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LNGスポット下落
震災前水準、ピークの半値 電力向け需要伸び悩む
液化天然ガス(LNG)の日本向けスポット(随時契約)取引価格が下落している。アジアのガス需要が伸び悩む一方、オーストラリアなどからの供給は堅調なためだ。東日本大震災前の水準まで下がり、過去最高値をつけた今年2月の半値以下になった。原油安や原子力発電所の再稼働をにらみ、高値が続いたLNG市場は転換期を迎えている。
スポット価格は現在、100万BTU(英国熱量単位、約25立方メートル)あたり9ドル台後半と、前年同期に比べ5割弱安い。
日本では今夏に気温がそれほど上昇せず、冷房向け需要は伸び悩んだ。電力10社の9月末の在庫は前年同月末比で3割多かった。
気象庁の予報では来年2月まで東・西日本で例年よりも暖かくなる可能性が高い。日本の10月のLNG輸入量は前年同月比で8%減った。「電力需要の回復が見込めず、長期契約の引き取りで精いっぱい」(大手電力の調達担当者)という。
東京電力は昨年に石炭火力発電所を新たに稼働し、石炭より割高なLNGの消費を抑えている。来年1月積みのスポット調達は前年からほぼ半減し、2カーゴ(約12万トン)にとどまるとの見方が多い。
電力各社は冬場の需要分をほぼ手当てし、貯蔵タンクの受け入れ能力が乏しい。西日本の電力会社は「安値局面で追加で買いたいが、貯蔵スペースが足りない」と話す。
ほかのアジア諸国の調達も低調だ。中国は昨年にLNGを大量に調達したが、足元では慎重だ。韓国も多くの在庫を抱え、スポット調達量は例年を大きく下回るもよう。
供給は拡大基調だ。スイスの資源商社グレンコアなどは冬場のLNG価格の反発を見込み、今夏に洋上備蓄を始めた。価格の低迷を受け、足元で安値で投げ売りを迫られているという。
豪州やサハリン(ロシア)、ナイジェリアでの生産も順調だ。豪州東部のカーティス(クイーンズランド州)のLNG開発事業では年内にも輸出が始まる見込みだ。一部はスポット市場で販売される公算が大きい。
原油価格の急落もLNG価格を押し下げる要因になる。日本が輸入するLNGは、原油価格に連動する長期契約が全体の7〜8割を占める。価格は3〜6カ月前の原油の輸入平均価格を基に決めるケースが多い。
足元の原油価格を基準とすると、長期契約のLNG価格は来年初めに11〜12ドルまで下がる見通しだ。スポット価格も12ドルが当面の上値のメドとなるとの見方が多い。円安傾向の為替相場の動向にもよるが、来年以降に電力・ガス料金の値下げにつながる可能性がある。
[日経新聞12月5日朝刊P.20]
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