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円安コスト 2倍に拡大 日経センター試算:円安の定着覚悟 日商会頭
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/220.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 12 月 11 日 04:10:35: Mo7ApAlflbQ6s
 


円安コスト 2倍に拡大 日経センター試算

 日本経済研究センターは産業構造の変化を踏まえ、円安が日本経済の価格形成に与える影響をまとめた。長期的な資源価格の上昇や原発の稼働停止で、円安が日本企業に与えるコスト引き上げ効果は1995年に比べ現在は2倍になった。一方で輸出金額の押し上げ効果は限定的で、円安が日本経済全体に与える好影響が弱まっている現状が浮き彫りになった。
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円安の定着覚悟 日商会頭

 日本商工会議所の三村明夫会頭は9日、東京都内での講演で、最近の円安に関して「残念ながら(悪影響を受ける)円安弱者はいるが、円安がおそらく定着すると覚悟しなければならない」と述べた。中小企業を代表する立場から三村氏はかねて1ドル=110円前後でも「好ましくない」などと話していた。発言を軌道修正した形で、大企業の設備投資や製造拠点の国内回帰などを求めた。

[日経新聞12月10日朝刊P.5]

 

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コメント
 
01. 2014年12月11日 06:42:30 : jXbiWWJBCA

円安の影響は14兆5000億円!?(西岡純子)

物価上昇の重要な前提条件「需給ギャップ」

   消費増税の影響を除いたコアCPI、つまりインフレ率の推移を見ると、直近10月の全国消費者物価指数によると0.9%と、1%を下回ってしまっています。ここから先、数ヶ月の間に0.8%程度までさらに低下する可能性が高いですが、そこがボトムではないかと思われ、その後少しずつ回復が見込まれています。

 このところのインフレ率の落ち込みの理由としては、「前年の裏」であることがあげられます。日本の消費者物価は前年比で測る慣習があるため、前年に力強く上がった分、どうしても反動が出てしまうのです。それに加え原油価格の下落もあり、インフレ率は低下しているのです。今後は順調に回復すると思っていますが、当初の予想よりもはるかに回復ペースが遅くなってしまいました。現時点では16年度末に2%に限りなく接近するだろうと見ています。

 ある条件を組み合わせたときに考えられるインフレ率の理論値を表で示しましたが、これは過去のデータを使って、経済の需給バランスと為替の組み合わせで、もっともらしいインフレ率はどこかを計算したものです。現在の需給ギャップは、振れをならすと-2%程度です。それに対し、足元で為替が直近1ドル=120円まで上がってきています。この実態から考えると、インフレ率の理論値は0.8%で、今はほぼ理論値に近いところにあると言えます。


 今後需給ギャップが順調に回復し、2016年には±0まで戻るとします。その時に為替が120円の水準であれば、理論値ではインフレ率は1.6%まで上がるということになります。ただ、それでもまだ2%には少し足りず、2%にするためには、需給キャップが+1は必要になってくることがわかります。

 今回、GDPがマイナスとなってしまったことで、需給ギャップ+1はかなり先と予想され、展望するのは難しい状況です。ただ、赤字国債の発行がしにくいので補正予算の規模はどうしても小さくなってしまいますが、リフレ政策を取る政府が、来年以降例えば10兆円規模の経済対策を講じたとすれば、もしかしたら需給ギャップは+1に近づくかもしれません。その場合にはインフレ率2%の達成は目の前にあると言えます。2%の目標達成は無理なことではなく、政府がその気になれば達成し得るものだと考えています。世の中ではまだ2%は絶対に無理だと主張する人が多いわけですが、状況によって達成はあり得ると思っています。

 物価の上昇について考える際、必ず需給ギャップが重要な前提条件となります。日銀も内閣府も、物価を考える際にはこの需給ギャップをまず決定要素の一つとして重視します。ただ、需給ギャップと一口に言っても、日銀が考える需給ギャップと内閣府が考える需給ギャップは集計方法が全く違います。

