01. 2014年12月09日 15:15:13
: xEBOc6ttRg
ロイター企業調査:アベノミクス、7割超がデフレ脱却効果を評価 2014年 12月 9日 07:04 JST トップニュース ホンダが世界で調査回収へ、部品交換でタカタに協力 吉野家が牛丼を値上げし並盛380円に、米産牛肉の価格高騰などで ホンダの調査リコール、日本でも認める意向=タカタ問題で国交相 日経平均は8日ぶり反落、日銀ETF買い入れ期待が下支え [東京 9日 ロイター] - 12月ロイター企業調査によると、アベノミクスがデフレ脱却に効果があったとの回答が7割以上を占めた。安倍晋三首相が10%への消費増税を延期したことについても、7割以上が評価したが、衆院解散には大義がないとして8割近くが評価しなかった。選挙後の内閣には法人減税など成長戦略の実行、消費刺激策を求める声が多かった。 この調査はロイター短観と同時に同じ対象企業(資本金10億円以上の企業)に実施。調査期間は11月25日─12月3日。回答社数は400社ベースで250社程度。 <デフレ脱却には効果、企業経営への好影響は半数> 企業はアベノミクスに対し、デフレ脱却という視点では高評価を与えている。「大きな効果あり」が10%、「少しは効果あり」が66%、合計で76%が効果を認めている。 「円高、株安の流れを変えたのは大きい」(電機)、「株価が上がりデフレから脱却しているように見える」(不動産)、「株価回復と大企業の収益底上げには一定の効果」(卸売)など、金融市場の変化を評価する声が多い。 しかし、効果を認める企業からも、全面的に評価する声はさほど多く聞かれない。「国民全体にデフレ脱却の意識は浸透せず、二極化している」(繊維)、「企業業績が好転し物価が上昇したが、賃金はさほど伸びていない」(小売)など、アベノミクスが広がりに欠ける点を指摘する声がある。 「物価目標を金科玉条にするのはおかしい」(機械)との指摘もある。「原油値下がりによる物価下落は国民経済にとっては良い下落であり、流動性供給量を増やす不健全な手段で(物価上昇を)取り戻す必要は全く認められない」(同)との批判も出ている。 「あまり効果なし」、「全く効果なし」との回答は24%を占めたが、同様に不健全な手法を指摘する声が多かった。「経済の好転により株価が上がるところを、株価だけ上げて実体経済に変化はない」(小売)、「円安や消費税増税による物価上昇が主なので、良質なインフレとは言い難い」(運輸)といった声も上がる。 自社の経営への影響については評価が分かれた。「大きな効果あり」と「少しは効果あり」の合計が55%、「あまり効果なし」、と「全く効果なし」を合わせると45%になった。この結果からアベノミクスによる金融環境の変化が、企業行動や事業の変化をもたらすには道半ばであることがうかがえる。 <消費増税延期は評価、解散に大義なし> 安倍首相は11月18日に10%への消費税率引き上げを延期することを決め、国民に信を問うとして衆院を解散した。これについて、企業からは増税延期に賛成する声が72%となる一方、解散は評価できないとの声が77%と多数を占めた。 増税延期を評価する企業からは「景気の失速を防ぐことができた」(電機)、「もう少し大勢の人が景気上昇を実感するまで待つべき」(不動産)など、景気を重視する視点からの評価がほとんどだった。 しかし「評価できない」とする企業からは、財政について「ツケの先送り」(輸送用機器)、「抜本的な歳出削減努力が不足している」(機械)、「財政再建についての具体的な道筋も別途提示すべき」(運輸)など、増税延期だけの決定では許されないとの声が多数聞かれた。 他方、解散への評価は低く「消費増税延期の信を問う」との首相の説明を肯定する回答はほとんどない。「首相の言う大義が本当に大義たりうるのかは疑問。選挙のために投じられる財政資金も相当な金額」(非鉄金属)との指摘が多い。「党利・党略を感じる」(化学)、「政権運営のための解散には反対」(精密機器)といった見方が目立つ。 「政治空白に伴う景気対策や予算編成の遅れが懸念される」(建設)との批判も多い。 選挙後の内閣に最優先で取り組んでほしいテーマは「法人減税など成長戦略の実行」が49%と半数を占めた。回復の遅れている消費についても「所得減税など消費刺激策」を挙げる声が23%となった。一方、金融緩和拡大との回答は1%、財政支出拡大との回答は4%にとどまり、財政・金融政策を求める声は限定的だった。 (中川泉 編集:石田仁志) ロイター企業調査:アベノミクスには高評価 数字は社数構成比% (2014年12月4日作成) ※四捨五入のため、合計値が100%にならない場合がある おすすめ記事 2度目のGDPショック広がらず、円安と選挙期待が日本株支える 2014年 12月 08日 石油価格、数年で100ドル近くに反発=国際機関 2014年 12月 06日 来年の「逆張り」予想、中国バブル崩壊も 2014年 12月 07日 コラム:「師走の円安」に水を差す3つのリスク=熊野英生氏 2014年 12月 08日http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JM2FO20141208
