた
そしてFRBのゼロ金利政策の転換だ。金の最大の弱点は金利を生まないこと。リーマン危機以降、先進国の量的緩和(QE)で金利がゼロ近辺に低下したことが、金市況に有利に働いた。が、来年後半にもFRBが利上げに踏み切れば、弱点が再浮上する。
世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDR金投信。それまで金貨や先物に投資するしかなかった個人や機関投資家を引き付け、12年末には米独伊仏政府に次ぐ1353トンの金を保有するまでになったが、現在は720トンに半減。熱気は雲散した。
11月30日、スイスは「われらがスイスの金を救え」運動の提案を国民投票にかけた。内容は「スイス中央銀行は資産の20%を金で保有せよ(現在7.5%」というもの。可決なら、スイス中銀は1500トンの追加購入を迫られ、市況を強烈に押し上げたはずだった。スイス国民は78%の反対で葬り去った。
右を見ても左を見ても、下げ材料だらけ。が、専門家たちからは、不思議なほど悲観論が聞こえてこない。住友金属鉱山の武本拓也・銅貴金属営業部長は「(悪)材料への耐性ができている」と見る。
金は21世紀初頭の300ドルから1923ドルまで棒上げに上げた。相場格言の「半値八掛け二割引き」に従えば、600ドル台があっておかしくなくない。「そうはなっていない。相場はいつまでも同じ材料では下げ続けない」。
■金=「第一等の通貨」?
歯止めになるのは、まず金の生産コスト。環境問題や労働争議の頻発から、金の生産コストは1100〜1200ドルに上昇し、世界の鉱山の8割が赤字操業になっている。
さらに世界の金融危機は本当に収束したのか、という大問題がある。EUはこれからQEに取り掛かる段階。資産購入を停止したFRBも4.5兆ドルに膨らんだバランスシートには手をつけていない。ワールド・ゴールド・カウンシルの元日本代表、豊島逸夫氏が言う。「米国も出口戦略を策定できていない。ジャブジャブの過剰流動性が暴れ出したら、そしてユーロ不安が再燃したら、どうなるか。16年にはほころびが出てくる」。
そうなれば、金=「第一等の通貨」(グリーンスパン元議長)の出番が来る。元議長の金への“愛”は、自ら主導した金融政策に対する根源的な不信表明なのだ。
(「週刊東洋経済2014年12月20日号」<15日発売>掲載の「価格を読む」を転載)
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