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経済成長を遂げることで自国通貨を強化し、それを条件に国民生活を向上させることで、自国通貨の強さを抑制するというサイクルが通貨政策の本道である。
弱い通貨は、金融・経済政策の自由度を低下させる。強い通貨であればこそ、インフレを抑制しながらの財政支出拡大もできるし、金利の引き下げも悪影響をミニマムにできる。
インフレや低金利は通貨の外国為替レートを押し下げる(弱体化する)作用をするため、弱体化した通貨を手段として持つ国家は、財政・金融政策にタガをはめられることを意味する。
記事の中に、「東大の伊藤教授は「実質実効相場も名目の円相場の反転や物価の上昇によって、いずれ上向きに調整するはずだ」と予想している」とあるが、交易主要対象国に比して高い物価の上昇=インフレ率は円安(名目円相場下落)の要因であり、物価上昇が実質実効相場を高めることはない。
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円の実力、40年で最低 追加緩和やアジア通貨台頭で[日経新聞]
2014/12/7 1:23
円相場が急落している。日銀によると、日本の貿易相手国通貨に対する円の総合的な価値を示す実質実効為替相場は1973年1月以来、約42年ぶりの弱さになっている。当時の円相場は1ドル=約300円で、73年2月の変動相場制移行後で最低となる。対ドルやユーロ、アジア通貨も含めた円相場の歴史的な全面安といえ、輸出には近年ない好条件となる半面、輸入や海外への旅行には強い逆風となりそうだ。
円相場は10月末の日銀の追加金融緩和以来、下がり続けている。5日のニューヨーク市場で一時1ドル=121円69銭まで売られ、約7年4カ月ぶりの安値をつけた。2010年を100とした円の実質実効相場も11月中旬時点で70.88で、73年1月の68.88以来の低い水準だ。その後の円安の進行でさらに弱くなっているとみられる。
対ドルの円相場の見かけ以上に実質実効相場が安いのは「貿易関係が強まる中国をはじめとしたアジアの通貨価値が高まっていることを反映している」(学習院大の清水順子教授)ためだ。名目の相場は投機的に動きやすいという面もある。
世界の通貨をみわたすと、ドルと連動性の強い中国の人民元も上昇している。日本との貿易関係が強い米国や中国の通貨の価値が高まると円の実効相場を押し下げる。
円の「実力」の低下は何を意味しているのか。
輸出企業にとっては円安や低インフレで海外との競争条件が歴史的にも有利なことを示す。それでも輸出が伸び悩むのは日本企業の海外での現地生産比率の高まりなどの構造要因とみられる。
日本への外国人旅行者はこのところ急激に増えており、高額品の消費などを積極化している。円安に物価の違いを加味すると、外国人が日本で買い物するには過去四十余年で最も有利といえる。
原材料などを輸入する企業にとっては負担の重さを示す。足元の対ドルの円相場は07年ごろとほぼ同水準だが「当時よりも円安の負担は実感として強まっている」(みずほ銀行の唐鎌大輔氏)。東大の伊藤元重教授は「実質実効相場を見ると輸入環境は歴史的にも悪い。海外から原材料を輸入する業界には特に厳しい動きだ」と指摘する。
実質実効相場が歴史的な安値でも、円が底値に近いとは必ずしもいえない。「日米の金融政策の違いや、日本の貿易赤字転落など円を取り巻く構造が大きく変化しており、円安は一段と進む」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏)との見方が多い。
行き過ぎた円安もいずれは円高方向に巻き戻すとみられる。東大の伊藤教授は「実質実効相場も名目の円相場の反転や物価の上昇によって、いずれ上向きに調整するはずだ」と予想している。
▼実質実効為替相場 通貨の貿易上の対外競争力を示す指標。数値が小さいほど輸出に有利となる。物価の変化を消費者物価指数などで「実質化」し、対ドルや対ユーロ、対人民元など様々な通貨との交換レートを貿易額に比例するようにウエート付けして平均し「実効化」する。
例えば、日本製品の価格が変わらないのに米国製品が値上がりすれば日本の競争力が増すので円の実質相場は下落する。輸出に占めるアジアとの貿易の割合が増えれば実効相場はアジア通貨の影響を受けやすくなる。
国際決済銀行(BIS)が集計し、日銀も円の指標を公表している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF06H0J_W4A201C1MM8000/?dg=1
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