ロイター企業調査:円安でも国内シフト鈍く、追加緩和は好影響25% 2014年 12月 9日 07:06 JST トップニュース ホンダが世界で調査回収へ、部品交換でタカタに協力 吉野家が牛丼を値上げし並盛380円に、米産牛肉の価格高騰などで ホンダの調査リコール、日本でも認める意向=タカタ問題で国交相 日経平均は8日ぶり反落、日銀ETF買い入れ期待が下支え [東京 9日 ロイター] - 12月ロイター企業調査によると、1ドル120円程度までの円安では、海外生産・調達の国内シフトを検討する企業が全体の9%にとどまることがわかった。業種別では、電機がゼロとなった半面、輸送機械は4割が検討予定と回答した。 一方、円安を受けて輸出価格を下げる動きは少なく、数量より採算を重視する姿勢が鮮明となっている。日銀の追加緩和は、好影響があるとみる企業は少なく、悪影響があるとの声も出ている。 この調査はロイター短観と同時に同じ対象企業(資本金10億円以上の企業)に実施。調査期間は11月25日─12月3日。回答社数は400社ベースで250社程度。 <国内シフト限定的、輸送用機器は4割が検討> 1ドル115─120円の円相場を前提に、海外生産や調達の国内シフトを検討している企業は全体の9%にとどまった。「検討予定はない」が86%、「その他」が5%だった。 業種内の割合をみると、電機は「すでに国内からほぼ撤退済み」、「長年にわたる円高対策の結果であり、急激に円安が進行したからといって国内に生産を戻せるような体制にない」として、検討企業はゼロだった。機械でも「国内販売は国内生産、海外販売は海外生産でまかなう」など、為替の影響を受けない「地産地消」を原則とする動きがみられ、検討企業は10%にとどまった。 調達についても120円までの円安では「(海外調達の方が)国内生産よりコストが低い」(情報サービス)といったレベルにあるもよう。「円安が恒久的とは考えていないし人件費等のコスト差が大きい」(運輸)との理由もある。 国内シフトの検討割合が最も高かったのは輸送用機器で42%。次いで繊維・紙パの25%、食品の22%となった。輸送用機器では「さらに円安が加速した場合には、国内調達品を採用した方がコストメリットがある」、「国内仕事量確保のため、一部を国内へ戻すことを検討中」としている企業が複数ある。ただ「国内では対応できない」、「取引先が国内に戻らない限り難しい」など、半数以上は検討予定なし、としている。 <輸出数量拡大にも消極的> 円安を生かして輸出数量を伸ばすという従来の企業行動も、今回はほとんど見られない。 円安進行で円建て受け取り価格が増えることになり、その分を値下げすれば現地での価格競争力が増して輸出数量の拡大につながる可能性もあるが「値下げにより販売量を伸ばす」(化学)、「この機械に販路を拡大する」(機械)といった回答は9%にとどまった。 一方で86%の企業は、価格を据え置くと回答している。理由として「過度に円安が進んでいるので、少し様子を見たい」(機械)、「一時的要因では下げられない」(電機)など、足元の円安進行の持続性を見極めたいとの声が聞かれる。「輸出品の原材料は海外から調達しているものが多く、コスト(採算)への影響は限定的」(輸送用機器)といった指摘もある。 <追加緩和は企業にメリット少なく> 日銀が10月31日に追加緩和を決定し、それ以降さらに円安・株高が進行したが、多くの企業は事業に対するメリットを感じていない。 事業に「かなり好影響」と回答した企業は1%、「やや好影響」は24%で合計25%が追加緩和は自社にとって好影響と回答した。円安による為替差益や、設備投資環境の改善、株価上昇による資産効果などが理由となっている。 一方で「かなり悪影響」が3%、「やや悪影響」が9%となり、本来、景気刺激的であるはずの金融緩和が、かえってビジネスに悪影響を与えたとの回答が合わせて12%となった。 代表的な輸出産業である輸送用機器でも「やや悪影響」が25%を占め、「やや好影響」の17%を上回っている。「材料価格上昇」、「輸送コスト増加」が背景となっている。 最も多かったのは「どちらでもない」で63%に上った。「銀行の国債調達と日銀買い入れの中で資金が動いている」、「実体経済には影響なし」などあくまで金融市場の中での影響にとどまるとの指摘もある。 株価上昇は「金融資産を持っている人には資産形成で魅力的かもしれないが、一般の消費者にはメリットが薄く、すぐに消費意欲を喚起するものではない」(小売)など、売り上げや収益への影響は感じられないとの声が多い。 7─9月期国内総生産が2四半期連続でマイナス成長となったことも踏まえて、自社の事業からみて景気の現状を聞いたところ「踊り場にある」との回答が55%と最も多くなった。「持ち直しつつある」が23%、「好調に推移」も8%となり、企業自身は4月の消費税引き上げ以後の景気は回復局面にあり、足元一時的に停滞しているとみていることがうかがえる。 (中川泉 編集:石田仁志) ロイター企業調査:円安でも国内シフト検討せず 数字は社数構成比% (2014年12月4日作成) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JM2FX20141208?sp=true
