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ワタミ株式会社公式サイトより
自業自得! ワタミを業績不振に追い込んだブラック経営の手口を振り返る
http://lite-ra.com/2014/12/post-717.html
2014.12.18. リテラ
2014年11月〜2015年3月期の連結最終損益が30億円の赤字(前期は49億円の赤字)になるとの見通しを発表したワタミ。従来の20億円の黒字予想から一転、2期連続で赤字となる。メディアでは「若者の居酒屋離れ」「消費増税の影響」などと報じられてているが、ワタミがここまで大幅に業績を落としたのはやはり、従業員に対するブラックな雇用実態が知られるようになったためだろう。
弁護士や学者、ジャーナリストなどの識者が選出する「ブラック企業大賞2013」で大賞に選ばれ、ワタミ創業者である渡邉美樹のブラック経営にも批判が集まった。その結果、イメージを大きく落とし、主力の居酒屋「和民」などの客が激減。今期の店舗閉鎖は100店に増えた。
しかし、ワタミはいったい具体的にどんな手口でブラック経営を行ってきたのか。「我々はブラック企業に殺されないために、渡邉美樹の手口を知り尽くさなければならない」と指摘するのは、『ワタミ・渡邉美樹 日本を崩壊させるブラックモンスター』(中村淳彦/コアマガジン)だ。
同書によると、ワタミの手口はこうだ。「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」といったグループスローガンを掲げ、「社員の幸福」「夢を叶える」といった美辞麗句をうたい、若者たちを集める。ワタミの社内冊子『理念集』では美辞麗句の一方で、「365日24時間死ぬまで働け」、「出来ないと言わない」などと社員に呼びかけ、巧妙に社員の夢とワタミの野望「1兆円企業」を同一化し、「ワタミを辞めた者は、夢を諦めた者」と洗脳していく。そして、徹底したコストカットと低賃金で異常な長時間労働を強いるのだという。
その結果、さまざまな場所で事故や不祥事が起き、不満や批判が噴出する事態となっている。同書はそういったワタミで起きている実態もまとめているので、紹介しておこう。
■ワタミの実態その1 居酒屋経営では長時間労働で自殺に追い込む!■
08年6月、4月に新卒で入社したばかりの居酒屋店舗勤務の20代の森美菜さんが、長時間労働、長時間拘束により抑うつ状態に陥り、自宅近くのマンションから飛び降り自殺をした。
「ワタミは事実関係の提供を拒んだが、納得のいかない森さんの両親が勤務状況を調べあげて、1カ月の残業時間が140時間という膨大なものである証拠を掴んでいる。一般企業の常勤の労働時間は160〜180時間程度なので、おおよそ一般社会人の2倍の労働をしていたことになる。国が認定している過労死ラインは残業80時間以上。ワタミはその危険ラインを大幅に超えて働かせ、入社2カ月、たった60日間で森さんを壊してしまっただけでなく、命まで奪ってしまったのだ」
「店舗での長時間労働に従事して、やっと家に帰れば課題である渡邉美樹の著作を読み、感想文を書く。やっと休日かと思ったら介護施設でボランティア労働を強制されて、店舗への出勤時間となる。眠る時間もない。まさに地獄である」
亡くなった森美菜さんは「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」というグループスローガンに共感にして入社したのだが、結果的には、その理念に食い尽くされてしまったのだ。
■ワタミの実態その2 ワタミの介護では要介護者を溺死させる!■
ワタミは04年にワタミメディカルサービスを設立して医療、介護事業などに進出(05年に「アールの介護」を買収)している。「ワタミの介護」の現場でも、中年女性を中心とした知識や技術に優れた専門スタッフに過度な労働を要求し専門スタッフが大量離職。「600人いた『アールの介護』の旧職員たちのうち、なんと半分の300人近くが離職した」というのだ。
専門スタッフの代わりに介護の最前線に送り込まれるのは何もノウハウのない若者だ。このため事故が多発する。なかには死亡事故も起きた。12年2月16日にはワタミの介護施設「レストヴィラ赤塚」で74歳の女性入居者の溺死事件が発生。事故直後、ワタミは「10分間目を離した間に心肺停止状態になった。病死の可能性が高い」と報告したが、警視庁の調べでは介護職員は85分間、入浴を放置していたことが明らかになっている。
「『理想ばかりを現場に押し付けるワタミは離職率が高くて3年間で半分以上の職員が辞めてしまいます。だから介護職員は、寄せ集めの素人だらけ。なのに、建物を猛烈な勢いで建築して実態がないまま入居者を集める。渡邉さんが理想論や会社理念で介護職員を脅迫的に働かせようとしても、技術職なのでできないものはできない。そりゃ事故が起こる可能性が高いのは当然です』(ケアマネジャー)」
■ワタミの実態その3 ワタミの宅食配達員の個人事業主からも搾り取る■
14年2月、一人暮らしの72歳の女性が亡くなった。その女性の長男がワタミの宅食に対して、安否確認を怠ったことに関して損害賠償請求を起こした。長男はワタミの宅食との間で週5回の弁当宅配時に女性に異変があった場合、家族らに連絡する安否確認サービスの契約を結んでいたためだ。
