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国債格下げ“道連れ”の銀行が危惧する次の金利急騰リスク(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/276.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 12 月 15 日 11:13:05: igsppGRN/E9PQ
 

国債格下げ“道連れ”の銀行が危惧する次の金利急騰リスク
http://diamond.jp/articles/-/63717
2014年12月15日 週刊ダイヤモンド編集部


日本国債の格付けが引き下げられた。それを受けてメガバンクなど大手銀行も格下げの憂き目に遭ってしまう。国債の巨大投資家でもある銀行にとっては泣き面に蜂だが、国債市場は表面上、平静を保っている。しかし、リスクのマグマは確実に蓄積されてきており、銀行界は“次”の衝撃に備えて身構えている。

「ムーディーズの格下げは気にしていない。問題はこの先、S&P(スタンダード&プアーズ)が続くかだ」

 日本国債の信用度を示す格付けが引き下げ──。そのニュースが市場を駆け巡った直後、ある大手銀行幹部はそんな見立てを語った。


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 12月1日、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが国債の格下げを発表。右表のように、長期国債の格付けを「Aa3(AAマイナス相当)」から「A1(Aプラス相当)」へ1段階引き下げたため、債務不履行のリスクが極めて低いとされるAA(ダブルエー)格を失った。

 さらに、12月9日にはそれに続くかのように、米英格付け会社のフィッチ・レーティングスも、現在「Aプラス」としている国債の格付けを引き下げる方向で見直すと発表したのだ。

 今回の2社の判断に大きな影響を与えたのは消費税引き上げの延期だ。日本が国の赤字を減らして借金を返していくことができるのか、これまでよりも疑われているということだ。

 普通であれば、格下げされれば国債の価格は下がる(逆に金利は上がる)。国債に巨額の資金をつぎ込んでいる銀行界としては一大事だ。その上、ムーディーズは国債の格下げを発表した翌日、それに合わせて三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行、静岡銀行などの大手銀行も同じく「A1」に格下げした。格下げはビジネスの要である資金調達コストなどに跳ね返るため、銀行にとってはこちらも無視できない事態だ。

 ただ、これまでのところは国債の急落、金利の急上昇もなく、市場は平静を保っている。理由は大きく二つある。

 第一に、日本銀行が追加の金融緩和を決め、市場にマネーをあふれさせるために国債を大量に買い込んでいることが挙げられる。日銀は年間80兆円もの国債を買い増す方針を表明しているため、売れ残るどころか3カ月物などの短期国債では、通常とは逆に金利を払う「マイナス金利」ですら買われるほどの奪い合いになっている。

 第二の理由は、日本の国債の約95%が国内のお金で賄われているからだ。日本国民のお金が預金や保険というかたちで銀行や保険会社に渡り、それらが安定的に国債を買い支えているため、多少の衝撃ははね返してしまうのだ。

■日銀の異次元緩和でゆがんだ国債市場に“ダメ押し”リスク

 しかし、冒頭の大手銀行幹部は、三大格付け会社の残る1社、S&Pの動向によっては、今は盤石な国債市場に波乱が訪れ、銀行経営に影響を及ぼすことが考えられるという。

 外資系の金融機関から外貨建ての資金を借りようとする場合などでは、「国債を担保にすることがある」(メガバンク幹部)。ところが、今回の格下げで国債の担保価値が下がり、「今まで10で足りていた国債を11、12と余分に求められる可能性がある」のだ。国債だけでなく、自身も格下げになった邦銀の場合、その信用リスクの増大分まで積み増しを要求されれば、さらに国債が必要になってくる。

 リーマンショックを契機に金融規制が強化され、現在の金融界では国債ではなく現金を担保にするように変わってきてはいる。ただ、今は「切り替えの端境期なので国債が足りなくなる可能性はある」(大手銀行の市場関係者)という。

 そうなれば、ただでさえ日銀の異次元金融緩和で枯渇状態の国債市場では品薄感がさらに強まり、格下げとは裏腹に超低金利が一層進む。市場原理とは逆に動く“ゆがみ”が強まれば、限界を迎えたときに起こる反動としての金利急騰リスクはますます大きくなる。

 そこに「比較的、頻繁に格付けを変えるムーディーズ」(市場関係者)よりも重みがあるS&Pの国債格下げが続けばどうなるか。「三大格付け会社で最後のAA格が取り下げられたとき、何らかのトリガー(引き金)になるかもしれない」(冒頭の大手銀行幹部)。

 ゆがみを強める国債市場。そのメインプレイヤーであるメガバンクの頭の中では、リスク管理の警鐘が鳴りやまない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)


 

