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アベノミクスは失敗か? 経済政策の論点はこれでわかる!(衆知)
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/175.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 12 月 08 日 11:33:05: igsppGRN/E9PQ
 

立命館大学経済学部教授・松尾匡著 『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』


アベノミクスは失敗か? 経済政策の論点はこれでわかる!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141208-00010000-php_s-bus_all
PHP Biz Online 衆知 12月8日(月)9時50分配信


自国中心主義的な経済路線に未来はない
     
 昔の自民党みたいに、公共事業で経済を活性化させようという、古いタイプの保守派の経済政策路線は、もうダメだと言われます。無駄ばかりで、財政赤字を膨らませる一方だというわけです。でも、昔の社会党や共産党が音頭をとった自治体みたいな、古い革新系の経済政策路線も、やっぱりダメだと言われます。福祉のバラマキだとか、公営事業が非効率だとか言って叩かれました。

 これではいけないと、小泉さんのときみたいに、民営化とか規制緩和とか財政削減とかの新自由主義路線が世界中でとられましたけど、格差は拡大するし、地方は荒廃するし、福祉も教育もボロボロになり、失業者もいっぱい出て、犯罪も増えて散々でした。
 それじゃあと言うので、90年代半ばからのイギリスのブレア政権やアメリカのクリントン政権以来、日本の民主党政権に至るまで、「第三の道」などと言われて、新自由主義を多少手直ししてマイルドにしたような経済政策路線が、あちこちでとられたことがありました。でも、やっぱりなるべくおカネを使わないようにしようという姿勢なので、格差はなくならないし、多くの人の福祉のニーズも満たされません。日本の民主党政権の場合、震災復興もままならず、公約だった「子ども手当」なども尻すぼみになり、失業も地方経済の衰退も解決できずに政権がつぶれてしまいました。この路線の推進者のなかには、「不況で結構」と言わんばかりの言動も聞かれましたが、そもそも需要が少ない状況では、あふれる失業者をみんな農村や漁村や社会的企業にはめ込むなど、たとえ兼業でも絵空事なのは明らかです。結局、いつ他人と取り替えられるかビクビクしながら、どんなものでもありついた仕事にしがみつくしかない人々をどうすることもできず、「ブラック企業」をはびこらせるだけに終わったのでした。

 このような閉塞状況のなかで、世界ではあちこちで極右政党が躍進しています。もちろん日本も例外ではありません。しかし、今日私たちの暮らしは、世界中の人たちによって支えられています。ちょっと輸出が減ればたちまち国中に失業があふれ、ちょっと輸入ができなくなればたちまち暮らしが苦しくなります。世界中の経済の流れが少し滞ると、世界中で何の罪もない人々が路頭に迷うのが現実です。自国中心主義的な経済路線に未来があるはずなどありません。

経済学の巨人たちの共通点とは
     
 では、どうすればいいのでしょうか。

 この本には『ケインズの逆襲、ハイエクの』というタイトルをつけていただきました。ご存じのとおり、ケインズは資本主義市場経済の働きには批判的で、そのまずい点をなんとかするための公的な介入の必要を唱えた人で、他方のハイエクは市場経済の働きはすばらしいとみなして、公的な介入に強く反対し続けた人です。

 読者のみなさんのなかには、ケインズなんてもうとっくに時代に合わなくなったとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。ハイエクなんて、新自由主義を支えた思想家だろうと思っていらっしゃる方も多いかもしれません。本書をお読みいただいたらわかるとおり、そんなことはないのです。この二大巨頭をはじめとして、この本では超有名な人からそこそこ有名な人まで、様々な立場の経済学者が主張したことを、エッセンスを抽出してご紹介しています。

 そして、本書の主眼は「これらの経済学者の主張には、実はある共通する視角が見出される」という点にあります。これこそが、前ページで述べたような、私たちが直面している手詰まりを打開する、あるべき経済政策路線の方向を指し示すものなのです。

 それは、一言で言えば「リスク・決定・責任の一致が必要だ」ということであり、これとかかわって、「予想は大事」ということです。この視角を導入すれば、実に様々な経済システムや経済政策路線がうまくいかない理由や、望ましい理由が説明できます。なぜ、これまで試みられてきた経済政策路線がどれも行き詰まったのか。では、この先どうすればよいのかが、これによってわかるのです。

 さらに言えば、この先、政権与党が新たな経済政策を打ち出した際に、その政策が真に私たちを幸福にするものなのか、矛盾をはらんだものでないかが見抜けるようになるでしょう。とりわけて、現実の資本主義経済のあり方に憤りを感じ、もっと人間的な血の通ったシステムを望んでいる人にとって、この視角は大きなとなるのではないかと思います。