ワタミは、08年には九州地域の弁当宅配事業大手の株式会社タクショクを買収し、「ワタミの宅食」として、高齢者向け弁当宅配事業にも乗り出している。実際に、お弁当を配達するのは外部委託者スタッフ(通称「まごころさん」)なのだが、高齢者の安否確認サービスを行える余裕などない低賃金で苛酷な労働環境なのだ。
たとえば、ある「まごころさん」は最も稼げるときで月に6万4500円だったと明かす。
「ワタミの従業員じゃなくて、業務委託契約を結んでいるだけ。要するに個人事業主。配達用の車は自家用車だし、ガソリン代も車の保険料も携帯代も全部自腹。車関係だけで2万円は経費がかかっているから、実質のプラスは4万5000円くらい」
一件配って115円。できるだけ効率よく、宅配をする必要がある。高齢者の安否確認サービスはとうてい不可能なのだ。
「現実的には無理だよね。1日10軒程度の宅配員ならできますよ。時間がいっぱいあって何時間もかかっていいっていうなら。けどそれだと月に2万円くらいにしかならないよ。(略)安否確認するかどうかの話は客にするなって最初に上から言われたよ。パンフレットではうたってはいるけど、実際に何かあったときに責任を取りたくないし、やりたくないし、無理ってわかっているんだろうね」
しかも、この「まごころさん」システムはワタミ側に都合が良いシステムで、「ワタミの宅食」の自転車保険の代理店は渡邉美樹の長男が代表を務める会社(ファミリー企業・有限会社アレーテー)なのだという。
「全国で10万台以上が稼動しているけど、その自転車の保険の代理店は、すべて渡邉美樹の長男が代表を務める会社だよ。とにかくすべて渡邉一族に金が入るようになっている。我々末端の配達スタッフは自分の車の横に張る『ワタミの宅食』っていうマグネットのステッカーまで買わされるし、本当に渡邉に都合がよすぎて、自分が情けないっていうか」
■ワタミの実態その4 愛人トラブルとブラック経営で志願者激減の夢学園■
ブラックな労働環境で若者たちの上前をかすめとり、莫大な利益を得た渡邉美樹は、13年には自民党公認候補として参議院議員選挙に出馬し、比例代表として初当選する。議員となって公開された資産は2014年の資産公開で17億580万円。対象は土地建物、有価証券、預貯金のみだ。
「公開義務のないワタミの株式までをあわせると、軽くその10倍はあると予想される。創業以来30年間、ワタミに関わった数々の者たちのサービス残業や過剰な労働によって利益を積み重ね、莫大な資産を築いたというわけだ」
さらにポケットマネーで教育にも進出。03年には不動産投資に失敗した前理事長の負債を保証する代わりに、東京文京区にある中高一貫校・郁文館学園理事長に就任したのだ。
この渡邉理事長は「野球部は甲子園に出場する、東大に20人合格させる」と大風呂敷を広げ、「夢教育による教育再生」を掲げるが、その実態は、まさに渡邉美樹のブラック思想が現れたものだった。
「渡邉美樹が就任してから、教員たちは朝8時から深夜23時まで学校で働くことになっている。長時間労働を求めただけでなく、教員たちには他業者のワタミ社員と比べて高いというだけの理由で半減近い驚愕の大減俸を言い渡した。さらに、休日や授業後に研修として賃金なしで居酒屋の接客やビラ配りをさせる」
教師たちの離職は30人を超えたというが、「欠員となった枠は非正規雇用で若者を採用。受け持つ授業は同じなのに月20万円程度しか支払っていない」という。
私物化も加速。校名を「郁文館夢学園」に、校歌も「荒城の月」で知られる土井晩翠が作詞した伝統の校歌から、渡邉の自作「君の夢がかないますように」に変更させた。校舎エントランスには自らの肖像画を掲げた。
さらに、渡邉は夫のいる30代の女性事務員に手を出して6年間W不倫関係を続け、最終的に1500万円の慰謝料を支払うスキャンダルも起こしている。
こうしたブラック経営の結果、“夢学園”への志願者も激減。
「2014年度の郁文館中学の生徒数は3年160人、2年114人、1年に至ってはなんと52人である。たった2年間で68パーセント減となっている。学校としては最悪の事態といえる募集人数に志願者が届かないという志願者割れが起こ」っているという。
いかがだろう。若者を中心とした働く者たちに自己実現を煽り、強迫する組織を作り、壊れるまで過剰に働かせて、最終的には命までも食い尽くす──。そのブラックなシステムには恐怖をおぼえるほどだ。
だが、冒頭で指摘したように、こうした実態が次々に明るみに出たことで、ワタミは企業としての評価を落とし、経営不振に陥った。逆に言えば、今回のケースでブラック労働の評判が企業の業績にも大きな影響を与えることが明らかになったわけで、労働者にとっては大きな武器を得たともいえる。今後、こういうブラック告発を繰り返していけば、業績への影響を恐れた経営者が雇用姿勢を改めざるをえなくなるからだ。
ワタミ以外にも、「言葉によって被雇用者を洗脳し、自らの利益に誘導する」ブラック企業はまだまだたくさんある。「仕事がしんどい」と思っている人は、一度、同書を読んでみてほしい。そして、もし、あなたの会社とワタミの手口に類似点があったとしたら、勇気をもって声をあげてほしい。そのことがブラック企業をなくす第一歩になるはずだ。
(小石川シンイチ)
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