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コメント
 
01. 2014年12月15日 13:22:08 : xEBOc6ttRg

米FOMCと市場のインフレ率見通し、1年で最大の隔たり

  (ブルームバーグ):原油価格の急落を受けてトレーダーがインフレ予想の下方修正に動いた結果、金融市場の見通しは米連邦準備制度の予測を約1年で最も下回っている。
米国の雇用情勢や経済成長が上向く一方、インフレ・スワップ で見た2016年末までの消費者物価の上昇率予想は約4年ぶりの低水準となっている。着実な雇用増加と消費者信頼感が今後何年かのインフレ率を押し上げるという見通しが、中国や欧州の景気減速と供給過剰に伴う原油相場の急落で弱まっている。
FTNファイナンシャルのジム・ボーゲル氏は「米連邦準備制度に市場が異議を唱えているのは、主に彼らのインフレ予測についてだ」と指摘。インフレとインフレ期待がもはや無視できなくなったという認識が今年後半の市場のテーマだと述べた。
9月発表の米金融当局の経済予測によると、個人消費支出(PCE)価格指数で見た16年のインフレ予測は1.7−2%。一方、フォワード市場で取引される米インフレスワップは、CPIとPCEの標準的なスプレッドの調整後で16年のPCE上昇率を約1.5%と予想する市場の見方を反映しているとボーゲル氏は分析している。
国際エネルギー機関(IEA)が5カ月で4回目となる石油需要見通しの引き下げを行ったことが下押し要因となり、ニューヨーク市場の原油価格は1バレル=60ドルを割り込み、約5年ぶりの安値を付けた。連邦公開市場委員会(FOMC)は16、17日の会合後に新たな経済予測を公表する。
原題:Market Outlook Diverging From Fed’s Forecast by Most in Year(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Liz Capo McCormick emccormick7@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.net Greg Storey
更新日時: 2014/12/15 12:10 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGLMW06S972801.html


大企業・製造業の景況感プラス12に悪化、短観−非製造業は16
  (ブルームバーグ):日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、12月調査)は、大企業・製造業の景況感 が2期ぶりに悪化した一方で、非製造業は3期ぶりに改善するなど、足元で進行している円安の評価は企業の業種、規模でまちまちだった。先行きについては、急速な円安の持続性に対する不安もあり軒並み悪化した。
大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス12と9月の前回調査から1ポイント悪化した。日銀が15日発表した。非製造業はプラス16と3ポイント改善した。ブルームバーグ・ニュースの事前予想はプラス13とプラス12。DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた数値。
3カ月先の見通しは大企業・製造業がプラス9と3ポイント悪化、非製造業はプラス15と1ポイント悪化を見込んでいる。7−9月期の実質国内総生産(GDP)2次速報値は前期比年率1.9%減と、速報値(1.6%減)から下方修正。消費増税の影響で大幅に落ち込んだ前期(6.7%減)に続き2期連続のマイナス成長となった。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、短観は「消費増税後の内需停滞、海外経済の先行き不透明感に加え、円安の加速、原油価格の急落といったさまざまな要素が絡み合う中で、企業の景況感が業種別にまちまちになっていることを示した。景気の先行きに対する企業の警戒感には根強いものがある」という。
入り乱れる円安の評価、先行き持続性に不安
日銀調査統計局長の中山興経済統計課長は記者説明で、業況判断指数(DI)について「円安の評価についてはプラスとみる向きとマイナスとみる向きが入り乱れている」と指摘。「原油安についても、コスト安としてポジティブに受け止める先がある一方で、石油・石炭製品は在庫の評価額の低下もあって悪化した」と述べた。
また、企業の規模、業種にかかわらず、先行きが軒並み悪化したことについて「円安、原油安がいずれも急速に進行しているので、持続性について不安を感じていることが先行きの悪化に効いているのかもしれない」と指摘。「衆院総選挙が実施されたことも、先行き不透明感に影響しているのではないか」としている。
2014年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比8.9%増と、前回調査(8.6%増)から上方修正された。市場の事前予測(8.2%増)も上回った。中小企業の業況判断DIは、製造業がプラス1と2ポイント改善、非製造業はマイナス1と1ポイント悪化した。先行きはそれぞれマイナス5、マイナス4といずれも悪化を見込んでいる。
追加緩和の妥当性に疑問も
14年度の想定為替レートは通期1ドル=103.36円、上期102.64円、下期104.04円。今回の短観の回答期間は11月12日−12月12日。調査対象企業は1万312社で回答率は99.5%。短観発表直後の円相場は1ドル=118円16銭付近で取引された。
日銀は10月31日の金融政策決定会合で、長期国債買い入れを「保有残高が年間約80兆円に相当するペース」に拡大、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを従来の3倍に増やすことを決めた。一方、安倍晋三首相は11月18日、来年10月に予定していた消費税率10%への再増税を2017年4月まで1年半延期することを表明した。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 中川寛之
更新日時: 2014/12/15 10:23 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGCA556K50XZ01.html