シングルマザーにアベノミクスの恩恵遠く−低賃金、展望描けず 12月9日(ブルームバーグ):鈴木由香さん(47)には貯金がほとんどなく、収入は全国平均の半分、老後の資金の当てもない。それでも貧困ライン以下で暮らしている多くのシングルマザーに比べるとましなほうだ。 日本では貧困ライン以下で暮らしている単身親世帯が半数を超えており、経済協力開発機構(OECD)は単身親世帯の相対的貧困率について、日本を加盟34カ国中最下位にランク付けした。単身親のほとんどがシングルマザーだ。 子育て中の母親に対する理解が希薄な職場環境や、離婚した夫からの支援が少ないこと、保育施設の不足などが問題となっている。安倍晋三首相は経済分野での女性の活用を掲げて、選挙戦を展開しているが、シングルマザーは取り残されている。 独立行政法人、労働政策研究・研修機構の周燕飛研究員は「諸外国に比べて日本は労働市場における男女間格差が大きく、正規と非正規の雇用格差も大きい」と説明。「最も大きいのは子供への影響。貧困の世代間連鎖が一番心配される」と述べた。 離職 鈴木さんのようなシングルマザーの話は、結婚や育児のために退職や転職した後、予想外の離別や死別を経験するところから始まる。そして正規雇用に戻る見込みがないまま、低賃金のパートタイムや非正規職に十数年にわたって従事することになる。厚労省によると、正規雇用で働くシングルマザーは39%で、シングルファーザーは67%。 国税庁のデータによると、非正規雇用の年間平均給与は正規雇用の約35%。シングルマザーの約半数が50万円以下の貯蓄しか持たない。日本の全世帯の平均貯蓄額は1047万円。 鈴木さんは11年前に離婚した。結婚前は障害者福祉施設で正規職員として働いていたが、2人の子供の育児のため退職した。娘は19歳、息子は16歳になる。 鈴木さんは「当時は残業は毎日だし、書類の量が半端なくて仕事を家に持ち帰っていた。子育てしながら、シングルで協力者がいなくて戻るにはきつい仕事だと思って、戻らないことを選んだ」と明かす。 鈴木さんは離婚後、自宅での化粧品の販売や保育園でのパートタイムの仕事を始めた。子供が成長して手がかからなくなるにつれて勤務時間を増やすことができた。今は週に40時間、保育園で子育て支援の仕事をしている。仕事は正社員並みだが、保険や年金、有給休暇などの条件は正社員とは異なる。 保育施設 シングルマザーが子育てをしながら働き続けるための保育施設が整っていない。単身親は保育園に子供を預けた場合、保育料の減免を受けられるが、勤務先や自宅の近くで保育施設を見つけることは簡単ではない。特に大都市ではそうだ。 その場合、費用が高い無認可の保育施設か、3歳以上で1日4、5時間しか受け入れない幼稚園に入れるしか選択肢は残されていない。 東京在住で双子の女の子の母親である都丸美由紀さん(46)は、保育の確保が再就職に当たって一つのハードルになったと語る。都丸さんは自身のシングルマザーの経験について電子書籍を出版した。 都丸さんは20代半ばで結婚し仕事を辞めた。双子の娘を出産した後、夫との別居生活が始まった。2人同時に預かってくれる保育園を見つけることができず、双子が3歳になるのを待って、午後2時まで預けられる幼稚園に落ち着いた。このため、職もパート に限られた。 都丸さんは「一番きつかったのが、夏休みや春休み。その月の給料が全部なくなったりした」と話す。長期休暇や延長保育のために、追加料金を支払わなければならないからだ。 厚労省によると、4月1日現在で待機児童は2万1000人以上。安倍政権は待機児童問題を解消するため、2015年3月末までに保育施設を20万カ所新設する目標を掲げたが、5月の集計に基づく見通しでは目標に9000人足りない。 選挙戦 安倍政権は14日に投票を迎える衆院選の選挙戦で、18年3月までに保育施設をさらに20万カ所設置する目標を掲げている。 鈴木さんや、医療法人の総務として常勤で働く都丸さんは約124万人いる日本のシングルマザーに比べて恵まれていた。元夫から養育費を受け取っているからだ。 厚労省によると、養育費を受けている母子世帯は約20%。米国勢調査局によると、米国では74%の養育中の親が別れた配偶者から養育費を受け取っている。 東北大学の下夷美幸准教授は「日本の離婚は協議離婚がほとんどで、その際の養育費の取り決めが実質的に義務付けされていない。当事者任せにされている」と述べた。 将来への不安 厚労省によると、政府は年間約1万人の単身親に対し職業訓練の給付金を支給している。昨年度までの5年間で約170億円を投じた在宅就業支援は今年度延長されていない。厚労省の評価検討会は費用対効果が低いと指摘した。 安倍政権は少子高齢化に対応するため、20年までに25−44歳の就業率を73%に高めることを目標にしている。13年の女性の就業率は69.5%、男性は91.3%。 鈴木さんは将来について期待と不安を持っている。年収は270万円で老後への備えを始められないからだ。厚労省によると、一般世帯の平均年収は540万円。 貧困率 厚労省はOECDの基準に基づいて、12年の日本の貧困ラインを122万円としている。子供がいる現役世帯で大人が一人の家庭の約55%がこれを下回っている。 