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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 来年の景気はどうなるのか
http://wjn.jp/article/detail/4439445/
週刊実話 2014年12月25日 特大号
消費税増税の先送りで、市場には景気の楽観論が拡がっている。確かに、来年10月から消費税再増税をしたら日本経済は奈落の底に沈んでいっただろうから、破たんを回避したという意味では喜ばしいことだ。しかし、今回の消費税先送りは、増税を当面ストップしただけで税率を引き下げたわけではない。
景気動向指数をみると、一昨年の11月から今年3月までは、一直線で景気は上昇した。アベノミクスの金融緩和による効果だ。
しかし、景気動向指数は今年3月でピークを迎え、その後は真っ逆さまに落ちている。言うまでもなく消費税引き上げの影響だ。
日本は、GDPの6割を消費が占めている。その消費が失速したら景気はもたない。消費が失速した原因は消費税引き上げにともなう急激な物価上昇だ。毎月勤労統計によると、10月の名目賃金は前年比0.5%上昇しているが、消費者物価指数(帰属家賃を除く総合)が3.4%上昇しているので、実質賃金は2.8%減となっている。家計調査を見ると、10月の実質消費は前年比で4.0%落ちている。買いたくても買えないというのが消費不振の原因なのだ。
こうした状況は、消費税増税を先送りしても変わらないから、当面、消費が増えることはない。
一方、日銀の第二次異次元金融緩和によって、円安は確実に進んでいる。しかし、それが輸出増にはなかなか結び付かない。一昨年までの超円高で工場の海外移転が進んでしまったからだ。現時点では、国内生産をした方が価格的に有利な企業も多いが、一度海外に工場を建ててしまうと、国内に戻るのには相当な決断が要る。今の為替の水準が続いたとしても、海外工場が日本に帰るには10年程度の期間が必要になるだろう。
それでは、来年はどうなるのか。カギを握るのは、実質所得がどうなるかだ。
まず物価については、来年4月以降、消費税引き上げの影響が一巡するので、前年比で見たときの消費税の影響はなくなる。しかし、日銀が消費者物価上昇率2%を目指して金融緩和を続けるので、2%程度の物価上昇にはなるだろう。
一方の賃金上昇は1%程度にとどまるとみられる。連合が来年の春闘でベースアップの要求基準を「2%以上」としているからだ。今年の春闘で連合は「1%以上」の目標を掲げたが、賃金上昇は0.5%にとどまった。要求の半分しか取れなかったということだが、今年もそれくらいだろう。
となると、実質賃金はマイナス1%程度ということになる。これでは消費は増えないから、来年も景気は低迷することになる。
ただし、明るい要素もある。それは原油価格が暴落していることだ。日本は円安で相殺されてしまうから、さほど大きな効果は期待できないが、1人あたりエネルギー消費が日本の2倍もあるアメリカ経済にとっては、大きなメリットとなる。米国経済は順調に拡大し、その恩恵で日本からの輸出も増えるだろう。
そうした効果を含めると、来年の景気は横ばいというのが、最も可能性の大きいシナリオになるのではないか。だから日経平均株価はあまり上がらないだろう。投資先としては、原油が下がりきったところで、原油のインデックスを買うのがよいかもしれない。
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