 潜在成長率とは、経済に存在する労働や生産設備といった経済資本が平均的に稼働したときに、経済がどれだけ成長するのかを供給面で捕らえたものですが、その潜在GDPと実際のGDPの乖離がどうなっているのかを評価するのが内閣府の計測方法です。一方、日本銀行はより単純に、失業率や設備稼働率、実際の資本がどれだけ平均的に稼働しているのかから直接推計しています。概念は同じでも微妙に推計の方法が違っているのです。

 2つの数値をグラフで比べてみると、往々にして日本銀行の数字の方が強気です。直近でも日本銀行の推計によると今年前半の需給バランスはもはや±0まで行っていますが、一方、内閣府のやり方で見ると-2.9%と、まだ低い水準です。先ほどのインフレ率の理論値の表でも、需給ギャップがマイナスの世界と±0%の世界ではインフレ率が大きく異なっています。もともとの前提条件である需給ギャップが全然違う値なので、日銀はやはり物価に対して強気で、内閣府の数字は弱気となるのです。


 内閣府のやり方は万国共通でオーソドックス、国際基準に近い計算方法なので、民間エコノミストも内閣府の計測方法に準じて各自で推計、評価します。それに対し日本銀行は強く出やすい推計方法を使っており、あたかも強気の物価見通しを維持するために、意図的にそうした推計方法を用いているかにも見えます。

 このように推計方法が違うとなると、両者の議論は一向に交わりません。前提条件が違う以上、エコノミストの物価見通しはどうしても低めで、日本銀行の見通しはどうしても強くなってしまうのです。


円安の影響は14兆5000億円!?

 そして、もう一つポイントとなるのが円安です。円安が経済にとってプラスかマイナスか考えると、2%の物価目標を達成するという非常に表面的な目標達成のためには、円安は相当効果的です。

 また、円安は企業収益にとっても好影響をもたらすと言えるのです。為替の水準によるシナリオ別に、企業収益に及ぼす影響を見てみると、昨年度のドル円平均値(100円程度)に対し、来年度末に為替が110円になった場合、国内事業の収益は悪化します。輸出は増えるもののコストの増加で国内販売が減り、国内事業の収益は13年度と比較して1兆8000億円悪化するという計算結果が得られました。しかしその一方で、海外販売はそもそも海外の成長率が高い上に、円に置き直すときの収益効果があるので、9兆8000億円のプラスとなり、全体の収益では8兆円増えるという計算になります。


 さらに来年度末に120円と想定した場合、国内事業の収益悪化幅はさらに広がってしまいます。円安になればなるほどコストが増加するので、国内事業の収益は落ちてしまうのです。しかし一方で海外販売は逆行して増えるので、全体では14兆5000億円の収益拡大となるのです。いろいろな要素があるものの、全体としてみると、円安は経済にとってはプラスと考えられるのです。

 円安が企業所得に及ぼす影響として、いろいろな格差が出てくることも確かです。海外事業に特化できるような企業は恩恵を受けやすい一方、非製造業に多くある、国内事業を主にしている産業では、やはり企業の収益が落ちてしまうことになります。業種別、企業規模別に、円安によって差が広がってしまうのが実態だと言えるでしょう。


 
7-9月期GDP 年1.6%減(大前研一)



【日本】7-9月期GDP 年1.6%減 〜内閣府〜

 内閣府が17日に発表した7-9月のGDPは、年率換算で1.6%減少しました。一方、安倍総理は18日、法人実効税率を数年間で20%台に引き下げる目標について、「来年度から開始する、財源をしっかり確保していく」と述べました。

 実は日本経済の実態は非常に悪く、このことが結局二期連続のマイナスとして現れたのです。主にイギリスのメディアを中心に、日本はリセッションに入ったという言い方が聞かれます。安倍総理の話を聞いていると、アベノミクスでますます日本経済は良くなっていると表現していますが、実際はそうではなく、私が何度も言っているように、今年は一年締めてみたらマイナスだったという状況になってしまっているのです。


 このGDPが-1.6%というパニックから今回の衆院解散に至るという、この論理の組み立てをよく頭に入れておく必要があります。そうしないと安倍総理の演説でごまかされてしまうからです。選挙ではアベノミクスを問うとしていますが、結果はすでに駄目だったとはっきりしているのです。安倍総理はある意味ペテン師かと思うほどです。

