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日中金融緩和で韓国経済がピンチに追い込まれている。写真は先月13日のASEANプラス3首脳会議前の記念撮影で、笑顔で手をつなぐ安倍晋三首相と朴槿恵韓国大統領。右端は李克強中国首相(ロイター、コラージュ)
【経済インサイド】日中「金融緩和」で韓国「家計債務パンク」“打つ手なし” 「進むも地獄退くも地獄」の韓国経済
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141216/frn1412161359007-n1.htm
2014.12.16 夕刊フジ
日銀の追加の金融緩和策と、中国の中国人民銀行(中央銀行)による基準金利の引き下げが、韓国に“大打撃”を与えそうだ。金融緩和は国債などを買って大量のお金を市場に流す政策のため、円の価値が下がって円安ウォン高が進んだ。そこに中国の利下げによる人民元安が加われば、「韓国の輸出産業は壊滅する」との声も出ている。窮地に追い込まれつつある韓国は日中との“通貨安競争”に突き進むのか−。
■円安ウォン高 2年で3〜4割
「通貨政策が特定国家の経済力を確保する手段に使われてはならない」
韓国の崔●(=日の下に火)煥(チェギョンファン)・経済副首相兼企画財政相は11月15日、豪ブリスベーンの20カ国・地域(G20)財務相会合でこう発言したという。急激な円安ウォン高に関連し、日銀の大規模金融緩和策を円安誘導と批判したのだ。
11月下旬、韓国のウォン相場は2008年8月以降初めて一時100円=930ウォン台をつけた。12年夏には1500ウォン台だったため、2年余りで4割弱も円安ウォン高が進んだことになる。
朝鮮日報によると、100円=950ウォンから900ウォンまで円安ウォン高が進むと、韓国の輸出は8.8%減少するとの試算もある。さらに、サムスン電子や現代自動車などのグローバル企業は円安ウォン高による競争力の低下を心配している。
野村証券の平山広太・外国為替エコノミストは「韓国の輸出企業は米国などで日本企業と競合している。円安ウォン高が進めば、日本企業との価格勝負が厳しくなる」と分析する。
■対ドルでも高止まり
10月末で米連邦準備制度理事会(FRB)の量的金融緩和策が終了し、米韓の金利差拡大が意識されて足元では1ドル=1100ウォン台と10月下旬の1040ウォン台からウォン安ドル高が進んでいる。しかし、09年夏の1300ウォン台と比べれば、ウォンは対ドルでも強含みだ。
米財務省は10月、半期の為替報告書で「韓国は大規模な為替介入をしている」と名指しで批判した。韓国は、貿易や投資による海外とのお金のやり取りを示す「経常収支」の黒字額が1〜9月で660億ドル(約7兆6000億円)。国内総生産(GDP)の約7%を占め、1〜2%程度の先進諸国を大きく上回る。
G20財務相・中央銀行総裁会議では「不透明なウォン売りで通貨安に誘導している」と韓国が常にやり玉に挙がる。
三菱東京UFJ銀行の内田稔チーフアナリストは「購買力平価(購買力が等しくなる通貨の交換比率)でみると1ドル=900ウォン程度が適正水準」と分析する。このため、当面は外国為替市場でウォン高圧力がかかりやすいとみられる。
だが、現代自動車の14年7〜9月期決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比18%もダウンした。海外事業のドル建て収益をウォン換算しなければならず、日本総合研究所の向山英彦・上席主任研究員は「ウォン高は韓国の企業業績を下押ししている」と解説する。
■人民元安も追い打ち
こうした中、中国人民銀が11月22日、銀行の基準金利を引き下げた。貸出金利を0.4%引き下げて5.6%とし、預金金利も0.25%下げて2.75%とした。中国の利下げは12年7月以来、約2年4カ月ぶりだ。
中国の経済政策は、不動産価格高騰の懸念を受けて、「成長」から「安定」にシフトしつつあり、「今回の利下げは予想外だった」(証券系エコノミスト)ようだ。
利下げの背景には、景気低迷の兆しが出たという理由だけでなく、日銀の追加緩和に対抗し、人民元安を誘発する効果も狙ったようだ。
もちろん、韓国銀行(中央銀行)も手をこまねいてきたわけではない。景気と物価の下振れを防ぐため8月と10月に0.25%ずつ利下げし、現在の政策金利は2%。1999年に政策金利制度を導入して以来、最も低い水準だ。それでも、政府や国民には「韓銀は後手に回っている」との不満がくすぶる。
朝鮮日報は24日付の社説(日本語版)で、「円が1ドル=130円まで下落し、人民元の下落が2年以上続けば、韓国の輸出製造業は大半が生存を脅かされる崖っぷちに立たされる」と報じた。
野村証券は、韓銀が来年3月までに政策金利を1.5%まで引き下げるとのリポートをまとめた。
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「日本の追加緩和や中国の利下げで、韓国も利下げによるウォン安誘導をしやすくなった」と分析する。
しかし、韓国の家計債務の残高は約1150ウォン(約120兆円)とGDPに占める比率はほぼ8割。低所得者層の生活資金のほか、かつての不動産バブルで住宅ローンが急増したためで、対GDP比は債務大国の日本(約6割)を大きく上回っている。
日本総研の向山氏は、「さらなる利下げや(国債を買う)量的金融緩和に踏み切れば、家計債務の増加に歯止めがかからなくなる危険も出てくる」と警告する。
日中との通貨安競争に踏み切るべきか−。韓国経済は「進むも地獄退くも地獄」の窮地に立たされている。
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