衆院選後の市場動向:識者はこうみる
2014年 12月 15日 12:24 JST
[東京 15日 ロイター] - 第47回衆院選は、自民、公明の連立与党が全体の3分の2に当たる317議席を超える326議席を獲得して圧勝した。選挙結果を受けた市場動向に関する市場関係者の見方は以下のとおり。

<FPG証券 代表取締役 深谷幸司氏>

衆院選の結果については、与党が300議席を維持することが事前に予想されていたため、影響は限定的だった。早朝の外為市場は円高気味に振れたが、材料出尽くし感からの円買い戻しが背景だろう。

中国の景気先行き不安、ギリシャの大統領選、原油安など、グローバルな流れはリスク回避であり、年末にかけて、市場の流動性が低下する中でリスク回避の動きが一段と際立つ可能性がある。

来年については、米国株の動向が鍵を握ると考えている。

グローバルに景況感がさえず、米景気が相対的に堅調だとしても、利上げを控えて米国株がどれほど持ちこたえられるかが焦点だ。金利上昇と株安の中でリスクオフになる可能性があるとみている。

ドルの上値については、125円以上は購買力平価から行き過ぎであり、物価上昇を通じて消費に悪影響を与えるという点からもイエローゾーンだとみている。

来年のドル/円予想レンジ:113―127円

<新生銀行 執行役員市場調査室長 政井貴子氏>

与党で3分の2の議席を確保し、怖いものなしといえる。政策は軒先に並んでおり、あとは来年度から本当に法人減税できるのかなど、内容の勝負になる。日本側は株高・円安を支援する材料しかないといえる。

来年のドル/円は105―125円を予想する。ドル130円のストーリーは、米国側の要因で難しいだろう。米連邦準備理事会(FRB)は利上げを急がず、市場想定ほどに米金利は上昇しないとみている。

原油安が継続する一方、ドルが高い状況が続くのであれば、通貨高で物価に対する引き締め効果が出てくる。欧州、日本、中国といった、国内総生産(GDP)の大国が緩和を継続する中で、あえて金融政策を引き締める必要があるのか、米国は自問自答することになるのではないか。

<野村証券 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏>

衆院選の結果については、市場は概して織り込み済みの反応だった。ただ、自民党の獲得議席数に関しては、選挙戦終盤の「自民単独で3分の2もあり得る」との強気予想を下回ったため、若干のドル/円の失望売りを誘った。

前週末の海外市場で原油と株価が共に急落したことや、日銀追加緩和、GPIFのリスク資産運用拡大、総選挙というアベノミクスの連続イベントが途切れたことで、海外投機筋にとっては、円ショートを積極的に積み上げるインセンティブが無くなった。

今後については、投機的な円売りポジションが相当大きいので、市場がリスクオフに傾斜するたびに、ポジションの巻き戻しが断続的に発生する可能性があり、当面はドル/円の下値リスクに警戒したい。

来年のドル/円予想レンジ:115―128円

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

衆院選の結果は、市場の期待値から見て物足りなさを感じる。事前には自民単独で300議席を超す勢いと報じられ、日経平均は1万8000円を一時回復したが、獲得議席は現状維持にとどまった。アベノミクスのモメンタムがピークアウトしたと捉えられてもおかしくないだろう。政権安定化や経済政策の進展などはすでに株価に織り込んでおり、上値を買う判断材料としては迫力不足だ。

とはいえ日経平均が1万7000円を大きく割り込むことは想定しづらい。来年以降もアベノミクス継続による景気回復策や株高政策が日本株の下値を支えるためだ。企業による株主還元の積極化などを受けて海外の中長期マネーも入りやすく、日経平均は1万8000円水準での定着が期待される。日銀のさらなる追加緩和があれば1万9000円に届くかもしれない。

一方、リスク要因としては米経済の動向だ。米金融政策の引き締めなどで米景気に対する失速懸念が強まれば、日本株も一段の下押しが避けられないだろう。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券・チーフ債券ストラテジスト 石井純氏>

衆院選で自民・公明の与党獲得議席数は、定数の3分の2を超えた。国民がアベノミクスを追認したとの見方でいいだろう。強いて言えば、公示前に比べた議席数を自民党が減らす一方、公明党は増やした。自民党暴走に対するブレーキ役として、公明党に期待が示されたのかもしれない。

大胆な金融緩和を含むアベノミクスが追認されたことで、黒田日銀は政府とのアコードに基づいて、物価目標2%の早期達成に向けて大胆な緩和姿勢を堅持し、必要があれば調整として追加緩和に踏み切るとみられる。

