04. 2014年12月02日 19:44:18
: jXbiWWJBCA
ムーディーズ:三菱東京UFJ、三井住友銀を「A1」に格下げ 12月2日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズは2日、三菱東京UFJ 銀行や三井住友 銀行など5行の長期預金・債務格付けを「Aa3」から1段階引き下げ、「A1」にすると発表した。格付見通しは「安定的」とした。 発表資料によると、同社は「日本政府が銀行に支援を提供する能力は政府債務格付に最も的確に反映される」とし、1日公表した日本の政府債務の格下げ(「Aa3」から「A1」)が理由とした。ただ、日本政府が主要行を支援する意思は引き続き非常に高いとみている。 メリルリンチ証券の上田祐介チーフクレジットアナリストは、格下げの銀行への影響について「今の時点で大きなインパクトはない」とみている。しかし今後、S&Pが格下げで追随したり、ムーディーズがさらにレーティングを下げるようなら「デリバティブ市場の取引条件悪化や海外で債券を発行する際のコスト高のリスクがある」と指摘した。 格下げは、2行のほか三菱UFJ信託銀行、静岡銀行 、中国銀行 も同様に「Aa3」から「A1」に下げ、見通しは「安定的」とした。 ムーディーズは1日、日本国債の格下げ理由として「財政目標の達成と債務抑制に関する不確実性の高まり」、「経済成長に向けた政策の不確実性およびデフレ終息に向けての課題」、「政策の有効性および信頼性の低下が債務負担能力を低下させる可能性」を挙げた。 (格付け会社名を訂正済みです) 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 河元伸吾 skawamoto2@bloomberg.net;東京 油井望奈美 myui1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net 平野和, 持田譲二 更新日時: 2014/12/02 18:49 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFXWA66JTSEA01.html 格下げでも株高・債券高、市場が意識する「官製相場」 2014年 12月 2日 16:10 JST [東京 2日 ロイター] - 日本国債の格下げ発表から一夜明けた2日、日本株は続伸し、金利は低下した。株の先高期待や、低金利環境の継続予想が強いとはいえ、いわゆる「官製相場」が意識されていることが背景にある。悪材料に一段と鈍感になるマーケットに対し、「リスクが溜まりやすいのはこういうとき」と警鐘を鳴らす声も出てきた。
<日銀ETF買いへの「畏怖」心理> 日本国債が格下げされたにもかかわらず、日本株は底堅かった。2日の日経平均.N225は寄り付き直後は売りが先行したが、下げ幅は100円程度。下値が堅いとみるや押し目買いが入り、前場終値で3円安の水準まで下げ幅を縮小。終値では73円高まで上値を伸ばし、年初来高値を更新した。 米株は下落し、ドル/円もわずかとはいえ円高方向に振れている。利益確定売りが入りやすい環境だったが、押し目らしい押し目はほとんど形成されなかった。悪材料に反応しにくい強気相場の背景となっているのは、やはり「官製相場」への強い意識だ。 「日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買い、もしくはそうした買いを期待した投資家の押し目買いが入り、下支えしている。売り方も仕掛けにくいようだ」(SMBCフレンド証券・チーフストラテジストの松野利彦氏)という。 日経平均は、10月半ばの安値1万4500円から1万7600円台に約3000円上昇。予想株価収益率(PER)は16倍台まで高まっている。過熱感は強いが、ほとんど調整らしい調整をみせないのは、円安による企業業績の拡大期待や衆院選待ちのムードというよりも「売ったらやられる」(大手証券トレーダー)という市場心理だ。 日銀は11月に計6回、上場投資信託を購入した。11月は18営業日なので、3日に1回のペース。それぞれ1回380億円と2兆円規模の東証1部売買代金に対し、それほど大きいわけではないが、株価が下がったらまとまった買いが入るという投資家に与える心理的な影響は小さくない。 11月14日は、TOPIX.TOPXの前場終値が0.04%安とわずかな下落だったにもかからわず、日銀のETF買いが入ったことが話題になった。 日銀のETF買い予定は今年末までに3.8兆円、さらに来年は3兆円が上乗せされる。