★阿修羅♪ > 経世済民92 > 222.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
原油安にリスクの芽: 楽観相場、ファンドが保険:日経平均オプションの「売り」建玉が増大
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/222.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 12 月 11 日 04:25:58: Mo7ApAlflbQ6s
 


[スクランブル]原油安にリスクの芽
楽観相場、ファンドが保険

 株式市場に広がる楽観ムードの陰で、海外ファンドが株式相場の下げに備えている。デリバティブ(金融派生商品)の日経平均オプションを用いて、相場が下がるともうかる保険をかけ始めた。彼らの視線は原油の急落を引き金にしたリスクの広がり。先進国にとって原油安はプラスとみられがちだが、資源国や新興国を厳しい局面に追い込み、世界の金融市場を揺らす火種になる可能性を意識しているようだ。

 8営業日ぶりに日経平均株価が反落した9日。ただ、市場関係者の口から悲観の声はほとんどもれてこない。出てくる言葉は「やっぱり日銀が買ってくる」。この日も日銀は上場投資信託(ETF)を374億円買った。買い手の存在が安心感を支える。ブリヂストンなど主力の輸出株は相次ぎ年初来高値をつけた。

 しかし、デリバティブに目を向けると風景は異なる。リスクの芽を感じ取る取引が増えているのだ。相場が下がると利益が出る「売る権利」を海外ファンドなどが買い進めている。オプション価格をみると、株価変動が将来大きくなる可能性を織り込みつつある。
□   □
 オプションには上がればもうかる「買う権利」もある。それ以上に売る権利の建玉の方が直近で膨らんできたのが、ここ2年のアベノミクス相場でなかった大きな変化だ。「投資家は日本株の下げに備えつつある」(ゴールドマン・サックス証券の宇根尚秀氏)
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「ファンド勢は原油急落が資源・新興国のリスクを高める引き金になりうるとみている」と読む。逆オイルショックの可能性だ。

 産油国で苦境が際立つのがベネズエラだ。財政を石油収入に頼る同国は、国営ベネズエラ石油の信用保証料率(CDS)が急上昇、8日は33%まで上がった。CDSはデフォルト(債務不履行)リスクの大きさを示すもの。2010年に経済危機となったギリシャでも10%台だっただけに、その深刻ぶりがうかがえる。
 原油安はまだ止まらないとの指摘も聞こえてくる。米モルガン・スタンレーは5日、石油輸出国機構(OPEC)の生産削減がなければ、北海ブレントの価格が現在の1バレル60ドル台半ばから43ドルに下がる可能性があるとリポートした。
 ファンドの運用にも原油安が影を落とし始めた。欧州最大のヘッジファンド、ブレバン・ハワードが運用する商品ファンドの清算を決めるなど、ファンドの閉鎖が増え始めている。相場にテコをかけ投資するヘッジファンドの資金収縮は相場の下値不安も増幅する。
□   □
 1997年のアジア通貨危機との類似性を指摘する声もある。東南アジア経済に蓄積された不均衡がタイ通貨バーツ安を発端にほころび始め、ロシア危機から大型ヘッジファンドの破綻へと広がり、先進国の株式市場に波及していった。
 「危機は連鎖するまで表面化しないが、小さいほころびから始まる」とビスタマックス・ファンド・アドバイザーズの藤原正邦代表は指摘する。「相場は楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」。米国の相場格言に耳を傾ける時かもしれない。
(藤原隆人)

[日経新聞12月10日朝刊P.18]

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年12月11日 21:55:13 : jXbiWWJBCA

コラム:「原油安で脱デフレ頓挫」の誤解=嶋津洋樹氏
2014年 12月 11日 20:02 JST
嶋津洋樹 SMBC日興証券 シニア債券エコノミスト

[東京 11日] - 筆者はちょうど1年前に「2013年は小さいながらもデフレ脱却に向かって重要な一歩を踏み出した」と評価したが、今年は「3歩小さく進んで2歩大きく下がる」という印象で、辛うじて前進を続けられたといったところだろう。

この1カ月余りの間に決まった「量的・質的金融緩和」拡大(いわゆるQQE2)と消費増税延期をめぐっては批判も少なくないが、いずれもデフレからの脱却に必要な判断だったと筆者は考えている。