債券市場では、日銀の大胆な緩和が金利決定要因となっており、来年にかけて長期金利は、上昇余地をほとんど見込めずに、低下余地を探る動きになるのではないか。リスク要因は、日銀シナリオ通りに物価2%目標を達成し、出口論が現実味を帯びることだろう。しかし、原油価格の下落が加わって、その実現はあり得ないと市場参加者は思っている。来年の10年最長期国債利回り(長期金利)レンジは0.35─0.55%を想定している。

<東洋証券 ストラテジスト 大塚竜太氏>

衆院選で与党が大勝したことは大きい。より具体的な経済対策が出てくることが期待される。成長戦略の進ちょく状況などへの関心が集まることになるだろう。日本株に対する好需給も引き続き相場の下支えとなる見通しだ。一方、原油安は日本経済にとっては好材料だが、外部環境については不透明感が出ている。米経済は堅調な状況が続くとみられるが、資源国については年明け後も影響が続くことが予想される。

きょう発表された日銀短観で、2014年度下期の大企業・製造業の想定為替レートは1ドル104円04銭。足元の水準とは大きく離れている。国内の輸出関連企業の業績予想における上方修正への期待感は根強い。来年については資源国や欧州、中国の景気が落ち込むなら、どの水準で底を打つかが一つのポイントとなりそうだ。

来期の予想レンジ:1万6000円─2万1000円

<JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏>

衆院選の結果は議席獲得数を見ると、与党サイドは何も変わっていない。選挙を受けて、与党の政策が停滞することは考えにくくなった。今まで通り、淡々とアベノミクスを進めていくことになるだろう。したがって、選挙だけに限ると、相場にはノーインパクトになる印象だ。

日本の国債市場は株式相場や為替相場の動向を気にしたうえで、日銀の異次元緩和がメーンファクターになることに変わりはない。金利は低位に抑えられることになるだろう。

原油安に関しては、来年1年というテーマではなさそうだが、ディスインフレという点で低金利ファクターにはなっている。債券マーケットにはサポート要因だ。

来年の日本国債の10年債利回り(長期金利)のレンジは0.300%─0.500%とみている。

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

衆院選の結果は、ほぼ世論調査通りだった。基本的にはノーインパクトととらえる市場参加者が多いようだ。

日銀の大規模買い入れが続くことが透明になったことは、日本の国債市場にポジティブとみている。

今後、内閣支持率を上げるためには、世論に力点を置いて経済政策を組んでくる可能性が高い。その意味では株高要因になるだろう。

来年も日銀の大規模緩和が続く限り、金利が持続的に上昇することは考えにくい。ただ、原油価格が落ち着き、為替相場で円安が起きたときに、内閣支持率にネガティブに働くこともあり得るので、過度な円安に対して今後どのように対処していくか難しい局面が出てきそうだ。

来年の日本国債の10年債利回り(長期金利)のレンジは0.350%─1.000%とみている。中心は0.600%だ。

<みずほ銀行 チーフ・マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

衆院選の結果は現状追認となった。ただ新聞の世論調査などでは、自民党を支持しながらも、アベノミクスを評価しない層が半数に及ぶなど、経済政策への信認は決して盤石とは言えない印象だ。今後、政府は、円安のもたらす意味の再考を迫られるかもしれない。

来年のメーンシナリオは、これまでと変わらず金融緩和を通じたインフレ・円安・株高の推進となる。ドル/円のレンジは117─130円とみる。円高方向の要因は、円の持ち高調整ぐらいしか見当たらない。日銀短観の悪化を受け、追加緩和を期待する向きもあるようだ。

もっとも、2015年は日銀の金融政策と政府の通貨政策の間に見受けられる「ねじれ」を注視していきたい。円安メリットを受ける人とデメリットを被る人の格差が顕著になってくれば、政府の通貨政策において、円安からやや距離を置くような動きもあるかもしれない。場合によって日銀の量的・質的金融緩和(QQE)の後退的修正にもつながる可能性があり、それは円安ペースの鈍化や、株価下落をもたらすリスクシナリオと考えられる。

<JPモルガン・チェース銀 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏>

衆院選の結果については、グローバルなリスクオフの流れの中で、選挙結果がほぼ直前の予想通りとなり、市場のインパクトは限定的なものに留まった。

中長期的には、与党が大きく議席を減らし政治的安定が損なわれるというリスクシナリオが回避されたことで、株価にポジティブ、円相場にネガティブとなろう。

よりグローバルな視点に立てば、足元の金融市場は米国株の下げが顕著で、エマージングの債券も売られ、調整トレンドの渦中にあると言える。

10月の調整時から類推すれば、ドル/円相場は116円程度まで下押ししてもおかしくない。

<メリルリンチ日本証券・債券ストラテジスト 大崎秀一氏>

自民・公明の与党が圧勝した衆院選結果は想定通りでサプライズはない。債券市場からみると、1)アベノミクス信認で株高・円安圧力を通じたネガティブ、2)日銀の異次元緩和推進によるポジティブという両サイドのインパクトがあるが、結局、日銀が大規模な買い入れを進める中で、長期金利は来年にかけて低下基調をたどることになるだろう。

