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アップル・ウォッチ(「アップルジャパンHP」より)
アップル・ウォッチの脅威 腕時計業界、スマホで壊滅的打撃のガラケーやカメラの二の舞いか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141204-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 12月4日(木)6時0分配信
9月、米アップルは新しい腕時計「アップル・ウォッチ」を2015年に発売すると発表した。価格は349ドルからとなる見通しだ。
アップル・ウォッチはドアの開閉や店舗での代金支払いなど多様な機能を装備する。メールや電話返答、道案内のナビゲーター、カレンダー閲覧、音楽視聴などの機能も提供する。こうした機能に加え、さまざまなアプリの利用もできる。心拍数や全身の動きを読み取ることができ、健康管理やフィットネス用途にも使える。まさに多機能腕時計なのである。
腕時計型スマートウォッチ市場へは、韓国のサムスン電子やLG電子、国内ではソニー、カシオ計算機がすでに参入しており、相次いで新製品を発表している。アップルの正式な参入表明により、スマートウォッチ市場の競争は一気に過熱した。
アップルは7年前に携帯電話ビジネスに進出し、同業界の様相を一変させた。アップル・ウォッチは、それと同じような衝撃を腕時計メーカーに与えることになるのだろうか。9月11日付英フィナンシャル・タイムズ紙は、次のように報じている。
「シティグループは初年度の販売台数が1400万台、2年目は1500万台になると予想する。この数字はサムスン電子が今年、スマートウォッチとフィットネスバンドを400万台売るとしているシティの予想を大きく上回る。今後2年間でアップル・ウォッチはアップルの売上高、120億ドル分の貢献をすることになる」
また、アメリカスCCSインサイトの調査担当バイスプレジデント、ジェフ・ブレーバー氏はリポートで「アップルがすぐに数百万台を販売することは、ほぼ間違いない。アップルは一撃でスマートウォッチ業界でリーダーとなり、ウエアラブル(装着型)端末に関する消費者の認知度を大幅に向上させた」と評価している。
●スマホに駆逐されたガラケーとデジカメ
アップルのスマートフォン(スマホ)は、携帯電話のシェアをあっという間に奪った。「ガラケー」と呼ばれる独自規格の端末を生産してきた日本勢は、スマホ普及の波に乗り遅れた。長らく国内首位だったシャープが競争に取り残されて業績が悪化したのをはじめ、富士通、ソニー、京セラ、パナソニック、NECカシオは青息吐息の状況に陥った。携帯電話で世界2強だったフィンランドのノキアと米モトローラはアップルの攻勢で年々販売が落ち込み、最終的には携帯電話事業を売却した。
スマホに追い詰められたのは、デジタルカメラ業界も同じだ。スマホで写真を撮る人が増え、デジカメ業界は存亡の危機に立たされた。各地で起きる災害時のリアルタイムの映像がテレビやインターネットなどに流れるが、スマホで撮影されたものが大半だ。
1990年後半からデジカメの普及が進み、フィルムカメラが主流だったカメラ市場は激動期を迎えた。この危機を象徴するのが、03年のコニカとミノルタとの合併だった。コニカミノルタは、創業事業のカメラから複合機へと主力事業を転換。携帯電話にカメラ機能が付けられ、やがてスマホが台頭することになり、カメラ業界はさらに追い詰められた。一眼レフカメラとデジカメは日本勢が世界市場で高いシェアを持つが、スマホに喰われてデジカメの販売台数は年々落ちている。国内にはカメラメーカーが多数あったが、大半は撤退に追い込まれ、最終的に生き残るのはキヤノンとニコンの2強とみられている。
●スマートウォッチは腕時計業界の追い風?
では、アップルの参入により爆発的に普及したスマホが他業界に大きな打撃を与えたように、アップル・ウォッチをはじめとするスマートウォッチは、既存の腕時計市場を侵食するのか。
国内腕時計市場は、世界最大の時計メーカー、スウォッチグループをはじめ、ロレックス、リシュモングループなど輸入品の高級腕時計が大半を占める。これをセイコーホールディングス、シチズンホールディングス、カシオ計算機などの国内勢が追う展開だ。国内外の腕時計メーカーは、アップル・ウォッチの攻撃の矢面に立たされることになる。
スイスの代表的な高級腕時計メーカー社長、パテックフィリップのティエリー・スターン氏は、全国紙の取材で次のように余裕を見せている。
「(アップル・ウォッチは)手首に何も身につけていない、若い世代を取り戻してくれる。15、16歳でアップル・ウォッチを身につければ、いずれもっと大人向けの時計を求めるようになるだろう。中級品には痛手かもしれないが、高級時計とは競合しない。脅威ではなく追い風だ」
「スマートウォッチと既存の腕時計の勝負は、数年以内でつく」(証券アナリスト)といわれる中、「腕」をめぐる戦いから目が離せない。
編集部
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