こうしたなか、日本経済には原油価格の大幅な下落を通じた交易条件の改善という強力な追い風が吹き始めた。次の消費増税が2017年4月へ先送りされることで、2015年半ばにかけて盛り上がると期待されていた駆け込み需要も後ずれする見込みだが、内需は今後、底堅さを増す可能性が高い。

また、在庫調整の圧力が一巡しつつあることで、企業は来春にかけて徐々に増産に踏み切るだろう。筆者は2015年度の実質国内総生産(GDP)成長率について、市場予想(前年比プラス1%台半ば程度)を大幅に上回る可能性があるとみている。

一方、原油価格の大幅な下落は、実際の物価上昇率の鈍化を通じて、予想物価上昇率を引き下げ、デフレからの脱却を困難にする可能性がある。このことは、「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%の物価安定の目標を実現する」という目標を掲げる日銀にとって悩みの種となりそうだ。

それでも、当面は10月末に決定したQQE2の効果を見極める時期である。日銀の次の行動は、原油価格の下落が来年1年間を通じて続くなど、期間が長期化した場合だろう。

<原油価格調整はすでに「後半戦」>

そもそも、原油価格の調整はすでに「後半戦」に突入している可能性が高いと筆者はみている。というのも、原油に対する需要は米国のドライブ・シーズンに向けたガソリン精製の本格化で1―3月期に底入れすることが多いからだ。

石油輸出国機構(OPEC)の原油生産量も11月は減少した。米国のシェールオイル開発ブームに一服の兆しがあることも踏まえると、原油需給の緩和という市場参加者の見方はそれほど深刻化しない可能性もある。原油先物市場で期近が期先よりも安い「コンタンゴ」となっているのは、こうした思惑を反映していると考えることもできる。

なお、QQE1による予想物価上昇率の引き上げ効果は、実施から3カ月後の2013年7月頃から顕在化し始めたと筆者は分析している。実際、消費者物価指数(CPI)の全採用品目の前年比変化率を観察すると、その頃から上昇幅を拡大させる品目と下落幅を縮小させる品目が増加している。

筆者はQQE2の予想物価上昇率を引き上げる効果については、2015年1―3月期頃から再び顕在化する可能性があると考えている。その時期に交渉が本格化する春闘でベースアップ(ベア)が実現した場合、予想物価上昇率は従来よりもしっかりと固定されることも期待される。

ちなみに、黒田日銀総裁が予想物価上昇率の固定されている国と紹介した米国の個人消費支出(PCE)デフレーターの内訳をみると、1990年代半ば頃から多くの品目が前年比プラス0.5%から同3.5%に集中。つまり、その頃から多くの企業は前年比プラス2%から上下差1.5%を前提に価格設定をし、家計もそれを受け入れ始めたと考えられる。

米国における「物価の安定」がPCEデフレーターで前年比プラス2%を指すことは今では広く知られているが、それが米連邦準備理事会(FRB)内で共有されたのは1996年7月に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)だ。このことは、金融政策が予想物価上昇率の形成に一定以上の役割を果たしていることを示すだろう。

金融政策を運営する上で予想物価上昇率を重視しているのはFRBだけではない。例えば、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は今年8月に「今日、中央銀行の政策の核心はコミュニケーション戦略」であるとし、「金融政策の効果は、将来の政策金利に関する期待の操作に一段と依存するようになった」と発言している。

これに対して、日本では依然として予想物価上昇率の役割に対する懐疑的な見方が少なくなく、金融政策でそれに働きかけることへの批判もある。国内での予想物価上昇率をめぐる議論は少なくとも欧米に後れを取っていると言わざるを得ない。

日本人はどうも物事のデメリットに目を向けがちなようだ。実際、今回は原油安をめぐるシナリオに焦点を当てたが、その前は日本が通貨戦争に拍車をかけるとの批判があった。それが今や円安はデメリットだという。通貨安がデメリットだとすると、通貨戦争は起き得ないだろう。

物事にはたいていメリットとデメリットがある。メリットを強調すると、思慮が足りないと思われがちだが、デメリットへの行き過ぎた配慮は現状維持を正当化することにもつながる。それは賢明な判断にみえて、必ずしもそうではない。

*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントを経て2010年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネージャーとして、日米欧の経済、金融市場の分析に携わる。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JO1OH20141211
 


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。) ★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民92掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民92掲示板  
次へ