昨年の日本株の最大の買い主体は外国人投資家の15兆円だったが、2位は事業法人(その他法人含む)の6059億円だ。日銀買い入れの累計規模は小さくない。 今年、外国人投資家は11月第3週までの累計(現物・先物合計)で約2.1兆円の買い越しにとどまっており、日銀は今年、国内のみならず、内外で最大の日本株買い主体になる可能性がある。 また、GPIFの売買を経由しているとみられる信託銀行もこれまでの合計で1.7兆円の買い越しだ。日本株を押し上げているのは、需給的にこれらの買い主体に他ならない。 <リスクへの警戒感薄れる市場> 金利も低下した。格下げを受けて10年最長期国債利回り(長期金利)は一時、前日比2.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.445%を付けたが、その後低下に転じ、引けでは0.415%と0.5bpの低下となった。「やはり大量に国債を購入する日銀の存在が大きい。国債の流動性が乏しくなる中で、金利が少しでも上がれば、買う投資家が出てくる」(外資系証券)という。 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、財政赤字の中期的な削減目標の達成可能性などについて不確実性が高まったとして、日本国債を格下げしたが、円債市場の強い地合いにほとんど影響を与えていない。国内銀行が日本国債を投げ売りするような状況にはならないとみられているためだ。 バーゼル規制における標準的手法でソブリン債のリスクウエートは、今回引き下げられた日本国債のA1格では、これまでのゼロ%から20%(A+からA─に相当)に引き上がる。 しかし、大手行に関してはバーゼル規制における標準的手法ではなく、内部格付手法を用いているとみられており、影響は少ない模様だ。 「日本の大手行は、内部格付手法を用いている。もともと日本国債のリスクウエートはゼロ%ではなく、もう少し高いとみられる。このため、格下げがあったとはいえ、いきなり20%にリスクウエートが跳ね上がることもないだろう。国債の投げ売りにつながるような状況ではない」と、BNPパリバ証券・チーフ債券ストラテジストの藤木智久氏は指摘する。 海外勢の動向を見ても、日本国債を多く保有するとみられる主体は中央銀行やファンド勢などだ。リスクウエートの変化に敏感に反応するとはみられていない。 とはいえ、消費再増税が先送りされても、日本国債が格下げされても、金利が上昇しないというのは、やはり異常な状態だ。財政規律の警告機能に欠陥が生じているとみられても仕方ないだろう。 「リスクがたまりやすいのはこういう状況だ」と、BNPパリバの藤木氏は警戒する。「低金利でほぼ無尽蔵にファンディング(資金調達)できる状況は、いつしかリスク感覚をまひさせてしまう。巨大な債務を抱えるようになったときに、何かのきっかけで長期金利が2─3%に上昇すれば、大きな損失を生じることになる」と指摘している。 (伊賀大記 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0JG0GW20141202
日本政府が詳細な財政健全化策を示すと楽観はせず=S&P 2014年 12月 2日 13:33 JST [東京 2日 ロイター] - スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)ソブリン格付ディレクター(日本国債担当)の小川隆平氏は2日、ロイターの電話取材に対して、日本政府が詳細な財政健全化策を示すとは楽観していないと述べた。また政治力学が変化する可能性があり、将来の増税実施は不透明とした。 そのうえで、日本政府は成長促進に向けてやるべきことが数多く残されているとし、社会保障制度を給付と拠出のバランスをとって、より持続可能なものにすべきとの考えを示した。 また日銀の量的緩和に関しては、市場が安定しており懸念は現時点ではないとした。 (伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0JG09120141202 焦点:増税延期で海外の厳しい目、格下げや低成長の背景に人口減 2014年 12月 2日 13:10 JST [東京 2日 ロイター] - 政府が消費再増税の延期を決め、海外から日本国債の格下げや低成長予測など、厳しい評価が相次いでいる。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは日本国債格下げの理由として、財政不安と人口減など成長力への課題を指摘。経済開発協力機構(OECD)も低成長予測などの背景として、人口減を重視している。 