 GDP-1.6%が発表されたその当日に解散を決意、つまり景気条項というものを発動し、増税を18ヶ月伸ばすと言ったわけですが、もしアベノミクスが成功していたら伸ばすわけはないのです。そもそも景気がうまくいっていないから増税を伸ばしたのです。安倍総理の頭の中では何かがずれているのだと思いますが、野党はその辺をうまく突いていません。

 円ドル相場の推移を見ると過去に120円をつけていますが、今回も急激に円安が進んでいて、120円を目指す展開と言われています。実質GDP成長率の推移を見ても二期連続のマイナスで、年間でもマイナス、さらに住宅投資、消費支出ともにマイナスとなっています。


 このような景気状況の中、あっという間に衆議院解散総選挙になってしまいました。衆議院は21日の本会議で解散され、与野党は選挙戦に突入しました。安倍総理は成長戦略を前に進めるべきか、国民の皆さんの判断を仰ぐと述べるとともに2015年10月に予定していた消費税率の引き上げを先送りする考えを表明しました。

 解散総選挙となると皆が万歳と言いますが、小泉進次郎と野党の人たちは今回、万歳をしませんでした。普通は野党も自分たちもやるぞと万歳をするものですが、今回は珍しく民主党も万歳をしませんでした。今回はとんでもないロジックで、成長戦略を進めるべきかを仰ぐとしています。しかし実際はそうではなく、成長戦略を進めていた安倍総理が、2年たっても達成できず、さらにはマイナス成長となり、景気条項を発動して1.5年の先送りをしたわけです。

 これはつまり、成長戦略をやっていたアベノミクスが失敗したということそのものなのです。安倍総理は自身のアベノミクスに対する信頼を問うとしていますが、頭の中のどこかで、小泉氏の郵政選挙のようなイメージがあるのだろうと思います。しかしそれも全く間違いであると言えます。

 安倍総理はアベノミクスの評価として、自慢げにGDPが514兆円から522兆円に伸びたという数字を使っていますが、伸びたと言ってもわずか8兆円にすぎません。さらに円で割ってドル換算をしてみると、政権発足時には6兆ドルであったのが、直近では4.4兆ドルと、30%もシュリンクしているのです。つまり、海外から見ると日本経済は急激にシュリンクしていると見えるのです。世界GDPランキングを見ても、ユーロが強い分ドイツに迫られている状況で、実際はそういうみっともない状況にあるのです。


 また、安倍総理は円安に振ったことを自慢していますが、自国通貨が弱くなって自慢する国など、韓国と日本しかないのです。所得の面で見ても、ドルに直せば激減しているのです。すなわち個人の購買力はものすごく減少したと言うことです。これは私たちにとっては相当な痛手です。ドルで見ると日本が惨憺たる状況であることがよくわかり、これでは世界の笑い者です。安倍総理になってから日本はGDPを3割も減らし、安倍総理は自慢げに数字を挙げて説明していますが、レトリックもいいところなのです。

 そしてこのように実際はドルで見るという見方を、野党がもっと使うべきなのです。このようなイカサマな解散にも関わらず、新聞記者も腰が引けてまともな質問をしません。アベノミクスがもしそんなに成功しているならなぜ解散するのか、なぜ景気条項を使ったのかと、記者クラブでは誰も質問しないのです。

 こうした中、お金は余っているのでどこに向かうかと言うと、不動産しかありません。14日の日経平均株価は三菱地所などの不動産株が大きく値上がりしました。REITの総合的な値動きを示す東証リート指数は約7年ぶりの高値を回復しています。

 実は、この後予想されるハイパーインフレに対しては、いわゆるキャッシュフローを生む不動産は割に強いと言えます。また、コモディティーと言われているような必ず使うもの、ブルーチップの商品はハイパーインフレに強いので、そうしたところにお金が集まってきます。つまり日本のハイパーインフレはすでに織り込み済みという状況なのです。J-REIT市場全体の時価総額は急激に伸びています。ここから先どこまで伸びるかはわかりません。REITは商業用不動産であり、今後賃料を支払えない企業も増えてくるので無制限に伸びるとは考えられませんが、一応ハイパーインフレには強いということから、REITにお金が向かっているということなのです。
http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/20141210_105616.html 


