02. 2014年12月08日 06:28:57
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40代以上は必読!老後難民から脱出する方法 【第2回】 2014年12月8日 中野晴啓 [セゾン投信社長] 【後編】 老後難民にならない! 95歳まで安心して暮らすための「ほったらかし投資」 中野晴啓(セゾン投信代表取締役社長)×野尻哲史(フィデリティ退職・投資教育研究所所長) 前回のデータで、退職後生活準備額が0円という人が、全体平均で44.8%もいることがわかりました。 本来なら、若いうちから計画的に老後資金を貯めるのが理想ですが、結婚資金、子どもの教育資金、住宅ローン、さらには親の介護資金など、資金需要がたくさんあり過ぎて、なかなか自分の老後資金を作れないという現実もあります。 無理なく、それでも確実に老後資金を作るには、どうすれば良いのか。フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史さんと、セゾン投信代表取締役社長の中野晴啓さんが、アイデアを考えます。「老後難民」対策は 逆算で考える 野尻 今回の新著『日本人の4割が老後準備資金0円』では、世代別に老後難民にならないための対策を紹介しています。退職後に必要な資金を逆算して準備するという「逆算の資産準備」です。 中野 それはゴールを何歳に設定するのですか? 中野晴啓(セゾン投信代表取締役社長)1987年明治大学卒、クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信(株)を設立、2007年4月より現職。現在も全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にするための活動とともに積み立てによる長期投資を広く説き続け、「積立王子」と呼ばれている。著書に『投資信託はこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている』(講談社+α新書)ほか多数。 野尻 日本人の平均寿命を考えて95歳です。資産運用もしながら、お金を使っていき、人生の最期にちょうど資産が0になるというイメージです。
中野 投資に関連する本は山のように出ていますが、みんな「ふやす」ことだけに注力した本ですよね。資産運用をいつ止めれば良いのか、あるいは殖やしたお金を引き出す場合にどうすれば良いのか、という点にまで踏み込んで説明しているものは、ほとんどありません。野尻さんがおっしゃる「使いながら運用する」際のポイントは、どこにあるのですか。 野尻 まず、使うだけだと元本を減らしていく一方ですが、使うことに「運用する」ことを組み合わせると、使うだけに比べて元本が目減りするペースを抑えることができます。そうすることで、老後の準備金が0円になるのを先延ばしにするという考え方です。たとえば老後資金から年間4%を引き出すと共に、年3%のリターンで運用できれば、年間の目減りは1%に抑えられます。 中野 引き出す額は一定額ではなく、一定率で引き出すのですか。 野尻 はい、そうです。たとえば毎月10万円ずつ引き出すとするじゃないですか。この方法だと、運用が上手くいっている時は特に問題ないのですが、逆に保有資産が値下がりしている時には、元本の目減りをより早めてしまうのです。 でも、定率で引き出すようにすると、元本が目減りした時にはその分、引き出す額も少なくなるので、元本の目減りを抑えられるのです。 中野 定率ということは、毎回、引き出す金額が変化するということですね? 野尻 ええ、たとえば投資元本が3000万円で、年120万円引き出すとしましょう。1年目は3000万円から120万円を引いた2880万円が残ります。その後、運用で2700万円まで目減りしたところで120万円を引き出すと、元本は2580万円です。 対して、年間4%ずつの定率引き出しにすると、1年目は3000万円の4%で120万円を引き出すから2880万円が残ります。で、運用によって2700万円まで目減りしたところで4%の引き出しだと、引き出し額は108万円です。結果、2592万円が残ります。運用が上手くいかなかった時は多少我慢する必要はありますが、定率引き出しを心がければ、元本が目減りするピッチをかなり抑えることができるのです。 中野 積み立ては毎月1万円などの「定額」がよいとされていますが、引き出す場合は減るのを防ぐために「定率」がいいというわけですね。 成長が見込めるところへ投資する 中野 あとは実際、どうやって運用するかということですが、資産は基本的に将来、成長が見込めるところに投資することが肝心だと考えています。それも分散ができるといちばんいい。 野尻 セミナーなどでもよく聞かれますよ。「分散って、どの程度分散すれば良いのでしょうか」って。 中野 どう答えているのですか。 野尻 分散投資は一つよりも二つ、二つよりも三つ、三つよりも四つのほうがよりベターな世界です、と答えています。確か、分散投資の効果が顕著に表れるのは、7つの資産クラスに分散するところまでだと言いますね。