OECD諸国の平均では、働く単身親世帯の貧困率は約21%。同データは08年から11年の数字の集計に基づき、韓国は含んでいない。 鈴木さんの今後数年間の目標は、子育てコーチとして活動を始め収入を増やすことだ。最終的には自分の絵本カフェを開くことを目指している。 その準備として、鈴木さんは12年に、ゴールドマン・サックス・ジャパンが運営する1年間の「ひとり親就労支援プロジェクト」に参加した。担当の麻崎久美子氏によると、これまでの5年間で約130人のシングルマザーがこのプロジェクトを通してキャリア相談や資格取得の支援を受けてきた。 鈴木さんは「定年までの15年で計算したら老後に足りなかった。子育てが安定したから次は自分の将来をどうするか考えた」と話す。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 Rin Ichino richino@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 中川寛之 更新日時: 2014/12/09 00:01 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NG8W196JIJUP01.html 「相当な期間」は当面維持の公算、FRB当局者2人が相次ぎ示唆 2014年 12月 9日 08:27 JST [8日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が事実上のゼロ金利を「相当な期間」維持するとしている声明の文言は、当面据え置かれる公算が大きくなった。
予想外に強い伸びとなった11月の雇用統計を受けて、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではこの「相当な期間」の削除を求める意見が出る可能性もあるが、FRB当局者2人が8日に相次いで文言維持を支持する立場を示唆した。 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁はマーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで「『相当な期間』は適切な利上げ時期を最も良く表現している」と指摘した。また2015年半ばの利上げ予想は依然として「妥当」との見方を示した。 ウィリアムズ総裁と同様、中道派とされる米アトランタ地区連銀のロックハート総裁も、声明から「相当な期間」の文言削除を急ぐ必要はないとの考えを示した。 10月のFOMC声明では、この「相当な期間」の文言を据え置く一方、経済指標が上振れれば利上げ時期は前倒しになり、逆に下振れれば利上げ時期は遠のく可能性があるとの見解を追加した。 JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、経済の進ちょく状況次第で利上げ時期が前倒し、あるいは後ずれする可能性があると追加されたことで、「相当な期間」の文言はハト派的な意味合いが薄まったと指摘。そのため文言を維持することは理にかなっているとの見解を示している。 だが一部のエコノミストは、来週のFOMCで「相当な期間」の文言が削除されると見込む。 ゴールドマン・サックスのJan Hatzius氏は、会合後にイエレン議長の会見が予定されていない来年1月まで文言削除を先延ばしすることは「具合が悪い」とし、会見がある来週の会合で削除されるとの見方を示した。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JM2K720141208 原油安には頼れない、ゼロ金利が成長への「潤滑油効果」を遮断 12月8日(ブルームバーグ):原油価格の下落はかつてのように世界経済の潤滑油にはならず、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事の期待には応えられそうもない。 最近の歴史さえ、ロンドンのヘッジファンド、SLJマクロ・パートナーズのファーティ・イルマツ氏らあまのじゃくな見方の肩を持つ。またエネルギー効率の向上と、すでにゼロ水準にある金利のために、北海ブレント原油が今年に入り37%急落したことから波及するはずの効果は弱まると考えられる。 イルマツ氏は4日付のリポートで、「世界の国内総生産(GDP)に原油安が与える影響について、統計に基づいた説得力のある論理を展開するのは困難だ」と指摘した。 同氏の分析によると、1970年から2000年にかけて原油価格の20%下落はたいてい、次の1年8カ月の世界GDPを0.25ポイント押し上げた。しかし2000年以降にこの関係は崩れ、原油安は直近のGDPにまずマイナスに作用し、1年経過してプラスに転じた後、影響は薄れることが分かったという。 ラガルド専務理事の予想はこれと正反対だ。同専務理事は原油価格の30%低下が先進国の経済を0.8ポイント押し上げると見ている。JPモルガン・チェースも同様に、世界の経済成長は2四半期にわたって0.7ポイント押し上げられると予想。ソシエテ・ジェネラルは1年後の経済効果を0.3ポイントと推計している。 