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アベノミクスに黄色信号! 2015年不動産市況は半年先にピークアウト!?
http://diamond.jp/articles/-/63371
2014年12月9日 吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト] ダイヤモンド・オンライン
■不動産市況は2015年がピーク
今週末は衆議院選挙の投開票が行われる。争点は「アベノミクスに対する信任」のようだ。
各政党の訴えを聞くと、有効求人倍率が上がったことから「雇用が増えた」と訴える与党に対し、「正規雇用は増えず非正規雇用が増えた」と野党は応戦。また、円安誘導政策のため、「輸出が増え経済成長が目に見えて起こり、株価も上がりデフレを脱却できた」という与党に対し、「円安は、多くの製品の原材料を輸入に頼る日本では多くの製品で値上がりが起こり、デフレ脱却による恩恵を多くの国民は受けていない」と野党がやりかえす。
現政権になってから株価上昇、金融市場が活況な事に間違いはない。しかし「実体経済はよくない。その証拠に賃金上昇率もインフレ率以下であるし、銀行の企業設備投資への貸し出しも増えていない。金融緩和を行ったことにより起こるべきして金融市場が反応しただけでアベノミクスは上手くいっていない」という見解を述べる識者も多いようだ。
ただ、不動産市況はアベノミクスに大きく影響されたのは確かだ。
その不動産市況を振り返ってみると、政権交代以降、不動産市況はよかったと言っていい。とりわけJREIT、そしてファンドのお金が流入する大型案件、1棟もの賃貸住宅やワンルームなどの投資用不動産だけでなく、実体経済と言える実需用(実際に購入者が住む)の不動産売買も活況だった。
この活況は、2015年も続くのだろうか。データをいくつか見ながら、予測してみよう。
■全国で価格が上昇 主要都市地価
2014年に入り、主要都市を中心に全国的に不動産価格は上昇していると報じられている。実際の取引価格が上昇しているという事実から、「不動産価格上昇」ということらしいが、ここでは地価公示で考えてみたい。
図1は、4大都市(都道府県)の1983年から2014年までの地価公示の増減を表したものだ。2013年はほぼ±0、2014年はすべての地域でプラスになっていることがわかる。
少し本題から外れるが、この30年間を見るとバブル期の凄まじい上昇がよくわかる。2000〜01年のITバブル期、05年〜2008年のミニバブル期にも上昇が見られる。
何度かダイヤモンド・オンラインでも述べてきたが、バブル崩壊以降の日本の不動産サイクルは、大まかに7年サイクル。図1からは、その傾向がよく表れている。
7年サイクルに当てはめると、前回の05〜08年のスタート期から、7年経った2012年の秋ごろから、上昇の気配が見られた。次節で述べるJREITの動きにそれが顕著に見られた。
地方主要都市の地価公示に目を向けると、2014年は地方主要都市でも上昇している。
図2は4大都市圏以外の地方都市(こちらは市の単位)の地価公示の増減率だ。これを見ると、リーマンショック以降の2012年ごろから回復基調にあるのがよく分かる。
7年サイクルに当てはめると、2015年の地価は今回のサイクルのピークにあたる。前半は沸き立ち、後半にかけて失速する可能性があるだろう。
■東証REIT指数は12年秋の2.2倍に!
不動産市況が盛り上がり始めたのは、地下公示の推移でも表れていたように、政権交代前だ。2012年の初秋頃からJREITの動きが活発化し、価格上昇が始まった。
図3は東証に上場するJREITの動きを示す、東証REIT指数の推移をグラフ化したものだ。
2012年の9月ごろから今の上昇基調が始まっている(政権交代は2012年末)。そして、アベノミクスという政策を発表して上昇を続けたが、一時的に2013年3月ごろからしばらく停滞を続けていた。
2014年に入ってからは上昇を続けている。不動産市況に対する期待に加え、先月の日銀の金融緩和と、JREITをさらに買い支えると発表してからは、続伸が続いている。時価総額の総計は10兆円を超えた。
東証REIT指数は、12月3日(水)には1880ポイントを超え、上昇に転じた12年秋ごろ(850ポイント程度)の2.2倍となった。
JREIT投資の目安となる分配利回りを見てみると、2013年1月には4.2%程度だったのが、12月3日(水)には、ほぼ3%ちょうどの水準まで下がった。
長期金利の利回りと不動産の固有リスクなどを勘案すると本来ならこのあたりが限界ではないかと思うのだが、日銀の買い支えがあればもう少し上昇するのかもしれない。東証REIT指数は、年初からも上昇を続け、3月ごろには2000ポイントを超えると予想される。このあたりがピークだろう。
■翳りが見え始めた実需用マンション市況
実需要のマンションの動きはどうだろうか。
実需用の動きを、ここでは中古マンションの契約率と価格(単価)で見ていこう。新築マンションの価格は市況だけを反映するとはいえず、原材料の状況によってどうしても積み上げで価格設定せざるを得ない。現に今年も原材料費と人件費の高騰などで新築価格は上昇した。また、土地仕入れの難航からか、新規供給数(発売数)が少なかった。
図4は11年1月〜14年9月までの首都圏における中古マンションの成約数と平米単価を示したものだ。
これまで述べたように、12年秋ごろからの価格上昇が見える。このころは、広さもあり一等地にある高級マンションから、価格が動き始めた。次第にその動きは一般的な価格とサイズの中古マンションにも広がり、価格上昇が続いた。しかし、そんな状況にも陰りが見え始めている。
■価格は今が天井! 首都圏中古マンション
週末になると、新聞には多数の中古不動産物件のチラシが折り込まれる。筆者は職業柄こうしたチラシを丹念に見ている。
そのチラシの文言に最近目立つのが、「新価格」という言葉だ。おそらく、これまでの価格よりも下げた“新しい金額”で再度公募します、という意味だろう。多数の物件を掲載している大手不動産流通会社(売買仲介会社)の物件サイトを見ていても、価格表示に『↓』という表示や『DOWN』という表示が増えてきた。
これらは数ヵ月前から売りに出しているが、なかなか買い手がつかず、やむを得ず価格ダウンして買い手を募集していることが伺える。
先ほどとは別の分析方法で、この事実を確認してみよう。
図5は契約戸数と、その前年同月比だ。
首都圏の中古マンションの成約数は、14年4月くらいから前年を下回っていることがわかる。13年がかなり高い数字だったということもあるが、実数の落ち込みが激しいのは確かだ。
図4で平米当りの単価が上昇していることが分かるが、この実数の落ち込みは価格がかなり上昇しているため、「買う気はあるが、ちょっと高い」と敬遠している結果ではないだろうか。こうした敬遠が、もっとも勢いよく値上がりした都心の価格調整(値下げ)のきっかけだとみていいだろう。
こうした状況から判断すると、首都圏の中古マンションは15年春先あたりが価格のピークとなる可能性が高い。
以上のことから、日本の不動産市況は今後半年がピークだと予想できる。あと数日で決する衆議院議員選挙。株高と不動産価格上昇がアベノミクスにおいての主な効果なため、半年でピークを迎えて価格下落の兆候を見せ始める可能性があり、今がもっとも政権与党に有利な時かもしれない。
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