(立命館大学経済学部教授・松尾匡著 『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』まえがきより)

松尾匡


 

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コメント
 
01. 2014年12月08日 12:07:52 : nJF6kGWndY

いろいろ勉強にはなるだろう

ただし、日本で政治的に実現可能かは、かなり微妙ではある

http://synodos.jp/economy/9541/5

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%81%AE%E9%80%86%E8%A5%B2%E3%80%81%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%85%A7%E7%9C%BC-PHP%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%9D%BE%E5%B0%BE-%E5%8C%A1/dp/4569821375
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「リスク・責任・決定、そして自由!」
投稿者 synodos 投稿日 2014/11/15
形式: 新書
本書は、シノドスで連載中の『リスク・責任・決定、そして自由!』のうち、第一回(2013年10月24日)から第八回(2014年6月26日)までを、加筆修正の上でまとめたものだ。サブタイトルは「巨人たちは経済政策の混乱を解く鍵をすでに知っていた」。

長期連載かつ書籍化の予定があることをあらかじめアナウンスしていたため、途中で離脱した読者や、書籍化後にまとめて読むと決めていた読者も多くいるだろう。改めて本書(本連載)の内容の一部を振り返ってみたい。

筆者の松尾氏は、70年代から80年代にかけて、それまでの「大きな政府」志向が行き詰まりを見せ転換を迫られたとき、人びとはその転換を「小さな政府」路線への推進と誤解してしまった。しかしそれは「小さな政府」(新自由主義)路線ではなく、まったく別の「転換X」だった。つまり、この30年間、世界中が「大きな誤解」をしていて、それが現在の混乱を招いてしまったのだ、と指摘する。

それでは「転換X」とは一体なにか。その正体を探るべく、ソ連型システム、ハイエク、フリードマン、日本型雇用からベーシックインカム、リフレーション政策まで、ありとあらゆる時代・思想・分野を横断していく。それらを読み解くためのキーワードが「リスク・責任・決定の一致」そして「予想は大事」だ。

本書でも典型例として引かれている福島第一原発事故を思い浮かべてみよう。事故が起きた際のリスクは建設地の住民に最も降りかかる。しかし原発建設は、その土地に住まない電力会社が最終的な決定をする。原発事故が起きてしまったとき、被害の甚大さからして、電力会社が自らの力のみで責任を負うことはできない。つまりリスクに応じた責任を取らずに済むならば、リスクのあることに手を出してしまって当然であり、ある決定は、リスクにかかわる人間が、その責任のもとで行われなくてはいけない、ということだ。

それではいったいなぜ「予想は大事」なのだろうか。それはぜひ書籍を手に取って確認してみて欲しい。消費税増税先送りの議論のなかで、アベノミクスの真意を問われているという意見も耳にする。そのアベノミクスの金融緩和こそ、なぜ予想が大事なのかを理解するためにうってつけの題材だ。

加えて、本連載を追ってきた読者にも本書はぜひ手に取ってもらいたい。というのも最終章には、連載に直接的には記されていない松尾氏の思惑を垣間見ることができるからだ。それによって、いままで以上にこの連載を深く読み解くことができるようになるかもしれない。

われわれが30年もの間、大きな誤解をしていたという転換Xの正体とは? 現代を切り取る新たな視点を楽しんでほしい。

【Reviewed By Synodos/シノドス】
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松尾匡さん、良いですよ。
投稿者 日本の現状・将来を読み解きたい 投稿日 2014/11/23
形式: 新書
いろいろな経済・金融関係のモノを読んできましたが、最も腹にストンと落ちました。本書を読む前に不況は人災です!を読むともっと良かったと思いました。もっと、有名となって欲しいです。私が知らないだけかも知れませんが。
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経済をうまく回すための制度論
投稿者 BT_BOMBER トップ500レビュアー 投稿日 2014/11/24
形式: 新書
20世紀以降の経済学の成果を基に
「人々の予想を確定させること」「リスクと責任と意思決定の一致」の必要性を説く本です。
表題のケインズ&ハイエク以外に、理論的な部分ではゲーム理論、マネタリズム、合理的期待など、
制度としてはベーシックインカムやインフレ目標などが扱われています。
個別の経済政策についてというよりも政策枠組み論、あるいはガバナンス制度論といった印象を受けました。

