04. 2014年12月11日 21:58:10
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コラム:引き締め局面の2015年版「FRBプット」 2014年 12月 11日 14:30 JST James Saft[9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げの可能性が高まるなか、資産価値の保証人としてのFRBの役割が試される局面が近づいている。 もっともFRBのこうした役割について、当のFRBは常に否定してきた。だが、これまでと同様であれば、今回も市場が急落すればFRBは介入するだろう。 5日発表された11月の米雇用統計では雇用の拡大に加え、賃金の伸びも示された。好調な指標を受けてFRBが予想よりも早期に利上げを開始することになれば、株式や新興国市場などのリスク資産はほぼ確実に急落する。このことを十分知りながら、金融市場はこのニュースを冷静に受け止めた。 この状況を解釈するには、おそらく「FRBプット」に対する投資家の信頼感といった説明が最も簡単で最適だろう。 「FRBプット」は、価格が下がったときに備えるヘッジとしてのプット・オプションになぞらえ、市場が急落すれば支援に動くというFRBのスタンスを表した表現だ。 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は先週、こうしたものは存在しないと否定。「株式市場にFRBプットはないことを明確にしたい。別の言い方をするなら、株価や債券利回り、クレジットスプレッドの水準自体には注目していない。むしろ、われわれは金融政策の効果を実体経済に波及させる上で、金融市場の状況がどのような影響を及ぼすかに注目している」と語った。 だが、SLJマクロ・パートナーズのヘッジファンド・マネジャー、スティーブン・ジェン氏は、顧客向けノートで「株式市場が過去最高値をつけているときにはFRB当局者は、ダドリー総裁が言ったことを自信を持って言えるだろう」と指摘。「株式市場が10%急落している最中に言うなら、もっと真剣に受け止める」とコメントしている。 過去20年間に生じた数回の危機的状況において、FRBは利下げを実施したり、金融市場が悪化した際には支援を供給してきた。だが、こうした支援は市場の急落時だけに限られたことではなく、ニューヨーク連銀の調査によると、1994年以降、株式市場の運用利回りはFRBの金利発表前後の3日間を除くと実質横ばいとなっている。 <来年の課題> このことはFRBが2015年に困難な立場に立たされる可能性を示している。 低インフレにもかかわらず、米経済指標は全般的にかなり良好な内容となっており、この状況は今後も続くとみられる。 株式市場が過去最高値をつけ、一段高となれば、FRBに早期利上げの準備を求める圧力が高まるだろう。 一方、欧州や日本、中国では経済状況がさえず、中央銀行は緩和モードだ。 こうした状況を背景に大幅上昇してきたドルは、FRBがタカ派的な姿勢を示したり、利上げに動いたりすれば、上昇のペースを速め、その影響は米国外で大きな打撃となって広がるだろう。 国際決済銀行(BIS)は最新の四半期報告書で、強いドルは脅威をもたらす可能性があると指摘。「金融政策の方向性の相違を背景にしたドルの上昇は、継続すれば世界経済、とりわけ新興国経済に大きな打撃を与える可能性がある」と警告した。 BISは「新興国市場の企業の多くはドル建て債務を抱えており、金融面で脆弱になる可能性がある」としている。 こうした脅威は自己達成的なサイクルで起きる。まずFRBが金融引き締めに動いて、ドルが上昇する。そして新興国の企業の資金調達コストが割高になり、これら企業の借り手としての魅力が低下。ローンも割高になるといった具合だ。 ドル建て海外融資は急増し、現在約9兆ドルに上る。この規模は問題を引き起こし、FRBに影響を及ぼし得る大きさだ。 注目すべきは、このメカニズムがいかに自己永続的かという点だ。市場はFRBが事態の混乱を招くようなことはしないと確信しており、借り手はリスクを取る。この場合、為替リスクだ。FRBはこれを承知しており、同じような他の事例の多くが示すように、利上げは抑制される。状況が悪化した際に進んで対処する姿勢の表れだ。 少なくとも過去7年間毎年おそらくそうだったように、FRBプットは、2015年も市場の原動力となるだろう。 http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0JP08U20141211 |