ゼロ金利政策 かつて原油安と経済成長の加速を結びつけていた「経路の一部が」今は遮断されているため、こうした見方は原油安の効果を過大評価しているかもしれないと指摘するのは、HSBCホールディングのチーフエコノミスト、スティーブン・キング氏だ。 同氏によれば、1980年代と90年代、原油価格の低下はしばしば、連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げにつながった。しかし米政策金利が事実上のゼロに近い現在、もはや利下げの余地はない。また当局が資産購入を再開するとすれば、景気にかなりの弱さが明らかにならなくてはならないという。 「利下げの可能性がなくなった現状では、原油価格の下落は残念ながら、すでに広がっているデフレ懸念を増幅させかねない」とキング氏は指摘する。 またシェールエネルギーのブームで現在の米国は産油国としての役割を高めているため、原油安はかつてのような明確な朗報ではなくなった。 キング氏は「原油価格は常に世界の経済活動を活発にするものだと考えたい気持ちは分かる」と述べ、「現実はもっと複雑だ」と述べた。 原題:Don’t Count on Oil Decline Greasing Growth as Much as Previously(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Hertling jhertling@bloomberg.net Zoe Schneeweiss 更新日時: 2014/12/09 07:00 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NG9SAZ6JTSE801.html 中国成長率目標7%へ引き下げ、政府系シンクタンク提言=関係筋 2014年 12月 9日 00:36 JST [北京 8日 ロイター] - 中国指導部は、来年の経済政策の基本方針を決める中央経済工作会議を9日から開催するが、複数の関係筋によると、一部の有力政府系シンクタンクは来年の経済成長率目標を7%に引き下げることを提言する。 中国政府は成長率目標を2012年に8%から7.5%に引き下げた。複数の関係筋によると、一部の有力政府系シンクタンクは来年の経済成長率目標を今年の7.5%から7%に引き下げることを提言する。 政府系シンクタンクは政府の意思決定に影響を及ぼすが、決定権はない。 中国社会科学院のシニアエコノミストは匿名を条件に「習近平国家主席は7%成長は世界最高だと述べており、すでに成長目標を示唆している」と指摘。「これ以上予想外のことが起きなければ、7%にすべきだと考える。ただ7%を下回れば、失業やデフォルトの問題が起きるため、7%未満にすることはありえない」と述べた。 中央経済工作会議ではまた、穏健な金融政策を維持する方針が再び示される可能性があるが、関係筋によると、深刻な景気鈍化を回避するために、基本的には緩和的な姿勢が打ち出されるとみられる。 エコノミストらは中国当局が、追加利下げや預金準備率引き下げの組み合わせによる世界金融危機以降で最大規模の緩和策に踏み込むと予想している。中国人民銀行(中央銀行)は11月21日に予想外の利下げを実施している。 複数のシンクタンクはまた、消費者物価上昇率の見通しについても、商品価格の下落を踏まえて今年の3.5%から3%程度まで引き下げるように政府に提言している。 国家情報センターの主任エコノミスト、祝宝良氏は、「われわれは3%程度のインフレ目標を提言した。雇用については、1000万人の新規雇用を目指すべきだ」と述べた。 関係筋によると、来年の予算では財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は3%近くに設定され、今年の2.1%を上回る可能性がある。地方政府に対し、資金調達のためのプラットフォーム会社を通じた借り入れを抑制し、債券を発行するよう促すことが背景にある。 中国社会科学院のシニアエコノミストは、「われわれは経済安定化のため、財政支出と財政赤字を拡大する必要がある」とした。 関係筋によると、中央経済工作会議は11日まで開催される見通しで、経済に関する目標が公表される可能性は低い。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JM1ON20141208
欧州株反落、イタリア国債格下げと日本・中国の指標嫌気 2014年 12月 9日 04:43 JST [ロンドン 8日 ロイター] - 週明け8日の欧州株式市場は、反落して取引を終えた。前週末のイタリア国債格下げや、朝方発表された日本と中国の軟調な経済指標が市場心理の重しとなった。 FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3は9.73ポイント(0.69%)安の1395.44で取引を終えた。DJユーロSTOXX50種指数.STOXX50Eは29.39ポイント(0.90%)安の3247.99だった。 格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は5日、イタリア国債の格付けを「BBB」から「BBBマイナス」に引き下げた。