日銀異次元緩和の出口が見えない限り、金利が上がりにくいだろう。来年の10年最長期国債利回り(長期金利)レンジを0.10─0.50%を想定している。

リスクは、日銀の国債買いに見合う売り手の不在だ。日銀買い入れオペで札割れが生じる可能性も否定できない。大きな売り手になるとみられるGPIFがポートフォリオ変更にかける時間がポイントになるだろう。

また、国債保有残高を落とさずに、トレーディングタッチで売買している銀行勢がネットで買い越しを増やすようだと、利回り低下要因につながる。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JT02Y20141215


12月日銀短観、円安・原油安の影響交錯し先行きに不透明感 
2014年 12月 15日 11:42 JST
[東京 15日 ロイター] - 日銀が15日発表した12月全国企業短期経済観測調査(短観)では、足元で大企業製造業の業況判断DIがプラス12となり、小幅ながら2四半期ぶりに悪化した。

先行きは中小企業を含めて総じて悪化が見込まれており、急速に進行する円安・原油安が企業の先行き不透明感を強めている可能性がある。一方、2014年度の設備投資計画が市場予想に反して上方修正されるなど、事業計画は良好な内容が維持された。

<足元の景況感はまちまち>

足元の業況判断DIは前回調査に比べて1ポイントの小幅悪化となる一方、非製造業はプラス16と3ポイント改善した。製造業の悪化は2四半期ぶりで、非製造業の改善は3四半期ぶり。中小企業は製造業がプラス1と2ポイント改善したが、非製造業はマイナス1と1ポイント悪化するなど、全体的にまちまちの内容となった。

今年4月の消費税率引き上げや雇用情勢のひっ迫に伴う人手不足、円安・原油安の進行など、それぞれの業種に及ぼすメリットとデメリットが交錯した格好だ。

もっとも、先行きは大企業製造業がマイナス3ポイント、同非製造業が同1ポイント、中小企業製造業が同6ポイント、同非製造業が同3ポイント、それぞれ悪化が見込まれている。日銀ではその要因について、足元で急速に進行する円安・原油安が企業の先行き不透明感を強めている可能性があるとみている。

<事業計画は良好、人手不足続く>

一方、2014年度の事業計画は総じて良好だ。大企業全産業ベースでみた売上計画は前年比プラス2.0%と0.2%ポイントの上方修正、経常利益計画も同プラス1.6%と4.7%ポイントの上方修正となった。

こうした増収・増益計画を受け、設備投資計画も同プラス8.9%となり、前回9月調査から0.2%ポイントの上方修正となった。ロイターの事前調査では、同プラス8.0%と下方修正が見込まれていた。四半期毎の計画推移でみても過去の実績より高めに推移しており、日銀によると、維持・更新投資の上積みや、一定の能力増強投資もみられている。

円安・原油安の進行が企業の仕入価格に与える影響では、大企業製造業の仕入価格判断DI(上昇─下落)がプラス19と前回調査から2ポイント上昇、先行きもプラス21と2ポイントの上昇が見込まれている。現段階では、原油安などに伴う原燃料価格の下落よりも、より幅広い業種に影響を与える円安による輸入価格上昇の影響の方が強く意識されているようだ。

雇用環境は引き続き、引き締まり傾向が強まっている。雇用人員判断DI(過剰─不足)は大企業製造業がマイナス1と前回調査から横ばいとなったものの、それ以外はすべて不足感を強めている。全規模全産業ではマイナス15と1992年5月調査以来の不足超幅となっている。

市場では、短観で企業が先行きに慎重な見方を示していることについて「円安進行を受けて企業の交易条件は小幅悪化しており、ネガティブ。しかし、原油安でマクロ経済の交易条件は改善しており、企業の見方が過度に慎重になっている可能性がある」(SMBC日興証券・チーフエコノミストの牧野潤一氏)との見方が出ている。

(伊藤純夫 竹本能文 編集:田中志保)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JS0XN20141215


コラム:アベノミクス選挙中に進んだ相場の地殻変動=佐々木融氏
2014年 12月 15日 13:01 JST
佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長

[東京 15日] - 14日に投開票が行われた衆議院選挙では、自民党が291議席と選挙前の295議席から4議席減らしたが、公明党が4議席増やしたため、与党合計で326議席と選挙前と変わらない結果となった。

