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10月経済指標の集中発表日
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52667754.html
2014年11月28日 在野のアナリスト
自民党が、テレビ各局に『公平、中立な報道』を求める文書を送っています。しかし政治がそれを要求すること自体、本末転倒です。例えば9:1に賛否が分かれる意見を、同じように両者の意見を取り上げることは難しく、中立公正な報道というなら、安倍首相の単独インタビューに割いた時間分、他の野党にも割かなければならない。それこそ安倍氏という議員1人の優遇、とみなせば、同じ時間だけ全議員に割り当てなければ、公平とは言えなくなります。単位が首相なら、安倍氏を単独でとりあげることが妥当でも、議員という単位では異なる。つまり『公平、中立な報道』は、視点によってまったく状況が異なるのです。そもそも、政治は多数を占めた側が有利であり、『公平、中立』とは真逆であり、さらに安倍政権は少数の意見を排除して、様々なものを決めたきたはずです。街頭インタビューの景気への質問で「人を選んだ」と、安倍氏はお冠ですが、世論調査とも整合的ですので、怒るなら世論調査から文句をつけるのが『公平、中立な態度』です。
昨晩のOPEC、原油減産が見送られ、原油価格は下落、株価もそれを好感して上昇しています。OPECの判断に、米シェールガスやイラン、ロシアなどの他の資源国つぶし、との意見もありますが、丸々それに乗っかるのは危険です。そもそもOPECは世界の原油生産の3分の1ほどに規模が縮小しており、市場占有率が低下している。価格決定力を失っていることが減産見送りにみられる事情です。OPECが減産しても、他の産油国が増産すれば、価格は下がるどころか、OPECの地位は益々低下します。結果的に、他の産油国が淘汰されるのを待つしかない、がOPECの真意なのでしょう。
一方で、株価の上昇も奇異です。確かに原油価格で楽になる業種はありますが、問題は産油国は、強大な投資王国でもある、ということです。価格下落で余裕がなくなれば、投資資金を回収する恐れがある。これまで金融の需給で上げてきた相場が、いきなり実需の問題に左右される、ということはない。これは材料株に対する仕掛けであり、長期の景気は無視した動きです。
今日は10月の経済指標、集中発表の日です。全国消費者物価が前年同月比2.9%上昇、鉱工業生産指数は98.2と前月比0.2%です。市場は生産予測も上昇基調、として好感しますが、7-9月期に在庫を減らした分、ふたたび積み上げの循環に入った、とみるのが正しいようです。住宅着工戸数は前年同月比12.3%減。しかも住宅は、中古住宅の活用を政府が企図しているので、今後も新築住宅は厳しい状況がつづくのでしょう。住宅エコポイントの話も各党の公約に出てきますが、やっている政策が矛盾だらけで、人口減社会で需要の伸びが限られる中、政策の迷走が致命的です。
労働力調査は24万人増で、正規7万、非正規16万人でした。一見、よい内容に思えますが、公共事業の建設業、スマホゲームが伸びる情報通信業、福祉、学術研究が雇用の伸びの高いところで、これらは離職率が高いことで知られます。小売関連、製造業は悪化をつづけており、基幹部分は弱っている。雇用の質が、全体的に悪化しているのは間違いありません。自営業も減少を続けており、円安で痛んでいる業種の悪化がより顕著になってきたことが窺えます。
家計調査の消費支出は、実質で前年同月比4.0%減。勤労者世帯の実収入は、実質で前年同月比2.1%減、名目では8ヶ月ぶりのプラスですが、購買余力が下がり続けています。しかも消費の伸びは医療が最大で、他へと回す余裕を失い、より防衛的になったことも消費を押し下げる一因です。これも高齢化の影響と、寒暖差が大きかったことなどが原因ですが、健康が悪化しているので支出を抑え、他の消費も伸びない、といった悪循環がこのことからも明らかです。
国民は、誰もこの国が『公平な立場』にある、とは思っていません。国の施策で円安を志向し、一部で潤う人もいますが、逆に生活が困窮する人もいます。円安というものの見方でさえ、東京商工リサーチの調査で、マイナスの影響が約半数、プラスと答えたのは5%未満という状況なのです。これを公平にとり上げる、というのは違和感もあるでしょう。安倍ノミクスも同様、少なくとも「よい」と「悪い」が半々にならなければ、同数の意見を取り上げることにはならないのです。「この道しかない」のなら、景気は悪化する一方、批判的な意見も増える一方、ということを公平に見つめるべきなのでしょうね。
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