かろうじてジャンク(投機的)等級の1段階上となる。イタリアの主要株価FTSE・MIB指数.FTMIBは0.68%低下した。 中国の11月の輸出の伸びは前年比4.7%に鈍化した。輸入は予想に反して6.7%減となった。 日本の第3・四半期の国内総生産(GDP)改定値は年率換算で1・9%減と、速報値から下方修正された。 モルガン・スタンレーが原油価格見通しを下方修正したことで、北海ブレント原油は一段安となった。 イタリアのENI(ENI.MI)は3.4%、英オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)は2.5%、 英BP(BP.L)は1.7%下落した。 ただ、欧州中央銀行(ECB)が2015年に国債購入に踏み切るとの観測から、株価全体の下落幅は限定的だった。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JM28E20141208 コラム:ドル130円を示唆する米賃金上昇の芽=山口曜一郎氏 2014年 12月 9日 11:46 JST 山口曜一郎 三井住友銀行 シニアエコノミスト [東京 9日] - 5日に発表された11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比プラス32万1000人と2012年1月以来の大幅増加となり、マーケットでは米景気に対する楽観が広がる展開となっている。そのような中、筆者は今回の雇用統計における時間当たり賃金の上昇に大きな意味を感じている。 時間当たり賃金は前月比プラス0.4%と、事前の市場予想(昨年6月以来の伸び率であるプラス0.2%程度)を大きく上回った。特筆したい理由は、筆者が統計発表前に同僚トレーダーとの打ち合わせで「賃金上昇は秒読み段階」と言った手前、ホッとしたというのもあるが、それ以上に今回の数字は米国の賃金を取り巻く一連の流れが一本につながり始めている可能性を示唆するからだ。 米国の賃金に関する議論は多数あり、すべてをここで取り上げることはできないが、数ある分析と経済指標の中で筆者は8月22日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の講演、第3四半期の雇用コスト指数、直近の米地区連銀経済報告(ベージュブック)、今回の時間当たり賃金を、ひとつの重要な流れとして捉えている。 一部の読者はご記憶のことと思われるが、8月のジャクソンホールでイエレン議長は、「ペントアップ賃金デフレ」という考えを持ち出した。簡潔に述べると、ペントアップ賃金デフレとは、不況時に従業員の士気を保つために雇用者が大きな賃金カットを行わなかったことから、景気の落ち込みに比して賃金は高めの推移を継続。そのため、景気が回復しても賃上げの必要に迫られることがない、という議論だ。 この考えに従うと、賃金の鈍い伸びは必ずしも経済のスラック(弛み)の存在を意味しないのだが、目に見える賃金・物価圧力は低水準にとどまる。すると最初の物価上昇の兆候が遅れ、のちに急激な引き締めが必要となってしまう、ということだ。 同議長はあくまでも議論のひとつとして取り上げたのだが、現実の世の中において、この可能性を考えているのであれば、足元の雇用者数が増加を続け、失業率は低下しているが、賃金が上がってこない、という状況は永続的ではなく、賃金が上がり始める兆候には普段以上に注意が必要ということになる。 そこで、この可能性を探るために、雇用コスト統計といくつかの経済指標を追いかけていくと、興味深いことが分かる。まず、ひとつは、雇用コスト統計の賃金・給与指数の伸びと全米独立事業者協会(NFIB)の労働報酬引き上げ計画指数の関係だ。 約1年半のラグをもって両者を比較すると、1990年代後半から2008年後半までは関連性の高い動きをしている一方、2009年から2014年前半までは、後者が低下したのち反発しているのに対して、前者は横ばいでの推移を続けていた。つまり、計画としては引き下げたかったが実際には引き下げなかった可能性がある。 これをペントアップ賃金デフレの証拠と見るのは強引すぎるかもしれないが、足元では後者が前者にようやく追い付いており、偶然か否か、今年第3四半期の雇用コストの賃金・給与指数は前年同期比プラス2.1%と2009年第1四半期以来の伸び率を記録した。 もうひとつは、雇用コスト統計のサービス部門の賃金・給与指数と消費者物価指数(CPI)のコア・サービス指数の伸び率だ。こちらも2000年代前半から半ばにかけて両者がフィット感のよい動きを見せたあと、2010年第3四半期には、後者の伸びが低下する一方、前者の伸びは横ばいで推移。その後、後者が反発する中でも、前者はしばらく横ばいを続けていたが、今回、第3四半期の前者は前年同期比でプラス2.2%と2009年第1四半期以来の伸び率となった。こちらも、インフレが低下から反発する中で、賃金・給与の伸びはしばらく横ばいとなっていたが、ここにきて、じわじわとピックアップし始めていると読める。 <為替相場に与える影響> 次に考えたいのが、雇用コスト統計の賃金・給与と雇用統計の時間当たり賃金との関係だ。