まあ、簡単な方法としては国内株式、外国株式、国内債券、外国債券という4つの資産に4分の1ずつ分散しても、分散投資効果は得られると考えています。 野尻哲史(フィデリティ退職・投資教育研究所所長)一橋大学卒業。国内および外資系の証券会社の調査部を経て、現職。日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。主な著書に『投資力』(日経BP社)、『老後難民 50代夫婦の生き残り術』『日本人の4割が老後準備資金0円』(ともに講談社+α文庫) 中野 私は、誰にでもぴったりとフィットするアロケーションというのは、存在しないと思うのです。たとえば「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、株式と債券の比率を原則として半々(50:50)にしています。
これは、どんな年代、そして誰にでも合うポートフォリオの比率ではないと思いますが、ベストの選択肢というよりもベターな選択肢を目指しているのです。満足感は8割程度かも知れません。 その満足度を8割5分に引き上げたいというのであれば、自分で日本株ファンドを加えるとか、外債ファンドを加えるとかすればいいでしょう。ただ、毎月分配型のようなファンドは、資産形成層には向かないので使わない方が良いでしょうね。 毎月分配型ファンドは 金融機関が売りやすい 野尻 毎月分配型のすべてが悪いわけではないと思うのです。たとえば高齢者が毎月、運用益と元本の一部を取り崩しながら生活費に充てるというのに、この手のファンドを利用するという手はあると思います。 実際、米国にはたとえば3000万円を20年後に0円にするファンドが存在します。まさに使いながら運用するという場合にぴったりの商品性です。 中野 販売会社の売り方に問題があるのでしょうね。分配金をまるで預貯金の利息であるかのように印象付けて販売しますから、顧客の誤解を招いてしまうのです。なかには「このファンドの購入時手数料は割高ですが、分配金も高いので、4回分の分配金で元が取れます」というセールストークをしている営業担当者もいるそうですよ。運用するのは大事ですが、金融機関の口車に乗せられないようにする自己防衛も必要です。 中野 そこは自分の本でも何度も書いているのですが、まずは窓口に行ってみよう、ではダメなんです。窓口では、自分にとってのオススメが出てくるわけではなくて、金融機関に都合のよい、つまり売り手側が儲かる商品を売りつけられてしまうケースが非常に多いので…。 資産も時期も集中はダメ。 分散して投資をする 野尻 いろいろな観点から話をしてきましたが、資産形成の最大のカギは積立ではないでしょうか。 中野 そうですね。長期的に資産形成を行っていくのであれば、積立が最も有効な手段だと思います。ただ、万能ではありませんよね。積立投資をすれば100%、資産運用の問題を解決してくれるとは限りません。積立投資だって、デメリットはあります。 野尻 基本的に、将来は明るいという前提条件がないと、積立投資は成り立ちませんからね。ずっと下がっていく相場では、いくら積立投資を続けても効果は得られません。だからこそ、長期でみると上がるだろうと予想される「全世界」への分散投資などが効果があるわけですね。 中野 そうです。あとは資産クラスが集中した積立投資も危険ですね。たとえばある国の債券だけとか、エコロジーなどのテーマ型のファンドとか…。何が当たるかは誰にもわからないわけですから、できる限り分散しておくのが有効なのです。 野尻 それでいえば、自社株積立は危険ですよ。私も自社株がすべてパーになった経験があります。(※編集部注:野尻さんは山一証券に在籍し、破たんを経験されています) 中野 それはかなりの金額だったのではないでしょうか? 会社の業績がよくて、給与もボーナスも、株価も上がっているという状態ならいいですが、その逆だと目も当てられない。 野尻 自分の会社へ資産が集中し過ぎということですよね。 中野 資産の集中もこわいですが、購入時期の分散ができるのが積立投資です。そしてこの積み立て自体、ある意味、投資への納得度を高めてくれます。値段が下がっても安く購入できている、と思えますから。 もちろん、底値で一括投資した方が効率が良いという考え方もあるのですが、今が底値かどうかの判断は非常に難しいですよね。 底値を待っていたら、いつの間にか値上がりしてしまい、なお投資できなくなる。そういう問題を無くすには、積立投資しかありません。 野尻 10年間毎月積立をするのであれば、120回も買う機会があるわけですから、1回、買う時の価格が高いか安いかの判断は、全体を通じて見れば120分の1に過ぎないので大したことはありません。そのくらいの気持ちで積立投資と付き合っていくのが良いでしょう。 「ほったらかし」投資で、将来の安心を手に入れる 中野 あと、最後に言いたいのですが、50歳になるまで貯蓄が0円だと、本当に大変なことになります。若い人にとって定年後の生活というのは、あまりにも遠い未来で実感がわかないと思いますが、とにかく今、会社から得ている給料は、自分自身が95歳まで生きていくうえで必要な原資であるということを自覚して、しっかり積立投資などをすることが肝心だと思います。 