02. 2014年12月17日 20:47:47 : jXbiWWJBCA

実質実効為替相場 約42年ぶりの円安(大前研一)

【日本】一時1ドル=121円69銭 実質実効為替相場は約42年ぶりの円安

 日経新聞は7日、来週の日経平均株価は7年4カ月ぶりに1万8000円台を回復し、上値を試す展開になると予測する記事を掲載しました。11月のアメリカ雇用統計が市場予想を上回ったことや、7-9月期のGDP改定値の上方修正が予想されることなどが買い材料になりそうだとしています。

 NYダウも1万8000ドル近辺で、日経平均の方が先に1万8000台に乗せるかもしれないとされています。しかしこれが危機の前兆なのです。株価が高くなる理由は何もないのです。輸出関連企業がそれほど多いわけではなく、むしろ円安がここまでくるとマイナスになる企業も多く、企業倒産も史上最高に増えています。株が上がってくる理由など見当たりません。

 今上がっている株を見ると、日経225や、年金ファンドのGPIFが買うために資本収益率が高い企業を中心に新しく設定された日経400といった指数が買われてきています。何千社とある日本の株全体が買われているわけではなく、インデックスに関係しているところだけを集中的に買っているのです。つまりマーケットが作られているわけです。したがってインデックス採用銘柄のみに資金が入り、指数がどんと上昇する一方で、上がっていない株がたくさんあるわけです。個別銘柄にはほとんど意味はなく、官製相場になってしまっているのです。

 ですから、今回の指数の上昇は意味がなく、企業収益がそれほど改善しているわけでもないのです。安心感などと理由がつけられていますが、実は大量の資金が指数採用の数少ない銘柄に向かい、指数にリンクした株だけが買われていく状況なのです。しかも公的資金がかなりそこには入ってきています。実態経済と株価との間に大きな差が出てきているのが今の状況なのです。

 この状況では株にはちょっと手が出せません。外国の資金は逃げ足が速く、さっと引いて行きますが、その時に個人投資家が入ってきてやられてしまうというのがいつものパターンです。今のインデックス買いの仕掛けを知ると、年金ファンドを使ったこのようなやり方はあまりにもひどいのではないかと思います。

 5日のニューヨーク市場で、円相場が一時1ドル121円69銭まで下落し、2007年7月以来7年4ヶ月ぶりの円安水準を記録しました。日銀が10月末に追加金融緩和に踏み切って以降、10円強の円安が進んだ形で、貿易相手国通貨に対する円の総合的な価値を示す実質実効為替相場は、1973年1月以来、約42年ぶりの弱さになっています。これはかなり深刻な問題です。実質実効相場の推移をみると、非常に弱くなっていることがわかります。日本の為替が最も強かったのは、不況に入って数年経過した95、96年頃で、それ以降価値は下がり続けています。


 一方、対米ドルでの円相場の推移は乱高下を繰り返しているような印象ですが、古くは1ドル360円からスタートしています。そこから長い時間をかけて今の水準に来ているのです。歴史的に見ると過去20年ほどの平均値に戻ってきているところです。

 また、輸出額と円相場を比較すると、何の関係もないことがわかります。円安になると輸出をしやすくなり輸出額が増えると言われていますが、為替とは関係が無く、何も増えてきてはいません。日本企業は為替によって輸出を増やしたり減らしたりすることはないのです。しかも円で見たときの輸出が増えてないということは、ドルに換算した時は減っているということです。悲しい現実で、同じ物を売っても、もらえる金額が減っているということなのです。


 次に、中国と日本のGDPを比較してみます。ドルベースで見ると2009年にクロスし、2012年頃までは日本がついていっているような動きでしたが、ここにきて円安が進んだことで、倍の違いになりました。あっという間に2倍に差が開いてしまったのです。中国元は依然として少しずつ強くなってきているので、それぞれのGDPを世界の視点からドルで見たら、日本は中国の半分になっているのです。またドルベースで見ると、日本のGDPはドイツにもかなり急速に近付かれています。


