http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/847.html
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再増税までにやるべきことは15兆円の需給ギャップの穴埋めだ
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141128/dms1411280830004-n1.htm
2014.11.28 「日本」の解き方 夕刊フジ
衆議院が解散し、事実上の選挙戦に突入した23日、NHKの日曜討論を聞いていたら、びっくりするような発言が野党からあった。維新の党の柿沢未途政調会長が、「日本のGDP(国内総生産)をドル換算してみると、円安なので20%も縮小している」と述べた。
同氏は国会質問の数が多く、質もよいと筆者は評価しているが、この質問は与党を叩くためとはいえ、いただけない。
そもそも自国経済を議論するときに、他国通貨での表示に意味はない。
GDPには「三面等価の原則」があり、生産面、分配面、支出面の3方向から見た値は同じである。分配面からみたGDPは、おおざっぱに言えば国民の所得の総額である。ドル表示でGDPが少なくなった、多くなったという議論は、所得をドル表示でみて少なくなった、多くなったという議論と同じである。
日本国内の法定通貨は円であるのでドル表示で所得がいくら増えても減っても国民生活にはまったく無縁だ。このことから、国会議員が審議する予算でもすべて円表示になっている。
GDPがドル表示で少なくなっているという問題意識は、円高指向ともいえる。円高は円のドルに対する相対的過小で起こるので、モノに対しても相対的過小になっていることが多く、これはデフレ指向にもなる。
前出の討論では、消費増税で景気が悪くなったというのだから、柿沢氏としては、維新など野党3党が出している消費増税凍結法について、なぜ自民党は国会審議しなかったのかと、自民党の稲田朋美政調会長を追及した方がよかった。国会議員に、エコノミストのような議論は期待しない。むしろ、国会内でのやりとりの延長で議論を戦わせるべきである。
ところで、安倍晋三首相は消費税の再増税を2017年4月まで延期すると決めたが、そこまでにデフレ脱却を確実にするために、どのような経済政策が必要だろうか。
17年4月まで2年4カ月しかないので、マクロ経済政策、つまり金融政策と財政政策が重要だ。すぐには効果の出ない規制緩和などの成長戦略は、それまでにできる限り種を仕込んでおいて、17年4月以降に芽が出るように、マクロ経済環境を整えておくわけだ。ここ2年程度で成長戦略の成果を期待すべきではない。
金融政策と財政政策で重要なことは、消費増税による景気後退で需給ギャップ(需要と供給の差)が現時点で15兆円ほどあるので、これを一刻も早く埋めることだ。
旧日銀の某理事は金融政策で需給ギャップを埋めるという意味が理解できなかったが、実質金利を下げることで可能だ。
財政政策で需給ギャップが埋められれば中身は二の次だ。緊縮財政は需給ギャップがなくなるまでやってはいけない。緊縮財政を回避することが、景気回復と雇用の確保になって、財政再建への近道なのだ。
財政再建も重要だが、「急がば回れ、急(せ)いては事をし損じる」を肝に銘じて、景気回復を優先しなければいけない。財政再建は、景気の後からついてくるのである。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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