投票率は52%程度と、戦後最低だった2012年の前回選挙(59.3%)を7%下回った模様である。日本の有権者は1億400万人程度なので、投票に行かなかった人は前回に比べて700万人以上増えた計算になる。自民党が大勝し、今回よりも若干多い296議席を獲得した2005年の「郵政選挙」の時には投票率が67.5%で、比例代表で自民党に投票した人は約2580万人に上ったが、今回は約1760万人と大幅に減っている。ちなみに、2005年の衆院選で負けた民主党に投票した人は約2100万人もいた。

株式市場や為替市場(特に海外投資家)からは注目を浴びているアベノミクスだが、なぜ日本国民全体としてはやや白けたムードが広がっているのだろうか。

ひとつには、アベノミクスがますます第1の矢(金融政策)ばかりに頼り、マネーゲームの様相を呈してきているからではないだろうか。そうした中、「アベノミクスの成否を問う」と言われても、金融市場に携わる我々のような者は「成果があった」と感じていても、それを感じることができない国民の方が大多数だと言えるのかもしれない。

加えて、過去2年間のアベノミクスの下での日本経済は、最初の1年と次の1年でかなり状況が異なる。例えば、実質国内総生産(GDP)の伸び率を見ると、2013年10―12月期はアベノミクス開始直前の2012年10―12月期に比べて2.2%増加しているが、今年7―9月期は前年同期に比べて1.2%減少している。

また、東証株価指数(TOPIX)は、第2次安倍内閣が始まった2012年12月26日からの約2年間で68%上昇しているが、そのほとんどは最初の1年間での上昇であり、過去1年間の上昇率は13%と、米S&P500やスウェーデン、スイスの株価指数と同じ上昇率にとどまっている。

つまり、安倍政権発足から当初1年間の日経平均株価の上昇率は明らかに世界の株価指数を上回り、アベノミクスの成果と評価しても良かったが、その後の1年間の上昇は、世界の景気が良かったから日本も連れて上昇したという側面が強いとも言える。

このような状況下で突然、解散・総選挙となり、「アベノミクスの成果を問う」と言われても、「直近1年間はさておき、その前の1年間の成果を見てください」と言われているようなものであり、国民が白けてしまったとしても、無理はないだろう。

<円が急速に買い戻されるリスク>

こうした中、自民党・公明党の与党が今回の衆院選で議席を維持したことにより、安倍政権の焦点が経済政策から安全保障政策に移ってしまうのではないかと危惧する見方は多いようである。海外の投資家もこの点を気にしている。

筆者は先日、1月後半に1週間、米東海岸を訪問する計画を立て、ニューヨークの同僚に米国のヘッジファンドや機関投資家との会合設定を依頼した。すると、1日6コマ、合計30コマのミーティング時間枠が2日間で埋まってしまった。

アベノミクス、そして日本の将来に対する海外勢の興味・期待は非常に強いと言えるだろう。そして、彼らが注目しているのは、第3の矢(成長戦略)が今後、目に見えるような形で実体経済に影響を与え得るのかという点である。当初1年間の成果に興味を示す投資家はもはやいない。仮に安倍政権の焦点が経済政策から逸れていってしまった場合、市場に与える悪影響は大きなものになると考えられる。

成長戦略の中で、市場への影響が目先大きくなりそうなのは、法人税減税に関する議論だ。政府は現在約35%の実効税率を「数年で20%台」に下げる目標を掲げている。2015年度に税率が実際どれほど引き下げられるのかが注目される。

また、ごく目先の円相場にとっては、世界市場の動きの方が重要と言えそうだ。日本が選挙戦に入っていた過去2週間で原油価格は16%も急落しているのに加えて、過去1週間で米S&P500株価指数は3.5%、独DAX株価指数は4.9%も下落している。米10年国債利回りは20ベーシスポイント(bp)低下し2%割れに近づき、一方でギリシャ10年国債利回りは190bpも上昇し、昨年10月以来の9%台まで上昇している。

日本の政権与党が、いまだに当初1年間の成果に酔い、白けた国民に選択肢のない投票を強いている間に、世界経済、市場の環境はかなり不安定になってきている。世界経済が予期せぬ後退という事態ともなれば、悪影響は当然、日本にも及ぶ。資本調達通貨として売られていた円は急速に買い戻されることになる。

報道によれば、特別国会が召集され、首相指名選挙が行われるのは1週間以上先の24日になる予定で、第3次安倍内閣はその日のうちに発足し、年内に円安対策などの経済対策が閣議決定されるという。世界情勢がさらに悪化するようなことがあれば、円安対策など必要なくなった頃に、円安対策が話し合われるという笑えない状況に陥ることも全くあり得ない話ではないかもしれない。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JT05Y20141215