 こうした点を考えると日本にとっては何もいいことがないのに、安倍総理だけが喜んでいるのが円安です。黒田日銀総裁はさすがに専門家なので、まずい状況だと認識しています。安倍黒バズーカ最後の一弾について、黒田総裁は打つ必要がなかったと思っているに違いありません。


【日本】日本国債を一段階格下げ 〜米ムーディーズ〜

 米ムーディーズは1日、日本国債の格付けをAa3からA1に1段階引き下げたと発表しました。安倍政権の消費再増税の先送りなどを受けて、2020年度の財政健全化目標達成の不確実性が高まったことなどが要因としています。またムーディーズは2日、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行など邦銀5行と、日本生命保険など生保2社の格付けを、1段階引き下げたと発表しました。日本国債を大量に保有する金融機関にも影響が出たかたちです。これもかなりシリアスな問題です。今回の引き下げでボツワナやスロバキアなどと同じ格付けとなり、韓国よりも下に落ちたことにあります。

 日銀がいかに激しく国債を買い込んでいるか、日本国債保有残高を比較してみます。日銀に売っている国内銀行は持ち玉を減らしています。一方、保険は売却に応じていないということで、保有額をじりじりと上げてきています。今は日銀の保有残高が最も多くなってはいますが、保険は160兆から170兆円、国内銀行も100兆円以上持っているので、日本国債の格付けが下がれば、こうした金融機関の格付けも下げられてしまうという状況になっています。

 日本が財政健全化目標を達成するためにはもちろん増税しかありません。しかし消費税に換算して20%ぐらいにならないと達成できないので、消費税を10%にしてみたところで、2020年のプライマリーバランス均衡は無理なのです。歳出については社会福祉や国債関連の費用がどうしても出て行ってしまい、この部分は減らせません。

 学校の教員の数を減らしたり、道路工事を減らしたりして対策ができるのは全体の40%台に過ぎません。半分以上は減らせない部分なので、100兆円の予算を組んでいますがそのうちの50兆円は全くいじれないのです。歳入が50兆円以下で、歳出が100兆円、つまり50兆円分を何とかしなければならないわけですが、消費税を2%上乗せしてもせいぜい5兆円なのです。それさえも先送りするようなだらしない政治家たち、官僚たちの下では、まず達成は無理だと言えます。方法は全くないのが実態なのです。


【日本】日本人永住者数 1996年比2.6倍 〜NZ、香港など4カ国・地域〜

 財務省がこのほどまとめた統計によると、株式の売却益に課税しないニュージーランドや香港など4つの国と地域の昨年の日本人永住者数が、1996年に比べて2.6倍に増加したことがわかりました。富裕層が節税のため永住権を得て移り住んでいるケースが多いということで、ヨーロッパ諸国で深刻化する富裕層の国外流出が、日本でも進んでいる現状が浮き彫りになっています。

 日本では株売却益への課税はキャピタルゲインに対して20%ですが、実質的には10%とされていたのが再び20%になりました。こうしたことを嫌がる富裕層がいるのです。そこで日本は、株売却益に非課税の国々に行くならばその瞬間のキャピタルゲインに対して、所得税として課税しようとしています。逃げるような人たちは100億円以上の資産を持っているので、キャピタルゲイン税として2割の課税の方がはるかに得で、所得税となると50億円以上支払うことになるので、海外移住者はなくなると思われます。

 問題は既に出て行ってしまった人たちで、この人たちは得をしたということになるのかどうかです。アメリカの場合は、海外に住んでいる米国籍を持つ人たちには、米国側から課税することを検討しています。しかし日本の場合にもそれができるのかは疑問です。

 ただ、私はこうしたことのために他の場所に住まなければならないというのは非常に良くないことで、基本的には富裕層から資産課税という形でしっかり税金を取るべきだと思います。相続の際にも、相続した人から同様に資産課税を取るべきだと思います。日本のような成熟国は、キャピタルゲイン課税などではなく、資産課税を強化しないとだめだと主張してきましたが、財務省でもようやくその点に合意する人が出てきています。しかし、消費税一本できた日本なので、そうした議論が進むのはまだまだ遥か先だと言えます。



講師紹介




ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
12月7日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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