民間調査機関の多くは成長率が2%に近づくと楽観論が支配的だが、この問題は2015年の大きなテーマに浮上しそうだ。 <増税乗り切るための構造改革に遅れ> ムーディーズは1日、安倍晋三首相が消費税率10%への引き上げを延期したことを受け、日本国債の格付けを1段階引き下げた。その理由として、第1に挙げたのは財政目標達成への不確実性の高まりだが、第2の理由として、経済構造改革を通じた中期的な成長促進(アベノミクスの「 第三の矢」)を達成する政府の能力だった。消費税8%への引き上げに耐えうる成長戦略が不足しているとし、人口減などの構造問題を指摘した。 国内でも、従来から似た問題意識が提示されてきた。BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏は「大幅な円安にもかかわらず、輸出や設備投資が大きく増えていかないことの根本的な背景には、国内労働力の縮小があると考えられる」と分析する。 政府の推計によると、労働力人口は13年から15年にかけて201万人、2.5%も減少。15年から20年までの間にさらに341万人、4.4%減と、減少率は加速する。 こうした労働力人口の減少は、中長期的な成長力を示す潜在成長率の低下要因となり、成長の制約となる。成長を維持するには、これを上回る生産性上昇や設備投資が必要になってくる。 しかし、足元の潜在成長率は「0%台前半ないし半ば程度」(日本銀行推計)とみられ、OECDも同様の分析結果を示している。先進国では潜在成長率が低下傾向にあるとはいえ、米国の2%程度、欧州の1%程度に比べても、相当に低い。 <OECDも人口減を重視、低成長と財政リスクを指摘> 日本の財政や成長力への不安は、OECDの経済見通しにも表れている。OECDのランダル・ジョーンズ日本・韓国課長は、11月末に発表した日本経済の予測に際し「経済環境の好転からすれば、本来もっと高成長を予測できるはずだが、日本の最近の状況から、より控えめな予測となった」と指摘。景気が回復しても成長に限界がある、との見通しを鮮明にした。 OECDの見通しによれば、増税延期にもかかわらず15年を実質0.8%、前回予測から下方修正した。ロシア、イタリアに次ぎ20カ国の中で下から3番目だ。16年になっても1.0%とイタリアと並んで最下位に甘んじる。 経済環境好転の下でも、OECDが日本経済があまり成長しないとみているのは「人口動態が最大の理由」(ジョーンズ氏)となっている。 こうした低成長を回避するため、財政出動を行えば、基礎的財政収支均衡の実現をさらに困難にし、未曽有に高い公債残高水準に伴うリスクを高めるとして、日本経済は下押しリスクが優勢だと分析している。 <国内では楽観的成長見通し> こうした海外からの厳しい目とは裏腹に、国内では増税延期で楽観的経済見通しが支配的だ。 11月末に公表された経済指標が、生産や雇用の改善を示し、法人企業統計が7─9月期実質国内総生産(GDP)の上方修正を示唆したことから、民間調査機関の間では、10─12月期の成長率は3─4%台を予測する声が浮上している。 来年以降の経済見通しも、10%への増税が延期されたこともあり、上方修正が相次いでいる。 消費の再度の落ち込みが回避され、大企業を中心に円安効果で企業の景況感や収益が高水準を維持、円安により輸出の数量効果もそろそろ表れ始め、賃金上昇との好循環を見込む声が増えている。 15年度は大和総研が1.8%、野村証券が1.6%、ニッセイ基礎研と農林中金総研が1.5%と1%台半ばから後半を予測しているほか、バークレイズ証券の2.0%といった見通しもある。16年度は野村証券が1.4%、農林中金総研が1.5%、ニッセイ基礎研究は1.8%を予測する。バークレイズ証券では2.2%とみている。2年続けて1%半ばから2%としっかりした成長が見込まれている。 国内では、労働力人口の減少に伴う供給力低下の影響は、海外ほど悲観的にとらえられていない様子がうかがえる。この点に関する見方の差が、今後のマクロ政策を考える上で、大きなギャップを生む要因となりそうだ。 アベノミクスでは、第3の矢として、女性や高齢者の労働参加の拡大などで労働力人口不足を乗り切ろうとしている。 しかし、その手法で本当に労働力人口の低下を補えるのか、見方はさまざまだ。OECDが突き付けている人口問題への取り組みは、供給制約の解消という課題と結びついて、衆院選挙後の政権にとって、喫緊の課題の一つとなりそうだ。 (中川泉 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0JG07R20141202 |