OPECは原油40ドルでも減産せず、3カ月状況見守る-UAE

  (ブルームバーグ):アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は、原油価格が1バレル=40ドルに下落しても、石油輸出国機構(OPEC)は減産しないという決定を維持し、緊急会合を検討するのは、少なくとも3カ月間状況を見守ってからになるだろうと語った。
マズルーイ・エネルギー相は、OPECが現行の日量3000万バレルで生産目標を維持するとした11月27日の決定を直ちに変えることはないと発言した。ベネズエラ外務省の当局者は今月12日、原油の値下がりを考慮すれば、OPEC会合の開催をベネズエラは支持するが、開催を正式に要請してはいないと述べていた。OPECは次回の定例総会を来年6月5日に開く予定。
原題:U.A.E. Sees OPEC Output Unchanged Even If Oil Falls to $40(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ドバイ Anthony DiPaola adipaola@bloomberg.net;アブダビ Mahmoud Habboush mhabboush@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Nayla Razzouk nrazzouk2@bloomberg.net Bruce Stanley, Dale Crofts
更新日時: 2014/12/15 06:40 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGLBEY6K50XU01.html


NY原油:50ドル台で下値切り下げ、IEAが需要予想下方修正

  (ブルームバーグ):ニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)が続落。前日の1バレル=60ドル台割れに続いて、下値をさらに切り下げる展開になった。国際エネルギー機関(IEA)が世界の需要見通しを引き下げたことがきっかけ。下方修正はこの5カ月間で4度目となった。
BNPパリバのアナリスト、ギャレス・ルイダビー氏(ロンドン在勤)は「短期的にみれば、依然として供給は需要を上回っている」と指摘。「在庫は来年の上期にさらに積み上がるだろう。従って原油価格にはさらに下押し圧力がかかる」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比2.14ドル(3.57%)安い1バレル57.81ドルで終了。週間では12%の値下がり。ロンドンICEのブレント1月限は1.83ドル下げて61.85ドル。週間ベースでは10%の下げ。
原題:Crude Oil Extends Drop Below $60 as IEA Cuts Demand Forecast(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Moming Zhou mzhou29@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: David Marino dmarino4@bloomberg.net Stephen Cunningham, Bill Banker
更新日時: 2014/12/13 05:40 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGHKQM6JTSE901.html



ヘッジファンド、金相場に対し8月以降で最も強気
  (ブルームバーグ):ヘッジファンドが金相場に対し8月以降で最も強気な姿勢を示している。米ゴールドマン・サックス・グループは上昇基調が弱まると予想しており、ファンドは同行の見通しとは異なる動きを見せている。
米政府のデータによれば、ニューヨーク市場の金の先物とオプションの買い越しは4週連続で増加し、7月以降で最長。先週は世界の株式市場で約2兆ドル(約237兆円)相当の時価総額が失われる中、金先物相場は2.7%上げ、週間ベースでは6月以降で最大の上昇率を示した。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、金の先物とオプションの買越残高は今月9日終了週に31%増加し10万4532枚となった。
投資家が株価下落からの防御手段を求めたため、上場投資信託(ETF)を通じた金保有は10月以降で初めて増加に転じた。金相場が2カ月連続で上昇する可能性が高まる中、ゴールドマンの商品調査責任者、ジェフリー・カリー氏は、米景気の改善に伴い金相場が下落するとの見通しを示している。
原題:Hedge Funds’ Bullish Gold Bets Defy Goldman Outlook: Commodities(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Debarati Roy droy5@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Millie Munshi mmunshi@bloomberg.net Steve Stroth
更新日時: 2014/12/15 08:16 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGLGXM6JIJUS01.html


豪州:14−15年度財政赤字404億豪ドルに拡大へ−鉄鉱石下落で

  (ブルームバーグ):オーストラリア政府は15日、鉄鉱石価格の下落で税収が減少し、支出削減が議会で遅れているため、2014−15年度(14年7月−15年6月)の財政赤字が拡大するだろうとの予想を明らかにした。
ホッキー財務相は半年次経済・財政見通しで、今年度の財政赤字が404億豪ドル(約3兆9400億円)となり、5月時点の予想値298億豪ドルを上回ると予測した。豪政府は失業率が15年第2四半期に6.5%に上昇すると予想した。5月時点の予想は6.25%だった。
原題:Australia’s Budget Deficit Widens to A$40.4 Billion on Iron Ore(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先: Canberra Jason Scott jscott14@bloomberg.net;シドニー Michael Heath mheath1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Stephanie Phang sphang@bloomberg.net Iain McDonald, Edward Johnson
更新日時: 2014/12/15 12:23 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGLTEK6JIJUV01.html


