http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/219.html
Tweet |
中国、独占企業シフト
国内競争重視やめ収益集中 インフラ世界進出
【北京=阿部哲也】中国の習近平指導部が自国企業による国内市場の独占・寡占を推進している。巨大な国内市場で上がる収益を有力企業に集中させ、海外進出や輸出拡大を後押しする狙いだ。鉄道や電力、IT(情報技術)では大型企業による市場独占が進み、1社でシェアが8割超に達する例も相次ぐ。国内競争を重視してきた従来政策を転換し、国を挙げて先進国勢との世界競争に臨む。
独占・寡占が目立つのが、新興国への輸出に力を入れるインフラ産業だ。国務院(政府)が主導する形で、二大国有鉄道車両メーカーの中国南車集団と中国北車集団が合併の最終調整を進めている。実現すれば、国内の電車・地下鉄車両でほぼ100%のシェアを占め、売上高で4兆円近い巨大企業が誕生する。
合併で経営資源を集約し、高速鉄道などの海外受注に弾みをつける狙いだ。これまで2社は国内だけでなく海外受注でも競合し、価格低下で採算が悪化する悪循環が続いていた。今後は「オールチャイナ」として東南アジアや南米などで日米欧大手に対抗する。
電力業界でも集約が進む。送電網運営で国内8割のシェアを占める国家電網は、傘下の変電設備会社15社を統合した。独占で稼いだ利益をブラジルやイタリアなど海外同業大手への買収に積極的に振り向けている。原発輸出の強化を狙う原子力関連でも、国家核電技術と中国電力投資集団が統合に向けて交渉中だ。
韓国サムスン電子、米マイクロソフト、仏アレバ、独シーメンスなど国際規模で活躍する大手も自国での大きな市場シェアで得る収益を海外競争へ集中投入し、成長に弾みをつける。中国が国を挙げて似た戦略へカジを切ったのは世界市場を重視するためだ。
改革開放を加速した1990年代以降、中国の産業育成は「分割・競争」が柱だった。社会主義経済の名残を持つ独占企業を分割して国内競争を優先させる路線へ転換し、経営の近代化につなげてきた。合併交渉中の南車と北車も、もともとは旧鉄道省に属する巨大国有車両メーカーが分割して生まれた2社だ。
再び国有大手を中心とした「独占・集中」にシフトし始めたのは「国産品」の輸出拡大に力を入れる習指導部が2012年11月に発足してからだ。習指導部は一方で民間資本の参入などをテコに経営の効率化を促す国有企業改革も進める。官民を挙げて世界で戦える「強い企業」を生み出し、「走出去(海外に打って出る)」戦略を加速する構えだ。
実力を蓄えた中国企業が日本勢の強力な競合相手として立ちはだかる例も増えている。最近もインドの高速鉄道やトルコの原発建設を巡る受注合戦に中国大手が名乗りを上げた。これまで外資からの投資や技術支援に依存してきた中国だが、分野によっては先進国並みに競争力が向上している。
1〜10月の中国企業による対外投資額は818億ドル(9兆9200億円)と前年同期比18%増え、14年通年では世界からの対中投資額を上回る可能性も出てきた。中国の産業育成は「爪を隠して力をためる」から「世界に打って出る」という新段階に入った。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
外資、保護政策に戸惑い 独禁当局の狙い撃ち懸念
【北京=阿部哲也】海外進出の加速へ国内産業の育成強化に乗り出した中国の習近平指導部だが、外資企業の間では戸惑いの声も広がる。成長持続に向けた経済構造改革では「市場化を重視する」と強調する一方、「自国産業保護」ともとられかねない内向きの動きが相次いでいるためだ。
外資にとって最大の不透明要因が中国の独占禁止法当局だ。最近も丸紅による米穀物大手ガビロン買収や、A・P・モラー・マースク(デンマーク)など欧州海運大手3社の提携に当局が「待った」をかけて話題を集めた。しかし国内大手の独占は容認する構えだ。
独フォルクスワーゲンや米クライスラーなど自動車大手に対しても、独占行為があったとして当局が制裁金を科した。外資大手の間では「中国メーカーも同様の商慣行を続けているのに、なぜか外資だけが狙われる」(自動車大手)との懸念が消えない。
民営が多いIT(情報技術)分野でも「側面支援」の動きを強める。7月、日本のLINEや韓国のカカオトークなどの対話アプリが突然不通になり、騰訊控股(テンセント)のシェアが急上昇した。騰訊は政府のネット検閲に足並みをそろえ、国内で安定した経営基盤を持つ。
[日経新聞12月9日朝刊P.7]
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。