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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 仕組まれた? マイナス成長
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週刊実話 2014年12月11日 特大号
安倍総理が決めた解散総選挙に対しての世間の批判は強い。600億円以上の血税を投じて、わざわざ選挙をする必要があるのかという批判だ。そもそも、消費税法には景気条項がついていて、景気が良くない場合には消費税の引き上げを凍結できるとされているのだから、法律に従って淡々と凍結すればよいではないかという意見だ。理屈の上ではその通りだが、現実は異なる。
自民党内では、谷垣禎一幹事長、麻生太郎財務大臣など、バリバリの増税派が強い力を持っている。なかでも野田毅自民党税調会長は、税制に巨大な影響力を持っている。彼らは、総理が増税を延期しろと言っても絶対に言うことを聞かない。現に法律が景気条項を持っているにもかかわらず、野田税調会長は、11月11日に消費税の再引き上げを「先延ばししたら金利が上がることは間違いない」と、予定通りの引き上げを強く主張していた。
ところが、わずか3日後に解散総選挙が確定的になると、「安倍晋三首相が判断すれば党人として従うのは当然だ」と語り、凍結を容認する考えを示したのだ。
増税を主張し続けたら、自分の選挙が危うくなってしまう。実際、一部の報道では官邸が総選挙で野田氏の公認をしないという圧力をかけたといわれる。つまり解散という総理の伝家の宝刀は、党内を黙らせるために最も有効な手段なのだ。
さらに、増税派を完全に黙らせたのが、7〜9月期のGDP統計だった。年率で1.6%のマイナス成長という数字が出たことで、誰も消費税の再引き上げを主張できなくなってしまった。この数字がいかに衝撃的だったかは、発表当日の日経平均株価が500円以上下落し、1万7000円台を割り込んだことからも明らかだ。しかし私は、この数字には疑問を持っている。民間の研究機関が予測した成長率の平均は、プラス2.2%だったし、こんな大きなマイナス成長を予測したところは一社もなかったからだ。
GDP速報は、消費や投資や輸出入など、需要項目の積み上げで推計される。それぞれの需要項目は月次統計でデータが公表されているから、GDP速報の発表前に、民間でもかなりの精度で予測が可能だ。にもかかわらず、その予測を大きく下回る数字が出てきたというのが現実なのだ。
安倍総理が意図的に低い数字を作ったとはいえない。しかし、市場の予想を大きく下回る数字が発表されることを安倍総理は事前に知っていたはずだ。統計を作っている内閣府経済社会総合研究所のトップは、言うまでもなく総理大臣だからだ。
安倍総理は、もともと12月8日に発表されるGDP統計の2次速報をもとに消費税増税の可否を判断することにしていた。しかし、それだと7〜9月期の成長率が上方修正されてしまう可能性が高い。だから、低い成長率が統計に出てきたタイミングで消費増税を凍結し、解散に打って出るというのが安倍総理の戦略だったのではないか。
99%決まりかけていた消費税の再増税をストップさせた安倍総理の貢献は、高く評価されるべきだ。しかし、与野党が消費税凍結で足並みを揃えてしまったいま、消費税は争点にならない。総選挙では、安倍政権が進めようとしている成長戦略という名の弱肉強食政策を争点にすべきだろう。
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