前述のように、第3四半期にピックアップの兆候を見せた雇用コスト指数に対して、同時期の時間当たり賃金は前年比プラス2.0%程度の伸びにとどまっていた。 もちろん、異なる統計であることから出てくる数字が異なるという可能性もあるが、もしも賃金環境が本当に改善しているならば、時間当たり賃金よりも雇用コスト指数(賃金・給与)が先に上昇し始めるという仮説を立てることができる。というのも、両統計はそれぞれ特徴が異なるからだ。 ポイントだけ述べると、雇用コスト統計の賃金・給与指数は産業のウェイトを固定しているため、同じ産業構成で賃金・給与がどのように推移しているかを見るのに適しているが、産業構成や労働者の大規模なシフトが起こると現実をうまく反映できなくなる可能性がある。一方、時間当たり賃金はすべての労働者の平均賃金であるため、より現実を反映しているものの、ある産業で継続的に働いていた人の賃金・給与の増減がつかみにくい。 例えば、産業構成が変化し、相対的に低賃金の産業ウェイトが拡大する、あるいはその産業に労働者が大きく流入するが、既存産業ではそこそこの賃上げが行われる、といった場合、雇用コスト指数は上昇するが、時間当たり賃金は上昇しない、というケースがあり得る。 これはどちらが正しいという議論ではなく、どちらも正しいのだが、もしも基調としての賃金環境が改善しているのであれば、雇用コスト指数が先に改善し、その後に時間当たり賃金が改善する、という可能性が考えられる。単月で判断するのは早計だが、今回の11月の時間当たり賃金の上昇はその兆しかもしれない。 これに加えて、折しも、今月3日に発表されたベージュブックでは賃金に関する判断が上方修正され、資質の高い従業員を得るために報酬を調整したり、価値の高い既存従業員の賃金を上げたり、一部では未熟練労働者の賃金上昇圧力が出てきている、との記述があった。これらを総合すると、米国にはじわじわと賃金上昇の芽が出てきていると考えられる。 これが為替相場に与える影響は大きい。日銀の追加緩和が大きく円安を推し進める中で、米経済の堅調さと来年の利上げ観測がより強まってくることは、一段のドル買い円売りを呼ぶ。 ドル円はすでに一時121円台まで上昇しており、120円台乗せは来年と見ていた筆者にとってはやや早い大台乗せだが、米景気回復と日銀のバズーカは引き続きドル円を押し上げるだろう。この先、円安がさらに進む公算は大きく、この展開が続くようなら、130円への備えが必要となってきそうだ。 *山口曜一郎氏は、三井住友銀行市場営業統括部副部長兼調査グループ長で、シニアエコノミスト。1992年慶應義塾大学経済学部卒業後、同行入行。法人営業、資本市場業務、為替セールスディーラーを経て、エコノミストとして2001―04年にニューヨーク、04―13年ロンドンに駐在。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JM15U20141209 コラム:近づく石油時代の終焉、メジャーの採る道は=カレツキー氏 2014年 12月 8日 14:11 JST アナトール・カレツキー
[5日 ロイター] - 原油価格が7月以降40%も下がったことは、産油国と石油企業に壊滅的な打撃をもたらしている。1バレル=70ドルを下回る原油価格は米国とカナダのシェールオイル、オイルサンド生産企業のほか、ベネズエラからナイジェリア、メキシコ、ロシアに至る石油輸出国にとって頭痛の種だ。 一方で、米欧の石油メジャーにもたらす意味はもっと曖昧で、見方によってはプラスにとらえることさえ可能かもしれない。 実際のところ、エクソン・モービル、シェブロン、ロイヤル・ダッチ・シェル、BP、トタルといった石油メジャーの株主は、原油価格の低迷によって最大の恩恵に預かる可能性がある。石油輸出国機構(OPEC)が1974年に事実上のカルテルの立場を確立して以来、これら企業が40年かけて身に着けてきた悪習が、価格下落によって破棄を余儀なくされれば、である。サウジアラビアが過去数週間に強く示唆した通り、独占的な価格設定の時代が終わりを告げようとしているのなら、石油メジャーは何十年間も無視し続けることで株主に多大なコストを負わせてきた資源経済の基本原則に、今こそ立ち返る時だろう。 このうち最も重要な基本原則が「収穫逓減」の法則である。石油企業が新たな油田を発見する度に、株主が期待できるリターンは減る。なぜなら新たな油田の開発コストは、既に発見済みでアクセスしやすい油田に比べ、ほぼ例外なく高いからだ。石油企業の宿命であるこのビジネスモデルの欠陥は、過去40年間、石油価格が開発・生産コストよりも速いスピードで上昇してきたことによって覆い隠されてきた。しかしここで、2つめの基本原則が浮かび上がる。 市場が独占的な勢力により完全に支配されているのでない限り、価格は最も効率的な供給者の限界生産費用、すなわち既に発見・開発済みの油田から新たに1バレルの石油を生産するコストによって決まる。完全に競争的な市場においては、より低コストの油田が枯渇するまでは、新規油田開発に投じた巨額の資金は回収できないし、原油の汲み出しが最も容易な中東および中央アジア以外で石油開発を行う意味はないだろう。 