最新刊の本にも書きましたが、現在の日本で購入できる長期投資に向いたファンド、つまり投資信託はほとんどありません。 長期投資に向いた投信とは、全世界に投資できて、購入手数料が0円といったコストが低いもの、さらに運用期間が無期限で、自分の口座から自動積み立てしてくれる…というような商品です。そういった大きく育ついい投信を積み立てる設定をして、あとはほったらかしで大丈夫、それが忙しい人でも、まとまったお金がなくても、誰にでもできる王道の投資法だと思います。 野尻 確かに長期で投資を実行していくことが、老後難民から抜け出せる方法だと思いますね。そして、運用で増えたお金を計画的に使っていく、こういったビジョンが見えるかどうかで、老後難民から抜け出せると思いますね。 (取材・文 鈴木雅光 撮影 宇佐見利明) http://diamond.jp/articles/-/63189 “超円安”に勝つ資産運用byダイヤモンドQ 【第5回】 2014年12月8日 「ダイヤモンドQ」編集部 インフレ対抗には投信が最適 お勧め商品をアナリストが厳選 約5000本もある投信の中から、どれを選べばいいのだろうか。途方に暮れる人も多いはず。そこでダイヤモンドQ編集部が、投資スタンス別に、最適なファンドを厳選してみた。
運用の対象も手法も成績もさまざまなファンドが約5000本ある中で、どうやって選べばいいのか、迷う人も多いだろう。投信選びの基本とは何だろうか。「第一に重要なのは、そのファンドが何に投資していて、どのようなリスク、リターンがあるか理解すること。第二にコストを低く抑える事」(篠田尚子楽天証券経済研究所ファンドアナリスト)だと説く。 たとえば、国内株式に投資するファンドには価格変動リスクがある。債券よりも価格変動が大きいので、それだけリスクも大きくなる。さらに、同じ株式型でも外国株に投資するファンドには、価格変動リスクのほかに為替変動リスクが加わるといった具合だ。 また投信には2つのタイプがある。株式市場全体などの動き(指数)に連動した成果を目指す「インデックス型」と、それを上回る成果を目指す「アクティブ型」だ。 インデックス型は日経平均など特定の指数に連動させるため、そこに組み入れられている銘柄に投資する。銘柄選びにプロの目利きを必要としないので、報酬も低くてすむ。 一方、アクティブ型は指数を超える成果をあげるために、プロが徹底的にリサーチして運用先を厳選する。 ただし、インデックス型とアクティブ型の運用成績を比較すると、実はインデックス型の方が平均リターンは高い。アクティブ型がいくら厳選しても大した成績は上げられず、また目利きのためにかかったコストが重荷になって結局、インデックス型に負けてしまうのだ。 とはいえアクティブ型の中には、華々しい成果を上げるファンドがあるのも事実。ただそれを見抜くのはなかなか大変だ。初心者は、コストが安く、大負けしにくい、インデックス型のファンドを選ぶのが無難だ。 アクティブ型は コストも高め 一方、コストにも目を向ける必要がある。保有するだけで「信託報酬」などのコストがかる。信託報酬は運用者への報酬で、年率で表示されるが、各ファンドによってバラバラだ。 先ほどのアクティブ型は報酬も高め。1%以上、中には3%のものもある。「長期投資の場合、信託報酬はばかにならない。仮に3%なら元本100万円が毎年3万円ずつ減っていくことになる」(同)。 これらのノウハウを踏まえて、代表的な3つのタイプについて、それぞれ優秀なファンドを篠田氏に選んでもらった。ここではその一部を紹介しよう。 ベーシックタイプ 投信ビギナーでも安心! これまで投信を買ったことがないビギナーや、買った経験はあってもそれほど詳しくないという人には、指数に連動するインデックス型や、複数の資産にバランスよく分散して投資するバランス型のファンドから始める方法がお勧めだ。 「ニッセイ日経225インデックスファンド」(運用会社はニッセイアセットマネジメント)他 毎月分配タイプ キャッシュフロー求める人に 投信には定期的に分配金が出るものもある。中でも毎月分配金が出るタイプは、年金だけでは足りず手持ちの資産を少しずつ切り崩して生活するような人にとっては便利な仕組みだ。 「ピクテ新興国インカム株式ファンド・毎月決算型」(運用会社はピクテ投信)他 積極運用タイプ 3倍のレバレッジも登場 もし投資経験があるのであれば、多少リスクは高くなっても、より高いリターンを狙ってもいいだろう。「過去のSNS関連ファンドのように、あまりとんがったテーマのものは一時的に収益が上がっても、その後トーンダウンするものが多い。これらのファンドはじっくり持つというよりも、ある程度短期での売買が主流」と篠田氏は説明する。 「楽天日本株トリプル・ブル」(運用会社は楽天投信)他 なお、実用ライフスタイル誌・ダイヤモンドQの「マネー運用特集」では3タイプについてそれぞれ10本、合計で30本紹介しているので参考にしてほしい。 http://diamond.jp/articles/-/63280 |