円相場、日本株にらみ上下に振れる展開−対ドルで118円台後半
  (ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が上下に振れる展開。前週末の欧米株安を受けてリスク回避に伴う円買いが先行して始まった後、日本株が下げ幅を縮小するにつれ円売りが優勢となるなど、株価にらみの展開となっている。
正午現在のドル・円相場は1ドル=118円76銭前後。衆院選での与党大勝を受け、アジア時間早朝には119円09銭と前週末のニューヨーク市場終値(118円75銭)と比べてドル高・円安に振れたが、その後円買いが強まり、8時半すぎには一時117円78銭と2営業日ぶりの円高値を付けた。8時50分の日銀企業短期経済観測調査の発表後は売り買いが交錯。その後、大幅安で始まった日本株が徐々に下げ渋るとドル・円も一時119円06銭まで値を戻した。
IG証券の石川順一マーケットアナリストは、「基本的にはグローバル株式市場の調整の動きを受けた影響がまだ続いている感じだが、そうはいってもしょせん調整の相場であって、リスク回避ムードが強まるかどうかは別問題」と指摘。「日経平均の下げ幅縮小とともに再び円売りとなっており、リスク回避的な動きは一過性だったのかなと思う」と話す。
ユーロ・円相場も早朝に1ユーロ=148円台半ばまで円安に振れた後、一時146円84銭まで円買いが進行。その後148円台前半まで値を戻し、同時刻現在は147円84銭前後となっている。一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.24ドル台後半から一時1.2444ドルまでドル買いが進み、足元では1.2449ドル前後で取引されている。
株価にらみ
15日午前の東京株式相場 は反落。海外原油先物相場が下げ止まらない中、世界経済の不透明感からリスク回避に伴う売りが先行し、日経平均株価は一時300円超下げる場面が見られた。その後113円安まで下げ幅を縮小したが、午前の取引終盤にかけては再び弱含むなど不安定な展開となっている。
先週末のニューヨーク原油先物は3.6%安の1バレル=57.81ドルと続落。国際エネルギー機関(IEA) が世界の需要見通しを引き下げたことが材料視された。原油相場の急落を背景に先週末の欧米株は下落し、米国債市場では10年債利回り が8週間ぶりの水準に低下した。
みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、衆院選での与党大勝を受け、アベノミクスがより一層強力に進むということで朝一番から円売りを仕掛けた感じだが、「日経平均先物もマイナスだったし、原油も底が見えないという状況の中で、リスクオフからの円買いを警戒して、結局、選挙の結果がドル・円相場の強力なドライバーにならなかった感が強まってしまった」と、円買い先行の背景を説明した。
NHKの開票速報によると、14日投開票の第47回衆院選では、自民、公明の連立与党が定数(475議席)の3分の2超となる326議席を確保した。
クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司エグゼクティブ・ディレクターは14日夜、ブルームバーグ・ニュースに対し、「3分の2というのが1つキーワードになっているので、例えば外人は早朝からドル・円をガンと買うかもしれないが、東京市場に入ったら普通はいったん利食いが出やすい」と指摘。もっとも、構造改革や金融・財政政策に対する海外投資家の期待感があり、「中長期で円安方向というのは変わらない」と話していた。
一方、日銀がこの日発表した短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス12と9月の前回調査から1ポイント悪化した。悪化は2期ぶり。非製造業はプラス16と3ポイント改善した。3カ月先の見通しは製造業、非製造業ともに悪化した。14年度の想定為替レートは通期1ドル=103.36円、上期102.64円、下期104.04円。
みずほ証の鈴木氏は、短観は「若干弱いという感じ」だが、「選挙結果を受けて、より一層アベノミクスで岩盤規制への挑戦が続くとか、日銀も行動したばかりということで、これをもってもう駄目だと決めつけるのはちょっと難しい」と指摘。また、企業の想定為替レートが現行水準より大幅に円高となっているため、「業績の上方修正余地はある」といい、短観を材料に大きく動きづらいところはあると話した。
豪ドル下落
豪ドルは対ドルで2010年6月以来の安値を更新。対円では10月末以来の安値を付けた。オーストラリアのシドニーのマーティン・プレイスにあるカフェで、複数の人々が人質に取られ、窓にイスラム過激派「イスラム国」の旗が掲げられている、と同国の複数のテレビ局が伝えた。
IG証の石川氏は、「全容が良く分からない」とした上で、「円相場は今、株価動向に振られる展開になっているので、引き続き株式市場への影響を与えるかなど情勢自体は注視すべきだと思うが、為替市場にダイレクトに影響を与える材料かと問われると現時点ではノーだと思う」と話している。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 青木 勝, 崎浜秀磨
更新日時: 2014/12/15 12:01 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGLGRN6JTSE801.html



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