これはもちろん極端に単純化した世界だ。地政学的紛争や輸送・インフラ上のボトルネックが存在する現実世界においては、消費者はエネルギー安全保障を求め、自国あるいは信頼できる同盟国の油田で生産された石油にはプレミアムを支払う。それでもなお大まかな原則は当てはまる。石油市場に少し競争が生じるだけでも、生産コストが中東の油田より遥かに高い新規油田の開発に投じた資金は未来永劫、回収されなくなるのだ。 アーンスト・アンド・ヤングの石油埋蔵調査によると、西側企業は石油の掘削・開発に年間約4500億ドルを投じている。これは歴史上、最悪の資金配分の間違いかもしれない。事実として、西側生産者がサウジアラムコの石油生産コストと肩を並べることは決してかなわない。それどころか、ロシアのロスネフチほか、世界でも最も生産が容易な油田に独占的にアクセスできる他の国有石油企業とも張り合えないだろう。エクソンとBPは北極圏の氷原やメキシコ湾深海の油田を掘削するのに数十億ドルを投じているが、サウジは旧式の石油汲み上げポンプとさほど変わらない価格の機械を使い、国内の砂漠から石油を汲み出すことができる。 競争が存在する市場であれば、西側の石油企業にとって合理的な戦略は、開発を一切止める一方で、すぐに生産可能な油田を持つ国有企業に対して技術や地質学的援助その他、収益性の高いサービスを提供し続けることだ。そうすれば、既存の低コスト油田で生産する石油の売却収入は、そうした油田が枯渇するまで株主に還元できる。 今までこうしたことが実現してこなかった理由は2つある。第一に、OPECが生産制限や低コストの中東油田の開発を制限することにより、人為的に石油価格を釣り上げ、結果的に西側石油企業を守ってきた。第2に、石油企業の経営陣は「石油需要は永遠に増加を続ける」という神話を妄信してきた。それゆえに、株主還元を最大化するよりも新規油田を発見することの方が重要に見えていたのだ。 石油需要が永遠に増加するという仮説は、いとも簡単に覆すことができる。BP買収のうわさはその表れだ。仮にプライベートエクイティがBP買収に必要な1600億ドルを調達できれば、BPを清算して現金化することができる。原油価格がさらに50%下落したとしても、BPの抱える確認埋蔵量100億5000万バレルは3500億ドルの価値を持つのだから。 しかし第1の前提条件はどうだろう。サウジはある時点で生産制限によって価格を落ち着かせたいと望むに違いないが、その目標価格は従来考えられていたより大幅に下がっているのかもしれない。サウジは、他国に市場シェアを譲った場合、自国の石油の大半が売却も燃焼もできない価値無き「置き去りの資産」と堕してしまうリスクを認識しているようだ。世界の気候変動に照らして二酸化炭素排出量が限界に近付きつつある上、技術進歩により非化石燃料の価格が徐々に下落していることを踏まえ、イングランド銀行(英中央銀行)はこのほど、世界の石油埋蔵の一部が「置き去りの資産」と化す可能性があると警告を発した。石油企業と株主、銀行が巨額を投じたにもかかわらず、市場価値を失ってしまうというのだ。 サウジはそうしたリスクを重々承知だ。1970年代に石油相を務めたヤマニ氏は、いつまでも石油の売却を当てにしていてはならない、と同胞を戒めていたものだ。「石器時代は穴居人の石が尽きたから終わったわけではない」と。現在は「石油時代」の終焉が近づいているのかもしれない。サウジはそのことを西側石油メジャーの経営陣よりも良く分かっている。 (筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています) *アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。 http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0JM0BI20141208 原油先物5年ぶり安値、供給過剰継続予想で売り 2014年 12月 9日 04:35 JST [ニューヨーク 8日 ロイター] - 8日の原油先物相場で、北海ブレント先物と米原油先物がともに1バレル当たり2ドル以上下落し、5年ぶり安値を更新した。供給過剰な状態が2015年に入っても継続するとの見方から売りが出ている。 北海ブレント先物LCOc11月限は米東部時間午前終盤の取引で2.42ドル安の1バレル=66.62ドルを付け、2009年10月以来の安値を更新した。 米原油先物CLc1は2.27ドル安の1バレル=63.55ドルと、2009年7月以来の安値を更新した。 モルガン・スタンレーは5日付の報告書で、原油価格は2015年に1バレル=43ドルまで下落する可能性があると予想。同年の北海ブレント先物の平均予想を1バレル=70ドルとし、従来予想から28ドル引き下げた。2016年の予想は1バレル=88ドルとし、14ドル引き下げた。 モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ロングソン氏は、「石油輸出国機構(OPEC)の介入がなければ市場が不安定化するリスクが台頭し、供給過剰な状態は2015年第・2四半期にピークを迎える」との見方を示している。 |