微妙に納得いっていないところもあります。
著者は「転換X」を"経済やテクノロジー上におけるどうしても必要な事情がもたらしたもの"としています。
この「どうしても必要な事情」の背景説明が無いように思えるのですが、自分の読み込みが甘いだけなんでしょうか。
なぜそのような転換が必要になったのか、それ以前は必要ないものだったのか、といったところが説明不足に感じました。
(発展に伴って必要になったというよりは、それ以前から必要だったはずのものが発見されただけに思える)

あとタイトルはちょっと誤解を招くんじゃないかと思います。
全8章+終章1章の中でケインズの理論、ハイエクの思想を扱っているのはそれぞれ1章ずつしかありません。
元はWEB連載だったようなので、そのときのタイトルで良かったんじゃないでしょうか。
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12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この本は、理論のエッセンスを、抽出して紹介する。
投稿者 リート 投稿日 2014/11/18
形式: 新書
第5章 日本型雇用慣行システム
技能には、1看護師資格のような技能スキルと、2その企業内のノウハウである企業内うんちくスキルがある。日本のシステムは、2が重視され、そのために終身雇用・年功序列・企業内労組・株式持ち合い・メインバンク・・といった、システムが補完し合理的に均衡してきた(ナッシュ均衡)。その後IT・グローバルビジネスにより、今は1技能スキルの時代になった。そうすると、2を目指し補完する日本型雇用システムは、合理性を失い崩壊するというもの。「2に長けた、中高年ベテラン」など、使い物にならなくなるので日本型雇用環境は壊れる。

昨今のアベノミクス(政府の市場介入)を、左派が批判・右派が支持するという、ねじれ現象については6章・7章を読むと分かる。

終章 政府はルールを示し民間が裁量を取る、そのかわり責任も果実も取るということ。政府が責任を取らないのに裁量すると、最悪の場合共産主義の様に政府責任ゼロで、現場が振り回される。その逆、政府は責任を取れないので、ルールを作り、民間がそのルールに示された未来の予想下で、自己責任で、果実とリスクを取るのが、合理的という話。

ただどんな政策提言も完璧なものがない理由は、本書で主張される「リスクと決定・自己責任」と「未来予想が大事」に内包されている。前者はその通りだが、後者が不確実。だから、どんな政策も、「不確実」にほんろうされる。これが限界。そこをもっと明示してほしかった。頂上手前の9合目。
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02. 佐助 2014年12月08日 18:20:07 : YZ1JBFFO77mpI : 439YTZK3Rc
ケインズの二つの誤り
(1)「人間の嗜好の変化」を無視している
嗜好は、個人のレベルでは偶然なので、数値化することはできない。だが、社会的レベルでは、嗜好は数値化することができる。そして、自然空間がレベル別にもつ固有の法則を見落としている。


(2)「格差拡大させるケインズの限界効用説の誤り」
古典派経済学者たちは「経済学の目的は、貧しさから開放し、格差をなくし、失業をなくし、国と企業と個人を富ませるため」であるという理想を抱いていた。だが、ケインズの前提反転思考革命によって、理想や義務から解放された。

ケインズの限界効用説の誤り失業をなくすの五つ指摘しておこう
@外国労働者と輸入品で低賃金維持する
A低賃金国と地域に生産加工を移転させる
B農業や不況産業から雇用が移動してくる
C多重下請け臨時雇用派遣でコスト削減させる
D最低生活以下の人口増で格差拡大させる

ケインズは,すべての経済学者は、商品価格は、労働価値によって決定され、相関関係があると考えて、その理論体系を構築した。利潤・剰余価値・付加価値は、商品の交換価値や使用価値から発生すると考えた。

消費者には、需給のアンバランスで変化する価格・価値と、そのアンバランスを決定する思考・行動・嗜好の反転が全く見えない。「この世は、すべてカネで動く。カネで買えないものはない」と、人間の思考と行動を、すべてカネに還元させる解釈に人間は支配されている。経済学も、経済的思考と行動を「価格」に還元する解釈に支配されている。

資本主義的な自由市場経済は、需要と供給の変化を決定する人間の嗜好を「必要悪」と考え、新しい商品を次々に発売して、人為的に流行を発生させようと行動する。そのために、売れない商品を過剰に発生させる。そして、企業レベルでは見切り・縮小・倒産を発生させて市場は均衡を回復する。これが「神の見えざる手」の正体なのだ。

どんな経済システムも政治システムも、あるレベルではプラスでも、他のレベルではマイナスになる。だから、どんな人間集団のシステムも、そのマイナスを最大限に縮小抑制し、プラスを最大限拡大伸長させることが必要である。


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